大麻は「現行犯でなければ逮捕されない」と思っていませんか?
実は大麻事件では、現行犯以外での逮捕…いわゆる後日逮捕も少なくありません。
特に、次のようなケースでは、後日逮捕にいたるリスクが非常に高いです。
・大麻リキッドなどで簡易検査が実施された ・近隣住民からの通報があった ・交通事故などの別の事件で捜査が入った ・大麻の売人や関係者が逮捕された |
本記事では、現行犯以外で大麻逮捕のリスクが高まる4つの状況や後日逮捕の要件、逮捕された場合の流れ、そして具体的な対処法について解説します。
大麻の後日逮捕が不安な方は、ぜひご一読ください。
目次
現行犯以外で大麻逮捕のリスクが高い4つのケース
大麻に関わる事件では、必ずしもその場で逮捕されるわけではありません。
証拠が集まった時点で後日逮捕されるケースも多くあります。特に以下の4つのケースでは、現行犯以外での逮捕リスクが高まります。

大麻リキッドなどで簡易検査が実施された
簡易検査で陰性が出たとしても、後日逮捕される可能性は十分にあります。
これは、大麻成分(THC)が現場の試薬では正確に判定できないことが理由です。特に大麻リキッド(液体状態の大麻)では、その傾向が強くなります。
例えば、職務質問で「大麻成分を含んだもの」を警察に押収されても、その場では陽性反応が出ず一旦解放されるケースがよくあります。しかし、これで安心することはできません。
押収された品が科学捜査研究所で正式鑑定に回されて、THCが検出される可能性も十分にあるからです。
簡易検査で一旦帰宅できたとしても、数週間後に警察から連絡があって逮捕にいたるリスクは十分にあるのです。
第3者からの通報があった
第3者からの通報があった場合も、現行犯以外で逮捕されるリスクが高まります。
例えば、「同居人が大麻を吸っている」「友人が大麻を使っているのを見た」といった具体的な情報提供があれば、警察は迅速に動き出すでしょう。
最近では、大麻特有の匂いから、近隣住民によって通報されるケースも増えています。
「○○号室から変な匂いがする」「カーテンをいつも閉め切っていて不審」といった情報から捜査が始まることも珍しくありません。マンションやアパートなどの集合住宅では、換気扇から匂いが漏れて隣室に伝わることもあります。
通報を受けると、警察が捜査を行い、場合によっては家宅捜索(ガサ入れ)の令状を取って自宅を捜索します。捜索で大麻や関連物品が発見されれば逮捕されますし、仮に不在でも証拠さえあれば後日逮捕されます。
別の事件で捜査が入った
別の事件で捜査によって、大麻の証拠が見つかることもあります。
例えば、次のようなケースです。
・交通事故を起こして車内から大麻が見つかった ・窃盗などで家宅捜索が行われ、大麻が発見された ・SNSなどで大麻を取引した履歴が見つかった ・別の薬物事件で押収したスマホに連絡先が残っていた |
大麻以外の事件であったとしても、捜査の過程で大麻の証拠が発見されれば、追加の容疑として捜査が開始されるでしょう。
大麻の売人や関係者が逮捕された
大麻の売人や関係者が逮捕されると、流通ルートが特定されて後日逮捕されるリスクが高くなります。
・売人のスマートフォンから特定された ・共犯者が取調べで名前を出した ・SNSのメッセージ履歴から関与が判明した ・大麻の受け渡し場所の防犯カメラに写っていた など |
大麻事件では「芋づる式逮捕」と呼ばれる連鎖的な逮捕が頻繁に行われています。
一人が逮捕されると、その人の取引相手、一緒に使用した仲間など、関係者が次々と特定されて、逮捕にいたる可能性があるのです。
大麻の「栽培・輸出入・製造」は現行犯以外の逮捕が多い
大麻の「栽培・輸出入・製造」は、特に現行犯以外での逮捕が多く見られます。
これらの行為は継続的に行われることが多く、証拠も残りやすいためです。
大麻の「栽培」は、種まきから収穫まで時間がかかります。
その間、警察は十分な証拠を集めるための捜査を行い、タイミングを見計らって逮捕に踏み切ります。特に近年はインターネット上での種子の購入履歴や、電気使用量の急増、エアコンの室外機が常に回っていることなどから大麻の栽培が発覚し、逮捕にいたるケースが増えています。
「輸出入」については、税関や国際郵便での摘発がきっかけとなり、荷物の受取人が後日逮捕されるケースがあります。外国から大麻を個人輸入したつもりでも、税関で発見されれば警察の捜査が始まるでしょう。
大麻の「製造」も、原料や製造設備の購入履歴、製造した大麻の購入者などから証拠が集められ、後日逮捕につながることがあります。
これらの行為は証拠がはっきりと残るため、現行犯でなくても立証しやすいです。
大麻の「使用」や「所持・譲渡・譲受」で後日逮捕されるケースもある
大麻の「使用」や「所持・譲渡・譲受」についても、現行犯以外での逮捕は十分にありえます。
これらは一見証拠が残りにくいように思えますが、実際には様々な形で後日逮捕されることがあるのです。
