「不同意性交等罪はどこまでが未遂になる?」
「不同意性交等罪の既遂と未遂で刑罰に差はあるの?」
「不同意性交等未遂罪で逮捕されるのを回避するにはどうしたらいい?」
不同意性交等罪とは、相手の同意なく性交等をした場合に成立する犯罪です。
不同意性交等罪には、未遂の処罰規定がありますので、実際に性行為に至っていなくても相手を押し倒すなどの行為をした時点で不同意性交等罪の未遂が成立します。
未遂であっても犯罪であることには変わりありませんので、捜査機関に発覚すれば逮捕・起訴される可能性があり、有罪となれば実刑判決になるリスクがあります。
ただし、既遂と未遂を比較すれば未遂の方が軽い犯罪になりますので、適切な弁護活動を行うことにより逮捕や起訴を回避できる可能性もあります。
本記事では、
・不同意性交等罪の未遂とは?
・不同意性交等未遂罪で逮捕を回避する方法
・不同意性交等未遂罪で逮捕されたときに弁護士ができること
などについてわかりやすく解説します。
不同意性交等罪の未遂を犯してしまったときは、弁護士のサポートが不可欠となりますので、一刻も早く性犯罪に強い弁護士に相談するようにしましょう。
目次
不同意性交等罪の未遂とは?
未遂とは、犯罪の実行に着手したものの、成し遂げずに終わった場合をいいます。
不同意性交等罪は、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態の被害者と性交等をすることにより成立する犯罪ですので、不同意性交等罪の未遂は、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態となる原因行為が開始された時点で成立します。
具体的には、お酒に酔って正常な判断ができない女性をホテルに連れ込んで、性交しようと衣服や下着を脱がせた時点で不同意性交等罪の実行の着手があったものと考えられます。
そして、その後、膣に陰茎の一部でも挿入された時点で不同意性交等罪は既遂になります。
刑法では、不同意性交等罪の未遂の処罰規定を置いていますので、膣・肛門・口腔内に性器を挿入していなかったとしても、不同意性交等罪の未遂で処罰される可能性があります。
未遂の例 | 既遂の例 |
---|---|
加害者が被害者を痛めつけて性行為を試みるも、第三者に止められて未遂に終わった場合 | 加害者が被害者に暴力をふるい、抵抗できない状態にして性行為をした場合 |
加害者が被害者に薬を飲ませて意識を朦朧とさせ、性行為をしようとしたが、被害者が途中で逃げた場合 | 被害者が意識を失っている間に、加害者が性行為を行った場合 |
監視者と共犯者が被害者を拘束し、一方が見張りをしている間にもう一人が性行為を試みるも、被害者が逃げた場合 | 複数の参加者が被害者に暴力を加え、加害者の1人が性行為を完遂した場合 |
加害者が被害者を脅迫して性行為をとりあえずしようとしたが、被害者が叫んで犯人が逃げた場合 | 加害者が被害者をだましてホテルに連れ込み、性行為 を行った場合 |
加害者が被害者を車に連れ込み、性行為を試みたが、被害者が途中で逃げ出した場合 | 加害者が被害者を押さえつけ、抵抗できない状態にして性行為を行った場合 |
不同意性交等罪の未遂と不同意わいせつ罪の未遂の区別は?
不同意性交等罪の未遂と不同意わいせつ罪の未遂は、いずれも同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態となる原因行為が開始された時点で成立しますので、両者の区別は、行為者の主観面で行います。
具体的には、行為者に性行為または性交類似行為をする意図があった場合には不同意性交等罪の未遂、そのような意図はなく単にわいせつな行為をする意図のみであった場合は不同意わいせつ罪の未遂が成立します。
ただし、行為者がどのような意図を有していたかは、行為者自身にしかわかりませんので、実際には、行為者の言動や事件の具体的な状況などから行為者の主観を判断することになります。
たとえば、大量のアルコールを摂取させ泥酔させた被害者をラブホテルに連れ込んだ場合、客観的状況から性行為をする意図が推認されますので、不同意性交等罪の未遂が成立します。
不同意性交等罪の未遂の刑罰は?
