「精神的ストレスを与える行為も傷害罪になってしまうのか」
「傷害罪の罪に問われるとどんな刑罰を受けるのか」
職場の同僚や近隣住民に嫌がらせなどをおこなった結果、相手が精神疾患を患ってしまい、罪に問われるのではないかと不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、精神的ストレスを与える行為は傷害罪にあたる可能性があります。
傷害罪の刑罰は比較的重く、懲役の実行判決を受けるおそれもあるので、できるだけ早く弁護士に相談し、しかるべき対応をとることが大切です。
本記事では、精神的ストレスを与える行為が傷害罪になるケースや実際の判例などを紹介します。
傷害罪での逮捕・起訴を回避する方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
精神的ストレスを与える行為は傷害罪になる可能性がある
精神的ストレスを与える行為は傷害罪になる可能性があります。
主に2つのポイントを理解しておく必要があるので、詳しく見ていきましょう。
相手に精神疾患が生じた場合は傷害罪が成立する
相手に精神疾患が生じた場合、精神的ストレスを与える行為が傷害罪にあたることがあります。
傷害罪における「傷害」とは、目に見えるケガを負わせることだけでなく、精神疾患を発症させる行為も含みます。
そのため、相手がPTSD・うつ病・ノイローゼなどになったときは、「傷害」罪に該当する可能性があるのです。
実際に、精神的ストレスによって慢性頭痛症や睡眠障害を引き起こしたケースや、精神衰弱症に陥らせたケースでは傷害罪の成立が認められています。
目に見える暴行以外も傷害行為にあたることがある
目に見える暴行以外でも、傷害行為にあたることがあります。
傷害行為としてわかりやすいのは、殴る・蹴るといった物理的な暴力です。
しかし、身体的な暴力以外にも、以下のような行為に及んだ結果、相手が精神疾患を患った場合には傷害罪が成立する可能性があります。
- ・騒音を鳴らし続ける
- ・嫌がらせの電話をかける
- ・不快感を与える暴言を吐き続ける
- ・執拗なストーカー行為に及ぶ
パワハラやDVによる精神的虐待も、被害者に重度の精神的ダメージを与えていた場合には傷害罪として扱われることがあります。
自分自身では軽はずみに及んだ行為であっても、場合によっては重大な犯罪になることを理解しておきましょう。
精神的ストレスによる傷害罪の成立が認められた判例
次に、精神的ストレスによる傷害罪の成立が認められた判例を2つ紹介します。
自身の状況と類似する部分がある場合は、できるだけ早く弁護士へ相談し、迅速に対処するようにしましょう。
ラジオを大音量で鳴らして睡眠障害などを負わせた
【事件の概要】 ①加害者は1年以上にわたって、連日連夜ラジオや目覚まし時計を大音量で鳴らし続けた②加害者は、自分の行為が精神的ストレスによる障害を生じさせる可能性があることを認識していた④隣家の被害者は精神的ストレスを感じ、慢性頭痛症や睡眠障害などを発症した |
本事案では、傷害罪の成立が認められ、加害者に懲役1年が言い渡されています。
物理的な暴力をともなわない行為によって精神疾患が生じた場合も、傷害罪に該当し得ることを示した重要な判例といえるでしょう。
監禁行為によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症させた
【事件の概要】 ①加害者は17~23歳の女性4人をマンションで監禁した②監禁は最長116日間に及び、加害者が脅すような言葉を発することもあった③各被害者はPTSDを発症した |
本事案では、監禁行為とPTSD発症との間に明らかな因果関係がありました。
そして、極度の精神的ストレスによって生じたPTSDも「傷害」にあたるとし、傷害罪の成立が認められました。
傷害罪の刑罰|15年以下の懲役または50万円以下の罰金
傷害罪の刑罰は、「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
傷害罪は被害者に身体的な傷害を負わせたり、精神的な障害を引き起こしたりする重大な犯罪であるため、刑罰も比較的厳しいものとなっています。
なお、実際には以下のような点を考慮したうえで、量刑が決定されることも覚えておきましょう。
過去の過ちを変えることはできませんが、減刑を目指すことはできます。
