無銭飲食は何罪?詐欺罪に問われる可能性のある2つのケースを解説

無銭飲食は何罪?詐欺罪に問われる可能性のある2つのケースを解説
弁護士 若林翔
2025年01月04日更新

「無銭飲食をするとどのような犯罪に問われる?」

「無銭飲食で詐欺罪に問われる可能性があるのはどのようなケース?」

「無銭飲食をしてしまったときはどうすればいい?」

無銭飲食には、主に

・最初から代金を払うつもりがなく飲食をしたケース

・注文後財布がないことに気づき店員に嘘を言ってその場から立ち去ったケース

という2つのケースがあります。いずれのケースでも詐欺罪が成立しますので、代金を支払わずにその場を立ち去ると、逮捕される可能性があります。

他方、代金を支払うつもりで注文したものの財布がないことに気付いて、こっそりと店を後にしたようなケースでは、詐欺罪には問われません。

このように無銭飲食の事案では、具体的な状況に応じて詐欺罪に問われるかどうかが変わってきますので、罪に問われる可能性のあるパターンを押さえておくことが大切です。

本記事では、

・無銭飲食で詐欺罪が成立する2つのケース

・無銭飲食をしても詐欺罪にあたらないケース

・無銭飲食で逮捕される可能性

などについてわかりやすく解説します。

無銭飲食というと軽微な犯罪のようにも思えますが、詐欺罪で起訴されれば実刑の可能性もありますので、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。

無銭飲食で詐欺罪が成立する2つのケース

無銭飲食で詐欺罪が成立する2つのケース

無銭飲食で詐欺罪が成立するケースとしては、以下の2つのケースが考えられます。

最初から代金を払うつもりがなく飲食をしたケース|1項詐欺

最初から、代金を支払うつもりがなく飲食店で注文をして、実際に飲食をした場合には、詐欺罪が成立します。これが典型的な無銭飲食のケースであり、刑法246条1項が適用されるため「1項詐欺」と呼ばれます。

飲食店としては客にお金を払う意思がないことを知っていれば、飲食物を提供することはなかったにもかかわらず、騙されて飲食物を提供しています。そのため、無銭飲食の犯人は、お店から「飲食物」を騙し取ったといえるため、「財物」を対象とする1項詐欺が成立するのです。

このケースでは、飲食店から飲食物の提供を受けた時点で詐欺罪が既遂となります。

注文後財布がないことに気づき店員に嘘を言ってその場から立ち去ったケース|2項詐欺

飲食店で注文をする時点では代金を支払う意思があったものの、食事を終えた後に財布がないことに気付き、店員に対して「財布を忘れたから取りに行ってくる」などと言ってその場から立ち去り、その後支払いをしなかった場合も詐欺罪が成立します。このようなケースでは、刑法246条2項が適用されるため「2項詐欺」と呼ばれます。

1つ目のケースとは異なり、2つ目のケースでは店員に注文をする時点では騙す意思がありませんので、飲食物の提供を受けたとしても詐欺罪は成立しません。しかし、その後、「財布を忘れたから取りに行ってくる」と嘘を述べて飲食代金の支払いを免れていますので、「財産上の利益」を対象とする2項詐欺が成立するのです。

このケースでは、飲食代金の支払いをせずに飲食店を立ち去った時点で詐欺罪が既遂となります。

詐欺の成立については他にも記事がありますので、一度目を通してみてください。

https://www.gladiator.jp/criminal-case/requirements-for-fraud-to-be-established

無銭飲食をしても詐欺罪にならないケースがある?

飲食店で注文をする時点では代金を支払う意思があったものの、食事を終えた後に財布がないことに気付いたため、店員にバレないようにこっそりと店から立ち去ったような場合も無銭飲食にあたりますが、実はこのケースでは詐欺罪は成立しません。

状況としては、上記の2つ目のケースに似ていますが、このケースでは店員に対する騙す行為が存在していません。詐欺罪の成立要件の1つに被害者に対する欺罔行為(騙す行為)がありますので、店員に何も告げずに店を立ち去ったケースでは騙す行為がなく、詐欺罪が成立しないのです。

また、刑法には財産上の利益を窃取する犯罪(利益窃盗)を取り締まる規定はありませんので、飲食代金の支払いを免れたという点に関して窃盗罪も成立しません。

すなわち、このケースでは一切罪に問われることがないという結論になります。

ただし、刑事上の責任がないとしても代金の支払い義務という民事上の責任までなくなるわけではありませんので注意が必要です。

無銭飲食で詐欺罪が成立した場合の刑罰

無銭飲食で詐欺罪が成立した場合の刑罰

無銭飲食で詐欺罪が成立した場合、10年以下の懲役に処せられます。これは、1項詐欺と2項詐欺のどちらであっても変わりません。

無銭飲食というと軽微な犯罪のように感じるかもしれませんが、法定刑には罰金刑が定められていませんので、起訴されて有罪になれば必ず懲役刑が科されてしまいます。執行猶予が付かなければ刑務所に収監される可能性のある犯罪ですので、決して軽微な犯罪ではありません。