不同意性交等罪の未遂が成立した場合、どのような刑罰が科されるのでしょうか。
項目 | 内容 | 法定刑 |
---|---|---|
既遂(不同意性交等罪) | 同意のない、または同意しづらい状態で性行為を行った場合 | 5年以上の有期拘禁刑 |
未遂(不同意性交等罪の未遂) | 同意のない、または同意しづらい状態で性行為を行おうとしたが遂げなかった場合 | 5年以上の有期拘禁刑(減軽適用前) |
未遂減軽適用後 | 裁判官の裁量により未遂減軽が適用される場合 | 2年6月以上10年以下の拘禁刑 |
法定刑は既遂と同様
不同意性交等罪の未遂の法定刑は、不同意性交等罪の既遂と同様に5年以上の有期拘禁刑と定められています。
実際の裁判では、裁判官が法定刑の範囲内で刑を決定しますので、既遂と未遂とでまったく同じ刑罰になるわけではありません。後述するような未遂減軽などが適用される結果、不同意性交等の未遂は、既遂に比べると刑が減軽される可能性が高いでしょう。
未遂による刑の減軽がある
未遂減軽とは、犯罪の実行に着手したものの、これを遂げなかった場合に裁判官の裁量で刑が減軽される制度です。
不同意性交等罪の刑の減軽が行われる場合、法定刑の長期および短期の2分の1を減ずることになるため、同罪の未遂の法定刑は、2年6月以上10年以下の拘禁刑となります。裁判では、この範囲で刑が決定されますので、既遂に比べて軽い刑が言い渡される可能性が高いです。
また、執行猶予を付けるには、言い渡される刑が3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金である必要がありますが、不同意性交等罪の法定刑は、これを上回るため原則として執行猶予は付きません。しかし、未遂減軽により刑の減軽が行われると執行猶予の要件を満たすため、執行猶予付きの判決を獲得できる可能性が出てきます。
このように不同意性交等罪が未遂になるか、既遂になるかは、刑の減軽を受けられるという点だけでなく、執行猶予付き判決を獲得できるという違いがあります。
ただし、未遂による刑の減軽は、任意的な減軽事由とされていますので、必ず減軽されるわけではない点に注意が必要です。
不同意性交等未遂罪で逮捕を回避する方法
不同意性交等未遂罪を犯した場合、逃亡または証拠隠滅のおそれが認められると警察により逮捕される可能性があります。不同意性交等未遂罪による逮捕を回避するためにも以下の方法を検討しましょう。
被害者との示談
不同意性交等未遂罪は、被害者が存在しますので、被害者との間で示談を成立させることが重要です。
被害者との間で示談が成立すれば、既に事件は解決していますので逃亡する可能性は低く、被害者に働きかけて証拠隠滅をするおそれもありません。そのため、示談が成立すれば逮捕を回避できる可能性が高くなります。
ただし、加害者が直接被害者と連絡をとって示談交渉をするのは困難ですので、示談交渉をするなら弁護士に依頼するようにしましょう。
自首
自首とは、罪を犯した者が事件の発覚または犯人の特定前に自ら捜査機関に罪を申告することをいいます。
自首の法的効果として逮捕の回避が認められているわけではありませんが、自首をすることで逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを示すことができますので、事実上逮捕を回避する効果が期待できます。
また、自首をすることで刑の任意的な減軽が受けられますので起訴されて有罪になったとしても、重い刑罰を回避できる可能性があります。
ただし、自首をするのであれば捜査機関に事件が発覚する前に行わなければなりませんので、早めに行動することが大切です。
弁護士に相談
不同意性交等未遂罪で逮捕を回避するには、専門家である弁護士のサポートが不可欠になりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士に相談・依頼をすることで、加害者自身では困難な示談交渉を弁護士が代わりに行ってくれます。被害者としても加害者本人と直接話をするよりも弁護士と話をした方が安心ですので、弁護士が窓口になることでスムーズに示談をまとめられる可能性があります。
また、自首をする際にも弁護士が警察署に同行してくれますので、一人だけで自首するよりも心強く、弁護士から警察に逮捕をしないよう働きかけることで逮捕を回避できる可能性を高めることができます。
こちらの記事にも弁護士に依頼について詳しく書いていますので、ご覧ください。
不同意性交等罪は今すぐ弁護士に依頼するべき!選び方と費用も解説
不同意性交等未遂罪で逮捕されたときに弁護士ができること
