「傷害罪の示談金の相場はどのくらい?」
「示談金の金額は、どのように決められるの?」
「傷害罪の示談金の適切な金額がわからない」
傷害事件を起こしてしまった場合には、早期に被害者と示談をすることで有利な処分を獲得できる可能性が高くなります。
その際には、被害者に示談金の支払いをする必要がありますが、どのくらいの金額を支払えばよいかお悩みの方も多いでしょう。
示談金の金額は、さまざま要素を踏まえて決めますので一概にはいえませんが、10~100万円程度の金額が多いといえます。
本記事では、
・傷害罪の示談金の相場
・傷害罪の示談金の額を決める考慮要素
・傷害罪の被害者との示談を成立させる4つのポイント
などについてわかりやすく解説します。
被害者との示談交渉をする際には、弁護士のサポートが不可欠となりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。
目次
傷害罪の示談金の相場|怪我の程度によって異なるが10~100万円程度
傷害罪の示談金は、どのくらいが相場になるのでしょうか。
傷害罪の示談金とは
傷害罪の示談金とは、被害者との示談交渉が成立した際に、加害者から被害者に対して支払われるお金です。
傷害事件では、被害者に対して、以下のような損害が発生します。
・怪我の治療費
・仕事を休んだ場合の休業損害
・精神的苦痛に対する慰謝料
・後遺障害が生じた場合の逸失利益など
傷害事件の示談金には、これらの損害の賠償という意味も含まれていますので、傷害事件で被害者と示談が成立すれば、刑事上有利に扱われるだけではなく、民事上の損害賠償請求の問題も解決することができます。
傷害罪の示談金の相場
傷害罪の示談金は、被害者に生じた怪我の程度などさまざまな要素を踏まえて決められますので、事案によって異なります。
たとえば、被害者に生じた怪我が全治1週間程度のものであれば、休業損害や逸失利益などは生じませんので、治療費や慰謝料が主な損害となります。そのため、示談金の相場としては10~100万円程度となります。
他方、被害者に後遺障害が生じたようなケースでは、後遺障害慰謝料や逸失利益の支払いも必要となりますので、示談金の相場としては数百万円から事案によっては1000万円を超える可能性もあります。
このように傷害罪の示談金の相場は、具体的な事案によって異なりますので、適正な示談金の相場を把握するためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
傷害罪の示談金の額を決める考慮要素
傷害罪の示談金の額を決める考慮要素には、5つの要素があります。
・傷害行為の悪質性・危険性
・傷害結果の軽重
・被害者に生じた損害の内容
・被害者の処罰感情
・加害者の経済状況・社会的地位
以下では、これらの5つの要素の詳しい内容を説明します。
傷害行為の悪質性・危険性
傷害行為の悪質性・危険性が高くなるほど示談金の金額が高額になります。
たとえば、以下のような事情がある場合には、傷害行為の悪質性・危険性が高いと評価されるでしょう。
・ナイフや包丁などの凶器を利用した傷害
・複数人での殴る、蹴るなどの暴行
・長期間、複数回にわたる執拗な暴行
・頭部などの人体の急所を狙った危険な傷害
傷害結果の軽重
被害者に生じた怪我の内容や程度も示談金の金額を左右する重要な要素となります。
被害者の怪我が打撲やかすり傷程度であれば、軽微な傷害結果といえますので、示談金の金額を低く抑える要素となります。
他方、被害者に以下のような怪我が生じた場合には、重大な傷害結果といえますので、示談金の金額は、高額になる傾向があります。
・手足の骨折などにより長期間不自由な生活を強いられた
・後遺障害が生じたため以前と同様な生活を送ることができなくなった
・顔面に目立つ傷跡が残ってしまったため、人前に出るのが苦痛になった
被害者に生じた損害の内容
被害者に怪我を負わせた場合には、以下のような損害が発生します。
・治療費……怪我の治療に必要になる費用
・休業損害……怪我の治療のために仕事を休まなければならなくなった減収分の損害
・傷害慰謝料……怪我を負ったことに対する慰謝料
・後遺障害逸失利益……後遺障害で仕事に支障が生じたことによる将来の減収分の損害
・後遺障害慰謝料……後遺障害が生じたことに対する慰謝料
傷害罪の示談金には、上記のような損害が含まれますので、被害者に重い怪我を負わせたような事案では、示談金も高額になる可能性があります。
