児童ポルノ法とは?禁止行為や罰則、検挙数・逮捕率などの実態を解説

児童ポルノ法とは?禁止行為や罰則、検挙数・逮捕率などの実態を解説
弁護士 若林翔
2024年10月18日更新

「児童ポルノ法とはどのような法律なの?」

「児童ポルノ法ではどのような行為が禁止されている?」

「児童ポルノ法違反の検挙数や逮捕率はどうなっている?」

児童ポルノ法とは、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます。児童ポルノ法では、児童ポルノや児童買春に関する行為を規制することにより、児童に対する性的搾取や性的虐待から児童を保護することを目的としています。

児童ポルノ法は、平成26年に改正されてこれまで規制対象外となっていた児童ポルノの単純所持も処罰対象に含まれることになりました

処罰範囲が拡大したことにより、児童ポルノ法により検挙される可能性が高くなりましたので、どのような行為が規制されているかをしっかりと押さえておきましょう。

本記事では、

・児童ポルノ法とは

・児童ポルノ法で禁止されている行為と罰則

・児童ポルノ法違反の検挙数・逮捕率などの実態

などについてわかりやすく解説します。

児童ポルノ法違反となる行為をすると逮捕のリスクがありますので、すぐに児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。

児童ポルノ法とは

児童ポルノ法とは、正式名称を「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」といいます

この法律は、児童に対する性的搾取や性的虐待による権利侵害の重大性に鑑み、児童ポルノや児童買春に関する行為を規制・処罰することで、児童の権利を擁護することを目的とした法律になります。

児童ポルノ法は、平成11年に制定されたものの、その後のインターネットなどの発達により児童ポルノ被害に遭う児童が増えたことおよび国際社会からの強い要請を受けて、平成26年の法改正により「単純所持罪」(他人に提供する目的のない所持罪)が設けられることになりました。

児童ポルノ法で規制されている「児童ポルノ」とは?

児童ポルノとは、18歳未満の児童のわいせつな姿を記録した画像や動画をいいます。児童ポルノ禁止法では、以下のようなものを児童ポルノとして規制しています。

・児童との性交または性交類似行為を撮影したもの

・児童の性器が他人に触られるまたは児童が他人の性器を触る姿を撮影したもので、性欲を興奮させ、または刺激するもの

・衣服の全部または一部を身につけない児童の姿や殊更に性的な部位が露出または強調されているものであり、性欲を興奮させ、または刺激するもの

なお、アニメや漫画などの二次元のわいせつ画像や動画については、児童ポルノ法の規制対象外となっています。ただし、これらを不特定多数の人に公開するとわいせつ物頒布罪(刑法175条1項)により処罰される可能性がありますので注意が必要です。

児童ポルノ法で禁止されている行為と罰則

項目規制対象行為罰則
児童ポルノの所持(所持罪)自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持1年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童ポルノの保管(保管罪)性的好奇心を満たす目的で電磁的記録を保管1年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童ポルノの提供(提供罪)児童ポルノを第三者に提供特定の人に提供:3年以下の懲役または300万円以下の罰金 /
不特定多数に提供:5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)
児童ポルノの陳列(陳列罪)不特定または多数の人が認識できる状態に陳列5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)
児童ポルノの製造(製造罪)児童ポルノを製造、わいせつな姿を撮影不特定多数への提供目的なし:
3年以下の懲役または300万円以下の罰金 /
不特定多数への提供目的あり:
5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノ法で禁止されている行為には、どのようなものがあるのでしょうか。以下では、児童ポルノ法の規制対象行為と罰則について説明します。

児童ポルノの所持|所持罪

児童ポルノは、平成26年の法改正により他人に提供する目的のない単純所持についても処罰の対象となりました。ただし、児童ポルノの単純所持罪が成立するには、以下のような目的・意思があることが必要です。

・自己の性的好奇心を満たす目的があったこと

・自己の意思に基づいて所持するに至ったこと

このような目的・意思が要件となったことで、親が子どもの成長記録として写真や動画を残す行為やパソコンのウイルス感染により勝手に児童ポルノがダウンロードされたケースが処罰対象から除外されます。

なお、児童ポルノ単純所持罪が成立すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

児童ポルノの保管|保管罪

児童ポルノ所持罪と同様に以下の目的・意思により児童ポルノが記録された電磁的記録を保管をするに至った場合には児童ポルノ保管罪が成立します。

・自己の性的好奇心を満たす目的があったこと

・自己の意思に基づいて所持するに至ったこと

電磁的記録の保管とは、クラウドやサーバーにアップロードすることを指します。

児童ポルノ保管罪が成立すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

児童ポルノの提供|提供罪

児童ポルノを第三者に提供すると児童ポルノ提供罪が成立します。たとえば、児童ポルノを友人にメールやSNSなどで送付する行為やインターネット上で販売する行為がこれにあたります。

