大麻の逮捕率は54%?逮捕される4つのケースと早期釈放する方法

大麻事件の逮捕率は54%!逮捕後の流れや対処法も解説
弁護士 若林翔
2025年03月10日更新

「大麻で逮捕されてしまった…」

「家族が大麻で逮捕されたけど、どうすればいいの?」

大麻事件では、逮捕後すぐに厳しい取り調べが始まり、最大23日間もの身体拘束を受ける可能性があります。さらに、再逮捕や勾留延長されれば、それ以上の拘束期間となるケースも少なくありません。

大麻で逮捕された後の流れ

一度逮捕されると「もう人生が終わった」と感じてしまう方もいるでしょう。

しかし、逮捕後すぐに正しい対応ができれば、事態が好転する可能性は十分にあります。
例えば、勾留を回避して早期に釈放される、不起訴処分を獲得する、または執行猶予付きの判決を得て実刑を避けるなど、様々な可能性が考えられます。

本記事では、大麻で逮捕された後の流れや、釈放までの手続き、弁護士ができることなどを、分かりやすく解説していきます。

逮捕された方やそのご家族にこれから何が起こるのか、どう対応すべきかを理解するために、是非ご一読ください。

目次

大麻で逮捕される4つのケース

「大麻なんて、自分には関係ない」…こう思っていた方も多いのではないでしょうか?

しかし近年、大麻による検挙件数が急増しており、SNSでの誘いや知人からの勧誘など、思わぬきっかけで事件に巻き込まれるケースが増えています。

特に2023年12月の法改正によって、大麻の「使用」も新たに処罰の対象となったため、警察による取り締まりはさらに強化されています。

実際にどのようなケースで逮捕されるのか、4つの代表的なケースを見ていきましょう。

大麻で逮捕されるケース

【大麻で逮捕される4つのケース】

 具体的なケース罰則(営利目的なし)罰則(営利目的あり)
①施用(使用)・好奇心で使用した
・その場の雰囲気に流されて使用した
・パーティ感覚で使用した など
7年以下の懲役1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
②所持・譲渡・譲受・自宅で保管していた
・カバンやポケットに入れて持ち歩いた
・友人にあげた
・知人からもらった 等
7年以下の懲役1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
③輸出入・製造・海外から大麻を取り寄せた
・スーツケースに隠して持ち込んだ など
1年以上10年以下の懲役1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
④栽培・自宅で大麻草を栽培した
・山中で野外栽培した など
1年以上10年以下の懲役1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科

大麻の施用(使用)

2023年12月の法改正で、大麻を使用する行為が新たに処罰の対象となりました。

例えば、次のようなケースでは、「大麻の使用」によって逮捕されて「7年以下の懲役」となる可能性があります。

・SNSで知り合った人から誘われて使用した

・友人のから誘われて、断りきれずに使用した

・パーティーで使用した など

営利目的で使用した場合は刑罰がさらに重くなり、最大で「10年以下の懲役刑」に加えて「300万円以下の罰金」が科せられます。

大麻の所持・譲渡・譲受

大麻を持っていたり、誰かに渡したり、受け取ったりするだけでも逮捕される可能性があります。

例えば、自宅で保管していた場合や、カバンやポケットに入れて持ち歩いていた場合など、量の多少に関わらず「7年以下の懲役」の対象です。友人に渡したり、知人から受け取ったりする行為も同様です。

営利目的の場合は、最大で「10年以下の懲役」に加えて「300万円以下の罰金」が科せられます。

【大麻の所持による逮捕事例】

自宅で大麻0.814グラムを所持した疑い 
19歳の男子高校生を逮捕 新潟市秋葉区(引用:TBS NEWS DIG

大麻の輸出入・製造

海外から大麻を取り寄せたり、旅行の際にスーツケースに隠して持ち込んだりする行為は、「1年以上10年以下の懲役」となります。また、自分で大麻を製造する行為も同様の刑罰の対象です。

営利目的がある場合は、1年以上の有期懲役に加えて500万円以下の罰金が科せられることもあります。最近では、外国人が大麻を日本に持ち込んで逮捕されるケースも増えています。

【大麻の輸出入・製造による逮捕事例】

タイから日本に乾燥大麻を“密輸”。
自称アーティストの女を逮捕。紙巻きタバコ状でスーツケースに隠す。
(引用:福岡TNCニュース

大麻の栽培

大麻の栽培行為は、「大麻草の栽培の規制に関する法律」で禁止されています。

自分でプランター栽培をしたり、山中で野外栽培をしたりする行為は、「1年以上10年以下の懲役」の対象です。営利目的で栽培した場合は、有期懲役に加えて500万円以下の罰金が科せられることもあります。

