詐欺罪で逮捕されたら必ず懲役?執行猶予の条件や平均的な刑期も解説

詐欺罪で逮捕されたら必ず懲役?執行猶予の条件や平均的な刑期も解説
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弁護士 若林翔
2025年02月03日更新

「詐欺罪で逮捕されたら刑務所に入れられてしまうのか」

「なんとかして懲役を回避する方法はないのか」

犯罪を犯して逮捕された場合、懲役刑になるかどうかはほとんどの人が抱える懸念事項のひとつです。

結論からいうと、詐欺罪には罰金刑がないので、有罪になると必ず懲役刑が科せられます。

そのため、逮捕された場合には不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得に向け、弁護士とも相談しながら、迅速に対策を講じることが重要です。

また、懲役刑が選択された場合でも、執行猶予がつけば刑務所に行くことを避けられます

本記事では、詐欺罪の刑罰や量刑の判断に影響する要素について詳しく解説します。

執行猶予の条件や平均的な刑期なども記載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

詐欺罪は最大10年の懲役!有罪になると確実に懲役刑が科される

まずは、詐欺罪の刑罰について詳しくみていきましょう。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

罰金刑の定めはないので、有罪判決を受けた場合は必ず懲役刑が科されます。

ただし、具体的な量刑は、被害額の大きさや犯行の悪質性などを総合的に考慮して判断されるため、被害額が小さく、示談が成立している場合などは執行猶予がつくこともあるでしょう。

一方で、組織的な特殊詐欺のような重大な事案では、初犯でも実刑判決になる可能性が高いといえます。

なお、未遂罪も処罰の対象となるため、詐欺の企てが失敗に終わったとしても、懲役刑が科される点に注意してください。

判決が「3年以下の懲役」であれば執行猶予がつく可能性はある

詐欺罪で有罪となっても、判決が3年以下の懲役の場合は執行猶予がつく可能性があります。

刑法第25条では、3年以下の懲役刑であれば、情状により1年以上5年以下の執行猶予を付せるとされているためです。

(刑の全部の執行猶予)第二十五条 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

(引用:刑法|e-GOV法令検索

執行猶予が付けられるかどうかは、犯行の態様や被害額、反省の態度、示談成立の有無などさまざまな要素が関係してきます。

たとえば、被害弁償が完了して示談が成立している場合や、組織的犯罪で犯行への関与度が低い場合などは執行猶予が付くかもしれません。

なお、令和5年度犯罪白書によると、詐欺罪の裁判で有期懲役となった事件のうち執行猶予が付いたのは6割程度です。

詐欺罪の懲役は1年~3年が平均的

詐欺罪の懲役は、1年~3年が平均的といえます。

令和5年版犯罪白書によると、令和4年における有期懲役となった3,239件のうち、最も割合が多い刑期は「2年以上3年以下」で1,705件、二番目は「1年以上2年未満」で1,063件でした。

