背任罪は未遂も処罰対象!未遂・既遂の区別や刑罰などを弁護士が解説

背任罪は未遂も処罰対象!未遂・既遂の区別や刑罰などを弁護士が解説
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弁護士 若林翔
2025年01月27日更新

「背任罪は未遂も処罰される?」

「背任罪はどこからが未遂でどこからが既遂?」

「背任未遂罪の弁護を弁護士に依頼するとどのようなメリットがある?」

背任罪とは、他人から任された職務に背いて、自分や第三者の利益を図るために他人に損害を与える犯罪です。

このような背任罪には、未遂の処罰規定が設けられていますので、任務違背行為があったものの損害が発生してない場合には、背任未遂罪として処罰されます。

背任未遂罪は、未遂による刑の減軽がありますが、法定刑は背任既遂罪と変わりませんので、適切に対応していかなければ厳しい処分が下される可能性もあります。そのため、背任未遂罪を犯してしまったときは、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

本記事では、

・背任罪はどこからが未遂?
・背任未遂罪で逮捕や起訴を回避するための対処法
・背任未遂罪の弁護を弁護士に依頼するメリット

などについてわかりやすく解説します。

本人に財産的な損害が生じていなくても犯罪が成立しますので、損害が生じていないからといって安心するのではなく、すぐに弁護士に相談することが大切です。

背任罪はどこからが未遂?財産的損害の有無により区別

背任罪には未遂の処罰規定がありますので、未遂であっても処罰対象となります。では、背任罪は、どこからが未遂なのでしょうか。以下では、背任罪の成立要件と既遂・未遂の区別について説明します。

背任罪の成立要件

背任罪は、以下の要件を満たした場合に成立します。

構成要件内容
他人のために事務を処理している他人からの信任や委託に基づいてその事務を処理すること例)会社に雇用された従業員が会社の業務を行っている
任務違背行為本人の信任や委託の趣旨に反する行為例)不正融資や不良貸付
図利加害目的自己の利益を図る目的または第三者の利益を図る目的
財産上の損害本人の財産の価値が減少または増加すべき価値が増加しなった

背任罪の構成要件に関する詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。

背任罪が成立する4つの構成要件|具体的な事例や対処法を解説

財産的損害の有無により既遂と未遂が区別される

未遂とは、犯罪の実行行為に着手したものの、これを遂げなかった場合をいいます。背任罪で言えば、背任罪の成立要件である「任務違背行為」に着手したものの、本人に財産上の損害が生じなかった場合が未遂になります。

すなわち、背任罪の既遂と未遂は財産上の損害の有無によって区別されます。

ただし、背任罪は、全体財産に対する罪ですので、本人に何らかの損害が生じても、それに見合う利益が帰属しているなら財産上の損害は認められません。

背任罪の未遂の刑罰は5年以下の懲役または50万円以下の罰金

背任罪の未遂の刑罰は5年以下の懲役または50万円以下の罰金

背任罪の未遂はどのような刑罰が科されるのでしょうか。以下では、背任未遂罪の法定刑と未遂による刑の減軽について説明します。

法定刑は背任既遂罪と同じ

背任未遂罪の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。これは背任既遂罪の法定刑と同様ですので、法定刑では背任罪の既遂と未遂で違いはありません。

なお、背任未遂罪は法定刑に罰金刑が定められていますので、事案によっては略式命令請求によって罰金刑となるケースもあります。ただし、2023年検察統計によると背任罪で起訴された事件が156件で、そのうち公判請求となったのが47件、略式命令請求となったのが4件ですので、9割以上の事件が公判請求され、公開の法廷で審理されます。

未遂による刑の減軽がある

背任未遂罪は、刑法43条による未遂減免が適用される可能性があります。

未遂減免とは、犯罪が未遂にとどまった場合に刑の減免が受けられる制度で、「中止未遂」と「障害未遂」の2種類があります。

中止未遂とは、自分の意思で犯罪を思いとどまり結果が発生しなかった場合で、必ず刑の減免を受けることができます。

他方、障害未遂とは、中止未遂以外の未遂であり、外的な要因により犯行を遂げられなかった場合で、刑の減軽は裁判官の裁量に委ねられています。

背任罪に未遂減軽が適用されると、罰則の上限と下限がそれぞれ2分の1になりますので、30日以上2年6月以下の懲役または5000円以上25万円以下の罰金が処断刑となります。

