「その場にいただけなのに、集団暴行罪といわれてしまった。」
「自分は暴行してないけど、逮捕されてしまうの?」
複数人での暴力事件を引き起こしてしまった方から、こんなご相談をいただく機会は少なくありません。
「慰謝料はどうなる?」
「自分は示談をしたいけど、他のメンバーと調整できない」
集団暴行事件の解決に向けて、こんな悩みを抱えている方もいるでしょう。
集団暴行事件では、自分が暴行していなくても、集団暴行罪として逮捕される可能性があります。
ただし、刑罰の重さや、被害者との示談交渉の進め方は人それぞれ。
事件後の対応次第では、1人だけ起訴されなかったというケースも少なくありません。
そこで今回は、
・集団暴行罪に関する基本知識
・刑の重さや慰謝料、示談などのポイント
・暴行を加えていなくても罪になる場合
について解説します。
集団暴行罪に関する疑問を解消し、引き起こしてしまった暴行事件の影響を最小限に抑えるために、是非ご一読ください。
目次
集団暴行罪とは?
集団暴行罪は、数人で共同して暴行を行ったときに成立する犯罪です。
「刑法」ではなく、「暴力行為等処罰に関する法律」という法律で規定されており、「暴行罪」の加重類型という位置づけになっています。
「集団暴行罪」 暴力行為等処罰に関する法律(第1条)
「数人共同して刑法208条(暴行罪)の罪を犯したる者は、3年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処す」
集団で暴行する「集団暴行罪」は、単独で暴行する「暴行罪」と比較すると、より凶悪な犯罪です。
そのため、犯罪を未然に防ぐ必要性が「暴行罪」よりも高いため、法定刑の重い「集団暴行罪」が別途設けられているのです。
集団暴行罪が成立する場合
それでは、集団暴行罪が成立する具体的なケースについて見ていきましょう。
例えば、以下のようなケースでは、集団暴行罪が成立すると考えられます。
集団でいじめ等を行った場合
集団暴行罪は、そもそも暴力団による暴力行為を処罰するために制定された法律です。
しかし現代では、学校での集団的ないじめ等、思わぬところでも、「集団暴行罪」が成立する可能性があります。
例えば、いじめっ子数人で一緒になって、被害者に暴行を加えているケースを考えてみましょう。
これは、まさに集団暴行罪の実行行為である「数人で共同して暴行を行う行為」に該当します。
このようなケースでは、暴行を加えている本人は、そもそも「暴行罪」で処罰される可能性すら想像していない場合も少なくありません。
しかし実は、暴行罪より法定刑の重い「集団暴行罪」で処罰される可能性があるのです。
複数人でケンカをした場合
複数人でケンカをした場合も、集団暴行罪が成立する可能性があります。
過去には、学生の集団に対し、別の学生の集団が共同して暴行を加えたとして、集団暴行罪が成立し、「懲役刑」が言い渡された判例も出ています。
集団暴行罪が成立すると、暴行罪よりも重い刑罰が科せられてしまいます。
自分の意思と関係なく、集団暴行罪に巻き込まれてしまう可能性もゼロではないため、十分に注意しましょう。
集団暴行罪の刑の重さは人によって異なる
集団暴行罪では、刑の重さは、人によって異なることが一般的です。
量刑は、それぞれの被告人の刑事責任に応じて、裁判官の裁量で決定されるからです。
集団暴行罪では、次のような様々な要因が、被告人ごとに考慮されて、刑罰が決定されます。
例えば、集団のリーダー的な存在となって、率先して暴行行為を行っていたようなケースでは、他のメンバーと比較して、重い刑罰が言い渡される可能性も高くなるでしょう。
一方で、同じように暴行行為を行っていたとしても、反省の意思が強かったり、被害者の処罰感情が低い場合には、他のメンバーと比べて軽い刑となる場合も少なくありません。
→暴行罪の罰金刑の相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。
1人だけ示談をすることもできる
「反省の意思」や「被害者の処罰感情」が被告人ごとに異なる場合、それによって刑の重さも変わってくることは前述のとおりです。
そして、上記の要因を考慮するために重要な、「被害者との示談」については、全員で行う必要はありません。
「示談」はあくまでも、和解契約であり、各当事者間で自由に行うことができるからです。
→暴行罪の示談については、こちらの記事で詳しく解説しています。
集団暴行罪では、加害者同士の足並みが揃わず、全員で同じように示談をすることが難しいケースも少なくありません。
その場合、自分だけでも弁護士に相談し、示談の成立に向けて行動を開始しましょう。
1人だけでも、被害者と示談を成立させれば
・(自分が)起訴される可能性が低下する
・(自分の)刑事処分が軽くなる
等の様々なメリットがあります。
ただし、自分1人で示談を成立させた場合、示談の効力が及ぶのも自分だけです。
他の被告人については、それぞれで示談を行う必要があります。
集団暴行罪の慰謝料はケースバイケース
被害者に慰謝料を支払う場合は、相場に応じた金額を、集団暴行罪に加わったメンバーで、分担して支払うことが一般的です。
ただし、各メンバーがそれぞれ負担する金額や、支払い方法は、ケースによって異なります。集団暴行罪に関わったメンバー全員が、均等に同じ金額を支払うケースもあれば、一部のメンバーが多く負担するケースもあるからです。
また、一部のメンバーが先に慰謝料全額を建て替えて、後で他のメンバーに請求するケースもゼロではありません。
慰謝料の金額や支払い方法については、弁護士に相談するのが良いでしょう。
適正な慰謝料の金額、各メンバーの負担割合、慰謝料の支払い方法など、トラブルになりにくい最善の方法を提案してもらうことが必要です。
集団暴行罪では直接暴行を加えていなくても罪になる場合がある
集団暴行罪で最も注意が必要なのが、自分が直接暴行を加えていなくても罪になる場合があることです。
例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。
同じクラスの男子学生の5人組(A〜E)は、クラスメイトに「学校でいじめられたくなかったら、1万円払え」といって、毎月お金を要求していた。
お金を支払わなかった生徒に対しては、体育館の裏に呼び出して、殴る蹴る等の暴行。
ただし、実際に殴ったり蹴ったりしていたのは「A〜C」のみ。残り2人はその場にいたものの、暴行行為は行っていない。
学校現場の集団的ないじめ等でよくあるケースです。
このような場合、実際に暴行を加えている「A〜C」だけでなく、暴力行為を行っていない「DとE」についても、集団暴行罪が成立する可能性があります。
集団暴行罪では、共同して暴行する意思は必要であるものの、全員が暴行する必要はなく、2人以上が「暴行」していれば成立するとされているからです。
自分は暴行行為を行っていないのに、集団暴行罪として逮捕されてしまったというケースは少なくありません。
心当たりがある場合は、速やかに弁護士に相談することをおすすめします。
集団暴行罪で不安を感じたら弁護士に相談を
集団暴行罪は、自分が暴行を行っていなくても、成立してしまう犯罪です。
学校でのいじめ、ケンカなど、意外と身近な状況で成立してしまうケースも多く、起訴されれば、暴行罪よりも重い刑罰を問われてしまいます。
「集団暴行罪の当事者になってしまったかも」と思ったら、速やかに弁護士に相談しましょう。
すぐに弁護士に依頼し、自分だけでも、被害者との示談交渉を開始することで
・被害届の取り下げ
・不起訴処分、減刑や執行猶予
・示談金額の低減
など様々なメリットを得ることができます。
グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。
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