「傷害罪は未遂でも処罰されてしまうのか」
「逮捕や起訴を回避するためには何をすべきなのか」
ちょっとした揉め事がきっかけとなり、相手を押し倒したり、物を投げつけてしまったりといった暴行事件に発展するケースは少なくありません。
実際、暴力行為に及んでしまい、相手にケガはなかったものの、傷害罪の未遂で逮捕・起訴されてしまうのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、傷害罪に未遂を処罰する規定はありません。
しかし、多くの場合は暴行罪が成立するため、逮捕や起訴の回避に向けた対策を速やかに講じることが重要です。
本記事では、傷害罪が未遂に終わった場合の取り扱いや、逮捕・起訴を回避する方法などを解説します。
傷害罪・暴行罪となり得る行為の具体例や、それぞれの刑罰なども詳しく解説するので参考にしてみてください。
目次
傷害罪に未遂を処罰する規定はない!多くの場合は暴行罪が成立する
刑法には、傷害罪の未遂を処罰する規定はありません。
そのため、相手を傷つけようとして暴行を加えたものの、結果的にケガがなかったのであれば、傷害罪で処罰されずに済むわけです。
しかし、傷害の未遂については、一般的に暴行罪が適用されます。
暴行罪は、故意に暴行を加えた時点で成立する犯罪です。
相手にケガがなくても、暴行を加えたことが事実であれば、暴行罪として処罰される可能性は高いといえます。
傷害の未遂で暴行罪が成立する主なケース
暴行罪は暴行を加えたものの、ケガがなかった場合に成立する罪です。
傷害の未遂で暴行罪が成立する主なケースとしては、以下のような行為が挙げられます。
- ・衣服をつかむ
- ・髪の毛をひっぱる
- ・相手を押し倒す
- ・足元に石を投げつける
- ・相手の近くに椅子を投げる
- ・狭い室内で刃物を振り回す
- ・唾を吐きかける
- ・大音量を鳴らして意識朦朧とさせる
直接身体に触れるだけでなく、間接的に刺激を与える行為なども暴行罪にあたる点に注意しておきましょう。
未遂とはいえない!傷害罪が成立する主なケース
傷害罪は暴行を加えた結果、相手がケガをしたり、病気・精神疾患を患ったりした場合に成立する罪です。
具体的には、以下のようなケースにおいて傷害罪が成立します。
- ・顔を殴り鼻血を出させる
- ・棒で殴打して骨を折る
- ・睡眠薬を無断で飲ませて急性薬物中毒にさせる
- ・性病を隠して性交渉をおこない、感染させる
- ・騒音によって頭痛や睡眠障害などを引き起こす
- ・嫌がらせの電話で精神を衰弱させる
- ・SNSへの書き込みによって精神的ショックを与える
実際に自身では未遂に終わったと思っていても、予想に反して傷害罪が成立するケースも少なくありません。
そのため、暴行事件を起こした際には、何の罪が適用されるのかも含めて弁護士に相談することをおすすめします。
傷害罪と暴行罪の違いについては、以下の記事もご参照ください。
傷害罪・暴行罪の刑罰
次に、傷害罪・暴行罪の刑罰について解説します。
どちらの罪が適用されるかによって、刑罰の重さが大きく変わることを覚えておきましょう。
傷害罪|15年以下の懲役・50万円以下の罰金
傷害罪の刑罰は、「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
傷害の程度や暴行に至った経緯、前科の有無などをもとに、最終的な量刑が決定されることになります。
たとえば、喧嘩の延長線上で鼻血を出させた程度であれば、罰金刑になるケースがほとんどです。
一方で、計画的に暴行行為をおこない、重大なケガや精神疾患を負わせた場合には懲役を受ける可能性も出てくるでしょう。
いずれにせよ、前科がつくと今後の人生に支障が生じることにもなりかねないので、まずは不起訴を目指すことが大切です。
暴行罪|2年以下の懲役・30万円以下の罰金・拘留・科料
暴行罪の刑罰は、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。
拘留は1日以上30日未満の身体拘束、科料は1,000円以上1万円未満の金銭納付を指します。
相手がケガを負っていない分、暴行罪の刑罰は傷害罪と比較して軽いといえるでしょう。