被害者の処罰感情
示談を成立させるには、被害者が示談に応じてくれなければなりません。
被害者の処罰感情が強い事案では、加害者に対して許せないという気持ちが強いため、相場どおりの示談金を提示しても示談に応じてくれないことがあります。
このような事案では、相場よりも高額な示談金を提示しなければ示談を成立させるのは難しいでしょう。
加害者の経済状況・社会的地位
加害者の経済状況や社会的地位も示談金の金額を左右する要素となります。
加害者が大学生や20代の会社員であれば、経済的な余裕がないため「100万円以上は支払うことができません」と言われても、納得する被害者も多いでしょう。
しかし、会社経営者など経済的余裕のある人が同じように「100万円以上は支払うことができません」と言っても、被害者としては直ちに受け入れることはできません。
また、経営者や公務員など一定の社会的地位のある人は、示談が成立しなければ逮捕・起訴により大きなダメージを受けることになりますので、相場よりも多くの示談金を支払って示談をするケースが多いです。
傷害罪で被害者に示談金を支払うまでの流れ
傷害事件の示談交渉は、どのように行えばよいのでしょうか。
以下では、傷害罪で示談が成立するまでの流れを説明します。
被害者の連絡先を入手
お互いに面識のない人同士の傷害事件では、相手の連絡先を知らないことがほとんどです。
示談交渉は、被害者の連絡先がわからなければできませんので、まずは被害者の連絡先を入手する必要があります。
捜査機関は被害者の連絡先を把握していますので、加害者が捜査機関を通じて、示談の意向がある旨を被害者に伝えることは可能です。
しかし、傷害事件の被害者は、加害者に連絡先が知られることを嫌がることが多いため、加害者個人での対応では、被害者の連絡先がわからず、示談交渉を始められないケースも少なくありません。
このような場合には、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士が窓口となって対応すれば、加害者に連絡先を教えるのを拒否していた被害者も了承してくれるケースが多いです。
被害者との示談交渉
被害者の連絡先を入手できたら、被害者に連絡をして示談交渉を進めていきます。
傷害罪の示談金は、具体的な事案に応じて一定の相場がありますので、スムーズに示談を成立させるには相場を踏まえて示談交渉を進めることが大切です。
また、傷害事件では、被害者は、加害者との今後の接触を拒否したいと考えますので、示談金以外にも接近禁止条項などを定めておけば、被害者の納得も得られやすいでしょう。
焦って示談交渉を進めてしまうと被害者に拒否されてしまう可能性もありますので、じっくりと話し合いを進めていくことが重要です。
示談書の取り交わし
被害者との間で示談内容の合意が成立した場合には、示談内容を記載した示談書を作成します。
示談書は、示談が成立したという重要な証拠になりますので、必ず作成するようにしましょう。
示談書の内容を確認し、双方が署名押印をすれば示談の成立となります。
示談金の支払い
加害者は、示談書に記載された条件に従って被害者に示談金の支払いを行います。
なお、当事者間で示談が成立したという事情は、捜査機関は把握していませんので、検察官に示談書の写しを提出するなどして被害者と示談が成立したことを報告します。
傷害罪の被害者との示談を成立させる4つのポイント
傷害罪の被害者との示談を成立させるためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
示談金はできる限り一括で支払う
示談金の支払い方法には一括払いと分割払いという2種類の方法があります。
被害者としては、分割払いだと将来の不払いのリスクがあり、毎月の返済確認などの手間があるため、分割払いでは示談に難色を示すことがあります。
スムーズに示談を成立させるためには、示談金はできる限り一括で支払ったほうがよいでしょう。
ただし、示談金の金額や加害者の経済状況によっては一括払いが難しいケースもあります。
そのような場合には、頭金として初回にまとまった金額を支払う、2~3回程度の短期の分割払いにするなどして、被害者の不安や負担を軽減してあげるとよいでしょう。
相場を意識した示談金を提示する
傷害罪の示談金は、具体的な事案に応じた相場となる金額がありますので、相場を意識した示談金を提示することで示談を成立させる可能性を高めることができます。