「使用罪」と同じく、「令和6年(2024年)12月12日」から施行された新しい犯罪ですが、既に逮捕者が出ています。

【大麻草の栽培による逮捕事例】

2024年12月千葉県船橋市内において、営利目的で大麻草87株を栽培した疑いで、会社員役員らが逮捕されました。大麻草の栽培の規制に関する法律違反(営利目的栽培)の疑いで逮捕されたのは、東京都の男(30)と東京都の会社役員の男(28)と東京都の会社員の男(37)です。
(引用:福島中央テレビ

関連コラム:大麻は現行犯以外で逮捕されない?危険な4つのケースと対処法を解説

大麻で逮捕・起訴される確率は?

大麻による事件では、逮捕される確率も、起訴される確率も決して低くありません。

警察や検察は、大麻を重大犯罪として扱っているので、一般的な犯罪と比べても、逮捕・起訴に至るケースが多くなっています。

なお、以下では「大麻取締法」のデータをもとに説明しますが、令和6年12月以降は「麻薬及び向精神薬取締法」または「大麻草の栽培の規制に関する法律」で処罰される点に注意してください。

大麻取締法違反の逮捕率(身柄率)は54%

大麻取締法違反による逮捕率(身柄率)は「54.1%」となっています。

つまり、「2人に1人以上」が逮捕されており、これは一般的な刑事事件と比べても、はるかに高い数字です。

【大麻取締法の身柄率(逮捕率)】

 総数警察で逮捕・身柄付送致検察庁で逮捕身柄率
大麻取締法7,7534,190254.1%
(参考)刑法犯1,818,64689,48016534.3%

(出典:法務省|令和5年版 犯罪白書 「検察庁既済事件の身柄状況(罪名別)」(法務省)を加工して作成)

大麻による検挙数は、薬物事件の中でも特に増えており、「8年間で3倍」にまで増加しています。取り締まりが強化されていることの表れだと言えるでしょう。

さらに、2024年12月の法改正では、大麻の「使用・所持」による刑罰も厳罰化されています。

薬物事犯の検挙人員・大麻の検挙人員

(出典:令和6年版 厚生労働白書(厚生労働省)を加工して作成)

起訴率は45%(不起訴率が55%)

大麻取締法違反で逮捕された場合、約45%が起訴されています。

一般的な刑事事件の起訴率は36%なので、逮捕率と同様かなり高い数字だといえるでしょう。

【大麻取締法の起訴率】

 起訴不起訴起訴率起訴猶予率
大麻取締法3,1953,84045.4%38.2%
(参考)刑法犯59,125104,08736.2%53.6%

(出典:法務省|令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」(法務省)を加工して作成)

また、「起訴猶予(罪は認められるものの、情状を考慮して起訴しないこと)」の割合が低いことも大きな特徴です。大麻事件が「起訴猶予」になった割合は「38.2%」なので、一般刑法犯の「53.6%」と比べてかなり低いです。

このことからも、検察が大麻事件を重大な犯罪として扱い、厳しく対応していることが分かります。特に、営利目的や大量所持の場合は、ほぼ確実に起訴され、実刑判決を受ける可能性が高くなります。

大麻逮捕の条件(法律上の要件)

大麻事件で逮捕されるには、「逮捕する理由」と「逮捕の必要性」という2つの法律上の要件を満たす必要があります。

大麻で逮捕される要件

まず、「①逮捕する理由」として、大麻に関する犯罪を行ったと疑うべき合理的な理由が必要です。例えば、所持品から大麻が見つかった、尿検査で陽性反応が出た、防犯カメラに大麻を取引するシーンが映っていたなどの客観的な証拠があるケースが考えられます。

次に「②逮捕の必要性」として、「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」「住居不定」のいずれかが認められる必要があります。

大麻事件では「トイレに流す」などの方法で証拠を隠滅しやすいため、「証拠隠滅のおそれ」が認められやすいです。

なお、関係者を特定したり、取引の流れを明らかにしたりすることが重視されるケースも珍しくはありません。例えば、取り調べに非協力的な態度を示したり、関係者と連絡を取ろうとしたりすると、逮捕にいたる可能性が高くなるでしょう。