特に「使用」は、2023年12月の法改正で状況が大きく変わりました。
以前は、体内から大麻成分が検出されても「使用」自体は犯罪ではなかったので、それだけでは逮捕できませんでした。「使用」から「所持」を推定するといった少し遠回りな方法を用いなければ、逮捕ができなかったのです。
しかし法改正によって、大麻の「使用」自体が処罰対象になりました。
尿検査や毛髪検査で大麻成分が検出されれば、それ自体が「使用」した証拠となり逮捕にいたる可能性があります。
「譲渡・譲受」についても、お金の流れやメッセージ履歴から証明されることがあります。
スマートフォンのメッセージアプリやSNSのDMなどの記録は、削除しても専門的な捜査で復元されることがあるため、取引の証拠として使われます。
例えば、SNSでの「DMください」「草あります」などの書き込みをすると、匿名アカウントであっても捜査で特定され、証拠となることがあります。
こうした証拠が集まった時点で、警察は裁判官に逮捕状を請求し、後日逮捕に踏み切ります。大麻の使用・所持から相当の期間が経過していても、証拠があれば逮捕される可能性があるのです。
現行犯以外で大麻逮捕される条件(法律上の要件)
大麻で現行犯以外の逮捕が行われるには、「①逮捕する理由」と「②逮捕の必要性」という2つの要件を満たす必要があります。
大麻に関わったことが明らかになれば必ず逮捕されるわけではなく、これらの要件が認められて、裁判所から逮捕状が発行されて初めて逮捕にいたります。

逮捕する理由
「①逮捕する理由」とは、大麻の犯罪を行ったと疑うに足りる合理的な理由です。
これは客観的な証拠に基づくものが必要で、単なる噂や匿名の通報だけでは不十分です。
例えば、関係者の供述以外の証拠がなく、客観的な証拠がない場合は、逮捕にいたらないケースもあるでしょう。
◉証拠の例
・尿検査や毛髪検査で大麻成分が検出された ・大麻を使用したときの写真や動画が見つかった ・関係者の証言や大麻取引のメッセージ記録が残っていた ・自宅から大麻や関連した道具が発見された ・防犯カメラに大麻の取引シーンが映っていた など |
逮捕の必要性
次に「②逮捕の必要性」として、以下のような事情が認められる必要があります。
・逃亡のおそれ ・証拠隠滅のおそれ |
大麻事件では、特に「証拠隠滅のおそれ」が認められやすいです。
証拠品となる大麻は簡単に廃棄できるうえ、尿や毛髪に残る大麻成分も時間とともに消えていくからです。関係者に連絡して、証拠となる大麻の廃棄をお願いする可能性も考えられるでしょう。
警察が逮捕要件を満たすと判断すれば、現行犯以外で逮捕されるケースも十分に考えられます。
現行犯以外で大麻逮捕された場合の流れ
大麻で後日逮捕されると、どのような流れになるのでしょうか?

【逮捕後48時間以内】警察の取調べ→検察へ送致
逮捕されると、まず警察に連行されて取調べが行われます。この期間は最大48時間です。
取調べでは大麻を使用・所持した事実の確認や入手経路、使用頻度、共犯者の有無などについて詳しく質問されます。家族関係や職業、生活状況なども聞かれるでしょう。
ここで回答した内容は供述調書として記録されて、裁判で重要な証拠として扱われます。
取調べでは黙秘権を行使することもできますが、弁護士のアドバイスを受けながら対応するのが望ましいでしょう。
逮捕後、48時間以内に検察官に送致され、さらに検察官による取調べが行われます。
【逮捕後72時間以内】勾留されるかが決まる
検察官への送致から24時間以内に、検察官は勾留請求を行うかどうかを決定します。
勾留とは、被疑者を最大10日間拘束することができる制度です。
勾留請求が行われると、勾留質問(裁判官との面会)が行われ、「勾留の理由」「勾留の必要性」などの勾留要件を満たしているかが判断されます。
大麻事件では「証拠隠滅のおそれがある」として、勾留されるケースが多いです。
【最大20日間】身柄拘束→起訴決定
勾留請求が認められると、引き続き身柄拘束が続きます。
勾留期間は10日間ですが、必要に応じて最大20日間まで延長されます。
この間に検察官が捜査し、起訴するか不起訴とするかを決定するのです。起訴されると裁判へと進み、不起訴となれば釈放されます。
なお、大麻事件では一つの容疑で逮捕された後、別の容疑(「所持」で逮捕された後、新たに「栽培」が発覚など)で再逮捕されることもあります。この場合、拘束期間が長くなる可能性があるため注意が必要です。
起訴されると、1〜2ヶ月後に刑事裁判が始まります。
大麻事件では証拠関係が明確なケースが多いため、情状弁護によって不起訴・執行猶予付き判決を目指すケースが多いです。
反省の態度や社会復帰への取り組みなどを示すことで、刑を軽くできる可能性が高まるでしょう。
大麻で後日逮捕されそうなときの対処法
大麻で後日逮捕されそうなときは、どのように行動すればよいのでしょうか?
