暴行事件を起こしてしまった翌日。
「現行犯で逮捕されなかったが、後になって被害届を出されてしまったのでは?」
「突然、自宅や職場に警察が押しかけてくるのでは?」
こんな不安で胸が押しつぶされそうになり、本記事へたどり着いた方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、暴行罪は、現行犯以外でも逮捕される可能性が十分にあります。
実際、現行犯で逮捕されなかったものの、被害届の提出から暴行の事実が発覚し、後日になって逮捕されたケースはいくつも存在します。
現行犯で逮捕されなかったからといって、安心することはできません。
とはいえ、暴行事件を起こしてしまった後でも、逮捕されるリスクを下げるためにできることはあります。
正しい知識を身に着けて、適切に対処すれば、将来への影響も最小限に抑えることができるでしょう。
そこでこの記事では、
・暴行罪で後日逮捕に繋がりやすいケース
・後日逮捕される可能性がある期間
・後日逮捕が不安な場合の対処法
について解説します。
後日逮捕の不安を軽減するために、是非ご一読ください。
目次
暴行罪は現行犯以外でも後日逮捕される
暴行罪は現行犯逮捕されるケースが多いですが、現行犯でなくても、後日逮捕されるケースは数多く存在します。
【暴行罪で後日逮捕された事案】
駅前ロータリーで2歳男児蹴とばす 暴行容疑で無職の男を逮捕!
”千葉県流山市で面識のない2歳の男の子を蹴飛ばしけがをさせたとして、自称無職の男が逮捕されました。
警察によりますと4月4日午前9時すぎ、JR南流山駅前のロータリーで面識のない2歳の男の子の腹部を蹴飛ばし、打撲などのけがをさせた疑いがもたれています。
一緒に歩いていた母親が「子どもが男に蹴られた」と近くの交番に被害届を出し、その後、防犯カメラの映像などから容疑者の逮捕に至ったということです。”
背後からいきなり手で女性(19)の口をふさぐ 49歳の男を暴行容疑で逮捕!
”愛媛県砥部町で歩道を歩いていた19歳の女性に対し、背後から手で口をふさぐ暴行を加えたとして13日49歳の男が逮捕されました。
暴行の疑いで逮捕されたのは砥部町高尾田に住む49歳無職の男です。
男は11日午後7時50分頃、砥部町高尾田の道路の歩道を1人で歩いていた19歳の女性の背後からいきなり手で口をふさぐ暴行を加えた疑いが持たれています。
その場で女性が手を振りほどくと男は走って逃走したということです。
女性にケガはありませんでした。女性からの通報を受けた警察は、男の行方を捜査し、13
日の午前0時過ぎ暴行容疑で男を逮捕しました。”
これらの事例から分かるように、暴行罪は、現行犯逮捕に至らなくても、被害届や防犯カメラの映像をもとに、後日逮捕される可能性が十分にあります。
後日逮捕に備えるためには、暴行罪について正しく理解しておくことが必要です。
暴行罪で後日逮捕に繋がりやすいケース
それでは、具体的にどのようなケースで、現行犯以外で逮捕される可能性が高くなるのでしょうか?
ここでは、後日逮捕されるリスクが特に高くなるケースを、3つ紹介します。
被害届が提出されたケース
被害届が提出されると、現行犯以外でも、捜査が開始される可能性が高くなります。
例えば、被害者と加害者が知り合いの場合、被害届の提出によって、警察から事情聴取の連絡が来るケースも多いです。
事情聴取の内容によっては、そのまま逮捕されてしまう可能性もあるため、事前に弁護士に相談する等して、慎重に対応することをおすすめします。
※暴行罪は親告罪ではないため、被害者が通報しなくても、警察の判断で捜査が開始される可能性もあります。
→暴行罪と親告罪については、記事で詳しく解説しています。
監視カメラがあったケース
暴行事件が発生した現場に監視カメラがあった場合、警察はその映像を証拠として捜査を進めていきます。監視カメラに暴行の瞬間が映っていれば、暴行罪を立証する有力な証拠となるでしょう。
映像には、加害者の特徴が鮮明に記録されている場合も多いです。
監視カメラを確認することで、容疑者を容易に特定できるため、後日逮捕に繋がる可能性も高くなるでしょう。
目撃者がいたケース
現場に目撃者がいたケースでも、後日逮捕に発展しやすくなります。
事件を目撃した人の証言は、暴行罪の有力な証拠になるからです。
例えば、目撃者が「男性が女性の頬を平手で叩いていた」と証言すれば、これは暴行罪の犯行を裏付ける重要な証拠になります。目撃者が加害者の特徴を覚えていた場合は、犯人の特定にも役立つはずです。
信頼できる目撃証言があれば、警察が後日逮捕に向けて動き出す可能性は高くなるでしょう。
暴行罪は現行犯以外でいつまで後日逮捕される可能性がある?