※関連コラム
「大麻は現行犯以外で逮捕されない?危険な4つのケースと対処法を解説」

大麻で逮捕された場合の流れ

大麻事件で逮捕されると、最長で23日間の身体拘束を受ける可能性があります。

取り調べから始まり、検察への送致、勾留、そして起訴・裁判へと、スピード感を持って進んでいきます。

逮捕から判決までの流れを、時系列に沿って見ていきましょう。

大麻で逮捕された後の流れ

【72時間(3日)以内】取調べが行われて、勾留されるか釈放されるかが決まる

逮捕直後から警察による取り調べが始まります。

その後、逮捕から48時間以内に警察から検察に事件が送られ、検察官が24時間以内に勾留請求をするか釈放するかを決定します。

取り調べでは、以下のような内容について詳しく質問されるでしょう。

・大麻を使用・所持した事実の確認

・大麻を入手した経路や共犯者の有無

・大麻の使用頻度や期間

・家族関係、職業、生活状況など

「早く認めた方が良い」「話せば楽になる」といった言葉をかけられることもありますが、応じると後々不利になる可能性があります。

一度でも認めてしまうと、身に覚えがなかったり、事実と異なっていたりしても、刑事裁判で強力な証拠として扱われてしまうからです。取り調べは精神的にとても負担がかかるものなので、早期に弁護士に相談することが必要です。

逮捕直後は家族でも面会できない

逮捕から72時間(最大3日間)は、家族であっても面会することができません。

ご家族の状況を確認したい場合や、取り調べの状況を把握したい場合は、弁護士に接見を依頼することが必要です。

弁護士であれば、本人と直接会って状況を確認したり、取り調べのアドバイスをしたりすることができます。また、ご家族からの伝言を本人に伝えることもできます。

「家族は心配しているけれど、元気でいてほしい」「会社には病気で休むと連絡してある」といったメッセージを伝えるだけでも、本人の精神的な支えになるでしょう。

【10日〜20日】身柄拘束が継続されて、起訴・不起訴が決まる

勾留請求が認められると、最長10日間の身柄拘束が続きます。

この期間中も警察や検察による取り調べが行われ、起訴するかどうかが検討されます。さらに、検察官が必要と判断すれば、10日間の勾留延長が認められる可能性もあります。

つまり、最大で20日間(逮捕から23日間)の身柄拘束を受ける可能性があるのです。この間、会社や学校を休まなければならず、日常生活にも大きな影響が生じます。

再逮捕・再勾留されるケースもある

大麻事件では、一つの犯罪に対する逮捕後、別の容疑で再逮捕されることがあります。

例えば、大麻「所持」の疑いで逮捕された後、「製造」の疑いで再逮捕されたり、「覚せい剤」も使用していたことが明らかになって再逮捕されたりするケースです。

この場合、それぞれ別の犯罪が成立するため、拘束期間が大幅に延びる可能性があります。

【起訴から1〜2ヶ月】刑事裁判で判決が言い渡される

起訴されると、1〜2ヶ月後に刑事裁判が始まります。

裁判では、検察側の主張と弁護側の主張を踏まえて、有罪・無罪の判断と刑の重さが決められます。

大麻事件の場合、証拠関係が明らかなケースが多いので、情状弁護によってどれだけ刑を軽くできるかが争点となります。「被告人の反省」や「家族の監督」、「治療」や「就労」など社会復帰に向けて取り組んでいることを主張していけば、執行猶予付きの判決となる可能性が高くなるでしょう。

大麻による逮捕から、早期釈放する方法

大麻での逮捕後、身体拘束は最長23日間、場合によってはそれ以上に及ぶことがあります。
ただし、弁護士の活動によっては、途中で釈放されるケースもあります。身柄拘束から解放するために弁護士ができることを、逮捕後の時系列に沿って見ていきましょう。

大麻による逮捕から早期釈放する方法

逮捕から72時間(3日)以内|勾留を阻止する

逮捕から72時間(3日)以内であれば、勾留を防ぐことで、すぐに釈放されて自宅に戻ることができます。勾留を阻止するためには、以下の3つの要件を「満たさない」ことを裁判官に認めてもらうことが必要です。

・住所不定であること

・証拠を隠滅する恐れがあること

・逃亡する恐れがあること など

例えば、社会的信用の高い仕事に就いているため逃亡の心配がないことを示したり、家族が監督を約束したりすることで、勾留を回避できる可能性は高まります。弁護士から意見書を提出するなどの方法も効果的でしょう。

