「なぜ詐欺罪は立件難しいと言われるのか?」
「立件難しい詐欺罪ではどのようなものが証拠になる?」
「詐欺事件を起こしてしまったときの対処法とは?」
詐欺罪は立件難しいと言われることがあります。それは、犯人に被害者をだます故意があったことを立証しなければならないからです。
犯人の内心は、犯人自身しか知り得ず、客観的に判断することが難しいため、一般的に立証難しい犯罪と言われています。
令和5年犯罪白書によると、詐欺罪の検挙率は42.4%で、主要犯罪の中でも低い検挙率となっていることからも詐欺罪の立件が難しいことがわかります。
もっとも、立件が難しいとはいっても立件されないというわけではなく、内心を立証するための十分な証拠がそろっている事案では、詐欺罪で逮捕・起訴される可能性も十分にあります。そのため、立件が難しいからといってそのまま放置するのではなく、すぐに適切な行動をとることが重要です。
本記事では、
・詐欺罪が立件難しいと言われる理由 ・立件難しい詐欺罪で内心を立証する証拠になるもの ・詐欺事件を起こしたときの対処法 |
などについてわかりやすく解説します。
詐欺事件を起こしてしまったときは、刑事事件に強い弁護士のサポートが不可欠となりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
【検挙率42.4%】詐欺罪は立件が難しい?
令和5年犯罪白書によると詐欺罪の認知件数、検挙件数、検挙人数は以下のとおりです。
認知件数 | 検挙件数 | 検挙人数 |
---|---|---|
3万7928件 | 1万6084件 | 1万507人 |
このことから詐欺罪の検挙率は42.4%ということがわかります。
傷害罪、暴行罪、強盗罪、脅迫罪、恐喝罪などの主要な犯罪の検挙率は8~9割程度あるにもかかわらず、詐欺罪の検挙率は5割にも満たないことから、被害が発覚したとしても検挙に至る割合が低い犯罪であるといえます。
もっとも、実感としては上記の数字以上に検挙率は低いと考えられます。なぜなら、警察は被害届や告訴状を受理したがらず、不受理になるケースが多いからです。不受理になると認知件数には含まれませんので、実際の数値よりも認知件数は多く、検挙率はさらに低くなるといえます。
このような検挙率の低さからもわかるように詐欺罪は立件難しい犯罪だといえるでしょう。
詐欺罪が立件されにくい理由:「内心」の立証が必要
詐欺罪が立件されにくいと言われる理由は、犯人の「内心」を証明しなければならないからです。
詐欺罪成立のポイント:故意の立証
詐欺罪が成立するには、以下を証明する必要があります
- 被害者をだますつもりで詐欺行為を行ったという「故意」。
この「故意」は、犯人の内心の意図に関わるものです。
しかし、内心は犯人自身しか知ることができず、これを直接証明するのは非常に難しいのが現実です。
自白がない場合の難しさ
犯人が自白している場合は、その供述をもとに立件が可能です。しかし、以下のようなケースでは立証が困難になります。
犯人が否認している → 詐欺行為の意図を証明する証拠がない。 状況証拠だけでは不十分 → 詐欺の故意を直接示す物的証拠が必要になる。 |
その結果、「内心が立証できない」という理由で立件を見送ることも少なくありません。
詐欺罪の立件が難しいのは、犯人が「だますつもりがあった」とする意図(内心)を証明しなければならないためです。
この立証のハードルが高いことが、詐欺罪の課題となっています。
立件難しい詐欺罪で内心を立証する証拠になるもの
詐欺罪は立件難しいと言われる犯罪ですが、犯人の内心を立証するための十分な証拠がそろっている事案であれば立件することが可能です。立件難しい詐欺罪で内心を立証する証拠になるものとしては、以下のようなものが挙げられます。
被疑者の自白
被疑者の自白は、内心を立証する重要な証拠の一つです。
警察での取り調べで、「最初から騙すつもりでした」などと自白をすれば、被疑者に詐欺の故意があったことが明らかになります。
ただし、被疑者の自白のみでは有罪になることはありませんので(憲法38条3項、刑事訴訟法319条2項)、自白を裏付ける証拠(補強証拠)が必要になります。そのため、被疑者の自白がある場合であっても、以下のような客観的証拠がなければ詐欺罪で有罪になることはありません。
メールやLINEなどの被害者とのやり取り
メールやLINEなどの犯人と被害者とのやり取りも、騙す意思があったという内心を立証する証拠になります。
たとえば、結婚詐欺の事案であればLINEやメールで結婚をほのめかす内容のメッセージが残されていれば、結婚できると期待させて被害者を騙したという証拠になります。また、LINEやメールに記載されたメッセージの内容と客観的な事実が異なっていることがわかれば、嘘を並び立てて相手を騙そうとしていることを立証できます。
