不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は?払えない場合の対処法も解説

不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は?払えない場合の対処法も解説
弁護士 若林翔
2024年11月24日更新

不同意性交等罪は重大な犯罪であり、被害者の処罰感情も大きくなりやすいため、慰謝料を含む示談金は高額になる傾向があります。

実際に、同意なく性行為に及んだ相手から示談金を求められ、「いくらであれば妥当な金額といえるのか」「示談金の金額はどのように決められているのか」など、さまざまな不安や疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、不同意性交等罪の示談金相場は100〜500万円が相場です。

しかし、示談金は個々のケースごとに検討されるべきものであり、適正額を判断することは簡単ではありません。

そのため、被害者から示談金の支払いを求められた場合は、弁護士に相談し、助言を受けるようにしてください。

実際にグラディアトル法律事務所では、以下のような事件に関与し、示談を成立させてきました。

罪名示談金額処分概要
不同意性交50万円刑事事件化せず酒に酔って利用したデリヘルで本番行為 
→被害者女性は同日に警察へ相談
→客側は同日に事情聴取などを受け、 翌日に弊所へ依頼
→依頼同日から弁護士が相手方と交渉開始
→50万円で示談が成立し、事件化する前に解決
不同意性交500万不起訴会社の上司が部下と愛人関係・性的関係にあった→部下が脅迫されて性行為をしたと主張
→後日部下が警察へ相談→2日後に上司が逮捕され、弊所へ依頼
→冤罪を主張しつつ、被害者と示談交渉→500万円で示談が成立し、翌日に釈放・不起訴処分
強制性交等罪30万不起訴デリヘル利用時に性行為を要求し拒否された
→3か月後に事情聴取などを受け、翌日に弊所へ依頼→すでに被害届は提出されており、在宅事件となる→30万円で示談成立
→被害届を取り下げてもらい、不起訴処分
強制性交等罪200万執行猶予ナンパした女性にキス・口腔性交を強制
→警察の事情聴取を受け、弊所へ依頼→同日に逮捕
→200万円で示談成立
→求刑懲役5年に対し、保護観察付き執行猶予5年・懲役3年の判決
わいせつ目的誘拐と監禁、強制性交等罪200万不起訴加害者3名が被害者を自宅に呼び出し飲酒→加害者のうち一人と被害者が性行為
→ほかの加害者も性行為に加わり、わいせつ行為
→1か月以上経過したあとに逮捕され、弊所へ依頼→200万円で示談成立し、不起訴処分

本記事では、不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場について詳しく解説します。

示談金が高額で支払えない場合の対処法も記載しているので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は100~500万円程度

不同意性交等罪の慰謝料を含む示談金相場は、100~500万円程度です。

不同意性交等罪は、相手の同意を得ることなく性行為に及ぶという重大な犯罪であるため、身体を触るなどのわいせつ事件と比較して、慰謝料・示談金は高額になる傾向があります。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は100~500万円程度

とはいえ、示談金の金額は事案ごとに大きく異なります。

詳しくは後述しますが、犯行の悪質性や被害者の年齢などが影響し、場合によっては500万円以上の支払いが必要になることもあります。

そのため、被害者側から慰謝料・示談金を求められたときは、弁護士に相談し、適正額を判断してもらうことが重要です。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金に影響を与える要素