とはいえ、懲役の刑期は犯罪に関わるさまざまな事情を考慮したうえで決定されるものです。

重大な詐欺事件では、3年を超える刑期が科されるケースも少なくありません。

上記の科刑状況はあくまでも参考程度にとどめ、刑罰の回避や減刑に向けた対応を速やかに講じることが重要です。

関連記事:詐欺罪の量刑相場は懲役1~3年!量刑判断では被害金額が重要な要素

詐欺罪の量刑に影響する要素

次に、詐欺罪の量刑に影響する要素を解説します。

主に6つの要素が挙げられるので、それぞれ詳しくみていきましょう。

犯行の悪質性

詐欺罪の量刑を大きく左右する要因のひとつは「犯行の悪質性」です。

悪質性が高いと判断された場合は、より重い刑罰を受ける可能性が高くなります。

「犯行の悪質性」の判断材料となるのは、犯行の手口・計画性・組織性などです。

たとえば、振り込め詐欺のような特殊詐欺は、高度な計画性と組織性を持つため、悪質性が高いと評価される傾向にあります。

悪質性が高い詐欺事件の場合、仮に被害額が少なくても、懲役の実刑判決が下される可能性は十分あるでしょう。

結果の重大性

「結果の重大性」も詐欺罪の量刑に影響を与える要素のひとつです。

詐欺事件における結果の重大性は、基本的に「被害金額の大きさ」を意味します。

詐欺罪は財産犯であり、被害者に与えた経済的損害の程度が犯罪の重大性を直接的に表すためです。

量刑の判断にはさまざまな事情が加味されるため、懲役刑になるかどうかの明確な線引きはありませんが、被害金額が大きければその分厳しい刑罰に科せられやすくなります。

前科の有無

詐欺罪の量刑は、前科の有無によっても左右されます。

前科は、犯罪傾向や再犯のリスクを表す重要な指標です。

裁判所は前科を踏まえて、更生可能性や社会的危険性を判断するため、前科があると量刑が重くなってしまいます

たとえば、初犯の場合は執行猶予が付きやすい一方で、同種の前科がある場合は実刑判決となる可能性が高くなってしまうのです。

また、刑務所出所後5年以内に再犯を犯した場合は、刑が加重されることもあります。

被害者の処罰感情

詐欺罪の量刑判断においては、被害者の処罰感情も重要な要素のひとつとなります。

犯罪によって直接的な被害を受けた当事者の意見は、事件の深刻さを物語るものです。

被害者が強い処罰感情を抱いている場合には、裁判官もその点を考慮し、重い刑罰を言い渡すことが多くなります。

反対に、被害者が寛大な処分を求めているケースなどでは、量刑が軽くなりやすいです。

また、マスコミ報道などによって形成された「社会の処罰感情」が量刑の判断に影響することもあります。

反省の有無

詐欺罪の量刑に影響する要素として「反省の有無」も挙げられます。

加害者自身が反省しているかどうかは、更生の可能性を評価するうえでの重要な判断材料になるためです。

自らの行為を深く反省し、二度と同じ過ちを繰り返さない決意を示している場合には、裁判所が減刑要素のひとつとして捉えることがあります。

ただし、単に反省の言葉を述べるだけでは不十分です。

被害金の弁済に向けて最大限努力する姿勢をみせたり、反省文を提出したりと具体的な行動で反省の気持ちを示す必要があります。

また、更生に向けた計画や再犯防止への具体的な取り組みを示すことも重要です。

被害弁償の有無

被害弁償の有無も詐欺罪の量刑を判断するうえでの重要な要素です。

被害弁償がおこなわれ、被害者の経済的損害が回復している状態であれば、減刑される可能性が大幅に高まります

また、被害弁償は反省の表れとして評価してもらえるケースもあります。

たとえ全額を弁償できない場合でも、家族や知人からお金をかき集めたり、分割での支払い計画を示したりと、弁償する意思を示すことが大切です。

詐欺事件の実例から見る懲役の量刑相場

ここでは、詐欺事件の実例を参考にしながら、懲役の量刑相場をみていきましょう。

事件概要
家族名義のETCカードで高速道路を通り不正に料金割引を得たとして、電子計算機使用詐欺の罪に問われた暴力団組長の男ら3人に対し、大阪地裁は8日、有罪判決を言い渡した。カードを使った大阪市内の暴力団組長(67)を同種の前科を考慮して懲役10カ月の実刑、同居の弟(62)と車を運転した組員(42)を懲役10カ月執行猶予3年とした。3人は共謀して2022年末、同乗していない弟のカードで大阪府内の有料道路を2回走り、高速道路会社をだまして計1400円の割引を受けた。(引用:朝日新聞デジタル)
陸上自衛隊旭川駐屯地(北海道旭川市)が発注した弁当の代金を水増し請求し、差額316万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた同駐屯地の元2等陸尉、〇〇被告(55)=懲戒免職=に、旭川地裁は29日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。〇〇被告と共謀したとして同罪に問われた日用品・食品販売会社の元取締役、△△被告(76)は懲役3年、執行猶予4年(同)とした。裁判長は判決理由で「手口は単純だが悪質な犯行」と非難。一方、2人が事実を認めて反省し、△△被告が被害弁償を準備しているとして刑の執行を猶予した。(引用:産経新聞)
新型コロナ対策の国の助成金およそ10億7000万円をだまし取ったとして詐欺の罪に問われた水戸京成百貨店の元総務部長に対し、水戸地方裁判所は「指示をした元社長が退任したあとも犯行を継続していて非難を免れない」とし、懲役3年の実刑判決を言い渡しました。(引用:NEWS WEB)
カンボジアを拠点としたグループの特殊詐欺事件で、詐欺罪に問われた大阪市淀川区の無職の男(49)の判決が25日、佐賀地裁であり、岡崎忠之裁判長は懲役5年(求刑・懲役6年)を言い渡した。男は別の男(56)(詐欺罪で起訴)らと共謀し、昨年4月15日から5月28日頃までの間、佐賀県の被害者(当時45歳)ら計4人に対し、SNSでFX(外国為替証拠金)取引を持ちかけて、それぞれ20万~3500万円を振り込ませ、だまし取った。岡崎裁判長は「日本語のやりとりの修正など重要部分を担い、日本人を標的とする詐欺行為に不可欠な役割を果たした」などと指摘した。(引用:読売新聞オンライン)
新型コロナウイルス禍での業績悪化に対する融資制度を悪用し、受給者の医療法人側などから手数料名目で計2億9140万円をだまし取ったなどとして、詐欺罪などに問われた元大阪府寝屋川市議〇〇被告(44)に対し、福岡地裁は7日、求刑通り懲役10年、追徴金1億9800万円の実刑判決を言い渡した。冨田敦史裁判長は「適正迅速に救済するための簡易な審査制度に付け込んだ卑劣なもので、悪質だ」と批判した。(引用:毎日新聞)

実例をみてもわかるように、量刑の判断にはさまざまな要素が考慮されます。

そのなかで、被害金の弁済をはじめ、事件後の適切な対応によって減刑されているケースも数多く存在します。

そのため、懲役を回避したいのであれば、まず弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることが大切です。

