盗撮は未遂でも処罰される?問われる罪や不起訴に向けた対処法を解説

盗撮未遂でも逮捕される?問われる罪や不起訴に向けた対処法を解説
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弁護士 若林翔
2024年06月16日更新

「盗撮は未遂に終わった場合でも処罰される可能性はあるのか」

「不起訴処分を獲得するためにはどうすればよいのか」

盗撮しようとしたものの撮影に踏み切らなかった場合や、撮影する前に被害者自身や第三者に気づかれてしまうケースは少なくありません。

この場合、盗撮が未遂に終わっていることになりますが、刑法上、処罰される可能性はあるのでしょうか。

結論からいうと、盗撮は未遂でも処罰されます

そのため、できるだけ早く弁護士に相談し、不起訴処分の獲得に向けた対策を講じることが重要です。

本記事では、盗撮未遂でも成立する可能性がある罪の種類や盗撮未遂にあたる行為などを解説します。

不起訴となるためにやるべきことも紹介するので、盗撮事件を起こしてしまい、不安や焦りを感じている方は参考にしてみてください。

盗撮は未遂に終わっても処罰されることがある

盗撮が未遂に終わったとしても、罪に問われ、処罰される可能性はあります。

盗撮行為は、性的姿態等撮影罪として処罰されるケースが一般的です。

そして、性的姿態等撮影罪には未遂を処罰する規定が存在します。

そのため、たとえ撮影にいたらなかったとしても、盗撮を目的としてカメラを差し向けたり、設置したりしただけで盗撮未遂となり、処罰を受けることがあるのです。

また、盗撮行為自体が処罰の対象になるかどうかは別として、のぞきや不法な侵入行為で罪に問われるケースも少なくありません。

このように、盗撮が未遂に終わったとしても、いくつかの罪に問われる可能性があることを覚えておきましょう。

盗撮未遂でも成立する可能性がある罪と処罰の内容

盗撮未遂でも成立する可能性がある罪と処罰の内容は、以下のとおりです。

盗撮未遂でも成立する可能性がある罪と刑罰

では、それぞれの罪が成立する要件などを詳しく見ていきましょう。

性的姿態等撮影罪|3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金

性的姿態等撮影罪は、性的な部位や下着、わいせつな行為がされている様子などを同意なく撮影する行為に適用される罪です。

上述のとおり性的姿態等撮影罪には未遂に関する規定があるため、スマートフォンをスカート内に差し向けるといった行為も処罰の対象となります。

性的姿態等撮影罪の刑罰は、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。

なお、性的姿態等撮影罪は2023年7月に新設されたものであり、それまでは各都道府県の「迷惑防止条例」に違反する行為として規制されていました。

性的姿態等撮影罪の新設によって、盗撮がより厳しく規制されるようになっています。

撮影罪とは?構成要件や盗撮での迷惑防止条例との違いなど徹底解説!

迷惑防止条例違反|罰則は地域ごとに異なる

性的姿態等撮影罪が施行される以前、盗撮は未遂も含め、各都道府県が定める迷惑防止条例違反で規制されていました。

細かな規制内容は都道府県によって異なりますが、トイレ・更衣室といった場所や公共の場所での撮影を禁止しているケースが一般的です。

迷惑防止条例では「未遂」を処罰する規定自体はありませんが、盗撮(撮影)が未遂でも撮影機器を差し向けたり、設置したりする行為が規制対象とされており、実質的に盗撮の未遂が処罰対象となっています。

罰則も都道府県ごとに違いがあり、たとえば東京都であれば、盗撮未遂といえる行為に対して「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金(常習の場合は1年以下の懲役または100万以下の罰金)」を定めています。

