横領事件を円滑に解決するためには、専門的な知識・経験や交渉力が求められます。
そのため、自力での対応は難しく、弁護士のサポートが必要不可欠といえるでしょう。
弁護士に相談・依頼すれば、個々のケースに合わせた最善の方法で処理を進めてくれるので、事件化する前に解決したり、不起訴処分を獲得したりすることも可能です。
しかし、弁護士費用が気がかりで、弁護士への依頼をためらっている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、横領事件における弁護士費用の内訳や相場について解説します。
弁護士に相談するメリットや相談時に注意点なども記載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
横領事件における弁護士費用の目安は50~200万円
横領事件における弁護士費用の目安は、50~200万円程度です。
詳しくは後述しますが、相談料・着手金・報酬金などの費用負担が発生します。
人によっては、数十万円以上の弁護士費用を支払うことに抵抗を感じるかもしれません。
しかし、逮捕や起訴のリスクに比べると、金銭的な負担はそれほど大きくならないはずです。
無料相談をうまく活用するなど費用負担を抑えることも可能なので、できる限り弁護士のサポートを受けるようにしましょう。
なお、弁護士費用は各法律事務所が個別に設定しているため、具体的な金額については直接確認する必要があります。
また、事件の態様や依頼するタイミングによっても、弁護士費用は変動する点に注意しておきましょう。
横領事件における弁護士費用の内訳と相場
ここでは、横領事件における弁護士費用の内訳と相場について解説します。
料金体系は法律事務所ごとに異なりますが、目安のひとつにはなるはずなので参考にしてみてください。
相談料|30分5,000円程度
弁護士との法律相談では、30分あたり5,000円程度の相談料が発生します。
法律相談は、弁護士に依頼するかどうかを判断する際に利用するケースが一般的です。
弁護士から今後の対応方針についてアドバイスを受け、依頼するかどうかを判断する流れになります。
そのため、弁護士と委任契約を結んだあとは、原則として相談料は発生しません。
なお、初回相談に関しては、無料で受け付けている法律事務所も数多くあります。
依頼先を検討する際には、無料相談を有効活用し、各法律事務所の雰囲気や料金体系などを比較しましょう。
着手金|被疑者段階30~50万円程度、被告人段階30〜50万円程度
横領事件の弁護士費用には、着手金が含まれます。
着手金とは、事件処理を依頼した時点で発生する費用です。
被疑者段階で30〜50万円程度、被告人段階になると追加で30〜50万円程度かかるのが一般的といえるでしょう。
そのほか、事件処理の難易度や被害金額によっても、着手金が変動する可能性があります。
なお、希望通りに事件が解決しなかった場合でも、着手金は返還されない点に注意してください。
報酬金|30~100万円程度
横領事件の解決を弁護士に依頼すると、30〜100万円程度の報酬金が発生します。
報酬金は、弁護士の活動成果に応じて支払われるものです。
たとえば、不起訴処分を獲得した場合や執行猶予付き判決を得た場合などに報酬金が発生します。
ただし、何をもって成功とするかは個々のケースごとに異なるため、事前に弁護士と話し合っておくことが重要です。
日当|1日5万円程度
横領事件の弁護士費用として、日当が発生することもあります。
日当は、弁護士が出張した際に生じる費用です。
弁護士が接見のために警察署に足を運ぶ場合や、被害者との示談交渉に出向く場合などが該当します。
日当の料金設定は法律事務所ごとに異なりますが、1日当たり5万円程度が目安です。
なお、交通費や宿泊費などの実費が別途かかることもあるため、出張時に発生する費用についてはあらかじめ確認しておきましょう。
実費|事件処理の方法による
横領事件を弁護士に依頼した場合、通常は実費が発生します。
実費とは、通信費・郵送費・交通費などの事件解決に要した経費のことです。