詐欺罪での懲役を回避するためにやるべきこと

次に、詐欺罪での懲役を回避するためにやるべきことを解説します。

主に3つのポイントが挙げられるので、それぞれ詳しくみていきましょう。

詐欺罪での懲役を回避するためにやるべきこと

示談を成立させる

詐欺罪での懲役を回避するためには、示談の成立が非常に重要です。

示談の成立によって金銭的な補償をおこなえば、被害者が被害届の提出や告訴を踏みとどまり、事件化する前に解決できることがあります。

仮に事件化した場合でも、示談の成立は当事者間で和解していることの証明になるため、検察官が「和解しているならば、あえて起訴する必要はない」と判断する可能性が高くなります。

また、示談の成立は執行猶予付きの判決を得られるかどうかにも大きく関わってくることを覚えておきましょう。

関連記事:詐欺事件の示談金相場はいくら?払えないときの対処法も解説

関連記事:執行猶予中の家族が特殊詐欺の受け子で逮捕 再犯でも実刑を回避できた理由とは

自首する

詐欺が発覚していない場合は、自首を検討することも重要です。

自首すれば反省の態度を十分に示せるため、不起訴処分や執行猶予の獲得につながりやすくなります

また、自首することで「逃亡・証拠隠滅のおそれがない」と判断され、逮捕を回避し、在宅事件として扱われるケースも少なくありません。

ただし、本来隠し通せていたかもしれない犯罪行為が明らかになるため、加害者にとって自首はリスクの高い方法といえます。

そのため、自首の是非やタイミングなどについては、弁護士に相談し、アドバイスを受けることが大切です。

刑事事件が得意な弁護士に相談する

詐欺罪での懲役を回避したいのであれば、まず、刑事事件が得意な弁護士に相談してください。

経験豊富な弁護士であれば、個々のケースに合わせた最善の対処法を即座に提案・実行することができます。

被害者との示談交渉や捜査機関への働きかけにも迅速に取り掛かってもらえるため、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性は大幅に高まるでしょう。

実際にグラディアトル法律事務所でも、振り込め詐欺の受け子・出し子として逮捕された事件において、速やかに示談を成立させ、執行猶予を獲得した実績などがあります。

ただし、いくら優秀な弁護士であっても、介入するタイミングが遅ければ対応できる範囲も限られてしまいます。

そのため、詐欺事件を起こした場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談・依頼し、解決に向けて動いてもらうことが重要です。

関連記事:振り込め詐欺の初犯!受け子と出し子で逮捕されるも執行猶予となった事例

関連記事:【加害者向け】詐欺事件を今すぐ弁護士に相談するべき3つの理由!

詐欺罪の懲役に関してよくある質問

最後に、詐欺罪の懲役に関してよくある質問を解説します。

詐欺罪の懲役に関してよくある質問

初犯でも懲役の実刑判決になる?

初犯であっても、懲役の実刑判決を受ける可能性は十分あります

初犯であるという事実が、有利な情状として扱われることは確かです。

しかし、実際の量刑は犯行の悪質性や結果の重大性、被害弁償の有無などが総合的に考慮され、決定されます。

そのため、被害額が大きい場合や被害弁償がおこなわれていない場合などは、初犯でも執行猶予がつかず、実刑判決になるおそれがあります。

そのため、初犯だからといって安心せず、懲役の回避に向けて迅速に対策を講じることが重要です。

勾留期間は懲役の刑期に含まれる?

起訴後の勾留日数のうち、裁判準備のために通常必要とされる期間を超えた日数は、刑期に含まれることがあります。

起訴されてから判決が出るまでの間、罪が確定していないのに身柄を拘束されることを「未決勾留」といいます。

そして、未決勾留期間は懲役と同じように自由が制限されているので、全部または一部を刑期から差し引くことがあるのです。

なお、「裁判準備のために通常必要とされる期間」とは、以下のように考えられています。

・初公判:30日
・第2回公判以降:各公判につき10日

刑期に算入する未決勾留日数は裁判官の裁量に任せられていますが、「(起訴日から判決日の前日までの日数)-(30日+(公判日数-1)×10日)」の計算式に当てはめ、10日刻みで算入するケースが一般的です。

詐欺事件を起こしたときはまずグラディアトル法律事務所に相談を!

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • ・詐欺罪で有罪になると確実に懲役刑が科される
  • ・詐欺罪の懲役は1年~3年が平均的
  • ・詐欺罪の量刑は、犯行の悪質性・結果の重大性・前科の有無・被害者の処罰感情・反省の有無・被害弁償の有無などが考慮されて決定する
  • ・懲役を回避するには、示談・自首と弁護士への相談が重要

詐欺罪は懲役刑になる可能性が高い犯罪です。

初犯であっても執行猶予がつかず、実刑判決を受ける可能性は十分あるので、詐欺事件を起こしたときは、できるだけ早く弁護士に相談してください。

刑事事件が得意な弁護士であれば、懲役の回避に向けて迅速に対応してくれるはずです。

実際にグラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の詐欺事件を解決に導いてきました

弊所では経験豊富な弁護士が24時間・365日体制で問い合わせに対応しています。

急なご依頼にも迅速に対応できるので、困ったときはいつでもご相談ください。

初回相談は無料、LINE相談も受け付けているため、お気軽にどうぞ。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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