「コカイン犯罪の初犯で有罪になった場合の量刑はどのくらい?」
「コカイン犯罪で実刑または執行猶予になる可能性はどのくらい?」
「コカイン犯罪で実刑または執行猶予になる可能性のある事情とは?」
コカインは、麻薬取締法により規制されている違法薬物で、コカインの所持、使用、譲渡・譲受、輸出入、製造などの行為は、麻薬取締法違反となり厳しい処罰を受けることになります。
もっとも、コカイン犯罪の執行猶予率は約80%ですので、初犯であれば執行猶予が付く可能性が高いでしょう。ただし、コカイン犯罪の初犯でもコカインの所持量が多い、大量のパケや秤などを所持していた、依存度が高いなどの事情がある場合には、実刑になる可能性もありますので、注意が必要です。
本記事では、
・コカインの所持・使用で逮捕・起訴される可能性 ・コカインの所持・使用で実刑または執行猶予になる可能性 ・コカインの所持・使用の初犯でも実刑になる可能性のある事情 |
などについてわかりやすく解説します。
コカイン犯罪で実刑判決を回避し、執行猶予付き判決を獲得するには、薬物犯罪に強い弁護士によるサポートが不可欠になりますので、逮捕されたときはすぐに弁護士に相談・依頼するようにしてください。
目次
コカインの所持・使用は初犯でも逮捕される可能性大|逮捕率は約60%

2023年検察統計(※23-00-41参照)によると、麻薬取締法違反で検挙された件数は1907件で、そのうち逮捕されたのは1153件でした。つまり、麻薬取締法違反の逮捕率は、約60%ということになります。
麻薬取締法では、コカイン以外にも以下のような薬物を規制しています。
・大麻 |
・ヘロイン |
・MDMA(合成麻薬) |
そのため、上記の逮捕率はコカインの所持や使用に限定したものではありませんが、コカインの所持・使用の逮捕率も同程度と考えられるでしょう。
また、コカインのような薬物は証拠隠滅が容易なものになりますので、コカインの所持や使用が発覚すると、初犯であっても逮捕される可能性は高いです。
そのため、「初犯だから逮捕されないだろう」という考えは禁物です。
関連コラム:コカイン犯罪で逮捕|逮捕後の流れや家族がとるべき4つの行動を解説
コカインの所持・使用の初犯で起訴される可能性|起訴率は約60%
2023年検察統計(※23-00-08参照)によると麻薬取締法違反で起訴された件数は1071件で、不起訴になった事件は711件でした。つまり、コカインの所持・使用の罪を含む麻薬取締法違反での起訴率は、約60%ということになります。
また、不起訴になった事件の内訳は、以下のようになっています。
起訴猶予 | 嫌疑不十分 | 時効完成 | その他 |
183件 | 502件 | 101件 | 175件 |
コカインを所持していたとしても、友人からコカインであると知らずに渡されていたよう場合、尿からコカインの陽性反応が出たとしても、自らの意思でコカインを摂取したわけではない場合などコカインの所持や使用の故意が認められないケースは、嫌疑不十分で不起訴となります。
しかし、コカインの所持・使用したことが明らかで、故意が認められるケースでは、ほとんどの事件が起訴されており、起訴猶予になった事件は、全体の約10%しかありません。そのため、コカインの所持・使用の罪は、初犯であっても起訴される可能性が非常に高いといえます。
コカインの所持・使用の初犯は実刑?執行猶予?

コカインの所持・使用の罪で起訴された場合、実刑になる確率または執行猶予になる確率はどの程度なのでしょうか。以下では、コカインの所持・使用罪の執行猶予率と有罪になったときの量刑相場について説明します。
執行猶予率は約80%
令和5年版犯罪白書(※資料2-3)によると、令和4年に麻薬取締法違反で起訴され有罪になった事件は459件で、そのうち実刑になった事件(一部執行猶予を除く)は91件、執行猶予が付いた事件(一部執行猶予を含む)は368件でした。そのため、執行猶予率でいうと約80%ということになります。
ただし、上記の統計には麻薬取締法違反事件の初犯だけでなく、再犯も含まれていますので、初犯だけで見れば執行猶予率はさらに高い数値になると考えられます。なぜなら、コカインなどの薬物犯罪は再犯率の高い犯罪ですので、上記の統計には再犯者も多く含まれています。薬物犯罪の前科がある場合、2回目以降の裁判では執行猶予が付かないケースが多くなるため、初犯だけで見れば執行猶予率は高くなるのです。
そのため、覚醒剤事件の初犯であれば、上記の統計上の数値よりも執行猶予を獲得できる可能性が高いと考えても問題ないでしょう。
有罪になったときの量刑相場|懲役1年6月・執行猶予3年程度
コカインの所持・使用罪の初犯で有罪になったときの量刑相場は、懲役1年6月・執行猶予3年程度といわれています。
令和5年犯罪白書(※資料2-3)によると、令和4年に麻薬取締法違反で有罪となった事件の量刑は、以下のようになっています。
量刑 | 10年超15年以下 | 7年超10年以下 | 5年超7年以下 | 3年超5年以下 | 2年以上3年以下 | 1年以上2年未満 | 6月以上1年未満 |
件数 | 3件 | 4件 | 9件 | 21件 | 147件 | 260件 | 15件 |
この統計結果からは、麻薬取締法違反で有罪になった場合の量刑としては、「1年以上2年未満」がもっとも多いことから、懲役1年6月・執行猶予3年がコカインの所持・使用罪の量刑といえるでしょう。
関連コラム:コカイン所持や使用は懲役刑?懲役刑を回避するための4つのポイント
コカインの所持・使用の初犯で実刑になる可能性のある事情

