児童ポルノ禁止法違反は罰金?罰金を回避し不起訴を目指す方法を解説

弁護士 若林翔
2024年10月20日更新

「児童ポルノ禁止法に違反すると罰金?」

「児童ポルノ禁止法違反の罰金刑の相場はどのくらい?」

「どのようなケースだと罰金刑になりやすい?」

児童ポルノとは、18歳未満の子どものわいせつな姿を撮影した画像や動画をいいます。児童ポルノ禁止法では、このような児童ポルノの所持、保管、提供、陳列、製造などの行為を禁止しており、違反した場合には刑罰が科されます。

児童ポルノの禁止法違反の刑罰には、罰金刑と懲役刑がありますが、実務では70%以上が罰金刑になっていますので、児童ポルノ禁止法違反で起訴されると、ほとんどのケースで罰金刑になるといえるでしょう。

本記事では、

・児童ポルノ禁止法違反の罰金刑の相場

・児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になりやすい4つの事情

・児童ポルノ禁止法違反で罰金ではなく不起訴を目指すための対処法

などについてわかりやすく解説します。

罰金も前科ですので、それを避けるには不起訴処分の獲得が重要になります。そのためには児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士のサポートが不可欠となりますので、早めに弁護士に相談するようにしましょう。

児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になる確率は70%以上!

児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になる確率は70%以上!

2023年の検察統計によると児童ポルノ禁止法違反で起訴された事件は1572件あり、そのうち公判請求となった事件が477件、略式命令請求となった事件が1095件ありました。

略式命令請求は、被疑者の同意のもとで罰金刑を科す手続きですので、略式命令請求となった事件は、すべて罰金刑が科されているといえます。他方、公判請求となった事件のなかにも罰金刑が科された事件が含まれていますが、その統計がありませんので詳しい数値は不明です。

このような統計結果からは、児童ポルノ禁止法違反で起訴された場合、罰金刑になる確率が70%以上であることがわかります。公判請求で罰金刑になった事案も含めればその割合はもっと多いといえるでしょう。

児童ポルノ禁止法違反の罰金刑の相場は30~50万円程度

児童ポルノ禁止法違反の罰金刑の相場は30~50万円程度

児童ポルノ禁止法違反で起訴された事件の多くが罰金刑になりますが、実際に科される罰金額は、30~50万円程度が相場になります。

ただし、罰金額は、事案の内容によって変動しますので、悪質な事案であれば相場を上回る罰金額が科されることもありますので注意が必要です。

児童ポルノ禁止法違反で適用される刑罰

児童ポルノ禁止法違反では、どのような刑罰が適用されるのでしょうか。以下では、児童ポルノ禁止法が規制する行為ごとの刑罰を説明します。

児童ポルノ禁止法違反で適用される刑罰

 

項目規制対象行為罰則
児童ポルノの所持(所持罪)自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持1年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童ポルノの保管(保管罪)性的好奇心を満たす目的で電磁的記録を保管1年以下の懲役または100万円以下の罰金
児童ポルノの提供(提供罪)児童ポルノを第三者に提供特定の人に提供:3年以下の懲役または300万円以下の罰金 /
不特定多数に提供:5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)
児童ポルノの陳列(陳列罪)不特定または多数の人が認識できる状態に陳列5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)
児童ポルノの製造(製造罪)児童ポルノを製造、わいせつな姿を撮影不特定多数への提供目的なし:
3年以下の懲役または300万円以下の罰金 /
不特定多数への提供目的あり:
5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

 

児童ポルノの所持|1年以下の懲役または100万円以下の罰金

自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基づいて児童ポルノを所持するに至った場合には、児童ポルノ単純所持罪が成立します。

児童ポルノ単純所持罪の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。

児童ポルノの保管|1年以下の懲役または100万円以下の罰金

自己の性的好奇心を満たす目的で、自己の意思に基づいて児童ポルノが記録された電磁的記録を保管するに至った場合には、児童ポルノ保管罪が成立します。電磁的記録の保管とは、サーバーやクラウドにアップロードする行為を指します。

