「痴漢をすると罰金と懲役どちらが科されるの?」
「痴漢をしたときの罰金刑の相場はどのくらい?」
「痴漢で罰金刑を回避するための方法を知りたい」
痴漢をすると迷惑防止条例違反または不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
どちらが成立するかは、具体的な痴漢行為の態様によって異なりますが、比較的軽微な痴漢行為に関しては迷惑防止条例違反となる傾向にあります。
迷惑防止条例違反の痴漢行為をすると、罰金または懲役刑が科されることになりますが、罰金刑の相場としては、20~30万円程度になります。罰金刑を回避するためには、早期に被害者との間で示談を成立させることが重要となります。
本記事では、
・痴漢で罰金刑が科される可能性がある4つのケース
・痴漢で有罪となったときの罰金刑の相場
・痴漢で罰金刑を回避するための対処法
などについてわかりやすく解説します。
被害者との示談交渉には、弁護士のサポートが不可欠となりますので、痴漢行為をしてしまったという場合は、すぐに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
痴漢をすると迷惑防止条例違反または不同意わいせつ罪
痴漢をするとどのような犯罪が成立するのでしょうか。以下では、痴漢で成立する可能性のある犯罪を説明します。
迷惑防止条例違反
痴漢行為は、各都道府県で定めている迷惑防止条例違反となります。
たとえば、東京都の迷惑防止条例では、以下のように規定しています。
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。
迷惑防止条例違反の刑罰も都道府県ごとに異なり、東京都では、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
なお、常習的な痴漢の場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に加重されています。
不同意わいせつ罪
暴行や脅迫を手段とするなど被害者が同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態で痴漢行為がなされたときは、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。
不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑と定められており、罰金刑は存在しません。そのため、不同意わいせつ罪が適用されてしまうと、罰金刑ではなく、拘禁刑一択となってしまいます。
不同意わいせつ罪となる痴漢とは?迷惑防止条例との違いも解説
痴漢で罰金刑が科される可能性がある4つのケース
上記のとおり、痴漢で罰金刑が科されるのは、迷惑防止条例違反となる痴漢行為です。では、どのような痴漢行為が迷惑防止条例違反となるのでしょうか。以下では、痴漢で罰金刑が科される可能性がある4つのケースを紹介します。
衣服の上から身体に触れたケース
衣服の上から身体に触れるような痴漢行為については、迷惑防止条例が適用されるケースが多いといえます。たとえば、電車内で被害者のお尻を衣服の上から触るような痴漢行為がこれにあたります。
このようなケースは痴漢行為の中でも比較的軽微なものといえるため、迷惑防止条例違反として罰金刑が科される可能性があります。
痴漢の前科がない初犯のケース
迷惑防止条例違反となる痴漢行為をしたとしても、法定刑には罰金だけでなく懲役刑も定められています。罰金と懲役刑のどちらが選択されるかの判断にあたっては、加害者の前科の有無が重要な考慮要素となります。
痴漢の前科がない初犯のケースであれば、罰金刑が科される可能性が高いといえるでしょう。
常習性がないケース
迷惑防止条例違反の痴漢は、常習性の有無によって法定刑が異なっています。たとえば、東京都の迷惑防止条例では、以下のような定めになっています。
・常習性のない痴漢行為……6月以下の懲役または50万円以下の罰金
・常習性のある痴漢行為……1年以下の懲役または100万円以下の罰金
どちらも法定刑には罰金刑が含まれていますが、常習性のある痴漢行為については、懲役刑が罰金刑ではなく懲役刑が選択される可能性も十分にあります。そのため、常習性がないということも罰金刑が適用される重要な要素の一つとなります。
犯行態様が悪質ではないケース
暴行または脅迫を用いて痴漢行為をする、衣服の中に手を差し入れて身体を触る、執拗に胸や臀部を撫で続けるなど犯行態様が悪質なケースについては、迷惑防止条例違反ではなく不同意わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
不同意わいせつ罪に問われてしまうと、法定刑に罰金刑がありませんので拘禁刑一択となってしまいます。そのため、罰金刑の適用にあたっては、犯行態様が悪質でないということも重要な要素となります。
痴漢は何罪に問われる?痴漢の態様ごとに適用される刑罰を解説
痴漢で有罪となったときの罰金刑の相場|20~30万円程度