背任未遂罪で逮捕・起訴を回避するための対処法

背任未遂罪で逮捕・起訴を回避するための対処法

背任未遂罪で逮捕・起訴を回避するには、以下のような対処法があります。

被害者との示談をする

背任未遂罪は、被害者に財産的な損害が発生していませんが、背任既遂罪と同様に被害者との示談が重要であることには変わりありません。

被害者には、背任事件の社内調査、警察への被害届の提出、警察での事情聴取など多くの負担が生じており、会社であれば通常の業務をストップして対応しなければなりません。無駄な手間や労力を掛けさせたという点で損害が生じているといえますので、それを賠償するためにも示談が必要になります。

被害者との間で示談が成立すれば、それ以上処罰を望まないケースが多いため、検察官も起訴を回避する可能性が高くなります。また、示談が成立した事件では、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがありませんので、逮捕を回避できる可能性も高くなるでしょう。

警察に自首をする

背任未遂事件が捜査機関に発覚する前であれば、警察に自首することも検討してみましょう。

自首をすることで逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを示せるため、それにより逮捕を回避できる可能性があります。また、仮に起訴されてしまったとしても自首は任意的な刑の減軽事由にあたりますので、最終的な処分が軽くなる可能性があります。

ただし、自首をしたとしても確実に逮捕を回避できるわけではありませんので、自首をするかどうかは慎重に判断するようにしましょう。

弁護士に相談をする

背任未遂罪で逮捕・起訴を回避するなら、後述するようなメリットがありますのですぐに弁護士に相談することをおすすめします。

被害者に財産上の損害が生じていなかったとしても、犯罪は成立しますのでそのままでは逮捕・起訴のリスクがあります。そのようなリスクを回避または最小限に抑えるには刑事事件に強い弁護士によるアドバイスやサポートが不可欠です。背任未遂罪を犯してしまったときは、一刻も早く弁護士に相談するようにしましょう。

背任未遂罪の弁護を弁護士に依頼するメリット

背任未遂罪の弁護を弁護士に依頼するメリット

背任未遂罪の弁護を弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。

被害者との示談交渉を任せられる

背任未遂罪を犯してしまったときは、被害者との示談が最優先事項になりますが、加害者自身では、示談交渉が難しいケースも少なくありません。

スムーズに示談交渉を進めるには、弁護士によるサポートが不可欠ですので、示談交渉は弁護士に任せるべきでしょう。弁護士であれば、加害者に代わって被害者との示談交渉の窓口になることができますので、被害者としても専門家である弁護士が窓口になってくれた方が安心して交渉に臨むことができるはずです。

自首に同行してもらえる

弁護士に依頼すれば警察に自首する際に弁護士に同行してもらうことができます。

一人で自首するのは不安だという方でも弁護士が一緒に来てくれれば非常に心強いといえます。捜査機関に対しては、弁護士から逮捕をしないよう強く要請しますので、それにより逮捕を回避できる可能性を高めることが可能です。

取り調べに対するアドバイスを受けられる

万が一、背任未遂罪で逮捕されてしまったとしても、弁護士に依頼していればすぐに弁護士が面会に駆けつけることができます。面会では、今後の取り調べに対する具体的なアドバイスをすることができますので、それに従って対応すれば不利な調書を作成されるリスクを軽減することができます。

背任罪の未遂を犯してしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

背任罪の未遂を犯してしまったときはグラディアトル法律事務所に相談を

背任罪の未遂を犯してしまったときは、弁護士によるサポートが不可欠ですのですぐに弁護士に相談するようにしましょう。その際には、弁護士であれば誰でもよいというわけではなく、刑事事件に強い弁護士を選ぶのが重要なポイントです。

弁護士の能力は経験や実績によって大きく左右されますので、少しでも有利な処分の獲得を希望するなら経験豊富な弁護士に依頼しなければなりません。

グラディアトル法律事務所では、これまでさまざまな刑事事件を取り扱ってきており、背任罪に関しても豊富な経験と実績があります。逮捕や起訴を回避するためのポイントを熟知していますので、事案に応じた適切な弁護活動を行うことで、被疑者に生じる不利益を最小限に抑えることができます。

当事務所では、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。また、初回法律相談を無料で対応していますので、まずは相談だけでも結構です。

刑事事件は、スピード勝負と言われるように迅速な対応が重要になりますので、少しでも早く弁護活動に着手するためにもまずは当事務所までお問い合わせください。

まとめ

背任罪には未遂の処罰規定が設けられていますので、任務違背行為をしたものの被害者に財産上の損害が生じなかった場合には、背任未遂罪として処罰されます。

未遂による刑の減免があるといっても法定刑は既遂罪と変わりませんので、適切な対応をしなければ厳しい処分が下される可能性もあります。そのため、背任未遂罪を犯してしまったときは、すぐにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

 

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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