児童ポルノ保管罪の法定刑は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。

児童ポルノの提供(特定・少数)|3年以下の懲役または300万円以下の罰金

児童ポルノを特定の個人に対して提供すると児童ポルノの提供罪が成立します。

児童ポルノ提供罪の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金と定められています。

児童ポルノの提供(不特定・多数)|5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノ提供罪は、提供の相手方が特定の個人であるか不特定または多数の人であるかによって法定刑が異なっています。

不特定または多数の人に対して児童ポルノを提供した方が権利侵害の程度が大きいことから、法定刑もより重くなっており、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます(併科あり)。

児童ポルノの陳列|5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノを不特定または多数の人が認識できる状態にすると児童ポルノ陳列罪が成立します。具体的には、違法サイトなどに児童ポルノをアップロードするような行為です。

児童ポルノ陳列罪の法定刑は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金と定められています(併科あり)。

児童ポルノの製造(不特定多数への提供目的なし)|3年以下の懲役または300万円以下の罰金

18歳未満の子どものわいせつな姿を撮影するなどして、児童ポルノを作り出すと児童ポルノ製造罪が成立します。

児童ポルノ製造罪の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金と定められています。

児童ポルノ製造(不特定対数への提供目的あり)|5年以下の懲役または500万円以下の罰金(併科あり)

児童ポルノ製造罪は、不特定または多数の人に対する提供目的があるかどうかによって法定刑が異なっています。

不特定または多数の人に対して児童ポルノを提供する目的がある方が権利侵害の程度が大きいことから、法定刑もより重くなっており、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます(併科あり)。

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児童ポルノ法とは?禁止行為や罰則、検挙数・逮捕率などの実態を解説

 

児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になりやすい4つの事情

上記のように児童ポルノ禁止法違反の法定刑には「罰金刑」と「懲役刑」が定められており、罰金刑の方が軽い刑罰になります。

児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になりやすい4つの事情

前科がない

児童ポルノ禁止法違反の量刑を判断する際に重要となる要素の一つが前科の有無です。

過去に何らかの罪を犯した前科がある場合には、再犯可能性が高いという理由で、初犯の場合に比べて重い刑罰が科される傾向があります。特に、性犯罪などの同種前科がある場合には、児童ポルノ禁止法違反で懲役刑が選択される可能性が高くなります。

そのため、前科がないことは、児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になりやすい事情といえるでしょう。

余罪がない

過去に有罪判決を受けた前科がなかったとしても、児童ポルノ禁止法違反で検挙された際に他の犯罪も発覚したような場合には、余罪も考慮して量刑が判断されます。たとえば、盗撮や痴漢で逮捕された際に、児童ポルノ単純所持が発覚したような場合が代表的なケースです。

余罪があるほうがより重く処罰されますので、児童ポルノ禁止法違反以外の余罪がないことは、罰金刑になりやすい事情といえるでしょう。

児童ポルノ禁止法違反の中でも比較的軽微な罪

児童ポルノ禁止法では、児童ポルノに関するさまざまな行為を規制しており、権利侵害の程度などによって法定刑も異なっています。児童ポルノ禁止法違反の中でも単純所持罪や保管罪は、比較的軽微な罪といえますので、他の罪との比較でいえば罰金刑が選択される可能性が高いといえます。

児童ポルノ禁止法違反の態様が悪質でない

児童ポルノ禁止法違反の量刑を判断する際に、行為態様の悪質性も考慮されます。

たとえば、児童ポルノ単純所持罪であれば、所持する児童ポルノが1枚の場合と数百枚の場合を比べれば、当然後者の方が行為態様が悪質といえますので、刑罰も重くなります。また、児童ポルノ提供罪であれば、特定個人への提供であるか、不特定または多数人への提供であるかによっても罪の重さが変わってきます。

行為態様が悪質でないことは、児童ポルノ禁止法違反で罰金刑になりやすい事情といえるでしょう。

児童ポルノ禁止法違反で罰金ではなく不起訴を目指すための対処法

罰金刑であっても前科になりますので、前科を回避するなら不起訴処分を目指すことが重要です。以下では、児童ポルノ禁止法違反で罰金ではなく不起訴を目指すための対処法を説明します。

