喧嘩で暴行罪や傷害罪は成立する?ケンカで逮捕されるケースを解説!

喧嘩で暴行罪・傷害罪は成立する?
弁護士 若林翔
2024年07月01日更新

つい熱くなって喧嘩をしてしまい、「暴行罪や傷害罪になるのでは…?」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

「喧嘩両成敗」という言葉があるように、喧嘩をすれば、両者ともに罪に問われる可能性があります。

特に、相手にケガを負わせてしまった場合、傷害罪として重い刑事罰を受ける可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、

・喧嘩が「暴行罪」や「傷害罪」になるケース

・喧嘩で逮捕される場合の流れ

・喧嘩トラブルを起こしてしまったときにするべきこと

などを解説します。

喧嘩トラブルを解決するために、是非ご一読ください。

喧嘩は両者が「暴行罪」又は「傷害罪」になりうる

喧嘩をした場合、両者ともに、暴行罪や傷害罪に問われる可能性があります。

ただの喧嘩であっても、

・相手に対して「暴行」を加えると「暴行罪」が、

・暴行によって相手に「ケガ」を負わせると「傷害罪」が

成立してしまうのです。

「喧嘩両成敗」という言葉のとおり、喧嘩をすると両者が共に罰せられる可能性があるため、十分に注意が必要です。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されやすいケースについては、後述します。

※関連記事

暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件や刑罰の違いを弁護士が解説

 

相手から先に手を出した喧嘩は正当防衛?

相手が先に手を出してきたのであれば、「正当防衛が成立するのでは?」と考える人もいるでしょう。

確かに、喧嘩で正当防衛が成立するケースはゼロではありません。

しかし、実際のところ、喧嘩で正当防衛の要件を満たすケースは少ないです。

喧嘩で正当防衛を主張するには、次の5つの要件を「全て」満たす必要があるからです。

喧嘩で傷害罪や暴行罪になる場合、正当防衛は成立する?

例えば、逃げることができる状況だったのに、反撃して喧嘩になった場合は、「防衛行為の必要性」に欠けると判断されます。

また、「(積極的に)相手を傷つけてやろう」という意図があったとみなされると、「侵害の急迫性」がないと判断される可能性が高まります。

喧嘩が正当防衛の要件を満たすハードルは高く「相手が先に手を出したから正当防衛だ」と考えるのは危険です。

たとえ相手が先に手を出したとしても、喧嘩に発展した時点で、両者が「暴行罪」や「傷害罪」に問われる可能性があるのです。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されやすいケース

喧嘩によって、暴行罪・傷害罪で逮捕されやすいのは、次のようなケースです。

・相手が重いケガを負っている

・被害届が出されている

・公共の場で発生している

・警察沙汰になっている

・刃物を使っている

・止めにかかった人にも被害が出ている

・過去にも傷害罪で逮捕されたことがある

上記のようなケースでは、すぐに弁護士に相談することが必要です。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されにくいケース

一方、次のようなケースでは、暴行罪や傷害罪で逮捕されるリスクは比較的少なくなります。

・口喧嘩だけで終わっており、手を出していない

・正当防衛が成立している

・喧嘩の相手と示談が成立している

手を出していない場合は、そもそも暴行行為(有形力の行使)がないため、暴行罪や傷害罪で逮捕されることはありません。

また、正当防衛が成立している場合も、犯罪が成立しないため、逮捕されるリスクは無くなります。

喧嘩相手と示談している場合も、逃亡や証拠隠滅の恐れが無いと判断されるため、逮捕される可能性が低くなるでしょう。

喧嘩で暴行罪・傷害罪が成立するとどうなる?逮捕までの流れ

それでは、喧嘩で暴行罪や傷害罪が成立すると、どのような流れで逮捕されるのでしょうか。

喧嘩で逮捕される場合は、大きく「現行犯」で逮捕されるケースと「後日逮捕」されるケースに分けられます。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕されるまでの流れ

喧嘩は現行犯で逮捕される場合が多い

喧嘩をして暴行罪や傷害罪が成立する場合、現行犯で逮捕されるケースが多いです。

現行犯逮捕とは、犯罪が行われている現場で、「逮捕状」などの事前手続きなしで逮捕する方法です。

例えば、

・飲食店などの公共の場で喧嘩してしまい、警察に通報された

・警察が駆けつけたところ、どちらかがケガをしていた

・喧嘩を止めようとした警察に手を出してしまった

といったケースで逮捕されるのが、現行犯逮捕の典型例です。

なお、現行犯逮捕は、警察以外でも行えるため、その場に居合わせた第3者に私人逮捕されて、警察に引き渡されるケースもあります。

後日になって警察から呼び出される場合もある

喧嘩の相手からの被害届や、目撃者からの通報により、後日になって警察から呼び出される場合もあります。

事情聴取の結果、暴行罪や傷害罪が認められ、逮捕する必要性があると判断されると、喧嘩から数日経っていても、逮捕されてしまう可能性があるのです。

万が一、警察から呼び出しがあった場合は、次の点に注意しましょう。

・黙秘権がある

・安易な供述は、自分を不利にする場合がある

・できれば、先に示談を成立させておく

・弁護士に相談して、事前にアドバイスを受けておく

事情聴取で回答した内容は、供述調書として記録されます。

供述は拒否することもできますが、供述を拒否することで

「証拠隠滅や逃亡のおそれがある」

と判断されて、逆に逮捕につながってしまう場合もあるため注意が必要です。

万が一、警察に呼び出された場合は、早急に弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕された後の流れは?