後日逮捕されそうなときの対処法を説明します。

大麻事件に強い弁護士に相談する
最も重要なのは、できる限り早く、大麻事件に詳しい弁護士に相談することです。
逮捕される前の段階で弁護士に相談しておけば、逮捕後どういった行動を取るべきなのかアドバイスを受けられます。
弁護士には守秘義務があるため、相談内容が警察に漏れることはありません。
薬物事件を得意としている弁護士であれば、逮捕までの流れを熟知しています。
・逮捕にいたる可能性が高いのか ・逮捕されるとどういった刑事処分が予想されるのか ・何をすれば刑が軽くなるのか |
このような点についても、的確にアドバイスしてくれるでしょう。
万が一の際、どのように対応するべきなのか、事件の状況に合わせた最善の対応策を提案してくれるはずです。
取調べなどの対応方法を聞いておく
弁護士に相談するときは、取調べの対応について具体的なアドバイスをもらっておきましょう。
取調べはどのような流れで進むのか、どんな質問が予想されるのか、答え方のポイントなどを事前に知っておくことが重要です。
大麻事件の取調べでは、使用頻度や入手経路、共犯者の有無などについて詳しく聞かれることが多いです。
どのような態度で臨むべきか、黙秘権をどう行使するか、どのような質問にはどう答えるべきかなど、事前に心構えができていると冷静に対応できるでしょう。
自首・出頭も検討する
状況によっては、自首や出頭を検討することも選択肢の一つです。自首が認められると、刑が最大で半分程度まで軽くなる可能性があります。
なお、タイミングによっては「自首」が認められず「出頭」になることに注意が必要です。
捜査機関が犯人を特定しているかどうかで、「自首」となるか「出頭」となるかが変わってくるのです。出頭になれば、刑法上の減軽効果はありません。ただし「捜査に協力的である」と評価されて情状酌量につながる可能性はあります。
いずれの場合も、自首・出頭は弁護士と十分に相談した上で決断すべきです。
状況によってはそのまま逮捕されるリスクもあるので、必ず事前にアドバイスを受けましょう。
現行犯以外での大麻逮捕が不安な方は、グラディアトル法律事務所へご相談ください
大麻の現行犯以外での逮捕に不安を感じている方は、ぜひグラディアトル法律事務所へご相談ください。
弊所は、数多くの大麻事件を解決に導いてきた実績がある法律事務所です。
最短で即日、夜間・土日祝日でもご相談可能な体制で、24時間ご相談を受け付けています。
以下のような状況でお悩みの方は、ぜひご連絡ください。
・大麻の尿検査を受けてしまった ・自宅に捜索が入った ・大麻を使用してしまい逮捕が心配 ・家族が大麻で逮捕されそう ・SNSなどで大麻を購入してしまった ・知人から大麻を勧められて使用した ・大麻関連の事件に巻き込まれた |
大麻事件では初期対応が非常に重要です。
また、社会復帰のためには法的支援だけでなく、医療機関との連携など専門知識も必要となります。
当事務所では、大麻事件に精通した弁護士が、あなたの立場に立って全力でサポートします。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。実際にお話をした上で、私たちを信頼できるかどうかご判断いただければと思います。
まとめ
記事のポイントをまとめます。
◉現行犯以外で逮捕されるリスクが高いケース
・簡易検査で陽性反応が出た場合 ・第三者からの通報があった場合 ・別の事件で捜査が入った場合 ・大麻の売人や関係者が逮捕された場合 |
◉大麻の「製造・輸出入・栽培」が現行犯以外が多い
◉「使用・所持・譲渡・譲受」で後日逮捕される場合もある
◉後日逮捕後の流れ
・逮捕〜48時間:警察での取調べ ・逮捕〜72時間:検察送致と勾留判断 ・最大20日間:身柄拘束と起訴判断 |
◉後日逮捕されそうなときの対処法
・大麻事件に強い弁護士へ相談する ・取調べなどの対応も聞いておく ・自首、出頭も検討する |
以上です。
この記事が参考になった方は、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。一日も早く問題が解決し、平穏な日常を取り戻せることを願っています。