詐欺罪で逮捕されたらどうなる?逮捕率や懲役になる可能性も解説

詐欺罪で逮捕されたらどうなる?逮捕率や懲役になる可能性も解説
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弁護士 若林翔
2025年02月03日更新

「詐欺事件ではどのようなケースで逮捕がおこなわれるのか」

「詐欺罪で逮捕されるとどうなるのか」

詐欺事件を起こしてしまったときは、逮捕の可能性や逮捕後の流れについて、さまざまな不安・疑問が生じてくるものです。

実際に詐欺事件の逮捕率は高く、長期間の身柄拘束を受けるケースも数多くみられます

そのため、詐欺の加害者になった場合は、できるだけ早く弁護士に相談し、逮捕回避に向けたサポートを受けることが重要です。

本記事では、詐欺で逮捕されやすいケースや、逮捕されたあとの手続きの流れなどを解説します。

逮捕を回避するためにやるべきことについても記載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

詐欺罪の逮捕率は約48%!

令和5年版犯罪白書によると、詐欺罪の逮捕率は約48%です。

令和4年に詐欺罪の疑いがかかった1万6,846人のうち、8,116人が逮捕されています。

詐欺罪の逮捕率は約48%!

詐欺は計画的で悪質な犯罪であり、証拠隠滅や共犯者との口裏合わせのリスクも高いため、比較的逮捕されやすい傾向があります。

犯罪全体の逮捕率が約37%にとどまることを踏まえると、詐欺罪の逮捕率がいかに高い水準にあるかがわかるでしょう。

なお、詐欺罪は勾留請求率も高く、令和4年においては99%を超えています

つまり、詐欺罪で逮捕された場合には、長期間の身柄拘束を受ける可能性が非常に高いといえます。

詐欺罪に該当し逮捕される可能性のある行為

詐欺罪とは、人を欺いて財物や財産上不法の利益を得た場合などに成立する犯罪です。

たとえば、以下のような行為は詐欺罪に該当し、逮捕される可能性があります。

  • ・架空請求詐欺:存在しない商品やサービスの代金を請求して、金銭を騙し取る行為
  • ・投資詐欺:高利益を謳った嘘の投資話で投資資金を騙し取る行為
  • ・振り込め詐欺:家族などになりすまし、緊急を装って​​金銭の振込を求める行為
  • ・融資保証詐欺:嘘の融資話をもちかけ、保証金などを騙し取る行為
  • ・保険金詐欺:事故や損害賠償をでっち上げて、保険金を騙し取る行為
  • ・ロマンス詐欺:恋愛感情を利用して相手を信頼させ、金銭を騙し取る行為
  • ・還付金詐欺:公的な還付金があると嘘をつき、ATMなどで現金を振り込ませる行為

上記のほかにも、詐欺の手口は数多く存在します。

最近では、匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」がSNSで高額報酬のバイト求人を出し、犯罪の一端を担わせる「闇バイト」も社会的な問題になっています。

自らは強く望んでいないにもかかわらず犯罪に巻き込まれてしまい、逮捕されるようなケースも少なくありません。

詐欺罪で逮捕される可能性が高いケース

次に、詐欺罪で逮捕される可能性が高いケースを詳しくみていきましょう。

詐欺罪で逮捕される可能性が高いケース

被害額が大きい場合

被害額が大きい場合は、詐欺罪で逮捕される可能性が高くなります。

被害額が大きいとその分、加害者に重い責任が生じるため、警察は逮捕によって、なんとしても逃亡や証拠隠滅を防ごうとします。

たとえば、被害額が1万円と1,000万円の詐欺事件では、どちらも犯罪であることに違いはありませんが、逮捕の可能性は大きく変わってくるのです。

なお、被害額の大きさは量刑の判断にも直結する要素です。

被害額が大きい場合は、量刑も重くなる傾向があります。

特殊詐欺の場合

特殊詐欺の加害者も、逮捕されやすい傾向があります。

特殊詐欺は計画的・組織的におこなわれる悪質性が高い犯罪です。

さらに、社会的にも大きな問題となっているため、取り締まりが強化され、逮捕される可能性も高くなっています。

また、多くの特殊詐欺では複数人が役割分担していますが、特に逮捕されやすいのは「受け子」です。

被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」は足がつきやすく、はじめに逮捕されるパターンが多くみられます。