迷惑防止条例違反の痴漢で有罪となった場合の罰金刑の相場は、事案にもよりますが、初犯であれば20~30万円程度が相場となります。
再犯などの場合にはそれよりも罰金額が高くなる傾向にありますので注意が必要です。
以下では、実際の事例における罰金の量刑を紹介します。
犯罪態様および被害内容 | 前科 | 罰金額 |
---|---|---|
電車内において、被害者に対し、その着衣の上から臀部および陰部を触った(※当事務所の事例) | なし | 20万円 |
店舗内において、被害者に対し、その着衣の上から臀部を触った | 前科10犯(罰金4件) | 20万円 |
電車内で、被害者(16歳)に対し、スカートの中に手を入れ、スパッツの上から陰部を触った | なし | 20万円 |
店舗内において、床に両膝をついて商品を陳列棚に補充していた同店店員の被害者(15歳)に対し、いきなりその頭部を両手でつかんで自己の股間に押し付けた | なし | 20万円 |
駅前広場において、被害者に対し、その着衣の上から臀部を手で触った | 前科4犯(罰金1件) | 20万円 |
電車内で、被害者(14歳)に対し、その着衣の上から太股付近を手の指で触った | なし | 20万円 |
ビル内において、被害者(16歳)に対し、大腿部を手で触り、さらに、スカートの中に手を差し入れて下着の上から臀部を手で触った | なし | 30万円 |
電車内において、被害者に対し、その着衣の上から陰部付近を右手で触るなどした | なし | 30万円 |
電車内において、被害者に対し、その左臀部に着衣の上から露出した陰茎を押し付けるなどした | 前回1犯(罰金1件) | 50万円 |
痴漢で罰金刑を回避するには被害者との示談が重要
罰金刑も前科になりますので、それを回避するには、被害者との示談が重要になります。
示談成立により不起訴処分の可能性が高くなる
痴漢行為をして検察官により起訴されてしまうと、99%以上の割合で有罪になり、罰金または懲役刑が科されることになります。罰金刑も前科ですので、痴漢で有罪になってしまうと、その後の人生にさまざまな悪影響が生じる可能性があります。
このようなリスクを回避するには、検察官による処分が決定する前に被害者との間で示談を成立させることが重要になります。被害者との示談の有無は、検察官が起訴または不起訴の判断をする際の重要な考慮要素となりますので、示談が成立していれば不起訴処分を獲得できる可能性が高くなります。
そのため、痴漢行為をしてしまったという場合は、すぐに弁護士に相談して被害者との示談に向けて行動することが大切です。
示談金の相場は条例違反で30~50万円、不同意わいせつで50~150万円
被害者との示談では、被害者に対して示談金の支払いが必要になります。示談金の金額は、明確な基準があるわけではなく、以下のような要素を総合考慮して判断しています。
・痴漢行為の悪質性の程度
・被害の程度
・被害者の年齢
・被害者の処罰感情
・加害者の資力
痴漢の示談金を決める上で特に重要になるのが、痴漢行為がどのような犯罪に該当するかです。痴漢行為が迷惑防止条例違反と不同わいせつ罪のどちらに該当するかによって、示談金の相場は、以下のように変わってきます。
・迷惑防止条例違反……30~50万円
・不同意わいせつ罪……50~150万円
事案に応じた適切な金額で示談を成立させるためには、弁護士のサポートが必要になりますので、痴漢事件の示談交渉は弁護士に任せるのがおすすめです。
なお、痴漢事件の示談金の相場と実際の示談金の事例については、こちらの記事をご参照ください。
痴漢示談金(慰謝料)相場は30〜150万円!減額する方法解説
痴漢で罰金刑を回避し不起訴処分となった実際の事例
以下では、痴漢で罰金刑を回避して、不起訴処分になった当事務所の事例を紹介します。
電車内での痴漢冤罪で逮捕されたものの不起訴となった事例
【事案の概要】
Xさんは通勤途中に電車内で痴漢をしたとして逮捕されてしまいました。
逮捕されてしまったXさんの家族から相談・依頼を受けて、当事務所の弁護士が逮捕当日に警察署に赴き、接見を行ったところ、Xさんは「痴漢行為はしていない、冤罪だ」として無罪を訴えていました。
その後、弁護士が詳細な事実について聞き取りました。
・電車に乗っていたときの状況
・被害者とされる女性との位置関係
・被疑者の手の位置
・その女性から手を掴まれた前後の状況
・逮捕されてしまうまでの経緯
・繊維鑑定の有無
その結果、担当弁護士としても本件が冤罪事件であるとの確信を抱いたため、ご本人と相談し、今後の方針として否認していくことになりました。
【弁護活動】
取調べでは、警察からの誘導で間違った事実を調書に取られないよう助言をし、黙秘権や調書への署名を拒否する権利などがあることを伝えました。
検察と裁判所に対し、本件は勾留すべき事案でないことを主張していく必要があります。
また、逮捕後勾留請求をされると、最大で20日間もの身柄拘束をされてしまいますので、担当弁護士としては勾留請求の阻止に向けた活動を開始しました。
具体的には、
・被疑者に前科前歴がないこと
・逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがないこと
・勾留の必要性がないこと
などを具体的に記載した意見書を作成し、ご本人の誓約書、両親の身元引受書を添付して、検察庁へ提出をしました。
しかし、残念ながら検察官からは勾留請求をされてしまいました。
もっとも、その後、迅速に裁判所へ同様に意見書等を提出し、弁護人は裁判官と面談をし、本件は勾留すべき事案ではないと強く伝えました。
その結果、裁判所は勾留すべきではないと判断し、勾留請求が却下され、本人は無事に釈放されました。
釈放後、弁護人は検察官に対して本件は冤罪であり、不起訴にすべきである旨の意見書を提出し、最終的に、検察官としても冤罪の疑いがあるとのことで不起訴処分となりました。
路上痴漢で逮捕されるも不起訴処分となった事例
【事案の概要】
Xさんは、お酒をたくさん飲み、酷く酔った状態で東京の繁華街を歩いていました。酩酊状態にあるXさんは、道端で知らない女性の身体を触るなどの痴漢行為をしてしまい、その場で警察を呼ばれ逮捕されてしまいました。
Xさんは、その後すぐに釈放されたものの、起訴される可能性もあったことから当事務所に相談し、正式にご依頼いただくことになりました。
【弁護活動】
担当弁護士はすぐに検察官に連絡をして示談したい旨などを伝えました。
その結果、検察官から被害者の連絡先を教えてもらい、被害者の方に連絡をとりましたが、被害者の方は、「Xさんに反省の様子がなかった」と大変ご立腹でした。
このままでは示談の成立は困難であると考え、Xさんが反省していることを示すために、担当弁護士からXさんの反省の気持ちを伝えるとともに、謝罪文をお渡ししました。
その結果、被害者の方にXさんの反省の気持ちが伝わり、示談金20万円で示談を成立させることができました。
示談成立後は、ご依頼者様の反省文と謝罪文、示談成立の合意書を捜査機関に提出し、無事に不起訴処分となりました。
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痴漢で不起訴処分を目指すなら、痴漢事件の弁護に詳しいグラディアトル法律事務所にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士が被害者との示談交渉をサポート
痴漢で不起訴処分を目指すのであれば、被害者との示談が必要不可欠となります。
しかし、痴漢事件という性質上、被害者の処罰感情は非常に強く、被害者との示談交渉が難航するケースも少なくありません。被害者との示談を成立させる可能性を少しでも高めるには、痴漢事件の示談交渉に詳しい弁護士に依頼するのがポイントとなります。
グラディアトル法律事務所では、痴漢事件の弁護に関する豊富な経験と実績がありますので、被害者との示談交渉の方法も熟知しています。経験豊富な当事務所の弁護士にお任せいただければ、相場を踏まえた適切な条件で示談を成立させることが可能です。
迅速に不起訴処分獲得に向けた弁護活動に着手
刑事事件はスピード勝負といわれています。特に、不起訴処分を目指すのであれば検察官による起訴・不起訴の判断の前に示談を成立させなければなりませんので、非常にタイトなスケジュールとなります。限られた時間の中で示談を成立させるには、迅速に対応してくれる弁護士を選ぶのが重要なポイントとなります。
グラディアトル法律事務所では、痴漢事件の弁護のご依頼があれば早ければ当日中に、遅くても翌日までには弁護活動に着手しますので、早期対応により不起訴処分獲得の可能性が高くなります。痴漢で身柄を拘束されている場合にも、早期に面会を実施し、必要なアドバイスをすることができます。
痴漢事件は迷わず弁護士を呼べ!理由と早期に不起訴獲得した事例
初回相談無料・24時間365日全国対応
当事務所では、痴漢事件に関するご相談については、初回相談料無料で対応しています。経済的な不安から相談が遅れてしまうと、不起訴処分を獲得できる可能性がどんどん低くなっていきますので早めに相談にお越しください。
また、当事務所では、24時間365日相談を受け付けていますので、深夜や休日であってもお気軽にお問い合わせください。痴漢の発生場所を問わず全国対応も可能です。
痴漢行為をしてしまったという場合には、すぐに弁護活動に着手することで不起訴処分の可能性を高めることができます。痴漢をしてしまったという方は、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。
まとめ
痴漢事件で罰金が科されるのは、迷惑防止条例違反となるケースに限られます。迷惑防止条例違反で罰金刑になるケースは、比較的軽微な痴漢事案といえますので、被害者との示談を成立させることができれば、不起訴処分も十分に狙うことが可能といえます。
ただし、処罰感情の強い被害者との示談交渉には、専門家である弁護士のサポートが不可欠となりますので、痴漢行為をしてしまったときは、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。