量刑は、傷害罪と同様、行為の悪質性や結果の重大性などをもとに決められることになります。
ただし、拘留・科料となることは基本的になく、有罪判決が下された場合は罰金刑もしくは懲役刑となるケースがほとんどです。
傷害・暴行事件で逮捕・起訴されないためにできること
傷害・暴行事件で逮捕・起訴されないためにできることは、主に以下の3つが挙げられます。
では、一つひとつのポイントを詳しく見ていきましょう。
起訴される前に示談を成立させる
傷害・暴行事件で逮捕・起訴されないためには、起訴される前に示談を成立させることが何よりも大切です。
示談が成立すれば、被害届の提出を阻止できる可能性が高まるほか、すでに被害届が提出されている場合には取り下げてもらえることもあります。
また、被害者と和解していることを検察官に示せるため、起訴猶予にもつながりやすくなります。
ただし、加害者から被害者に対して直接示談を申し入れるのはおすすめしません。
まともに対応してもらえるケースは少ないうえ、足元を見られて高額な示談金を請求されるおそれもあります。
そのため、示談については、すべて弁護士に一任するのが賢明な判断といえるでしょう。
反省していることを示す
反省していることを示すことも、傷害・暴行事件で逮捕・起訴されないためのポイントです。
反省の態度を十分に示せば、被害者の処罰感情が和らぎ、被害届の取り下げといった寛大な対応をとってもらえることがあります。
また、警察や検察に対して更生の意志をアピールできるため、あえて逮捕・起訴する必要はないと判断してもらえる可能性も高まるでしょう。
反省の態度を示すには、被害者に対して謝罪文を送付したり、捜査機関に対して反省文を提出したりといった方法が考えられます。
早期に弁護士へ相談する
傷害・暴行事件で逮捕や起訴を回避するためには、早期に弁護士へ相談することも重要です。
傷害・暴行事件を得意とする弁護士に相談・依頼すれば、豊富な知識と経験をもとに、個々の状況に合わせた最善の解決策を提案・実行してくれます。
たとえば、被害者との示談も、蓄積された交渉ノウハウを使って迅速に進めてもらうことができるはずです。
また、警察や検察への働きかけもおこなってくれるため、結果として、逮捕や起訴を回避できる可能性は格段に高まるでしょう。
傷害・暴行事件を起こしてしまったときは、自力で乗り切ろうとするのではなく、まずは弁護士に相談するようにしてください。
傷害罪の未遂に関するよくある質問
最後に、傷害罪の未遂に関するよくある質問を紹介します。
同様に疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
傷害の未遂で捕まることはある?
傷害の未遂といえる行為があった場合、現行犯逮捕・後日逮捕される可能性は十分あります。
上述のとおり、傷害の未遂は暴行罪となるケースがほとんどです。
そのため、暴行行為の証拠があり、逃亡や証拠隠滅の可能性がある場合には逮捕されるケースもあります。
暴行罪には未遂がある?
暴行罪に未遂はありません。
そもそも未遂とは、犯罪に着手したものの成し遂げられなかったケースを指します。
しかし、暴行罪は暴行を加えること自体が犯罪行為とされているものです。
つまり、暴行に着手した時点で暴行罪が成立するため、未遂となることはありません。
傷害・暴行事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を!
傷害・暴行事件を起こしたときは、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
弁護士に相談すれば、個々のケースにあわせて、今やるべきことをアドバイスしてもらうことができます。
また、被害者との示談を速やかに成立させられるほか、捜査機関への働きかけもおこなってくれるので、逮捕・起訴を回避できる可能性は格段に高まるでしょう。
実際にグラディアトル法律事務所では、傷害・暴行事件に関する豊富な解決実績があります。
他人に暴行を加えてしまい、逮捕・起訴されてしまうのではないかと不安を抱えている方は、ひとりで悩む前にまず弊所へご相談ください。
弊所では24時間365日、初回無料相談を受け付けているのでお気軽にどうぞ。