2023年7月に、撮影罪(盗撮罪)を定める性的姿態撮影等処罰法が施行されました。
これまでは、盗撮事件については、迷惑防止条例などにより取り締まりがなされていましたが、撮影罪の新設以降は、原則として撮影罪(盗撮罪)により取り締まられることになります。
今回ご紹介する事例は、エスカレーターで盗撮をしてしまい、撮影罪(盗撮罪)にて刑事事件化してしまった事例です。
目次
事案の概要:盗撮がバレた!
ご依頼者様は、エスカレーターにて、つい出来心で女性のスカート内を盗撮してしまいました。
その様子を被害者女性の友人が発見し、その場で警備員、警察を呼ばれてしまいました。その場で必死に謝罪したものの、被害者に許してもらえず、ご依頼者は警察に連れていかれることに。
逮捕はされず、その日のうちに解放されたものの、盗撮について新設された撮影罪(盗撮罪)で刑事事件化されてしまいました。
ご依頼者様は、今後のことを相談したいとのことで刑事事件を多数取り扱っている弊事務所にご相談いただきました。
弁護士による盗撮事件の示談交渉
当初、弁護士が示談交渉を持ちかけるものの、被害者女性とその両親が激怒しており、お金の問題ではないと当初示談には応じてもらえませんでした。
ご依頼者様が真摯に反省していることから、弁護士はご依頼者に、今回の件について反省をしていること、被害女性に謝罪したいと思っていること、今後二度と同じことはしないこと、事件の後、自分なりに制限などをしていること等を踏まえた反省文の作成と、弁護士会が行っている贖罪寄付をすることを提案しました。
ご依頼者様は、弁護士からの提案に応じ、反省文の作成と贖罪寄付をすることにしました。
その後、弁護士から被害者の方に、ご依頼者が真摯に反省をしていること、反省文を作成し、贖罪寄付をしたことを伝えさせていただきました。
その結果、被害者の方も、そこまで反省をしているのであれば、示談をしてご依頼者様を許そうと、当初の考えを変えてくださり、示談が成立しました。
示談金の金額についても、当初行った贖罪寄付の分も踏まえた金額でご納得いただき、合意ができました。
弁護士は、示談書を作成し、検察官に示談書を提示し、本件については示談も成立していることから不起訴処分が妥当であると伝えました。
撮影罪(盗撮罪)について不起訴処分に
ご依頼者の反省が被害者に伝わり、示談を成立させることができた結果、ご依頼者は不起訴処分となりました。
不起訴処分は、刑事事件として何らの処分をしないというもので、盗撮について撮影罪での前科がつくことはありません。
撮影罪(盗撮罪)で事件化するも示談成立で不起訴で解決できたポイント
従来までの盗撮は、各都道府県の迷惑防止条例違反で取り締まられてきましたが、2023年7月13日に新たに施行された「性的姿態撮影等処罰法(略称)」により、新たに撮影罪(盗撮罪)として罪に問われることとなりました。
このことにより、法定刑が「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」となり、刑罰の上限が拡大されました。
当初被害者は示談を拒否していましたが、贖罪寄付を行い、諦めずに専門家を挟んで真摯に謝罪をすることで、最終的に示談が受け入れられ、ご依頼者様は無事不起訴となりました。
示談が成立したか否かは検察官の起訴不起訴の判断に大きな影響を及ぼします。
また、示談を成立させるには、なるべく早く被害弁償等の示談成立に向けた動きが重要です。
今回の撮影罪等、刑事事件を起こしてしまった方は、お早めに弊所弁護士にご相談下さい。