詐欺罪は証拠がなければ立件できない?証拠になり得る11のものを解説

詐欺罪は証拠がなければ立件できない?証拠になり得る11のものを解説
弁護士 若林翔
2025年01月19日更新

「詐欺罪は証拠がなければ立件できないって本当?」

「詐欺罪の立証をする証拠にはどのようなものがあるの?」

「詐欺罪の証拠があれば逮捕・起訴される?」

詐欺罪は、数ある犯罪の中でも特に立証が難しい犯罪といわれています。

それは、詐欺罪の構成要件の一つである「騙す意思(故意)」が関係しています。このような加害者の内心は、加害者本人でなければわからず、内心を立証するためには証拠が必要になるというのがその理由です。

詐欺罪を立件するために必要な証拠には、さまざまなものがありますが、代表的なものしては以下のようなものがあります。

・被疑者の供述調書
・被疑者の借入状況
・被疑者の預貯金口座の残高
・録音・録画データ
・証言者の証言
・契約書や文書のコピー
・インターネットのアクセス記録
・SNSや広告素材
・詐欺行為に使用された物品
・詐欺行為や計画を記録したメモやファイル
・送金や引き出しに使用されたパスワード情報

このような証拠がそろっている事案では、詐欺罪の犯人として逮捕・起訴されてしまう可能性もありますので、すぐに適切な対策を講じる必要があります。

本記事では、

・詐欺罪の証拠になる11のもの

・証拠があれば詐欺罪で逮捕・起訴される可能性あり|逮捕率・起訴率

・被害者との示談の重要性

などについてわかりやすく解説します。

詐欺罪は、被害者と示談を成立させることで逮捕や起訴を回避できる犯罪ですので、早期に弁護士に相談して、示談交渉を進めてもらうようにしてください。

詐欺罪は証拠がなければ立件するのは困難

詐欺罪は、数ある犯罪の中でも特に立証が難しい犯罪だといわれています。その理由は、犯人の内心を証拠によって立証する必要があるからです。

詐欺罪は、被害者からお金をだまし取る犯罪ですので、犯人には「被害者を騙してお金を受け取る」という認識があることが必要になります。しかし、そのような内心は、犯人自身にしかわからず、犯人が「騙すつもりはなかった」と言ってしまえば、内心の立証は容易ではありません。

そのため、詐欺罪の立件にあたっては、さまざまな証拠を収集して犯人の内心を立証していくことになりますが、十分な証拠が残されていないこともあるため詐欺罪の立件が難しいといわれるのです。

関連記事もありますので、ご覧ください。

詐欺罪の検挙率は42.4%!立件難しいと言われる理由と対処法を解説

詐欺罪の証拠になる11のもの

詐欺罪の証拠になり得るものとしては、さまざまなものがありますが、代表的なものとしては、以下のような証拠が挙げられます。

証拠の分類具体的な証拠
被疑者の自白・被疑者の供述調書
経済的に困窮していた事実がわかる証拠

・被疑者の借入状況
・被疑者の預貯金口座の残高

被疑者の言動が客観的事実に反することがわかる証拠

・録音・録画データ・目撃者や共犯者の証言・契約書や文書のコピー
・インターネットのアクセス記録
・IPアドレスのログ
・電子メールの送受信履歴
・SNSや広告素材・詐欺行為に使用された物品 ・詐欺行為や計画を記録したメモやファイル・共犯者が保持している犯行関連物品

金銭の授受がわかる証拠

・送金や引き出しに使用されたパスワード情報 ・ATMやコンビニの利用記録・被疑者の不審な資金流入記録・被疑者が犯行後に購入した高額商品の購入履歴・ブロックチェーン取引履歴

被疑者の自白

被疑者の自白は、詐欺罪を立証する重要な証拠となります。

自白だけでは有罪にすることはできませんが、自白があることで被疑者の内心の立証の難易度が低くなるため、犯人であることを裏付ける他の証拠があれば、詐欺罪を立件することが可能です。