次に、不同意性交等罪の慰謝料・示談金に影響を与える要素を解説します。

主に4つのポイントが挙げられるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金に影響を与える要素

犯行の悪質性

不同意性交等罪の慰謝料・示談金を決定する重要な要素のひとつに、「犯行の悪質性」が挙げられます。

加害行為の態様や状況は、被害者が受けた精神的苦痛の程度に大きく影響するためです。

当然、犯行の悪質性が高いほど、慰謝料・示談金は高くなる傾向にあります。

たとえば、犯行が何度も繰り返されていた場合や、複数の加害者が関与した場合などは悪質性が高いと判断され、慰謝料・示談金の金額も高額になるでしょう。

反対に、犯行が一度だけで、被害者との間にある程度親密な関係性が見られるようなケースでは、慰謝料・示談金の額も比較的低く抑えられる可能性があります。

被害者の年齢

被害者の年齢も、不同意性交等罪の慰謝料・示談金額を増減させる要因のひとつとされています。

特に被害者が未成年の場合は、性犯罪によって深刻な心理的・発達的影響を受けやすいため、慰謝料・示談金も高額になることがほとんどです。

また、未成年に対する性犯罪では、保護者の心情も考慮しなければなりません

実際に示談交渉のなかで、強い処罰感情を抱いた保護者が高額な慰謝料を求めてくるケースも多く見られます。

なお、被害者が13歳未満の場合、または、加害者との年齢差が5歳以上離れた16歳未満の場合は、同意の有無にかかわらず不同意性交等罪が成立します。

傷害の有無・程度

不同意性交等罪またはその未遂罪を犯した結果、相手をケガさせた場合には、不同意性交等致傷罪の罪に問われます。

そして、身体的なけがも精神的苦痛を増大させる要因になるため、慰謝料・示談金の金額が高まる傾向にあります。

また、被害者がけがで仕事ができなくなったり、通院したりしている場合には、休業損害や治療費なども示談金に含まれる可能性が出てくるでしょう。

被害者が抱いている処罰感情の大きさ

被害者が抱いている処罰感情の大きさも、不同意性交等罪の慰謝料・示談金額に大きな影響を与えます。

被害者の処罰感情が大きい場合は、そもそも金銭的な補償による解決のハードルが高くなります

示談に応じてもらうためには、それなりに高額な示談金の支払いが必要になることを覚悟しておかなければなりません。

ただし、処罰感情は時間の経過や加害者の態度によって変化することもあります。

そのため、示談交渉の過程で、被害者の心情の変化を慎重に見極めながら、適切な金額を設定することが重要です。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金を支払うことの重要性

ここでは、不同意性交等罪の慰謝料・示談金を支払うことの重要性を解説します。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金を支払うことの重要性

不起訴になる可能性が高まる

不同意性交等罪の罪に問われた場合、慰謝料・示談金を支払うことは、不起訴処分を獲得するための重要な要素です。

示談を成立させれば、被害者と和解していることを示せるので、検察官が「和解しているならばあえて起訴する必要はない」と判断する可能性が高くなります。

また、金銭的な補償をおこなえば、被害者の処罰感情が和らぐことも多く、検察官が被害者の意向の変化を考慮して、不起訴処分とするケースも少なくありません。

なお、不同意性交等罪は2023年に新設されたものなので、正確な起訴率は不明です。

しかし、令和5年版犯罪白書によると、不同意性交等罪の前身ともいえる「強制性交等罪」の起訴率は約3割にのぼります。

初犯であっても起訴され、有罪になる可能性は十分あるので、示談の成立は必要不可欠といえるでしょう。

関連記事:

【不同意性交等罪の起訴率は32%?】不起訴になる3つの方法を解説

執行猶予を取るためには示談が最重要

刑事事件において執行猶予を取るためには、示談の成立が最重要です。

執行猶予判決を得るには、一定の要件を満たしたうえで、裁判官から「酌むべき情状がある」と認めてもらう必要があります。

「情状」には、加害者の年齢や前科・前歴の有無、当事者間の関係性などが含まれますが、中でも重要視されるのが示談成立の有無です。

示談の成立により、反省し、更生の意思があることを示せば、有利な情状として扱ってもらえます。

執行猶予が付くかどうかで、その後の社会生活への影響は大きく変わるので、たとえ起訴されたとしても、示談の成立を目指すことが大切です。

関連記事:

不同意性交等罪で執行猶予が付くのは20%?実刑を避けるポイント

不同意性交等罪の慰謝料・示談金が払えない場合の対処法

次に、不同意性交等罪の慰謝料・示談金が払えない場合の対処法を解説します。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金が払えない場合の対処法