万が一、家族が不同意性交等未遂罪で逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談してください。以下のようなサポートにより不利な処分を回避することができます。
勾留の阻止
逮捕された場合の身柄拘束期間は、最長で72時間(3日間)ですが、勾留されると延長も含めて最長で20日間の身柄拘束が行われます。
勾留されるか否かによって被疑者に生じる不利益の程度は大きく変わりますので、逮捕された場合、まずは勾留を阻止することが重要になります。
弁護士に依頼すれば被害者との示談交渉を早期にまとめることで、検察官による勾留請求を阻止することができます。
勾留に対する準抗告の申立て・勾留取消請求
勾留の阻止ができずに勾留されてしまったとしても、勾留に対する準抗告の申立てや勾留取消請求によって、身柄の解放を求めていくことができます。
勾留に対する準抗告とは、裁判所が行った勾留決定が不当なものであるとして不服申し立てを行う方法です。また、勾留取消請求とは、当初は適法な勾留決定であってもその後勾留の要件が失われたとして勾留の取り消しを求めていく方法です。
準抗告や勾留取消請求は、簡単には認められるものではありませんので、少しでも可能性を高めるためにも経験豊富な弁護士に依頼すべきでしょう。
被害者との示談による早期の身柄解放
逮捕後であっても被害者との示談が成立すれば、早期の身柄解放を実現できる可能性があります。
弁護士であれば被害者の連絡先がわからないケースでも捜査機関を通じて示談の意向を伝えることで、被害者との示談交渉を進めることができます。また、被害者の処罰感情にも配慮しながら示談交渉を進められますので、弁護士に任せることで早期に示談をまとめられる可能性が高くなるでしょう。
取り調べに対するアドバイス
逮捕・勾留されている被疑者は、不慣れな環境で警察による厳しい取り調べを受けることになります。取り調べでの供述内容は、供述調書にまとめられて後日の裁判の証拠になりますので、取り調べでどのような受け答えをするかが重要になります。
弁護士であれば身柄拘束中の被疑者と時間制限なく面会をすることができますので、じっくりと取り調べに対するアドバイスを行うことができます。特に、逮捕中に面会できるのは弁護士に限られますので、早期に弁護士と面会することが重要です。
不起訴処分の獲得に向けたサポート
不同意性交等罪の未遂は、被害者との示談を成立させることができれば不起訴処分を獲得できる可能性も十分にあります。
起訴されてしまうと、ほぼ確実に有罪となりますので、起訴されるか不起訴になるかは非常に重要なポイントとなります。弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉などの弁護活動により不起訴処分の獲得に向けたサポートを行うことができます。不起訴処分を獲得するためには、限られた時間内に弁護活動を行わなければなりませんので、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。
不同意性交等罪の逮捕、起訴率、執行猶予等については、以下の記事もご参照ください。
不同意性交等罪の逮捕率は57%?|流れと逮捕を防ぐ方法を解説!
【不同意性交等罪の起訴率は32%?】不起訴になる3つの方法を解説
不同意性交等罪で執行猶予が付くのは20%?実刑を避けるポイント
不同意性交等罪の未遂はグラディアトル法律事務所に相談を!
不同意性交等罪の未遂であれば、早期に弁護士に相談・依頼して対応してもらうことで、逮捕や起訴を回避できる可能性があります。より有利な処分を獲得するためにも、弁護士に依頼するのであれば性犯罪の事案に強い弁護士に依頼するのが重要なポイントです。
グラディアトル法律事務所では、不同意性交等罪を含む性犯罪に関する豊富な実績と経験がありますので、逮捕や起訴を回避するためのノウハウを熟知しています。処罰感情の強い被害者との示談交渉も得意としていますので、不同意性交等罪の未遂を犯してしまったときは、すぐに当事務所までご相談ください。
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まとめ
無理やり性行為をしようとしたところ相手に抵抗されて挿入には至らなかったとしても、罪に問われないわけではありません。このような場合には不同意性交等罪の未遂に問われる可能性があります。
未遂であっても逮捕・起訴される可能性はありますので、早期に弁護士に相談して、被害者との示談交渉などに対応してもらうようにしましょう。
不同意性交等罪に関する相談は、経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にお問い合わせください。