後日まとめて清算するケースや随時請求されるケースなどがあります。
実費は事件処理の方法によって異なりますが、数万円以上に及ぶこともあるので、想定される金額については事前に示してもらうようにしてください。
横領事件の弁護士費用が高額になりやすいケース
次に、横領事件の弁護士費用が高額になりやすいケースを解説します。
自身が置かれている状況を振り返りながら、読み進めてみてください。
逮捕されている場合
横領事件で逮捕されている場合は、弁護士費用が高額になりやすいといえます。
逮捕後の対応はより複雑で緊急性が高く、弁護士が費やす労力と時間が大きくなるためです。
たとえば、横領が事件化する前であれば、相手方との示談交渉がメインの活動になるでしょう。
一方で逮捕されている場合は、示談交渉に加えて、接見や釈放要請、捜査機関とのやり取りなど多岐にわたる弁護活動が必要になるので、その分費用負担を求められることになります。
円滑な事件解決につながることはもちろん、弁護士費用の面でも、事件化する前に弁護士を頼ることが大切です。
横領額が大きい場合
横領額が大きい場合も、横領事件の弁護士費用は高額になる傾向があります。
横領額が大きいほど事件解決の難易度が増し、弁護士にかかる負担が大きくなるためです。
たとえば、横領額が数十万円の事件と数千万円の事件とでは、着手金や報酬金の金額が大きく異なります。
とはいえ、横領額が大きい事件は逮捕や起訴のリスクが高く、刑罰も重くなりやすいので、弁護士のサポートは必要不可欠です。
無罪を主張する場合
無罪を主張する場合も、横領事件の弁護士費用は高額になります。
刑事事件において、無罪を獲得することは簡単ではありません。
証拠の収集や法廷での弁論など、より綿密な準備と専門的な知識が求められるため、弁護士に対する報酬が高額になるのも当然のことといえるでしょう。
また、無罪を主張する場合は裁判が長期化しやすいので、弁護士費用が予想以上に膨れ上がる可能性があります。
そのため、追加費用の発生条件などは事前に漏れなく確認しておくことが重要です。
弁護士費用を支払ってでも横領事件への対応を相談・依頼するメリット
ここでは、弁護士費用を支払ってでも、横領事件への対応を相談・依頼するメリットを解説します。
被害者との示談交渉を円滑に進めてくれる
横領事件への対応を弁護士に相談・依頼すれば、被害者との示談交渉を円滑に進めてくれます。
横領事件の円滑な解決に向けては、示談の成立が何よりも重要です。
早期に示談が成立すれば、逮捕や起訴を回避できる可能性が大幅に高まります。
交渉のプロでもある弁護士なら、専門的な知識と経験を活かして、被害者と適切なコミュニケーションを図り、双方が納得できる和解案を見出すことが可能です。
また、感情的な対立を避け、示談交渉を冷静に進められるようになる点も弁護士が介入する大きなメリットといえます。
当事者間での示談交渉はさらなるトラブルにつながるおそれがあるので、基本的には弁護士に任せるようにしましょう。
逮捕されてもすぐに接見してもらえる
横領事件への対応を相談・依頼するメリットとしては、逮捕されたときにすぐに接見してもらえる点も挙げられます。
逮捕後72時間に、加害者と話し合う機会を得られるのは弁護士だけです。
弁護士に接見してもらえば、黙秘権行使のタイミングや取り調べでの振る舞い方などの助言を受けられるので、長期間にわたる身柄拘束を回避しやすくなります。
また、弁護士の指示に従っていれば、裁判に発展した場合でも、取り調べでの不用意な言動で不利な状況に陥るようなことはなくなるでしょう。
とはいえ、実際に逮捕されてからだと、弁護士が介入できる範囲も狭くなってしまいます。
万が一の事態に備え、事件化する前から弁護士に相談しておくことが大切です。
自首する際に同行してくれる
自首する際に同行してくれる点も、横領事件を弁護士に相談・依頼するメリットのひとつです。
自首した場合、通常は取り調べを受けることになります。
そこで、弁護士が自首に同行していれば、取調室の近くで待機してくれるので適宜助言を受けることが可能です。