ただし、実務上、大麻事件で勾留を阻止できるケースは非常に少なく、98%のケースで勾留が認められてしまいます。不当な勾留がされた場合には、後述する「準抗告」によって、勾留決定を争うことになります。

 勾留請求認容却下認容率
大麻取締法4,0864,0028498%

(出典:法務省|令和5年版 犯罪白書 「検察庁既済事件の身柄状況(罪名別)」(法務省)を加工して作成)

勾留された後|準抗告によって勾留決定を争う

勾留が決定した後でも、その決定に不服がある場合は「準抗告」という手続きで争うことができます。準抗告では、勾留要件を満たしていないことを裁判所に対して主張していきます。

例えば、証拠が十分でないことや、勾留しなくても証拠隠滅のおそれがないことなどを説明するのです。勾留が認められても、弁護士による準抗告で釈放されるケースは珍しくありません。

準抗告は専門的な法律知識が必要な手続きなので、必ず弁護士に依頼して行うことが必要です。

起訴後|保釈請求をする

起訴された後は、保釈請求によって釈放を求めることができます。

大麻事件の場合、被疑事実を認めている方が保釈は認められやすい傾向にありますが、否認している場合でも、保釈が認められる可能性はあります。

なお、「保釈の可能性を上げるため」という目的であったとしても、事実と異なった内容を認めると、刑事裁判で証拠として提出されてしまいます。取調べにどう対応するかは、必ず弁護士と相談してから決めましょう。

保釈金は通常「150万円〜300万円」が必要ですが、判決確定後に返還されます。

保釈請求が認められれば、裁判の間は自宅で過ごすことができるので、仕事や学業を続けることもできるでしょう。

行為別|大麻取締法違反の法定刑

大麻事件では、「どのような行為を行ったか」によって、適用される法律や刑罰が大きく異なります。

大麻に関わる行為は全て重い刑罰の対象となりますが、特に、営利目的が認められると刑罰が重くなり、罰金刑が加わる可能性も高くなります。

また、2024年12月の法改正により、それまで処罰の対象外だった「使用」も厳しく罰せられることになりました。加えて、「単純所持」の罰則も「5年以下の懲役」から「7年以下の懲役」へ厳罰化されたので注意してください。

行為の態様規制する法律罰則(営利目的なし)罰則(営利目的あり)
施用(使用)麻薬及び向精神薬取締法7年以下の懲役1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
所持・譲渡・譲受麻薬及び向精神薬取締法7年以下の懲役1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
輸出入・製造麻薬及び向精神薬取締法1年以上10年以下の懲役1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
栽培大麻草の栽培の規制に関する法律(旧:大麻取締法)1年以上10年以下の懲役1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科

大麻で逮捕されると懲役何年?量刑の相場

大麻事件の量刑は、所持量や行為の態様、前科・前歴の有無などによって大きく変わってきます。しかし、司法統計などのデータから、ある程度の目安を知ることはできます。

令和4年のデータをもとに、量刑の相場を見ていきましょう。

大麻事犯の科刑状況構成比

(引用:令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」|法務省)

1年未満の懲役刑となるケースが60%

令和4年の司法統計によると、大麻事件で有罪判決を受けた人のうち、約66%が1年未満の懲役刑となっています。

特に、初犯で「使用・少量所持」などのケースでは「6ヶ月未満の懲役刑」となる可能性が高いでしょう。ただし、営利目的だったり、大量に所持していたりすると、初犯でも実刑判決となる可能性があります。

刑期6月未満6月以上1年未満1年以上2年未満2年以上3年未満3年超え
大麻取締法261,39745525727
割合1%65%21%12%1%

(出典:令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」(法務省)を加工して作成)

87%に執行猶予が付いている

同じ統計によれば、判決を受けた人の約87%に執行猶予が付いています。

執行猶予とは、実際に刑務所に入らずに、社会で生活することを認める制度です。執行猶予付き判決が言い渡されると、実際に刑務所に入る必要はありませんが、その期間中に再び罪を犯すと、執行猶予が取り消されて刑務所に入ることになります。

初犯の場合や、反省の態度が見られる場合、更生の見込みがあると判断された場合は、執行猶予が付きやすくなります。

 (全部)執行猶予実刑
大麻取締法1,867295
割合86%14%

(出典:令和5年版 犯罪白書 「薬物犯罪‐処遇」(法務省)を加工して作成)