関連記事:振り込め詐欺の受け子・出し子とは?問われる罪や逮捕のきっかけ

詐欺が組織的におこなわれていた場合

詐欺が組織的におこなわれていた場合、詐欺グループのメンバーは逮捕されやすいといえます。

組織的な詐欺は、国民の治安に対する不安感を高めるうえ、複数の犯罪を連鎖的に引き起こすこともあります。

つまり、社会的な影響が非常に大きいため、警察は捜査に対して積極的な姿勢をみせているのです。

さらに、組織的な詐欺グループは、仲間と共謀して証拠隠滅・逃亡を図る可能性が高いので、逮捕の要件を満たしやすくなります。

特に最近ではトクリュウの存在が社会問題化していることもあり、詐欺グループの末端メンバーが次々と逮捕されるような事例も多数見受けられます。

詐欺罪での逮捕事例

ここでは、どのような詐欺事件で逮捕がおこなわれているのか、実際の事例をみていきましょう。

事件概要
埼玉県警は17日、千葉県柏市の中学3年の男子生徒(15)を詐欺未遂の疑いで逮捕したと発表した。男子生徒は何者かと共謀して、16日午後、埼玉県春日部市の女性(84)に市役所職員などを装って「還付金がある。カードを新しく替える必要がある」などと電話をかけ、女性宅を訪れキャッシュカードと通帳をだまし取ろうとした疑い。地元の先輩から「闇バイト」に誘われた生徒が、特殊詐欺の「受け子」役を務めたとみて調べている。(引用:読売新聞オンライン)
広島西署と県警組織犯罪対策1課は18日、自称東京都小平市の無職男(22)を詐欺の疑いで逮捕した。広島市佐伯区の無職男性(82)に息子をかたって複数回電話。「女性を妊娠させてしまい、中絶させるために現金を至急必要としている」などとうそを言い、息子の代理人になりすました男が西区内に呼び出した男性から92万円を受け取り、だまし取った疑い。(引用:中国新聞デジタル)
恋愛感情を利用する「ロマンス詐欺」で、マッチングアプリで知り合った男性から現金計約370万円をだまし取ったとして、警視庁組織犯罪対策特別捜査隊は28日までに、詐欺容疑などで、無職〇〇容疑者(27)を再逮捕した。同容疑者は複数のアプリを使い分け、加工した自分の顔写真や下着姿の写真を送るなどして、現金を振り込ませていた。(引用:時事ドットコムニュース)
経営コンサルの〇〇容疑者(50)は、電気工事会社の社長と共謀して2020年、決算書を粉飾し、銀行から融資金およそ4900万円をだまし取った疑いで、9日、再逮捕されました。(引用:Yahoo!ニュース)
上越警察署は1月9日13時28分、新潟県上越市大和在住で無職の女性(78歳)を詐欺の疑いで逮捕した。当時60歳代の女性に対し、虚偽の保険商品を勧誘・契約して、保険料名目で現金50万円をだまし取った疑いがもたれている。(引用:新潟経済新聞)

学生が逮捕されたり、詐欺未遂でも逮捕されたりと、詐欺事件で逮捕に至るケースはさまざまです。

どんな詐欺事件でも逮捕される可能性は残されているので、加害者になったときは、弁護士のサポートのもとで逮捕回避に向けた適切な対応をとることが重要です。

詐欺罪の疑いで逮捕されたあとの流れ

次に、詐欺罪の疑いで逮捕されたあとの流れを解説します。

詐欺罪の疑いで逮捕されたあとの流れ

警察による取り調べ・送致

詐欺罪の疑いで逮捕されたあとは、警察による取り調べがおこなわれます。

被疑者は警察署の留置場で過ごし、犯行の動機、経緯、共犯者の有無などについて詳しく聴取されることになるでしょう。

そして、48時間以内に検察へ送致され、事件が引き継がれます

次に、検察官は24時間以内に被疑者と面談し、勾留するかどうかを決定します。

とはいえ、詐欺事件の勾留請求率は99%以上なので、ほぼ確実に勾留されるものと考えてください。

勾留・勾留延長

詐欺罪の疑いで勾留請求がおこなわれ、裁判官に認められると、被疑者は原則10日間の身柄拘束を受けなければなりません

さらに検察官による捜査が継続しておこなわれる場合には、勾留延長の申請が出されます。

勾留延長による身柄拘束期間は、最大10日です。

つまり、勾留後は20日間にわたって身柄拘束を受ける可能性があります。

起訴・不起訴の判断

検察による十分な捜査がおこなわれたあとは、起訴・不起訴が判断されます。

不起訴処分が下された場合は、その時点で釈放され、もとの生活を取り戻すことが可能です。

起訴された場合は、刑事裁判へと移行します。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、罰金刑がないため、略式起訴の手続きがとられることはありません。