不当な取り調べがおこなわれている場合には、弁護士から強く抗議してもらうこともできます。
また、自首にはメリット・デメリットがあるため、自身のケースにおいて自首するべきかどうかを判断してもらえる点も、弁護士に相談する大きなメリットといえるでしょう。
裁判への対応も任せられる
弁護士に相談・依頼していれば、裁判に発展した場合の対応も任せられます。
前提として、証拠の収集や弁論の組み立て、裁判所とのやり取りなど、裁判に必要な作業を自力でこなすことは現実的ではありません。
裁判を乗り越えるには、専門的な知識・経験を有する弁護士のサポートが必要不可欠です。
横領事件が得意な弁護士であれば、個々のケースに合わせた効果的な主張をおこなってくれるので、減刑や執行猶予付きの判決を獲得できる可能性が格段に高くなります。
特に早い段階から弁護士に依頼している場合は、裁判への対応もスムーズに進めてもらえるはずです。
横領事件に関して弁護士に相談する際のポイント
ここでは、横領事件に関して弁護士に相談する際のポイントを解説します。
早期に相談する
横領事件に関して弁護士にサポートを求める際は、できるだけ早い段階で相談することが大切です。
弁護士はそのときどきで最善の対応をとることはできますが、相談するタイミングが早ければ早いほど、より効果的な弁護活動を実行できます。
たとえば、横領の疑いをもたれた時点で相談していれば、弁護士が早期に示談を進め、被害届や告訴状の提出を食い止められるかもしれません。
また、逮捕直後に相談していれば、弁護士の弁護活動によって早期釈放を実現し、不起訴処分を獲得できることもあるでしょう。
介入するタイミングが遅くなるほど、弁護士が対応できる範囲が限定されてしまうので、少しでも早い相談を心がけてください。
事実関係を整理しておく
横領事件に関して弁護士に相談する際には、事前に事実関係を整理しておきましょう。
事実関係を正確に伝えることができれば、弁護士も事案の全体像を掴みやすくなり、最適な対応策を検討できるようになります。
また、初回相談は無料に設定されているケースも多いですが、30分程度の時間制限があるので、事実関係の伝達は素早く済ませたいところです。
横領事件であれば、犯行の日時・被害金額・横領行為の態様・関与した人物などをメモにまとめておくとよいでしょう。
なお、事実関係の整理は客観的な視点でおこなうようにしてください。
推測や憶測は避け、確実な情報のみをピックアップしていくことが重要です。
関係書類や証拠をできる限り集めて持参する
関係書類や証拠をできる限り集めて持参することも、弁護士との相談をスムーズに進めるためのポイントです。
弁護士に対して口頭で説明するだけでなく、関係書類や証拠を提示できれば、事件の詳細を正確かつ迅速に理解してもらえます。
また、必要以上の罪を疑われないようにするためにも、自身の犯行を証明するものを揃えておくことが重要です。
たとえば、口座の入出金記録や横領したお金を使用したときの領収証などがあれば、持参するようにしましょう。
どのような書類・証拠が必要なのかわからない場合には、その点を含めて弁護士に相談してみてください。
自身にとって不利な事実も正直に話す
弁護士に対しては、自身にとって不利な事実も正直に話すようにしましょう。
嘘や隠し事をしていると、あとで予期せぬ問題が発生し、弁護活動に支障をきたす可能性があります。
また、弁護士との信頼関係を築くうえでも、正確な情報開示は必要不可欠です。
弁護士との会話は守秘義務によって保護されているため、外部に漏れる心配はありません。
どんな状況でも弁護士は味方になってくれるので、安心して真実を伝えるようにしてください。
横領事件における弁護士選びのポイント
ここでは、横領事件における弁護士選びのポイントを紹介します。
どの弁護士に依頼するかによって最終的な成果は大きく変わるので、あとで後悔しないためにも一つひとつのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