微量なら不起訴処分となる場合もある

場合によっては、不起訴処分となる可能性もあります。

特に、大麻の「所持」や「譲渡・譲受」では、以下のような条件を満たすと不起訴処分が期待できるでしょう。

行為不起訴になりやすい条件
大麻の所持・前科や前歴がない
・所持していた量が微量(0.5グラム以下)
大麻の譲渡・譲受・関係者の供述以外の証拠がなく、客観証拠がない

ただし、これはあくまでも目安なので、必ず不起訴になるわけではありません。

実際には、事案の内容や本人の態度、前科の有無、家族の監督体制などを総合的に考慮して、検察官が判断を下すことになります。

大麻逮捕で弁護士ができること

大麻事件で逮捕されると、取り調べや今後の流れに不安を感じる方が多いでしょう。

逮捕された方のために何ができるのか、大麻事件で弁護士にできることを説明します。

大麻事件で弁護士ができること

留置場へ面会に行き、不当な取調べや不利な自白を防ぐ

弁護士は、逮捕直後から留置場へ駆けつけて、本人と面会(接見)することができます。

この接見を通じて、事件の内容や取調べの状況を確認し、今後の対応方針を決めていきます。例えば「どこまで話すべきか」「黙秘権を行使するべきか」といった判断や、供述調書が持つ意味、署名・押印の是非などについて、具体的なアドバイスを行います。

また、家族への連絡や、会社・学校への対応方針についても相談に乗ることができます。

罪を認める場合|有利な情状を見つけて、検察や裁判所に働きかける

大麻の使用や所持を認める場合、できるだけ刑を軽くするための活動を行います

具体的には、以下のような本人にとって有利な事実を汲み取って、検察や裁判所に説明します。

・犯行が初めてであること

・大麻に手を出したことを、深く反省していること

・更生への意欲が高いこと

・家族の監督体制が整っていること

・依存症治療に積極的であること

大麻事件では、通常の刑事事件とは異なり、基本的に被害者が存在しないため、示談による解決ができません。

そのため、被告人にとって有利な事情をいかに汲みとって、弁護士から検察・裁判官に働きかけていけるかが量刑を左右するポイントになります。

特に大麻が初犯の場合は、反省の態度や更生に向けた取り組みを裁判でしっかりと主張できれば、実刑を回避できる可能性は高いです。

無罪を主張する場合|状況を確認して、不起訴となるために弁護する

全く身に覚えがない場合や、違法な捜査があった場合は、積極的に無罪を主張していきます。

例えば「他人から無理やり使用させられた」「知らずに所持していた」などの場合、その状況を詳しく確認し、証拠を収集します。また、尿検査の手続きや捜査方法に問題がなかったかも確認し、違法な点があれば指摘していきます。

大麻事件で無罪を主張することは簡単ではありません。

しかし、薬物事件に強い弁護士であれば、かなり不利な状況からでも、不起訴を獲得できるケースがあります。

実際に、弊所「グラディアトル法律事務所」でも、覚せい剤の尿検査で陽性となった方からご相談をいただき、不起訴となった事例があります。

薬物事件に強い弁護士の選び方は、11章で詳しく説明します。

大麻の逮捕を弁護士に相談するタイミングや方法は?

弁護士への相談は、できるだけ早い段階で行うことが重要です。

逮捕後はもちろん、逮捕前であっても、事前に相談をいただくことでより良い結果が期待できるでしょう。

どのタイミングでも遅すぎることはありませんが、初動でどのように対応できるかによって、その後の展開は大きく変わってきます。

逮捕前の相談がベスト|職務質問、ガサ入れ時など

逮捕前の段階で弁護士に相談できれば、最も効果的な対応が可能です。

もしも現在、あなたが以下のような状況に置かれているのであれば、今すぐにでも相談してみましょう。

・尿検査を受けて、鑑定結果を待っている

・警察から任意の呼び出しを受けている

・自宅などへの捜索(ガサ入れ)が入った

・大麻の取引相手が逮捕された

このような段階で弁護士に相談すれば、逮捕を回避できる可能性もあります。

また、万が一の逮捕に備えて、逮捕後の流れや取り調べの対応方法も確認しておきましょう。事前に状況を説明しておけば、対応方針を検討できるため、すぐに釈放に向けた弁護活動をスタートできます。