起訴されると、公開の法廷で裁判が開かれることになります。

刑事裁判

詐欺罪の疑いで起訴された場合、刑事裁判がおこなわれます。

具体的には、以下の4つの手続きに沿って裁判が進行していきます。

【刑事裁判の基本的な流れ】

1.冒頭手続き|起訴状の朗読などにより裁判の趣旨や方向性を明らかにする
2.証拠調べ手続き|提出された証拠について、裁判所が審査し、評価する
3.弁論手続き|検察側と弁護側が事件に関する最終的な意見を述べる
4.判決の言い渡し|有罪なら刑が言い渡され、無罪なら釈放される

有罪になった場合に言い渡される刑罰が「3年以下の懲役」であれば、執行猶予がつく可能性もあります。

なお、刑事裁判の期間はケースバイケースですが、早ければ2~3ヵ月、長ければ1年以上かかります。

詐欺罪で逮捕された場合に生じるリスク

次に、詐欺罪で逮捕された場合に生じるリスクを解説します。

詐欺罪で逮捕された場合に生じるリスク

逮捕されると仕事や家庭に与える影響も大きくなってしまうので、詐欺の加害者になったときは、逮捕回避に向けて迅速に対応することが重要です。

詐欺をおこなったことが家族や職場にバレる

詐欺罪で逮捕された場合、家族や職場に知られてしまうリスクが高くなります。

詐欺事件の加害者になったとしても、示談などで事件化する前に解決できれば、周囲にバレることなくやり過ごせることもあるでしょう。

しかし、逮捕され、そのまま勾留が決定すると、最大20日間にわたって身柄拘束を受けてしまいます。

その場合、詐欺をおこなったことを隠し通すのは難しいでしょう。

また、詐欺罪は社会的関心が高い犯罪であるため、メディアも積極的に報道する傾向があります。

氏名だけでなく、年齢・職業・住所などが報道されることもあり、家庭や仕事に与える影響は計り知れません。

また、SNSをはじめとしたインターネット上での情報拡散により、長期にわたって事件の事実が残り続けるリスクもあります。

逮捕後に起訴されて有罪になると前科がつく

逮捕後に起訴されて有罪判決を受けると、前科がついてしまう点も大きなリスクといえるでしょう。

前科がつくと、以下のような不利益が生じることになります。

  • ・解雇や退学の処分を受けることがある
  • ・就職や転職活動に支障が出る
  • ・一部の職業に就けなくなる
  • ・海外渡航が制限される

一度ついた前科が消えることはありません。

詐欺事件を起こしたときは、逮捕回避はもちろんですが、不起訴処分を目指すことも非常に重要です。

初犯でも懲役の実刑判決を受けるおそれがある

詐欺罪で逮捕された場合、初犯であっても懲役の実刑判決を受けるおそれがあります。

初犯であることは、量刑の判断時に有利に働くことは確かです。

場合によっては、刑期が短くなり、執行猶予がつくこともあるでしょう。

しかし、詐欺罪の量刑は犯行の悪質性や被害の程度、被害金弁済の有無などを総合的に考慮して判断されます。

たとえ初犯であっても、被害状況や組織的犯罪への関与の度合いなどによっては、実刑判決を受ける可能性があるのです。

なお、令和4年に有罪判決が下された詐欺事件のうち、執行猶予が付されたのは6割程度にとどまっています。(参考:令和5年版犯罪白書

関連記事:振り込め詐欺は初犯でも実刑?執行猶予を獲得するための対処法を解説

詐欺罪で逮捕されないためにすべきこと

ここでは詐欺罪で逮捕されないためにすべきことを解説します。

詐欺罪で逮捕されないためにすべきこと

なにもせずに悩んでいるだけでは問題が大きくなってしまうので、素早い対応を心がけましょう。

被害者との示談を成立させる

詐欺罪で逮捕されないためには、被害者との示談を成立させることが何よりも重要です。

示談のなかで謝罪の意を示し、被害金を弁済すれば、被害者が被害届や告訴状の提出を踏みとどまり、事件化する前に解決できる可能性があります。

また、事件化した場合でも、示談によって当事者間で和解していることが分かれば、警察も「あえて逮捕して身柄を拘束する必要はない」と判断しやすくなります。

ただし、詐欺の被害者と直接示談交渉することはおすすめしません。

そもそも被害者が示談に応じてくれるとは限らず、交渉に至ったとしても、足元をみられて高額な示談金を要求されるおそれがあります。

そのため、示談交渉は弁護士に一任するのが賢い選択といえるでしょう。

関連記事:詐欺事件の示談金相場はいくら?払えないときの対処法も解説

自首する

詐欺が事件化していないのであれば、逮捕を回避するために自首することも検討してみてください。

自首して罪を認めれば、逃亡や証拠隠滅のおそれが低いと判断される可能性が高まります。

また、真摯に反省し、捜査に協力する姿勢を示すことで、在宅事件として扱ってもらいやすくなるでしょう。