逮捕されたり、前科がついたりすることによって生じる社会的な不利益は、お金で解決できるものではありません。

そのため、金銭的に余裕がない場合でも、示談の成立に向けて最大限努力することが大切です。

事情を説明して減額してもらう

不同意性交等罪の慰謝料・示談金が払えない場合は、被害者に対して事情を説明し、減額してもらうことを検討しましょう。

慰謝料を含む示談金の金額は、当事者間の話し合いによって自由に決められます。

こちらの経済状況を理解してもらうことができれば、支払い可能な金額での和解を実現できるかもしれません

ただし、減額交渉は被害者に悪い印象を与える可能性もあります。

そのため、被害者の心情に配慮しつつ、弁護士を通して交渉を進めていくことが重要です。

分割払いにできないか打診する

不同意性交等罪の慰謝料・示談金が一括で払えない場合は、分割払いを打診してみましょう。

被害者にとって示談金の金額は重要になるはずですが、必ずしも示談金の獲得を急いでいるわけではありません。

「一括で100万円を用意するのは難しいけれど、毎月10万円ずつなら支払える」といった具体的な支払い計画を提案をすれば、被害者側の理解を得られることがあります

また、最初にある程度まとまった金額を支払い、残額を分割で支払うのもひとつの方法です。

ただし、分割払いにすることで、捜査機関に対する示談の効果が薄れてしまう可能性もあります。

そのため、できるだけ短期間で支払う、保証人を付けるなど、被害回復の意思をしっかりと示すことも重要です。

【慰謝料・示談金額の実例】弁護士の支援により示談が成立した事例

不同意性交等罪の示談を成立させるためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。

グラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の性犯罪事件を取り扱い、示談を成立させてきました。

以下は、弊所が支援したことで示談が成立し、解決した事件の一例です。

罪名示談金額処分概要
不同意性交50万円刑事事件化せず酒に酔って利用したデリヘルで本番行為 
→被害者女性は同日に警察へ相談
→客側は同日に事情聴取などを受け、 翌日に弊所へ依頼
→依頼同日から弁護士が相手方と交渉開始
→50万円で示談が成立し、事件化する前に解決
不同意性交500万不起訴会社の上司が部下と愛人関係・性的関係にあった→部下が脅迫されて性行為をしたと主張
→後日部下が警察へ相談→2日後に上司が逮捕され、弊所へ依頼
→冤罪を主張しつつ、被害者と示談交渉→500万円で示談が成立し、翌日に釈放・不起訴処分
強制性交等罪30万不起訴デリヘル利用時に性行為を要求し拒否された
→3か月後に事情聴取などを受け、翌日に弊所へ依頼→すでに被害届は提出されており、在宅事件となる→30万円で示談成立
→被害届を取り下げてもらい、不起訴処分
強制性交等罪200万執行猶予ナンパした女性にキス・口腔性交を強制
→警察の事情聴取を受け、弊所へ依頼→同日に逮捕
→200万円で示談成立
→求刑懲役5年に対し、保護観察付き執行猶予5年・懲役3年の判決
わいせつ目的誘拐と監禁、強制性交等罪200万不起訴加害者3名が被害者を自宅に呼び出し飲酒→加害者のうち一人と被害者が性行為
→ほかの加害者も性行為に加わり、わいせつ行為
→1か月以上経過したあとに逮捕され、弊所へ依頼→200万円で示談成立し、不起訴処分

不同意性交等罪の慰謝料・示談金に関するよくある質問

最後に、不同意性交等罪の慰謝料・示談金に関するよくある質問を紹介します。

不同意性交等罪の慰謝料・示談金に関するよくある質問

慰謝料と示談金の違いは?

慰謝料は、被害者の精神的苦痛に対する金銭的な賠償のことです。

一方、示談金は当事者間双方が合意した損害賠償全般を指します。

つまり、示談金のなかに慰謝料が含まれているイメージです。

とはいえ、不同意性交等罪に関しては、身体を傷つけたり、物を壊したりということは基本的にないので、示談金のほとんどが慰謝料ということになります。

相手が示談金目的だった場合はどうする?

相手が示談金目的で「あのときの性行為には同意していなかった」などと言いがかりをつけてきた場合は、同意があったことを証明する証拠を集めて、反論していく必要があります。

たとえば、SNSでのやりとりや防犯カメラの映像などが残っていれば、冤罪を主張しやすくなるでしょう。

裁判で立証責任を負うのは被害者側ですが、加害者側としても当時の状況を丁寧に説明しなければ不利な立場に追い込まれる可能性もあります。

そのため、示談金目的だとわかっている場合でも、即座に弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けるようにしてください。

不同意性交の成立についてについて詳しく書いてますので、下記の記事もご覧ください。

不同意性交等罪の成立要件と冤罪を避けるための証拠6選を弁護士が解説

不同意性交等罪で慰謝料・示談金を請求されたときは弁護士に相談を!

本記事のポイントは、以下のとおりです。

  • ・不同意性交等罪の慰謝料・示談金相場は100~500万円程度
  • ・示談金は犯行の悪質性や被害者の年齢などによって変動する
  • ・不起訴処分や執行猶予付き判決を勝ち取るには示談が重要
  • ・示談金が支払えないときは減額や分割払いを打診する

同意のない性行為に及んだことが事実であれば、示談の成立を最優先に考えましょう。

不同意性交等罪の示談金は高額になるケースもありますが、起訴されるリスクを考えると、金銭的な痛手を負ってでも示談を成立させるべきです。

しかし、加害者が被害者と直接示談交渉することは現実的でないため、速やかに弁護士に相談・依頼してください。

上述のとおり、グラディアトル法律事務所でも、これまでに数々の依頼を受け、示談を成立させてきました

弁護士が早期に介入すれば、事件化する前に解決したり、不起訴処分・執行猶予判決が下されたりする可能性が格段に高まります。

弊所では、経験豊富な弁護士が24時間365日、初回無料で相談に対応しているので、お気軽にお問い合わせください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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