児童ポルノ提供罪は、提供する相手が特定の人に対して提供した場合と不特定多数の人に提供した場合とで量刑が異なっています。

・特定の人に提供した場合……3年以下の懲役または300万円以下の罰金

・不特定多数に提供した場合……5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノの陳列|陳列罪

児童ポルノを不特定または多数の人が認識できる状態にすると児童ポルノ陳列罪が成立します。たとえば、児童ポルノに該当する画像や動画のURLをインターネット掲示板に投稿したり、違法サイトにアップロードするような行為がこれにあたります。

児童ポルノ陳列罪が成立すると5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(併科あり)。

児童ポルノの製造|製造罪

児童のわいせつな姿を撮影するなどして、自ら児童ポルノを作りだした場合には、児童ポルノ製造罪が成立します。児童に対して、わいせつな画像や動画を自撮りさせて送らせる行為や児童を盗撮する行為なども児童ポルノ製造罪にあたります。

児童ポルノ製造罪は、不特定多数への提供目的の有無によって量刑が異なっています。

・不特定多数への提供目的がない場合……3年以下の懲役または300万円以下の罰金

・不特定多数への提供目的がある場合……5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノ法違反の検挙数・逮捕率などの実態

児童ポルノ法での検挙・逮捕状況はどうなっているのでしょうか。以下では、具体的な統計資料に基づいて児童ポルノ法違反の検挙数・逮捕率などの実態を説明します。

児童ポルノ法違反の検挙数・逮捕率などの実態

児童ポルノ法違反の検挙数|3149件

2023年の検察統計によると、児童ポルノ法違反で警察により検挙された件数は、3149件でした。

ただし、児童ポルノ法の規制対象は、児童ポルノ以外にも児童買春が含まれますので、単純に児童ポルノに関する犯罪だけの件数ではありません。

児童ポルノ法違反の逮捕率|約21%

2023年の検察統計によると上記の児童ポルノ法違反で検挙された3149件のうち、逮捕されたのは656件でしたので、児童ポルノ法違反の逮捕率は約21%となります。

児童ポルノ法に違反したからといって、すべての事件が逮捕されるわけではなく、在宅事件として捜査が進むケースの方が多いといえます。ただし、5人に1人は逮捕されるわけですので、決して無視できる数字ではありません。

児童ポルノ法違反の勾留率|約83%

2023年の検察統計によると、上記の児童ポルノ法違反で逮捕され検察官に送致された件数は624件でした。そのうち、勾留請求された件数は560件で、勾留が許可された件数は、519件でした。

そのため、逮捕から勾留に切り替わった割合は、約83%で、勾留が許可された割合は、約93%となります。この統計からは、逮捕された事案のほとんどが勾留されていることがわかります。

児童ポルノ法違反の起訴率|約70%

2023年の検察統計によると、児童ポルノ法違反で起訴された事件は1572件あり、不起訴となった事件は683件でした。そのため、児童ポルノ法違反で検挙されると、約70%の事件が起訴されてしまうことがわかります。

また、起訴された事件の内訳をみると公判請求が477件、略式命令請求が1095件ですので、約70%の事件が略式命令請求による罰金刑で終了していることになります。

児童ポルノで逮捕された場合のリスク

児童ポルノで逮捕された場合のリスク

児童ポルノで逮捕されてしまうとどのようなリスクが生じるのでしょうか。以下では、児童ポルノで逮捕された場合のリスクについて説明します。

実名報道のリスク

児童ポルノで逮捕されてしまうと、事件の性質、被疑者の属性・社会的地位などを踏まえて報道機関の判断により実名報道がなされる可能性があります。

児童ポルノ法違反で逮捕されたことが実名で報道されてしまうと、犯罪の性質上、世間から厳しい批判にさらされてしまうことが予想されます。ネットニュースなどになればデジタルタトゥーとして半永久的にインターネット上に情報が残ってしまうため、将来にわたって不利益が及ぶことになります。

職場を解雇されるリスク

児童ポルノ法違反で逮捕されたことが職場に知られると、会社から解雇される可能性があります。

児童ポルノ法違反は、私生活上の犯罪になりますが、性犯罪かつ被害者が未成年者という性質上、職場内外に与える影響力が大きいため、解雇されてもやむを得ないといえるでしょう。仮に解雇されなかったとしても、職場の同僚や上司などから性犯罪者であるという目で見られてしまいますので、職場に居づらくなり自主退職を余儀なくされるケースも少なくありません。

周囲の人からの信用を失うリスク

児童ポルノ法違反で逮捕されてしまうと周囲の人からの信用を失うリスクがあります。

家族に知られてしまうと、家族に与えるショックは計り知れず、これまで築き上げてきた信頼も一気に失ってしまいます。自分だけでなく、家族も周囲の人から好奇の目で見られるなどの被害を受けるリスクもありますので注意が必要です。

