「夫婦喧嘩でも手を出してしまったら犯罪になるのか」
「どのようなケースで傷害罪・暴行罪が成立するのか」
夫婦喧嘩がヒートアップした結果、ついつい手を出してしまい、何かしらの罪に問われるのではないかと不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
夫婦喧嘩といえども、暴行してしまうと傷害罪や暴行罪が成立する可能性があります。
そのため、夫婦喧嘩で手を出してしまった場合は弁護士に相談し、問題が大きくなる前に解決することが大切です。
本記事では、夫婦喧嘩で暴行罪・傷害罪が成立するケースや逮捕の可能性などを解説します。
暴行罪や傷害罪で逮捕・起訴されないためにできることも紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
夫婦喧嘩でも暴行罪・傷害罪が成立することはある
たとえ夫婦喧嘩の延長線上だったとしても、手を上げてしまうと暴行罪・傷害罪が成立することはあります。
まずは、夫婦喧嘩で暴行罪・傷害罪が成立する要件をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
暴行罪|暴行したが相手がケガをしなかった場合
夫婦喧嘩のなかで暴行を加えたものの、相手がケガをしなかった場合は「暴行罪」が成立します。
たとえば、以下のような行為に及んだ場合は、暴行罪の罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。
- ・髪を引っ張る
- ・胸を突き飛ばす
- ・腕を掴む
- ・相手の近くに椅子を投げつける
- ・包丁を振り回す
夫婦喧嘩ではよく見られるような行為も、事件化した場合には犯罪になり得ることを覚えておきましょう。
特に、ケガの危険をともなう行為は、相手に直接触れていなくても暴行罪になる可能性がある点には注意してください。
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傷害罪|暴行によって相手がケガをした場合
夫婦喧嘩のなかで暴行を加え、相手がケガをした場合には「傷害罪」が成立します。
傷害罪にあたる行為としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- ・顔を殴って鼻血を出させる
- ・腕を掴んであざを作る
- ・押し倒して擦り傷を負わせる
- ・物を投げつけて打撲させる
傷害罪が成立するかどうかの判断において、ケガの程度は基本的に問われません。
軽傷であっても相手がケガをしてしまった場合には、傷害罪の成立要件を満たします。
また、夫婦喧嘩が原因で相手がうつ病やPTSDなどを患った場合にも、傷害罪が成立する可能性があります。
身体的なケガだけでなく、精神疾患に陥らせる行為も「傷害」に含まれることを覚えておきましょう。
傷害罪の構成要件は4つ!罰則や関連する刑罰について判例を交えて解説
夫婦喧嘩で成立し得る暴行罪・傷害罪以外の罪
夫婦喧嘩で成立し得るのは、暴行罪・傷害罪だけではありません。
ここでは、夫婦喧嘩で適用される可能性がある4つの罪について詳しく解説します。
脅迫罪|身体などに危害を加える旨を告知した場合
夫婦喧嘩のなかで、身体などに危害を加える旨を告知した場合は脅迫罪に問われることがあります。
たとえば、「殺してやろうか」「監禁してやる」「家を燃やすぞ」といった言葉を発するケースなどが該当します。
なお、「脅迫」に当たるかどうかは一般的な感覚を基準に判断されるため、実際に相手がどう感じたかは関係しない点に注意してください。
脅迫罪の罰則は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
強要罪|義務のないことを無理やりさせた場合
夫婦喧嘩の相手に義務のないことを無理やりさせた場合には、強要罪が成立する可能性があります。
たとえば、「殴られたくないなら土下座をしろ」などといって実際に土下座させた場合などが、強要罪の典型的な事例といえるでしょう。
なお、実際に相手が土下座しなかった場合でも、強要未遂罪が成立する点に注意してください。
強要罪の刑罰は、3年以下の懲役です。
暴力行為処罰法違反|凶器をみせて暴行・脅迫した場合
凶器をみせて暴行・脅迫した場合は、暴力行為処罰法違反の罪に問われるおそれがあります。
たとえば、口論の末に包丁を突きつけ、「刺してやる」などと脅した場合などが該当します。
暴力行為処罰法違反の罰則は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
殺人(未遂)罪|殺意をもって相手を死亡させた場合
殺意をもって相手を死亡させた場合は、殺人罪が成立することがあります。
たとえば、首を絞めて窒息死させる、高所から突き落として死亡させる、包丁で刺し殺すなどといったケースでは、殺人罪に問われる可能性が高いといえるでしょう。
殺意をもって相手を殺害しようとした結果、相手が死亡しなかった場合には殺人未遂罪が適用されます。
殺人罪・殺人未遂罪の刑罰は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役です。
なお、殺人未遂であれば減刑され、死刑や無期懲役になることはほとんどありません。
夫婦喧嘩は暴行罪・傷害罪で逮捕される可能性がある
夫婦喧嘩の内容次第では、暴行罪・傷害罪で逮捕される可能性があります。
夫婦の問題だからといって、警察から例外的な扱いを受けるわけではありません。
暴行罪・傷害罪の成立要件を満たし、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合などは逮捕されることもあります。
なお、令和4年における暴行罪の逮捕率は約43%、傷害罪の逮捕率は約55%です。