無銭飲食で逮捕される?現行犯逮捕・後日逮捕の可能性

無銭飲食で逮捕されることはあるのでしょうか。以下では、無銭飲食による現行犯逮捕・後日逮捕の可能性について説明します。

無銭飲食で逮捕される?現行犯逮捕・後日逮捕の可能性

支払いができなければ現行犯逮捕の可能性あり

現行犯逮捕とは、現に罪を行いまたは行い終わった被疑者を令状なしで逮捕することをいいます。

無銭飲食の事案では、飲食代金の支払いができないことが判明すると店員によって警察に通報され、現場に警察官がやってきます。警察官からは、飲食代金を支払うように促されますが、それでも支払いができず、住所・氏名・連絡先などを正直に述べないと逃亡のおそれがあるとみなされて、現行犯逮捕される可能性があります。

また、過去にも同様の無銭飲食を繰り返していることが判明した場合も逃亡のおそれが高いとみなされて現行犯逮捕となる可能性があります。

他方、その場で家族などを読んで飲食代金の支払いに応じれば、現行犯逮捕を免れることができるでしょう。

逃亡したとしても後日逮捕のリスクがある

無銭飲食をして店から逃亡したとしても、後日逮捕の可能性があります。

防犯カメラの映像、車のナンバー、目撃者の証言などから無銭飲食をした犯人が特定されれば、逮捕状を持った警察官が自宅を訪ねてきて、後日逮捕となります。

実際に現場から無銭飲食をした現場から逃走していますので、逮捕の要件である逃亡のおそれがあるとみなされて後日逮捕となる可能性も十分にあります。特に、無銭飲食を繰り返しているような事案では、後日逮捕の可能性が高いと考えておいた方がよいでしょう。

詐欺による無銭飲食で逮捕されてしまったときはすぐに弁護士に連絡を!

詐欺による無銭飲食で逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に連絡するようにしてください。

詐欺による無銭飲食で逮捕されてしまったときはすぐに弁護士に連絡を!

すぐに面会に駆けつけてアドバイスができる

無銭飲食の事案では、詐欺罪が成立するか微妙なケースも多く、警察官は被疑者から自白を引き出すために厳しい取り調べを行うことがあります。初めて取り調べを経験する方だと、警察官による巧みな誘導に乗ってしまい、自分の認識とは異なる供述をしてしまうリスクもあります。

このようなリスクを軽減するためにも逮捕されたときはすぐに弁護士に連絡をして、面会に駆けつけてもらうべきです。弁護士と面会をして、取り調べに対するアドバイスをしてもらえれば、不利な供述調書を作成されるリスクを軽減することが可能です。

逮捕中に面会できるのは弁護士だけですので、早めに弁護士のサポートを受けましょう。

被害者との示談交渉ができる

無銭飲食の事案では、被害を受けた飲食店と示談をすることで、早期釈放や不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。

逮捕された被疑者本人では、被害者との示談を行うことができませんので、弁護士によるサポートが不可欠です。弁護士に依頼をすればすぐに家族に連絡をして、示談交渉に必要となる原資を確保した上で、被害者との示談交渉を行うことができます。

飲食店としても飲食代金の支払いをしてもらえれば、積極的に処罰を望まないケースが多いため、他の詐欺事案に比べて示談が成立する可能性が高いといえます。

関連記事:

詐欺事件の示談金相場はいくら?払えないときの対処法も解説

早期釈放や不起訴処分が期待できる

無銭飲食で逮捕されてしまうと、最長で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。また、詐欺罪には罰金刑がありませんので、起訴されて執行猶予が付かなければ刑務所に収監される可能性もあります。

弁護士に依頼をすることで勾留を阻止して早期の釈放を実現したり、起訴猶予による不起訴処分を獲得するための弁護活動を行ってもらうことができます。刑事事件に強い弁護士に依頼することで、早期釈放や不起訴処分の可能性を高めることができるでしょう。

無銭飲食による詐欺罪を犯したときはグラディアトル法律事務所までご相談ください

無銭飲食による詐欺罪を犯したときはグラディアトル法律事務所までご相談ください

無銭飲食というと軽微な犯罪のように聞こえるかもしれませんが、法律上は、「詐欺罪」に該当します。詐欺罪は、罰金刑の定めのない重い犯罪ですので、決して軽く考えてはいけません。無銭飲食をすると逮捕・起訴される可能性も十分にありますので、早期に弁護士に相談することが大切です。

グラディアトル法律事務所では、詐欺事件の弁護士に関する豊富な経験と実績がありますので、無銭飲食の事案についても適切なサポートをすることができます。実際に無銭飲食をしてしまったケースであれば早期に被害者との示談を成立させ、逮捕や起訴の回避に向けたサポートが可能です。また、騙すつもりがなかったというケースであれば無罪を主張して不起訴処分の獲得を目指していきます。

このようなサポートをするには刑事事件に関する知識や経験が不可欠となりますので、実績と経験豊富な当事務所までまずはお気軽にご相談ください。

当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。また、初回法律相談を無料で対応していますので、まずは相談だけでも結構です。刑事事件は、スピード勝負と言われるように迅速な対応が重要になりますので、少しでも早く弁護活動に着手するためにもまずは当事務所までお問い合わせください。

まとめ

無銭飲食では、詐欺罪が成立するパターンと罪に問われないパターンがありますので、ご自身のケースがどちらに該当するかによってその後の対応が変わってきます。適切な対応をするには専門家である弁護士によるサポートが不可欠ですので、無銭飲食の疑いをかけられてしまったときは、すぐに弁護士に相談するようにしてください。

無銭飲食の疑いをかけられてお困りの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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