今でも、性的姿態等撮影罪が施行される2023年7月12日以前の盗撮行為が発覚した場合には、迷惑防止条例によって処罰される可能性が高いといえるでしょう。

軽犯罪法違反|拘留または科料

盗撮自体が未遂に終わった場合は、軽犯罪法違反として処罰される可能性も出てくるでしょう。

軽犯罪法では、いわゆる「のぞき」を処罰対象としています。

そのため、盗撮しようとしてトイレや浴室をのぞいた場合には、たとえ撮影に至らなかったとしても、のぞき行為として軽犯罪法が適用されるケースがあるのです。

軽犯罪法違反の刑罰は、「1日以上30日未満の身柄拘束(拘留)または1,000円以上1万円未満の金銭納付(科料)」とされています。

住居侵入罪・建造物侵入罪|3年以下の懲役または10万円以下の罰金

住居侵入罪・建造物侵入罪は、正当な理由なく人の住居や建物に侵入した際に成立する犯罪です。

当然、盗撮を目的とした侵入に正当な理由があるとはいえません。

そのため、盗撮行為自体は未遂だとしても、盗撮目的で侵入したこと自体が住居侵入罪・建造物侵入罪の罪に問われる可能性があります。

住居侵入罪・建造物侵入罪の刑罰は、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

盗撮未遂にあたる主な行為

盗撮未遂として処罰される代表的な例は、「カメラを差し向ける行為」です。

具体的には、エスカレーターや電車で女性のスカート内にカメラを向けるといった行為が挙げられるでしょう。

また、「カメラを設置する行為」も盗撮未遂にあたる典型例のひとつです。

実際、トイレや更衣室にカメラを設置したものの起動する前にバレてしまい、盗撮未遂となるケースは少なくありません。

盗撮未遂事件で不起訴となるためにできること

次に、盗撮事件で不起訴となるためにできることを紹介します。

盗撮事件で不起訴となるためにできること

盗撮事件を放置すると、取り返しのつかない事態に陥る可能性もあるので、できるだけ早く行動に移すことが大切です。

これは、盗撮行為自体が未遂であっても同様です。

 

示談を成立させる

盗撮事件で不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談を成立させることが何よりも重要です。

示談が成立すれば、被害者と和解していることを検察官に示せるため、「起訴して処罰を与えるほどではない」と判断される可能性が高まります。

もちろん事件の性質や前科の有無などにもよりますが、不起訴を目指すのであれば、示談の成立は必要不可欠です。

ただし、加害者本人から被害者に対して示談を申し入れても、取り合ってもらえるケースは少ないでしょう。

また、交渉に応じてもらえたとしても高額な慰謝料を請求されるリスクもあるので、示談交渉は弁護士に一任するのが賢明な判断といえます。

盗撮の示談金相場は10~100万円!適正な金額の早期解決法を紹介

反省している姿勢を示す

起訴を回避するためには、反省している姿勢を示すことも重要です。

盗撮の事実はあるものの、深く反省し、再犯の可能性が低いと考えられる場合には、検察官があえて不起訴(起訴猶予)とすることがあります。

反省の姿勢を示すには、被害者に謝罪文を送ったり、検察に反省文を提出したりといった方法が考えられるでしょう。

また、罪を認めて反省していることを示せれば、仮に起訴され、有罪になったとしても量刑上考慮してもらえるケースがあります。

再犯防止の取り組みを進める

不起訴の可能性を少しでも高めたいのであれば、再犯防止の取り組みを進めることも大切です。

盗撮は比較的再犯率の高い犯罪であるため、再犯防止に向けた努力がみられるかどうかは、起訴・不起訴の判断にも大きな影響を与えます

たとえば、クリニックで治療を受ける、公共交通機関は利用しないようにする、盗撮に関連する動画や書籍を破棄するといった取り組みが考えられるでしょう。

また、配偶者や親にスマートフォンの中身を随時チェックしてもらうなど、家族の協力を得るのも有効な方法といえます。

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盗撮で不起訴になるには?不起訴率や示談の重要性を弁護士が解説

盗撮未遂に関するよくある質問

最後に、盗撮未遂に関するよくある質問を紹介します。

盗撮未遂に関するよくある質問

盗撮が未遂であったと見せかけるためにデータを削除するとどうなる?

盗撮したデータを削除すると、悪質な証拠隠滅行為とみなされ、逮捕される可能性が高まったり、身柄拘束の期間が長くなったり、量刑が重くなったりする可能性があります。

そもそも、盗撮は未遂であっても処罰されうる犯罪です。

無駄な抵抗で状況を悪化させることのないよう、まずは弁護士に相談したうえで、示談の成立を優先的に進めていきましょう。

盗撮未遂で逮捕されることはある?

盗撮が未遂に終わった場合でも、逮捕される可能性は十分あります。

その場で現行犯逮捕されるケースはもちろん、後日捜査が進められ、逮捕に至るケースも少なくありません

特に言い逃れをしている場合などは、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断され、逮捕される可能性が高くなるので注意してください。

盗撮未遂をしてしまったときは弁護士に相談を!

盗撮事件を起こしたときは、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

たとえ未遂に終わっていたとしても、性的姿態等撮影罪をはじめとした罪に問われるおそれがあります。

そのため、起訴を回避して前科を付けないようにするためには、弁護士の協力を得ながら、被害者との示談を早急に成立させることが重要です。

実際にグラディアトル法律事務所では、盗撮事件に関する豊富な解決実績があります。

盗撮がバレてしまい、今後どうなってしまうのか不安に感じている方は、一人で悩まずに弊所へご相談ください。

LINEでの無料相談も受け付けているので、お気軽にどうぞ。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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