横領事件が得意で十分な実績があるか
まずは、横領事件が得意で十分な実績がある弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士は法律全般の専門家ですが、それぞれ得意分野を持っています。
横領事件を得意とし、豊富な実績がある弁護士であれば、解決ノウハウが蓄積されているはずなので、スムーズな事件処理が期待できるでしょう。
反対に、横領事件を扱ったことのない弁護士に依頼しても、思うような成果は得られないかもしれません。
また、加害者側の弁護経験が豊富かどうかをチェックしておくことも大切です。
弁護士の得意分野や実績はホームページなどに掲載されているので、漏れなく確認するようにしてください。
横領事件に関する著書やコラムを書いている場合は、弁護士の信頼性がさらに高まります。
迅速な対応が期待できるか
迅速な対応が期待できるかどうかも、弁護士選びの際にチェックしておくべきポイントです。
横領事件では、初期対応がその後の処遇を大きく左右します。
迅速に対応できる弁護士であれば、示談交渉の準備や捜査対応などを速やかに進めてくれるため、事態の悪化を防ぐことが可能です。
横領が発覚した直後に弁護士に相談・依頼すれば、事件化する前に解決できる可能性も十分あるでしょう。
具体的には、土日も含めて24時間対応可能であり、複数の弁護士が所属する法律事務所が望ましいといえます。
また、こちらからの問い合わせに対して、迅速に回答してくれるかどうかも確認しておきましょう。
説明が丁寧でわかりやすいか
説明が丁寧でわかりやすいかどうかも、弁護士選びのポイントのひとつです。
横領事件にはさまざまな法律が関係しているため、専門的な知識がなければ理解しにくい部分も出てきます。
そのため、一方的に説明してくる弁護士に相談してしまうと、今はどういう状況で、今後どのようにしていけばよいのか理解できないまま、事件処理が進んでいくおそれがあります。
結果として、自身が望まない結果になってしまう可能性も否定できません。
その点、わかりやすい説明ができる弁護士に依頼すれば、認識の相違が生じることなく、依頼者に寄り添った弁護活動をおこなってくれます。
相性がよいと感じるか
横領事件で弁護士を探す際には、相性がよいと感じるかどうかも重要なポイントといえるでしょう。
横領事件の解決には、依頼者と弁護士との密接な協力関係が必要です。
安心して会話できる弁護士であれば、円滑なコミュニケーションが可能になり、スムーズに事件処理を進められます。
また、信頼できる弁護士が味方にいれば、精神的な支えにもなるはずです。
相性は主観的な要素が大きいため、ネット情報や人づてに聞いた話だけでは判断しきれない部分もあります。
そのため、無料相談の機会を利用して、弁護士の話し方や態度、質問への応答の仕方などを確認しておくとよいでしょう。
横領の罪に問われたときはグラディアトル法律事務所に相談を!
本記事のポイントは以下のとおりです。
- ・横領事件における弁護士費用の目安は50~200万円
- ・逮捕されている場合や横領額が大きい場合などは横領事件の弁護士費用が高額になりやすい
- ・費用を支払ってでも横領事件への対応は弁護士に相談・依頼するべき
- ・できるだけ早く、事前準備を整えたうえで弁護士に相談することが重要
- ・弁護士を選ぶ際は実績や対応スピード、人柄などをチェックする
横領事件で起訴され、有罪になると重い刑罰に処されてしまいます。
対応が遅れると取り返しのつかない状況に陥る可能性もあるので、自身が加害者になったときは迷わず弁護士に相談してください。
弁護士費用は発生しますが、前科がついたり、懲役になったりすることに比べれば負担にならないはずです。
グラディアトル法律事務所では、横領事件を得意とする弁護士が24時間365日体制で相談に対応しています。
迅速な対応が可能なので、少しでも不安がある方はいつでもご相談ください。
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