喧嘩が原因であったとしても、逮捕後の流れは、通常の刑事事件と変わりません。

逮捕後は、次のような流れとなることが一般的です。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で逮捕された場合の流れ

まずは警察で取り調べを受けた後、検察に事件が引き継がれます(送致)。

その後、検察官によって起訴判断が行われ、起訴されると刑事裁判にかけられます。

逮捕後の拘束は「最長23日間」に渡るため、速やかに弁護士に相談して、弁護活動を開始することが必要です。

傷害罪の逮捕については、次の記事で詳しく解説しています。

「【必読】傷害罪の逮捕を回避するには?逮捕の要件と逮捕後の流れ」

微罪処分となるケースもある

喧嘩では、暴行罪や傷害罪が成立しても、必ずしも刑事裁判になるわけではありません。

喧嘩の内容や状況によっては、「微罪処分」となるケースもあります。

※微罪処分とは?

警察段階で刑事手続を終了させる刑事処分のこと。

「微罪処分」になれば、検察に事件が引き継がれることはなく、すぐに釈放されて、前科もつかない

喧嘩が微罪処分となった場合の流れは、次のとおりです。

1,喧嘩で逮捕又は呼び出しを受ける

2,警察から事情聴取を受ける

3,身元引受け人(家族や上司)に連絡が行く

4,身元引受け人が、身元引受書を提出する

5,釈放される

ただし、喧嘩が微罪処分となるかどうかは、「喧嘩になった状況」「被害弁済の有無」「反省の意思」など、様々な要件を考慮して決められます。

例えば、喧嘩の原因が些細なことで、けがの程度も軽微であれば、微罪処分になる可能性が高いでしょう。また、示談が成立し、相手が処罰を望んでいない場合も、微罪処分になりやすいといえます。

弁護士が介入し、早期に弁護活動を開始することで、微罪処分になる可能性を高めることができるでしょう。

暴行罪・傷害罪の他に喧嘩で成立する犯罪

喧嘩では、暴行罪・傷害罪のほかにも、様々な犯罪が成立する可能性があります。

喧嘩で傷害罪の他に成立する犯罪

傷害致死罪

喧嘩によって、万が一、相手が死亡してしまうと「傷害致死罪」が成立します。

(傷害致死)第二百五条

身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

殺意が無かったとしても、暴力を振るい、打ちどころが悪く死亡してしまった等のケースで「傷害致死罪」になる可能性があるので注意しましょう。

集団暴行罪

複数人で喧嘩したようなケースでは、「暴行罪」ではなく「集団暴行罪」が成立する可能性があります。

暴力行為等処罰に関する法律(第1条)

「数人共同して刑法208条(暴行罪)の罪を犯したる者は、3年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処す」

集団暴行罪については、次の記事で詳しく解説しています。

「集団暴行罪?自分が暴行していない場合は?暴行罪との違いも解説!」

器物損壊罪

喧嘩によって感情が高ぶり、周囲の物を壊してしまうと「器物損壊罪」も成立する可能性があります。

(器物損壊等)第二百六十一条

前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

喧嘩で暴行・傷害事件を起こしたらするべきこと

喧嘩で暴行事件や傷害事件を起こしてしまった場合、どのような対応をすべきでしょうか。

暴行・傷害事件を起こしてしまったときの対処法を説明します。

喧嘩で暴行罪・傷害罪にならないためにするべきこと

喧嘩になった状況を整理する

まずは、喧嘩になった状況を整理することが重要です。

喧嘩に至った経緯や、暴行・傷害の具体的な内容、相手の反応などを時系列で整理しましょう。冷静に状況を整理することで、弁護士に相談する際にも、スムーズに事情を説明できるはずです。

弁護士に相談する

喧嘩で暴行・傷害事件を起こしてしまったら、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談することで、トラブル解決の糸口が掴めるだけでなく、今後の見通しについても教えてもらうことができます。