ただし、自首したからといって必ずしも逮捕を回避できるわけではありません。

加えて、取り調べでの振舞い方次第では、自身の立場を余計に悪くするおそれもあります。

そのため、自首のタイミングや取り調べへの対応方法などについては、弁護士から事前にアドバイスを受けておくことが大切です。

必要であれば、弁護士に依頼して、自首に同行してもらうのもよいでしょう。

できるだけ早く弁護士に相談する

詐欺罪で逮捕されないためには、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。

弁護士に相談・依頼すれば、個々のケースに応じた最善の対応策を提案・実行してもらうことができます。

捜査機関への働きかけや被害者との示談交渉も迅速に進めてもらえるので、逮捕や起訴を回避できる可能性は格段に高まるはずです。

たとえ逮捕された場合でも、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを弁護士から訴えてもらうことで、早期釈放が期待できるでしょう。

ただし、弁護を依頼する弁護士は誰でもいいというわけではありません。

弁護士は法律全般の専門家ではあるものの、それぞれが得意分野を持っています。

そのため、刑事事件を得意とし、豊富な解決実績を有する弁護士に依頼することが問題解決の近道といえます。

関連記事:【加害者向け】詐欺事件を今すぐ弁護士に相談するべき3つの理由!

詐欺罪の逮捕に関するよくある質問

最後に詐欺罪の逮捕に関するよくある質問を紹介します。

詐欺罪の逮捕に関するよくある質問

詐欺が発覚してから逮捕されるまでの期間は?

詐欺の捜査期間は、事件の規模や相手方との関係性などによって変動します。

たとえば、加害者の所在や連絡先などがわかっていて、証拠も揃っているような詐欺事件であれば、数週間程度の捜査で逮捕にいたることもあるでしょう。

一方、組織的な詐欺事件で加害者や犯行の手口を正確に把握しきれていないようなケースでは、捜査が長期化しやすく、逮捕までに数カ月以上かかることもあります。

詐欺で騙し取ったお金は逮捕後どうなる?

詐欺で騙し取ったお金は、逮捕後も可能な限り弁済する必要があります

そもそも、刑事上の責任と民事上の責任は別問題です。

逮捕後に刑罰に処され、刑事上の責任を果たしたとしても、奪い取ったお金を弁済する義務は残されたままです。

なお、被害者の損害を回復することは、刑事手続きにおいても有利に働く可能性があります。

被害金が弁償され、示談が成立していることを理由に不起訴になったり、量刑が軽くなったりするケースは実際に多くみられます。

家族が詐欺で逮捕されたときはどうするべき?

家族が詐欺で逮捕されたときは、できるだけ早く弁護士に連絡し、接見してもらいましょう

弁護士から取り調べの注意点や今後の流れなどを説明してもらえば、不利な供述を回避しつつ、早期釈放に向けた手続きをスムーズに進めることができます。

勾留が決定するまで、逮捕された家族と直接会って会話できるのは弁護士だけです。

また、組織的な詐欺事件であれば、勾留後も面会を制限されることがあります。

そのため、家族が逮捕された場合には、弁護士による早期介入が何よりも重要です。

弁護士は連絡役となって情報を共有してくれるので、精神的な支えにもなるでしょう。

詐欺罪で逮捕されるおそれがあるならグラディアトル法律事務所に相談を

本記事のポイントは以下のとおりです。

  • ・詐欺罪の逮捕率は約48%と比較的高い
  • ・被害額が大きい詐欺や特殊詐欺、組織的な詐欺は逮捕される可能性が高い
  • ・逮捕されると周囲にバレる、前科がつく、実刑判決を受けるなどのリスクがある
  • ・逮捕を回避するには示談・自首や弁護士への相談が重要

詐欺罪で逮捕されると、仕事を失ったり、人間関係が崩れたり、さまざまな不利益を受ける可能性が出てきます。

そのため、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることが大切です。

グラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の詐欺事件に関与し、解決へと導いてきました

弊社では、経験豊富な弁護士が24時間体制で対応しているため、困ったときはいつでもお問い合わせください。

初回相談は無料、LINEでの相談も受け付けています。

少しでも不安がある方は、お気軽にどうぞ。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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