横領事件の加害者は、横領したお金を返済する義務を負います。
返済義務を果たせなければどんどん不利な状況に追い込まれ、最悪の場合は、裁判で懲役刑を言い渡されるおそれがあります。
しかし、横領したお金をすでに使っている場合など、加害者が被害金を全額返済できないケースは少なくありません。
この場合、少しでも穏便な解決を目指すのであれば、弁護士と相談しながら早急に対策を講じていくことが重要です。
本記事では、横領したお金を返済できない場合のリスクと対処法を解説します。
不起訴処分や執行猶予付き判決の可能性を少しでも高めたい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
目次
横領したお金を返済できない場合は刑事事件に発展する可能性が高くなる
横領したお金を返済できない場合は、刑事事件に発展する可能性が高くなります。
被害者が一番に望んでいることは、横領されたお金の回収です。
返済の見込みがない場合は、警察に被害届や告訴状を提出し、刑罰をおそれた加害者から被害金を回収しようとするのが一般的な流れといえます。
また、被害者は強い処罰感情を抱いているケースが多いため、被害金を回収できないのであれば、刑事事件として加害者に法的な制裁を与えようとするのも自然なことです。
詳しくは後述しますが、刑事事件化するとさまざまな不利益を受けることになります。
そのため、全額返済が難しい場合でも返済の意思を示し、可能な限り誠意ある対応をとることが大切です。
横領事件が刑事事件化した場合のリスク
次に、横領事件が刑事事件化した場合のリスクを解説します。
逮捕される可能性がある
横領事件が刑事事件化すると、逮捕される可能性があります。
警察が捜査を開始し、証拠が十分に揃ったうえで、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には逮捕の要件を満たすためです。
逮捕後は検察に送致され、捜査の進捗次第では、勾留によって最大20日間の身柄拘束を受ける可能性もあります。
ただし、被害額が小さい場合や捜査に協力する姿勢を示している場合などは、在宅事件として扱ってもらえるかもしれません。
事件化が予想される際は逮捕を回避するためにも、できるだけ早く弁護士に相談してください。
関連コラム:横領で逮捕されるケースとは?逮捕のリスクや逮捕回避の対処法を解説
起訴され有罪になると刑罰に処される
横領事件が刑事事件化し、起訴され有罪になると刑罰に処されることになります。
実際に言い渡される刑罰は、犯行の悪質性や被害額、反省の程度などを考慮して決定されます。
なかでも重視されるのは、被害弁償の有無です。
横領したお金が返済されていない場合は、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得が難しくなります。
関連コラム:業務上横領の量刑はどのくらい?執行猶予や刑期に影響する要因も解説
横領したお金を返済できない場合の対処法
次に、横領したお金を返済できない場合の対処法を解説します。
被害弁償するかしないかで、その後の処遇は大きく変わってくるので、被害者の理解を得られるように最善を尽くすことが重要です。
分割払いを提案する
横領したお金を返済できない場合は、分割払いを提案してみるのもひとつの方法です。
会社にとって被害金の回収は最優先事項ですが、必ずしも回収を急いでいるわけではありません。
そのため、最終的に全額を返済できるのであれば、分割払いで時間がかかっても許容してもらえる可能性があります。
分割払いを提案する際は、自身の収支状況を整理し、実現可能な返済計画を立てたうえで交渉を持ち掛けることが重要です。
また、初回の支払額をできるだけ大きくするなど、被害弁償の意思があることも示せば会社側の信頼を得やすくなります。
分割払いが合意に至った場合は書面で契約を交わし、確実に履行していくようにしましょう。
示談交渉での解決を目指す
横領したお金を返済できない場合は、示談交渉のなかで被害者の妥協点を見いだし、解決を目指すのも有効な対処法といえます。
被害者側は、できる限りの早期解決を望んでいるはずです。
そのため、交渉次第では、ある程度返済額を減額したうえで、示談に応じてもらえる可能性も残されています。
なお、示談の内容を示談書にまとめる際には、以下のような項目を入れておくとよいでしょう。
- ・今後、警察に対して被害届や告訴状は提出しない
- ・示談書に記載した内容以外に債権債務関係がないことを相互に認める
ただし、被害者との直接交渉は余計なトラブルを招くおそれがあるのでおすすめしません。
交渉の申入れから示談書の作成まで、示談に関することは弁護士に任せるのが賢明な判断といえます。
家族・知人や金融機関からの借入れを検討する
横領したお金を返済できない場合は、家族・知人や金融機関からの借入れも検討しましょう。