例えば

・逮捕されるリスクは高いのか

・罰金や懲役刑になる可能性があるのか

・今するべきことが何なのか

など、喧嘩の状況に応じた適切な対処方法をアドバイスしてもらえます。

また、警察に呼び出された場合も、事前に弁護士に相談しておくことで、不利な供述をしてしまうリスクに備えることができるでしょう。

喧嘩で暴行・傷害事件を起こしてしまった場合は、一人で抱え込まずに、早めに弁護士に相談することが重要です。

喧嘩の相手と示談する

喧嘩による暴行・傷害事件を解決するには、喧嘩相手との示談が重要です。

示談とは、相手に謝罪し、示談金を支払うことで、和解契約を締結することをいいます。

示談が成立すれば、当事者間の問題が解決したとみなされるため、警察の捜査が中止したり、刑事事件が不起訴になる可能性が高くなります。

ただし、示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

当事者間で示談交渉を進めようとすると、

・連絡を拒否されてしまう

・感情的なトラブルに発展する

・示談金の相場が分からない

など、様々な問題が生じてしまうからです。

弁護士に示談交渉を依頼することで、スムーズに示談を成立できるはずです。

喧嘩で暴行・傷害事件を起こしてしまったら、弁護士に相談して、速やかに示談交渉を開始しましょう。

喧嘩による暴行・傷害事件の示談金相場

暴行・傷害事件の示談金相場は、事案によって大きく異なります。

例えば、軽い喧嘩であれば「10万〜100万」程度で示談できる場合もありますが、相手が重いケガを負っているようなケースでは「1000万」を超える可能性もあります。

暴行・傷害事件の示談金は、

・暴行、傷害行為の悪質性

・ケガの重さ

・被害者の損害の大きさ

・処罰感情の大きさ

・社会的地位

など、様々な要素が考慮されて決まるため、一概には言えないのです。

適正な示談金額を知るためには、弁護士に相談することをおすすめします。

※暴行罪・傷害罪の示談金については、次の記事で詳しく解説しています。

「暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説」

「傷害罪の示談金の相場は?示談金を決める要素や示談の流れを解説」

喧嘩についてのよくある質問

喧嘩について、暴行罪・傷害罪のよくある質問

喧嘩で逮捕される可能性はどれくらい?

喧嘩で逮捕される可能性は、喧嘩の状況によって異なります。

事件の見通しが知りたい方は、弁護士にご相談ください。

中学生の喧嘩でも暴行罪や傷害罪になる?

中学生の喧嘩でも、暴行罪や傷害罪は成立します。

ただし、未成年であれば「刑罰」を受けることはありません。

(責任年齢)第四十一条

十四歳に満たない者の行為は、罰しない。

なお、民事上の賠償責任は発生する可能性があるため、弁護士に相談することをおすすめします。

カップルの喧嘩でも暴行罪や傷害罪が成立する?

カップルの喧嘩でも、暴行罪や傷害罪が成立する可能性があります。

カップル間の喧嘩だからといって、暴行や傷害が許される理由にはなりません。

【実績多数】暴行・傷害事件に強いグラディアトル法律事務所の解決事例  

最後に、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所の解決事例を紹介します。

喧嘩トラブルの解決事例(暴行罪・傷害罪など)

飲食店で喧嘩をして暴行罪で逮捕!翌日の釈放から不起訴処分

1つ目は、飲食店で喧嘩してしまい、暴行罪で逮捕されてしまった事案です。

ご依頼者様は、飲食店勤務の30代の男性。

ご友人数人とお酒を飲んでいたところ、酔った友人が喧嘩を始めてしまい、ご依頼者様も巻き込まれてしまったとのこと。

ご依頼者様も相手のご友人を殴ってしまい、その場で警察に現行犯で逮捕されてしまったそうです。

ご相談をいただいた後、すぐに弁護士が接見に行きました。

そして、長期間の身柄拘束をしないように、意見書を作成。また、ご依頼者様の勤務先の社長に連絡して、身元引受人になってもらい、身柄引受書を提出しました。

同時に、被害者の方に連絡を取り、示談交渉を開始。

様々な方面から、弁護活動を進めたところ、ご依頼者様は逮捕翌日に釈放され、無事に不起訴となることができました。

座席をめぐった言い争いから暴行事件へ!示談金0円で和解

2つ目は、カフェでの座席をめぐった言い争いから暴行事件へ発展し、逮捕されてしまった事案です。

ご依頼者様は、30代の女性。

混雑したカフェで、座席をめぐって言い争いになり、相手の男性がご依頼者の顔に唾を吐きかけてきたため、つい熱くなって相手の顔を殴ってしまったとのこと。

言い争いは激しいもみ合いに発展し、目撃者から通報されて、暴行罪で逮捕されてしまったそうです。

ご依頼者様は、ネット配信番組に出演する仕事をされており、早く仕事に復帰しなければならなかったため、刑事事件を多数取り扱っているグラディアトル法律事務所にご相談いただきました。

依頼を受けた弁護士は、その日のうちに警察署で接見。

そして

身元引受け人(夫)の署名

早期釈放を求める書面の作成

証拠隠滅や逃亡の可能性はないことの説明

など、必要な弁護活動を迅速に進めて行きました。

ご依頼者様と相談して、示談交渉も開始し

・互いに謝罪すること

・互いに処分を求めないこと

・互いに金銭を請求しないこと

などを相手方代理人に伝えたところ、示談金0円で無事に示談が成立

ご依頼者は早期に釈放され、不起訴となることができました。

喧嘩による暴行罪・傷害罪で悩んだら、グラディアトル法律事務所へ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・喧嘩でも「暴行罪」や「傷害罪」は成立する

・相手から手を出しても必ず「正当防衛」になる訳ではない

・後日になって警察に呼び出されることもある

・逮捕を防ぐには相手との示談が重要

喧嘩トラブルを起こしてしまい不安を感じている方は、暴行・傷害事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの暴行・傷害事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。

LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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