仮に起訴されてしまった場合でも、被害者と示談を成立させるなど、少しでも量刑が軽くなるように行動することが大切です。
傷害罪の懲役刑になる確率は?量刑相場や判断要素も含めて弁護士が解説
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精神的ストレスを与えて傷害罪の罪に問われた場合の流れ
精神的ストレスを与えて傷害罪の罪に問われた場合の流れは、おおむね以下のとおりです。
まず、被害届の提出や第三者からの通報をきっかけに警察が捜査を開始します。
身柄拘束を受けず在宅捜査がおこなわれるケースもありますが、捜査の過程で証拠隠滅・逃亡のおそれがあると判断された場合などには、逮捕されることもあるでしょう。
逮捕された場合、48時間以内に検察へ送致されるか、釈放されるかが決定します。
送致されると、今度は24時間以内に勾留されるかどうかの判断がおこなわれます。
勾留は原則10日間ですが、最長10日間の延長が認められているので、仕事や学校生活にも支障が生じることがあるかもしれません。
勾留期間中に検察官による捜査が進められ、起訴・不起訴が決定されます。
起訴されると裁判に進み、有罪となった場合には判決に従って刑罰を受けることになります。
【傷害罪の起訴率32%!】起訴される3つの事情について解説
傷害罪での逮捕・起訴を回避するためにできること
次に、傷害罪での逮捕・起訴を回避するためにできることを2つ紹介します。
適切な対応をとれるかどうかで、逮捕・起訴の可能性は大きく変わることを念頭に置いておきましょう。
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被害者との示談を早急に成立させる
傷害事件を起こした場合は、被害者との示談を早急に成立させることが重要です。
反省の態度を示し、示談を成立させることができれば、被害者の処罰感情を和らげることができます。
その結果、被害者が被害届の提出や告訴を踏みとどまり、事件化する前に解決できることも数多くあるのです。
仮に事件化してしまった場合でも、示談が成立していれば不起訴となったり、減刑されたりする可能性が高まります。
ただし、加害者が被害者と直接示談交渉をおこなうことはおすすめしません。
被害者が取り合ってくれるケースはほとんどなく、たとえ交渉に進んだとしても高額な示談金を提示されるおそれがあります。
そのため、示談を申し入れる際には弁護士のサポートが必要不可欠です。
傷害罪の示談金の相場は?示談金を決める要素や示談の流れを解説
できるだけ早く弁護士に相談する
傷害罪での逮捕・起訴を回避するためには、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
弁護士に相談すれば、法的な観点から、今後やるべきことについて適切な助言を受けることができます。
また、弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロでもあるため、被害者との示談交渉も遅滞なく進めてもらうことができるはずです。
さらに、警察や検察への働きかけもおこなってくれる点も、弁護士に相談・依頼する大きなメリットといえるでしょう。
ただし、あまりに対応が遅れると、弁護士であっても解決できないことがあります。
少しでも不安に感じることがある場合は、早い段階で弁護士に相談してください。
傷害罪における弁護士費用の相場は?【傷害事件に強い弁護士が解説】
傷害事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を
精神的ストレスを与える行為によって相手が精神疾患を患った場合には、傷害罪が成立することがあります。
実際に傷害罪の罪に問われ、重たい刑罰を受けている事例も多くあるため、加害者となってしまった場合は、早急にしかるべき対処をとらなければなりません。
しかし、法的な知識のないなかで、示談交渉を進めたり、捜査機関とやり取りしたりすることは難しいでしょう。
そのため、少しでも逮捕や起訴の可能性を高めたいのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
実際、グラディアトル法律事務所では、これまでに数々の傷害事件を解決してきました。
24時間365日相談を受け付けており、LINEでの相談にも対応しているので、まずはお気軽にどうぞ。