人によっては、家族や友人に嫌な顔をされたり、金融機関からの借入れによって借金ができたりすることに、抵抗を感じる場合があるかもしれません。
しかし、懲役になったり前科がついたりすることに比べると、借金も大した問題にはならないはずです。
もちろん、借りたお金を返済できなければ新たなトラブルが生じてしまうので、自身の返済能力を十分に考慮し、長期的な視点で判断することが大切です。
不当な要求を受けている場合は法的な対応をとる
被害金の返済に関して不当な要求を受けている場合は、法的な対応をとるようにしてください。
たとえば、分割払いに際して違法な利息を要求されたり、慰謝料などの名目で返済額が大幅に上乗せされているようなケースです。
不当な要求に対しては落ち着いて反論し、当事者間での解決が難しい場合には調停や訴訟などで解決することも検討しましょう。
ただし、自力で法的措置をとることは簡単ではないため、まずは弁護士に相談して、アドバイスを受けることが大切です。
横領事件が得意な弁護士に相談する
横領したお金を返済できない場合は、一人で悩むのではなく、横領事件が得意な弁護士に相談してみてください。
豊富な知識と経験を持つ弁護士であれば、個々のケースに合わせた最善の対処法を提案・実行してくれるはずです。
また、弁護士が介入することで不当な要求から身を守り、公平で合法的な問題解決が期待できるでしょう。
少しでも穏便な解決を望むのなら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。
当事者間で強い対立関係が生じたあとでは、弁護士でも手に負えなくなる可能性があります。
初回相談であれば無料で対応している法律事務所も多いので、まずは一度相談してみて、アドバイスを受けるようにしましょう。
関連コラム:横領事件の弁護士費用はいくら?内訳・相場や弁護士選びのコツを解説
【注意】横領事件では返済できない場合に自己破産しても賠償義務は残る
横領したお金を返済できない場合、自己破産しても賠償義務は残る点に注意が必要です。
通常の借金であれば、自己破産によって返済義務が免除されます。
しかし、横領のような悪意に基づく不法行為によって生じた損害賠償請求権は「非免責債権」に該当するので、自己破産による免除の効力が及びません。
多額の借金を抱えている場合には、自己破産によって被害金の返済にお金を回せるようになることもあるかもしれません。
しかし、自己破産をしても、横領の被害弁償から逃れられるわけではないことを理解しておきましょう。
横領したお金の返済に関してよくある質問
最後に、横領したお金の返済に関してよくある質問を紹介します。
横領の罪で刑罰を受ければ返済する必要はなくなる?
横領の罪で刑罰を受けたとしても、被害金を返済する義務がなくなることはありません。
刑事上の責任と民事上の責任は、別々に存在しているためです。
たとえば、懲役刑に処されている間にも、被害者から損害賠償請求を受ける可能性はゼロではありません。
一方で、被害金を返済することは、起訴・不起訴や量刑の判断時に有利な事情として扱われる可能性があります。
返済できない場合は家族が責任を問われることもある?
横領したお金を返済できない場合、何も知らない家族は原則として責任を負いません。
しかし、横領の事実を知りつつお金を受け取っていた場合は、不当利得として返還を求められる可能性があります。
たとえば、夫が会社のお金を横領し、妻がそれを知りながらブランド品を購入していたのであれば、妻に対して不当利得返還請求がなされるかもしれません。
横領事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ・横領したお金を返済できない場合は刑事事件に発展するおそれがある
- ・横領事件が刑事事件化すると逮捕や起訴の可能性が出てくる
- ・横領したお金を返済できない場合は分割払いの提案や、借入れを検討する
- ・横領したお金の返済に関する取り決めは弁護士に相談することが重要
- ・自己破産しても横領したお金の返済義務は残る
横領事件においては、被害金の返済を最優先に考えるべきです。
被害金を返済できなければ、自身の立場はどんどん悪くなっていきます。
そのため、今すぐに返済できない事情がある場合でも、分割払いを提案するなど最大限の誠意をみせ、被害者と和解することが重要です。
刑事事件が得意な弁護士であれば、自身が置かれている状況の中でできることを検討してくれるので、今すぐにでも相談してください。
実際にグラディアトル法律事務所では、これまでに数々の横領事件を取り扱い、解決へと導いてきました。
弊所では、経験豊富な弁護士が24時間365日、いつでも相談に応じられる体制を整えています。
初回相談は無料、LINE相談も受け付けているので、一人で悩む前にまずはお問い合わせください。