被害者は、加害者から示談の提案があると、弁護士に相談をして、提示された示談金が適正であるかを調べています。
相場よりも低い金額であった場合には、誠意がないとして、示談を拒否されてしまったり、態度を硬化させてしまい示談交渉が難しくなるおそれもありますので注意が必要です。
相場を踏まえた示談金を提示するためには、専門家である弁護士の協力が不可欠となりますので、被害者に示談金を提示する前に、一度弁護士に相談することをおすすめします。
早期に真摯な謝罪を行う
被害者の処罰感情が強い状態だと、示談交渉を続けても簡単には応じてくれない可能性があります。
このような被害者の処罰感情は、加害者が早期に真摯な謝罪を行うことにより一定程度緩和されるケースもありますので、検討してみるとよいでしょう。
ただし、直接の接触はあらたなトラブルが生じる原因となりますので、まずは謝罪文などの手紙を書いて被害者に渡してみる方法がおすすめです。
示談交渉は弁護士に依頼する
傷害事件の加害者から連絡があっても、恐怖心や嫌悪感などから拒否してしまう被害者も少なくありません。
また、被害者の連絡先がわからないと示談交渉自体に着手することもできません。
そのため、被害者との示談交渉は、加害者個人で行うのではなく、弁護士に依頼して進めてもらうのがおすすめです。
弁護士が窓口になれば、加害者と直接顔を合わせる心配はありませんので、被害者も安心して示談交渉を進めることができます。
また、加害者には連絡先を教えたくないという被害者でも弁護士なら教えてくれる可能性が高いため、弁護士に依頼することで示談成立の可能性を高めることができます。
傷害罪の示談交渉・示談金支払いはグラディアトル法律事務所にお任せください
傷害事件の被害者との示談交渉は、経験豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。
被害者と冷静に話し合いを進めることができる
示談交渉では、加害者の方が不利な立場にありますので、被害者から理不尽な要求をされることもあります。その際に感情的になって怒ったり、相手を罵倒したりすれば示談成立はほぼ不可能です。
弁護士であれば、冷静に対応することができますので、被害者からの理不尽な要求に対しても応じられないものについてはきちんと説明をし、納得してもらうことができます。
当事者同士での示談交渉にはリスクがありますので、示談交渉を始める前に、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。
相場を踏まえた示談金で交渉ができる
傷害罪の示談金には、一定の相場がありますので、それを踏まえて金額で示談交渉を行う必要があります。
グラディアトル法律事務所では、傷害事件に関する豊富な解決実績がありますので、事案に応じた適正な解決金相場を熟知しています。
相場を踏まえた示談交渉を得意としていますので、まずは当事務所までご相談ください。
被害者が示談金を受け取ってくれない場合でも贖罪寄付により反省の姿勢を示すことができる
被害者の処罰感情が強い事案では、弁護士が窓口となって示談交渉をしても、示談に応じてくれないケースがあります。
そのような場合には、贖罪寄付という制度を利用することで、加害者の反省の姿勢を示すことができます。
贖罪寄付とは、罪を犯したことに対する償いの気持ちを表明し、各種団体や機関に対して寄付をすることをいいます。贖罪寄付を受け付けている団体や機関には、以下のところがあります。
・日本弁護士連合会・各地の弁護士会
・日本司法支援センター
・日本財団
ただし、贖罪寄付による寄付金は、被害者に対して支払われるお金ではありませんので、被害者との示談ほどの効果は期待できません。
まとめ
傷害事件を起こしてしまった場合には、早期に被害者と示談を成立させることで、早期の身柄解放、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得など有利な結果を得られる可能性が高くなります。
被害者との示談を成立させるには、相場を踏まえた示談金を提示することが重要になりますので、まずは弁護士に相談することが大切です。
傷害事件で被害者との示談交渉をお考えの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。