児童ポルノ禁止法違反で罰金ではなく不起訴を目指すための対処法

被害者との示談

児童ポルノ禁止法違反行為により権利を侵害された被害者がいる場合には、当該被害者と示談を成立さることができれば、不起訴処分の可能性が高くなります。

もっとも、被害者自身は未成年者ですので、示談交渉の相手方は被害者の親になりますが、加害者に対して強い処罰感情を有しているため、加害者本人では示談交渉をするのは困難といえます。そのため、児童ポルノ禁止法違反の示談交渉は、専門家である弁護士に任せるべきでしょう。

弁護士であれば被害者側の処罰感情に配慮しながら示談交渉を進めることができ、示談金相場を踏まえた条件で示談をまとめることが可能です。特に、逮捕・勾留されている事案では、時間の制約がある中で示談をまとめなければなりませんので、迅速に対応するためにも早めに弁護士に相談するようにしましょう。

贖罪寄付

贖罪寄付とは、刑事事件を起こしてしまった人が罪を償う気持ちをあらわすために被害者支援団体や弁護士会などに対して寄付をすることをいいます。

児童ポルノ禁止法違反では、児童ポルノの被写体となった児童を特定できず、被害者との示談をすることができないケースも少なくありません。そのようなケースでは贖罪寄付を検討してみるとよいでしょう。

贖罪寄付をしたお金は直接被害者に渡るわけではありませんので、示談に比べて効果は弱い手段といえますが、有利な情状として一定程度考慮してもらうことはできるはずです。

自首

自首とは、捜査機関に事件が発覚する前に被疑者自らが捜査機関に対して犯罪事実を申告することをいいます。

自首の法的効果は、刑の任意的減軽になりますが、自首をすることで罪に向き合って反省していることを示せますので、起訴または不起訴を判断する際の有利な事情として考慮してもらうことができます。

また、逮捕のリスクのある事案であれば、自首をすることで逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示せますので、逮捕のリスクを軽減する効果も期待できます

関連記事も併せてご覧ください。

児童ポルノ単純所持で自首をする5つのメリットと弁護士ができること

児童ポルノでの逮捕を回避するなら自首を検討!自首のメリットを解説

再犯防止対策

児童ポルノ禁止法違反などの性犯罪は、再犯のおそれの高い犯罪類型になります。再犯のおそれが高い事案だと刑罰による矯正が必要になるため、起訴される可能性が高くなってしまいます。

そのため、性的欲求や性的嗜好を抑えるためにも専門のクリニックを受診するとよいでしょう。専門のクリニックへの通院を継続しているという事情は、再犯防止に向けた取り組みとして一定程度考慮してもらうことができます。

児童ポルノ禁止法に違反したときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

児童ポルノ禁止法に違反したときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

児童ポルノ禁止法違反事件の多くは、罰金刑で終わっていますが、罰金刑であっても前科であることには変わりありません。特に、性犯罪の前科があると世間でも厳しい目で見られますので、児童ポルノ禁止法違反となる行為をしてしまったときは、不起訴処分を目指すことが重要になります。

グラディアトル法律事務所では、児童ポルノ犯罪に関する豊富な実績と経験がありますので、不起訴処分を獲得するための方法を熟知しています。被害者との示談交渉や自首同行などのサポートにより、不起訴処分の可能性を高めることが可能ですので、児童ポルノ禁止法に違反する行為をしてしまったときは、すぐに当事務所までご相談ください。

下記の記事も併せてご覧ください。

児童ポルノの事件を弁護士に相談する4つのメリットと5つのサポート

まとめ

児童ポルノ禁止法に違反して、起訴されればほとんどのケースで罰金刑となります。罰金刑を回避するには、不起訴処分の獲得を目指す必要がありますので、早めに児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

グラディアトル法律事務所では、児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士が多数在籍しておりますので、児童ポルノ禁止法に違反してしまったという方は、当事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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