被疑者の借入状況

被疑者が経済的に困窮していたという事情は、詐欺罪を犯す動機になります。

たとえば、犯行当時、被疑者が多額の借金を抱えていたという状況であれば、犯行の動機があると推認できるでしょう。

被疑者の預貯金口座の残高

被疑者が経済的に困窮していた事情を立証する証拠としては、被疑者の預貯金口座の残高証明書もあります。

たとえば、犯行当時、預貯金口座にほとんどお金がなかったという状況であれば、生活していくためのお金を得るためやむを得ず犯行に及んだと推認できますので、詐欺罪の証拠となります。

録音・録画データ

詐欺罪の立件にあたっては、被疑者がどのような方法でお金をだまし取ったのかが重要なポイントになります。

口頭でのやり取りだけだと「言った言わない」の水掛け論になってしまいますので、客観的な証拠が必要になります。たとえば、被疑者が被害者を欺く様子や、詐欺行為を行っている意図を話している音声・映像データなどがあれば詐欺罪の証拠になるでしょう。

証言者の証言

詐欺行為を直接目撃した者や被疑者の詐欺に関与した共犯者からの証言も詐欺罪の証拠となります。

被疑者や被害者と直接の利害関係のない第三者からの証言であれば、信用性も高いため、詐欺罪を立証する有力な証拠となるでしょう。

詐欺事件では、被害者を信用させるために架空の契約書や文書などが利用されることがあります。被疑者や被害者の自宅からそのような文書が見つかれば、「騙す意思」があった証拠となりますので、詐欺罪の証拠として利用できます。

契約書や文書のコピー

詐欺事件では、被害者を信用させるために架空の契約書や文書などが利用されることがあります。被疑者や被害者の自宅からそのような文書が見つかれば、「騙す意思」があった証拠となりますので、詐欺罪の証拠として利用できます。

インターネットのアクセス記録

詐欺事件では、犯人は被害者を騙すために周到な準備を重ねています。詐欺の計画を立てるための調査として、インターネットを利用している場合、被疑者のパソコンやスマートフォンの検索履歴などが証拠となるケースもあります。

SNSや広告素材

詐欺事件の犯人は、被害者を誘引する手段としてSNSなどを利用するケースも少なくありません。そのようなケースでは、被疑者の利用しているSNSのアカウント情報、投稿内容などが詐欺罪の証拠となります。

また、被害者を誘引するために使用された広告やプロモーション資料なども同様に詐欺罪の証拠となります。

詐欺行為に使用された物品

被疑者が詐欺を行う際に使用したIDカード、商品、または資料なども詐欺罪の証拠となります。このような物品や資料が偽造されたものであれば、被疑者に被害者を騙す意思があったことを裏付けることができます。

詐欺行為や計画を記録したメモやファイル

組織的な詐欺事件になると詐欺行為に関するマニュアルなどが準備されていることがあります。また、詐欺の準備のための計画などをまとめたメモやファイルなども詐欺をする意思があったことの証拠になります。

送金や引き出しに使用されたパスワード情報

被害者から財産の移転があったことも詐欺罪の構成要件の一つとなります。

被疑者が詐欺の収益を授受・管理をしていた銀行口座や電子ウォレットの詳細やパスワード情報なども詐欺罪の証拠となります。

証拠があれば詐欺罪で逮捕・起訴される可能性あり|逮捕率・起訴率

立件が難しいといわれる詐欺罪ですが、十分な証拠が残されている事案であれば、他の犯罪と同様に逮捕・起訴される可能性があります。以下では、詐欺罪の逮捕率と起訴率を紹介します。

証拠があれば詐欺罪で逮捕・起訴される可能性あり|逮捕率・起訴率

詐欺罪の逮捕率は約53%

2023年検察統計によると、詐欺罪で検挙された事件は1万5846件あり、そのうち逮捕された事件は8346件、逮捕されなかった事件は7500件でした。逮捕率でいうと約53%になりますので、約2分の1の確率で逮捕されているということになります。