逮捕後なら留置場から呼ぶか、家族に頼む

すでに逮捕された後であっても、以下の方法で弁護士に連絡することができます。

・留置場の警察官に弁護士を呼ぶよう依頼する

・家族や知人に弁護士への連絡を依頼する

・当番弁護士を要請する

逮捕されると外部との連絡が制限されますが、弁護士との接見は「権利」として認められています。
できるだけ早く弁護士に依頼することで、その後の取り調べや方針を相談し、早期釈放に向けて動き出すことができます。

逮捕が不安な方は、万が一に備えて、事前に弁護士を探しておきましょう。ご家族の方は、逮捕の連絡を受けたらすぐに弁護士に相談することをおすすめします。

大麻逮捕を相談する弁護士の選び方

大麻事件では、信頼できる弁護士を選ぶことが欠かせません。

大麻による逮捕を防げるか、不起訴処分を獲得できるかは、弁護活動の進め方にかかっているからです。

具体的には、以下のようなポイントを確認してください。

大麻事件に強い弁護士を選ぶポイント

なお、逮捕後は「国選弁護人」という制度を使えますが、大麻事件ではできる限り「私選弁護人」を選ぶことをオススメします。

国選弁護人は勾留後でないと相談できないため、逮捕から72時間の間、弁護士のサポートを受けることができません。また、大麻事件に詳しくなかったり、そもそも刑事弁護の経験がない弁護士が来る可能性もあります。

薬物事件の結果は、選んだ弁護人や相談のタイミングによって大きく変わるため、必ず自分が納得できる弁護士を選びましょう。

※薬物事件に強い弁護士の選び方は、次の記事で詳しく解説しています。

「薬物事件に強い弁護士を探す8つのポイントとは?解決事例や費用も紹介」

大麻逮捕を防ぐなら、グラディアトル法律事務所へご相談ください!

大麻による逮捕が不安な方は、ぜひグラディアトル法律事務所へご相談ください。

弊所は、数多くの大麻事件を解決に導いてきた実績がある法律事務所です。

最短で即日、夜間・土日祝日でもご相談可能な体制で、24時間ご相談を受け付けています。

以下のような方は、ぜひ弊所までご相談ください。

・大麻の尿検査をされてしまった

・自宅に捜索、差押(ガサ入れ)が入った

・大麻を使用してしまい、逮捕が不安

・家族が大麻で逮捕されてしまった

・SNSなどで大麻を購入してしまった

・知人から大麻を勧められて使用した

・大麻に関係する事件に巻き込まれた

大麻事件では、逮捕後の初期対応が極めて重要です。

また、社会復帰に向けては、法的支援だけでなく、医療機関との連携など、専門的な知識と経験も必要となります。

弊所では、大麻事件の豊富な経験を持った弁護士が、あなたの立場に立って、あなたの状況に最適な解決策を提案させていただきます。

初回相談は無料ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

実際にお話をさせていただいた上で、私たちが本当に信頼できる弁護士かどうか、ご判断いただければと思います。

まとめ

記事の重要ポイントをまとめます。

◉大麻で逮捕されるケースは以下の4つ

①大麻の使用(2023年12月から新たに処罰対象)

②所持・譲渡・譲受

③輸出入・製造

④大麻草の栽培

◉逮捕後の流れは次のとおり

①逮捕〜72時間|警察での取り調べ
  ↓
②4日目〜13日目|勾留(最大10日間)
  ↓
③14日目〜23日目|勾留延長(最大10日間)
  ↓
④起訴後1〜2ヶ月|刑事裁判
 ※ただし、再逮捕・再勾留もある

◉早期釈放のためには、3つの方法がある

・逮捕から72時間以内|勾留を阻止する

・勾留決定後|準抗告で争う

・起訴後|保釈請求を行う

◉大麻事件での重要ポイント

・逮捕率(身柄率)は54%で、一般刑法犯より20%も高い

・起訴率は45%で一般刑法犯より20%も高い

・1年未満の懲役が66%で、87%に執行猶予が付く

・微量(0.5g以下)なら不起訴となる可能性もある

以上です。

大麻での逮捕が不安な方や、すでに逮捕された方のご家族は、一刻も早く弁護士に相談してください。早期の対応が、その後の人生を大きく左右します。

この記事が参考になったと感じましたら、ぜひグラディアトル法律事務所にご相談ください。一日も早く事件が解決し、平穏な日常を取り戻せることを願っています。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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