巧妙な詐欺師になると口頭でのやり取りが中心で、メールやLINEなど証拠になるようなものを残さないため立件が難しくなります。
経済的に困窮していた事実がわかるもの
犯人が経済的に困窮しているという事実は、お金をだまし取ろうと考える動機の一つとなりますので、詐欺罪の内心を立証する証拠となります。
経済的に困窮していた事実がわかる証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
・預貯金口座の履歴
・会社の帳簿や決算報告書
・借金の金額
被疑者の言動が客観的事実に反することがかわるもの
詐欺罪は、被害者に対して嘘を述べて、それが真実であるかのように信じさせてお金をだまし取る犯罪です。そのため、犯人の言動には客観的事実に反するものが多く含まれています。
そのため、犯人の言動が客観的事実に反しているということを立証することで犯人が被害者を騙す意図があったということを立証することができます。
立件難しいからといって放置はNG!詐欺事件を起こしたときの対処法
詐欺罪の立件が難しいからといって放置するのは危険です。捜査機関による捜査により十分な証拠が集まれば、逮捕や起訴されてしまう可能性があります。そこで、詐欺事件を起こしてしまったときは、以下のような対処法を検討しましょう。
被害者との示談
詐欺事件では、被害者と示談を成立させることにより逮捕や起訴のリスクを大幅に軽減することができます。また、仮に起訴されてしまったとしても、示談が成立していれば有利な情状として考慮してもらうことができますので、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなります。
このように詐欺事件では、被害者との示談が重要になりますので、立件難しいからといって放置するのではなく、すぐに被害者との示談交渉を開始するようにしてください。
関連記事:
詐欺事件の示談金相場はいくら?払えないときの対処法も解説
自首
詐欺事件が捜査機関に発覚する前であれば、捜査機関に自首することにより逮捕を回避できる可能性が高くなります。
また、自首が成立すれば刑の任意的な減軽事由に該当しますので、仮に起訴されたとしても量刑判断において有利になる可能性があります。
ただし、自首をきっかけに捜査機関に事件が発覚し、逮捕に至るケースもありますので、自首をするかどうかについては、弁護士と相談をしながら慎重に進めるべきでしょう。
弁護士に相談
詐欺事件を起こしてしまったときは、自分一人で対処するのではなく、専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
詐欺事件の被害者は、騙されたことで加害者に対して警戒心や不信感を抱いていますので、加害者から直接連絡をしても、簡単には示談に応じてもらうことができません。しかし、弁護士が窓口となって対応することで、被害者としても安心して交渉のテーブルにつくことができるため、スムーズに示談交渉を進めることができます。
また、警察に自首する際には、弁護士が同行して事情を説明しますので、不安なく自首の手続きを進めることができます。
立件難しい詐欺罪の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください
詐欺罪は立件難しい犯罪といわれていますが、証拠さえあれば逮捕・起訴される可能性は十分にあります。何もせずに放置していると詐欺事件として立件され重い処罰を受けるリスクがありますので、詐欺事件を起こしてしまったときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
グラディアトル法律事務所では、詐欺事件に関する豊富な経験と実績がありますので、事件解決のポイントを熟知しています。刑事事件は弁護士の能力によって結果が大きく左右されることもありますので、少しでも有利な処分を希望される方は、経験と実績豊富な当事務所の弁護士にお任せください。
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まとめ
詐欺罪は立件難しいと言われる犯罪で、検挙率も主要な犯罪に比べて低い水準となっています。しかし、十分な証拠がそろっている事案であれば問題なく検挙されてしまいますので、詐欺事件を起こしてしまったときは、立件難しいという理由で放置するのではなく、すぐに弁護士に相談して適切に対処してもらう必要があります。
詐欺事件の弁護を希望される方は、経験と実績方法なグラディアトル法律事務所にお任せください。