犯罪全体の逮捕率が約37%ですので、それと比べると詐欺罪の逮捕率は高いといえるでしょう。

証拠がなければ警察は、被害届を受理しない傾向にありますので、検挙率は主要犯罪の中では低い数値になっています。しかし、十分な証拠が残されている事件では、警察も詐欺罪として検挙しますので、そのような事件に関しては逮捕に至る可能性が高いといえます。

詐欺罪の起訴率は約45%

2023年検察統計によると詐欺罪で検察官送致された1万5835件のうち、起訴された事件は7056件、不起訴になった事件は7270件でした。起訴率でいうと約45%になりますので、約半数の事件が起訴されていることになります。

刑法犯全体の起訴率が約29%ですので、それと比べると詐欺罪の起訴率は高いといえるでしょう。

証拠があっても被害者との示談により不起訴になる可能性がある

詐欺罪の証拠がある事案では、逮捕・起訴される可能性も十分にあります。このような事案で重要になるのは被害者との示談です。

被害者が捜査機関に被害届の提出や告訴をする前に示談することができれば、捜査機関に事件が発覚することはありませんので、逮捕や起訴を回避することができます。

また、被害届や告訴状が提出された後であっても、早期に被害者と示談を成立させることで、逮捕を回避することができ、不起訴処分の獲得の可能性が高くなります。万が一、逮捕されても、示談が成立していれば早期釈放も期待できます。

このように、詐欺事件では被害者との示談が最優先事項となりますので、詐欺罪を犯してしまったときはすぐに被害者との示談交渉に着手しましょう。

示談に関して、コラムも書いていますので、ご覧ください。

詐欺事件の示談金相場はいくら?払えないときの対処法も解説

証拠がある詐欺事件の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

証拠がある詐欺事件の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

証拠がある詐欺事件では、逮捕・起訴される可能性がありますので、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

被害者との示談により不起訴処分獲得のサポート

詐欺事件では被害者との示談が重要になりますが、加害者本人では被害者と直接示談交渉を行うことが困難です。なぜなら、被害者は、加害者に対して強い処罰感情を有していたり、騙されたことで不信感を抱いていますので、加害者本人からの連絡は拒絶されてしまう可能性が高いからです。

そのため、被害者との示談交渉を進めるには弁護士のサポートが不可欠になります。グラディアトル法律事務所では、被害者との示談交渉に関する豊富な経験と実績がありますので、被害者側の心情にも配慮しながらスムーズに示談交渉を進めることができます。

有利な処分を獲得するには、早期に示談を成立させることが重要になりますので、詐欺事件を起こしてしまったときはすぐに当事務所までご相談ください。

自首同行により逮捕の回避をサポート

捜査機関に詐欺事件が発覚する前であれば、自首をすることで逮捕を回避できる可能性があります。

当事務所にご依頼いただければ、警察署への自首に弁護士が同行して、自首のサポートを行うことができます。警察に対して逮捕をしないよう強く要請しますので、一人で自首をするよりも逮捕の可能性を下げることができるでしょう。

24時間365日相談受付、初回相談料無料

当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。また、初回法律相談を無料で対応していますので、まずは相談だけでも結構です。

刑事事件は、スピード勝負と言われるように迅速な対応が重要になりますので、少しでも早く弁護活動に着手するためにもまずは当事務所までお問い合わせください。

まとめ

詐欺罪は、立件困難な犯罪だといわれますが、十分な証拠がそろっている事件では、逮捕・起訴される可能性もあります。警察は、捜査によりさまざまな証拠を収集し、詐欺罪の立件に向けて動きますので、被疑者側も被害者と早期に示談をまとめるなどして、逮捕や起訴を回避するために行動することが大切です。

詐欺事件を起こしてしまったときは、弁護士によるサポートが不可欠ですので、まずは経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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