夫婦喧嘩の場合は相手が被害届を出さないケースも多いため、実際の逮捕率はこれより低くなるものと考えられます。
とはいえ、実際に夫婦喧嘩が発端となり逮捕されている事例もあるので、事件化しそうな場合は早急に弁護士へ相談してください。
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夫婦喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されるきっかけ
次に、夫婦喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されるきっかけを解説します。
相手方が被害届・告訴状を提出した場合
夫婦喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されるきっかけとして、相手方が警察に被害届や告訴状を提出した場合が挙げられるでしょう。
- ・被害届:犯罪の被害にあったことを知らせるための手続き
- ・告訴状:犯罪の被害を申告し、加害者への処罰を求めるための手続き
被害届や告訴状は警察が事件を認知し、捜査を開始する契機となります。
そして、捜査のなかで十分な証拠が見つかり、証拠隠滅・逃亡のおそれがあると判断された場合には、逮捕に至るケースも出てくるわけです。
ただし、被害届や告訴状は必ずしも受理されるわけではありません。
被害状況や証拠の有無などを踏まえたうえで、警察が事件化せずに済ませることもあります。
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近隣住民などが110番通報した場合
夫婦喧嘩で逮捕されるもうひとつのきっかけは、近隣住民などによる110番通報です。
実際、夫婦が大声で言い争ったり、物が飛び交うような音を聞いた隣人が深刻な事件に発展することを懸念して、110番通報するケースは少なくありません。
通報を受けた警察が現場に駆けつけた場合は、現行犯逮捕に至る可能性もあるでしょう。
また、現行犯逮捕されなくても、任意同行を求められ、取り調べがおこなわれたあとに逮捕されることもあります。
夫婦喧嘩中に傷害・暴行事件を起こして逮捕された場合の流れ
夫婦喧嘩中に傷害・暴行事件を起こして逮捕された場合の流れは、おおむね以下のとおりです。
警察に逮捕された場合は警察署内の留置所で身柄を拘束され、48時間以内に検察へ送致されるか釈放されるかが決定します。
送致されると、次は検察官が24時間以内に勾留するかどうかの判断をおこないます。
勾留期間は原則10日間ですが、その間に起訴・不起訴の判断ができない場合などは最長10日間延長されることもあります。
なお、勾留期間中も留置所のなかで生活するケースが一般的です。
最終的に不起訴になれば釈放され、起訴されると裁判を受けることになります。
そして、有罪となった場合には、判決に従って懲役や罰金の刑罰に処されます。
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夫婦喧嘩で逮捕・起訴されないためにできること
次に、夫婦喧嘩で逮捕・起訴されないためにできることを解説します。
適切な対応がとれるかどうかで、今後の人生が大きく変わることを念頭に置き、迅速な行動を心がけましょう。
【必読】傷害罪の逮捕を回避するには?逮捕の要件と逮捕後の流れ
示談を早急に成立させる
夫婦喧嘩で逮捕・起訴されないためには、示談を早急に成立させることが重要です。
早い段階で示談を成立させることができれば、被害者の処罰感情を和らげ、被害届や告訴状の提出を阻止できるケースがあります。
また、事件化した場合でも、示談の成立によって和解していることがわかれば、捜査機関が逮捕に乗り出したり、起訴したりする可能性は低くなるでしょう。
しかし、怒りや恐怖の感情を抱いている被害者に対して、加害者から直接示談を申し入れ、成立させるのは現実的ではありません。
まともに取り合ってもらえるとは考えにくく、交渉に進んだとしても、お互いが感情的になり、冷静な話し合いができないおそれがあります。
そのため、示談交渉は弁護士に一任するのがおすすめです。
なお、夫婦間での示談は財産分与や養育費などの離婚問題に関わってくることがあり複雑化しやすいので、弁護士と相談しながら慎重に話し合いを進めるようにしましょう。
できるだけ早く弁護士に相談・依頼する
できるだけ早く弁護士に相談・依頼することも、夫婦喧嘩で逮捕・起訴されないためのポイントです。
弁護士に相談すれば、法的な観点から、今後やるべきことについてアドバイスを受けられます。
また、被害者との示談交渉や捜査機関への働き掛けもおこなってくれるため、逮捕・起訴を回避できる可能性は格段に高まるでしょう。
法的な知識を持たない個人が自力で解決しようとすると、問題を余計に複雑化させるおそれがあります。
まずは経験豊富な弁護士に相談し、助言を受けたうえで行動を起こすことが大切です。
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夫婦喧嘩で手を上げてしまった場合はグラディアトル法律事務所に相談を
たとえ夫婦喧嘩であったとしても、手を上げてしまった場合には暴行罪や傷害罪などが成立することがあります。
仮に逮捕されたり起訴されたりすると、社会生活に大きな支障を及ぼすことにもなりかねません。
そのため、夫婦喧嘩中に暴行を加えてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談してください。
関係法律や過去の事例を参考に適切な対応を取れば、事件化する前に問題を解決できることもあります。
実際にグラディアトル法律事務所では、これまでに数々の暴行・傷害事件を解決してきました。
初回は無料で相談を受け付けており、24時間365日対応可能なので、まずはお気軽にご連絡ください。