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児童ポルノで逮捕されないためのポイント

児童ポルノ法違反で逮捕されないためにも、以下のような対応を検討しましょう。

児童ポルノで逮捕されないためのポイント

被害者の親との示談

児童ポルノ法違反は、被害者からの告訴がなければ起訴できない「親告罪」にはあたりません。しかし、児童ポルノによる被害を受けた被害者の親との間で示談が成立していれば、当事者間で解決済みの事件をあえて立件する可能性は低いため、児童ポルノ法違反で逮捕されるリスクを低く抑えることができます。

また、示談が成立していれば、不起訴処分になる可能性を高めることもできますので、児童ポルノ法違反事件では、被害者の親との示談が特に重要になります。

自首

児童ポルノ法違反を理由とする逮捕を回避するには自首も有効な手段となります。

自首とは、捜査機関に犯罪および犯人が発覚する前に自ら捜査機関に犯罪事実を申告することをいいます。自首の法的効果としては、刑の任意的な減軽になりますが、事実上の効果として逮捕の回避が期待できます。

なぜなら、警察が被疑者を逮捕するためには、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由に加えて、逃亡のおそれまたは証拠隠滅のおそれという要件が必要になります。自ら警察に犯罪事実の申告をする被疑者には、逃亡の意思はなく、児童ポルノを任意提出すれば証拠隠滅のおそれもなくなります。このよう自首をすることで逮捕の要件を満たさなくなる可能性が高くなるのです。

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弁護士に相談

児童ポルノ法違反行為をしてしまった方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。児童ポルノ法違反は、約21%の逮捕率があり、起訴率は約70%もある犯罪になります。

児童ポルノ法違反で逮捕されれば、長期間の身柄拘束を受けることになりますし、起訴されてしまえば、児童ポルノ法違反の前科が付いてしまいます。

逮捕や起訴となれば、本人には大きな不利益が生じますので、早めに弁護士に相談して少しでも有利な処分になるようサポートしてもらうべきでしょう。

児童ポルノ法違反で弁護士ができること

児童ポルノ法違反で弁護士ができることとしては、以下の3つが挙げられます。

自首同行

児童ポルノ法違反で自首を検討中の方の中には、自分一人で自首をするのが心細いと感じる方もいるかもしれません。

弁護士に依頼をすれば、警察に自首する際に弁護士が同行してくれますので、そのような不安は解消されます。弁護士が自首に同行して、逮捕の要件を満たさないことを説得的に伝えることにより、児童ポルノ法違反で逮捕されるリスクをより軽減することが可能です。

また、自首にはメリットだけでなくデメリットもありますので、本当に自首をすべき事案であるかどうかも弁護士に相談すればアドバイスしてもらうことができます。

被害者との示談交渉

児童ポルノ法違反の事案における示談交渉は、被害者が未成年者であることから、被害者の親との間で行うことになります。しかし、被害者の親は、加害者に対して強い処罰感情を有していますので、加害者自身では、話を聞いてもらうことも困難といえます。

弁護士に依頼すれば、弁護士が代わりに被害者との示談交渉を行うことができます。弁護士なら被害者の親の処罰感情にも配慮して示談交渉を進めることができますので、スムーズに示談を成立させられる可能性が高くなります。

早期の身柄解放や不起訴処分の獲得

児童ポルノ法違反で逮捕されると高い確率で勾留されて、長期間の身柄拘束を受けることになります。身柄拘束が長くなればなるほど、解雇のリスクや周囲に知られるリスクが高くなりますので、早期に釈放してもらうことが重要です。

弁護士に依頼すれば被害者の親との示談交渉などにより早期の身柄解放や不起訴処分の獲得に向けてサポートしてもらうことができますので、児童ポルノ法違反による不利益を最小限に抑えることが可能です。

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児童ポルノ法の禁止行為をしてしまったらすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

児童ポルノ法違反となる行為をしてしまったときは、すぐに弁護士に相談するようにしてください。そして、その際には、児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士に相談するのが重要です。

弁護士の能力は、これまでの経験によって大きく左右されますので、児童ポルノ犯罪の弁護を依頼するのであれば、児童ポルノ犯罪の弁護に関する豊富な経験を有する弁護士に依頼しなければなりません。

グラディアトル法律事務所では、これまで多くの児童ポルノ犯罪の弁護の依頼を受け、解決に導いてきた豊富な実績と経験があります。被害者の親との示談交渉や早期の身柄解放・不起訴処分の獲得などを得意としていますので、少しでも有利な処分を獲得したいという方は、まずは当事務所までご相談ください。

まとめ

児童ポルノ法は、性的搾取や性的虐待から児童を保護する目的で、児童ポルノの所持、保管、提供、陳列、製造などのさまざまな行為を取り締まっています。児童ポルノ法違反となる行為をすると逮捕のリスクもありますので、児童ポルノ法に違反した場合にはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日相談を受け付けており、初回相談料無料で対応しています。児童ポルノ法に関するご相談を希望の方は、当事務所までお問い合わせください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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