コカインの所持・使用の初犯であれば執行猶予になる可能性が高いですが、以下のような事情がある場合には、執行猶予ではなく実刑になる可能性があります。
コカインの所持量が多い
コカインの所持罪は、コカインの所持量に応じて罪が重くなる傾向があります。
大量のコカインを所持していた場合、初犯であっても執行猶予が付かない実刑判決になる可能性もありますので注意が必要です。特に、個人で使用する量を大幅に超えるコカインを所持していた場合、営利目的の所持であると認定されるおそれがあり、そうなれば実刑判決になる可能性がさらに高くなります。
大量のパケや秤を所持していた
大量のパケや秤を所持していた場合も営利目的が認定されやすくなりますので、初犯であっても執行猶予の付かない実刑判決になる可能性があります。
なぜなら、大量のパケや秤は、第三者に売りさばくための道具ですので、自分で使用するためにコカインを所持しているだけでは必要がない道具だからです。
使用期間、使用頻度などから依存度が高い
薬物前科のないコカイン犯罪の初犯であったとしても、長期間コカインを使用している、1日に何度もコカインを使用しているなど試用期間や使用頻度などから依存度が高いと認定されると、実刑になる可能性があります。
このような薬物の依存性は、警察の取り調べで作成される供述調書が主な証拠となりますので、不利な供述をしないようにするためにも警察の取り調べは慎重に対応することが重要です。
コカインの所持・使用の初犯で執行猶予になる可能性のある事情

コカインの所持・使用の初犯であれば執行猶予になる可能性が高いですが、以下のような事情があれば執行猶予の可能性はさらに高くなるといえるでしょう。
営利目的がない
コカインの所持・使用の罪は、営利目的の有無によって異なる法定刑が定められています。
営利目的が認定されてしまうと、初犯であっても執行猶予の獲得は難しくなりますので、執行猶予を獲得するには、営利目的がないという点が重要なポイントになります。
営利目的の有無は、本人の主観だけはなく、客観的な事情を踏まえて判断されますので、以下のような事情がなければ営利目的ではないと判断されやすいでしょう。
・コカインの所持量が多い ・コカインを小分けにしたパケを多数所持している ・専用の計量器を所持している ・新品の注射器を多数所持している ・メッセージアプリでコカインの譲渡に関するやり取りをしている |
薬物依存の治療に取り組んでいる
コカインは、違法薬物の中でも依存性の高い薬物の一つです。執行猶予により刑務所への収監を免れたとしても再びコカインに手を出してしまうのでは、裁判官も執行猶予付き判決を出すのを躊躇してしまうでしょう。
そのため、執行猶予を獲得するには薬物依存の治療に積極的に取り組むことも重要な要素となります。保釈により身柄を解放された後は、すぐに薬物治療専門の医療機関で治療を受けたり、自助グループによる支援を受けるようにしてください。
家族による監督が期待できる
身近な家族、友人、職場の上司などによる監督が期待できる状況であれば、再犯の可能性が低いと判断され、執行猶予を獲得できる可能性が高くなります。
このような監督者がいる場合には、裁判で情状証人として出廷してもらい、今後の具体的な監督プランなどについて証言してもらうとよいでしょう。
入手ルートを正直に話すなど反省の態度を示している
本人の反省の態度もコカインの所持・使用の罪で執行猶予を獲得するための考慮要素の一つになります。
取り調べや裁判において「二度とコカインを使用しません」などと話すことも大切ですが、それだけでなく取り調べでコカインの入手ルートなどを正直に話すことも反省の態度を示すことにつながります。入手ルートを秘匿した状態では、執行猶予付き判決を出た後も再びコカインに手をだすのではないかとの疑いが生じてしまいますので、再犯の可能性がないことを示すためにも正直に話した方がよいでしょう。
コカインの所持・使用の初犯で執行猶予を目指すならグラディアトル法律事務所に相談を

コカインの所持・使用の初犯で執行猶予を目指すのであれば、薬物事件の経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所にご相談ください。
薬物犯罪の弁護に関する豊富な経験と実績
コカイン犯罪の弁護は、弁護士であれば誰でもよいというわけではありません。コカインのような薬物犯罪は、被害者がいないため示談による解決は期待できず、再犯の可能性の有無・程度が執行猶予を獲得するためのポイントになるなど、薬物事件ならではの特殊性があります。
薬物犯罪の経験が乏しい弁護士では十分な弁護活動が期待できず、有利な処分の獲得は難しいでしょう。グラディアトル法律事務所では、薬物犯罪に関する豊富な経験と実績がありますので、早期釈放や執行猶予付き判決を獲得するためのポイントを熟知しています。
少しでも有利な処分の獲得を希望するなら、経験と実績豊富な当事務所にお任せください。
最短即日対応可能
コカイン犯罪で逮捕されると警察による厳しい取り調べを受けますので、事案によっては警察による圧力に負けて不利な供述調書がとられてしまうこともあります。それを避けるには、逮捕後すぐに弁護士と面会して、取り調べに対するアドバイスをしてもらうことが重要です。
当事務所では刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。
初回相談料無料・24時間365日相談受付
当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。
また、初回法律相談を無料で対応していますので、コカイン事件に関する相談をご希望の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
関連コラム:薬物事件に強い弁護士を選ぶ8つのポイントとは?解決事例や費用も紹介
まとめ
コカイン犯罪で逮捕・起訴されたとしても初犯であれば執行猶予を獲得できる可能性が高いです。執行猶予になるか実刑になるかによってその後の人生が大きく変わりますので、少しでも執行猶予の高めたいなら薬物犯罪に強い弁護士によるサポートが不可欠になります。
コカイン犯罪で逮捕されてしまったときは、薬物犯罪の弁護経験が豊富なグラディアトル法律事務所までご相談ください。