もしも暴行事件を起こしてしまった場合、加害者は、
「いつまで不安な気持ちで過ごせばいいのだろうか」と思い悩むことになるでしょう。
それでは、暴行罪の後日逮捕は、いつまで可能なのでしょうか。
結論から言えば、公訴時効期間(3年)が経過するまでは、いつ逮捕されてもおかしくありません。
※公訴時効とは?
犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると、検察官が起訴できなくなる(処罰できなくなる)という決まりのこと。
一般的には、暴行事件から長期間が経過していれば、警察が積極的に捜査を開始するケースは少ないかもしれません。
ただし、暴行事件の内容によっては、時間が経過していても捜査が行われることはあります(相手が自殺してしまった場合など)。
仮に暴行の日から1年以上経っていたとしても、突然警察が家に来て逮捕するということは十分にあり得る話です。
また、被害者との示談が成立していないケースでは、被害者から警察に対して捜査を求める働きかけがなされることもあるでしょう。
暴行事件の加害者は、現行犯逮捕を免れたからといって、安心することはできません。
少なくとも公訴時効が完成するまでは、後日逮捕のリスクを考えておくことが必要です。
※もしも相手がケガをしていたら?
加害者は気づいていなくても、実は相手がケガをしていたというケースも多いです。
その場合、「暴行罪」ではなく「傷害罪」が成立し、公訴時効の期間も「10年」となってしまうので注意しましょう。
「暴行罪は3年で時効になるから、その期間捕まらなければいい」と考えていても、傷害罪として捜査が継続している可能性があります。
現行犯以外で後日逮捕される場合の流れ
暴行事件を起こしてしまい、現行犯以外で逮捕される場合、以下のような流れとなることが一般的です。
【後日逮捕の流れ】
現行犯で逮捕されなかった場合、多くのケースでは、被害者から警察に被害届が提出されます。被害届が受理されて、警察が捜査の必要があると判断した場合、暴行罪の捜査が開始されます。
捜査では、被害者からの事情聴取、目撃者の証言や防犯カメラの確認、現場検証などを通じて、暴行事件の事実関係を確認していきます。
捜査の結果、暴行罪の嫌疑が十分にあり、逃亡もしくは罪証隠滅の恐れがあると判断されると、警察が裁判所に逮捕状の発布を請求します。
裁判官から逮捕状が発布されると、加害者の自宅や職場に赴き、後日逮捕されることになります。
後日逮捕された場合、加害者は、最長23日間にわたって、留置所や拘置所に留置されます。
その後、警察が検察庁に送致し、検察官が起訴するかどうかを判断することになります。
暴行罪で後日逮捕が不安な場合の対処法
それでは、暴行事件の当事者となってしまい、後日逮捕されるリスクがある場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、後日逮捕が不安な場合の対処法を2つ紹介します。
被害者と示談をする
暴行罪で後日逮捕が不安な場合、被害者との示談を試みるのが、最も効果的な方法です。
示談が成立し、被害者が被害届を取り下げれば、警察が捜査を打ち切る可能性も高くなります。示談が間に合わず、もし起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば、刑が軽くなることが期待できるでしょう。
被害者との示談を成立させることで、後日逮捕によるリスクを最小限に抑えることができます。
ただし、示談交渉は必ず弁護士に依頼して行いましょう。
加害者本人が直接交渉しようとすると、状況が益々悪化する可能性が高くなってしまいます。
※暴行罪の示談については、こちらの記事で詳しく解説しています。
自首する
起こしてしまった暴行事件を後悔している場合、自首することも一案です。
裁判官の判断によっては、自首をすることで刑が軽くなる可能性があります。
自ら犯罪を自白することで、自分の罪と向き合い、気持ちを整理することもできるでしょう。
ただし、自首をしたからといって、必ずしも逮捕や起訴を免れるわけではありません。
自首したことによって逮捕されたり、長期間にわたる身柄拘束を余儀なくされるケースもあります。
本気で自首したいと考えている場合は、事前に弁護士に相談し、警察に同行してもらうと良いでしょう。弁護士が自首に立ち会うことで、不起訴となるケースもあるからです。
弁護士とよく話し合った上で、自首の是非を判断しましょう。
※こちらの記事で、「弁護士が自首に同行し、逮捕を避けて不起訴になった事例」を紹介しています。
後日逮捕されても、必ず起訴されるとは限らない
暴行罪で後日逮捕されてしまう可能性がある場合、不安で胸が押しつぶされそうになるかもしれません。しかし、「後日逮捕=起訴」というわけではありません。
その後の対応によっては、起訴を回避して、前科がつくことを防げる可能性は十分に残っています。
例えば、法務省の作成した犯罪白書によれば、暴行罪で最終的に不起訴処分となる割合は、全体の約68%です。
(参考:法務省 令和5年版 犯罪白書「被疑事件の処理」 )
つまり、暴行罪で後日逮捕されても、「約7割」の事件は前科がつかずに済んでいるのです。
暴行罪が「起訴処分」となるか「不起訴処分」となるかは、担当する検察官の裁量に委ねれれています。
たとえ暴行事件の犯人であることが明らかであっても、検察官が、次のような事情を総合的に考慮して、「起訴する必要はない」と判断すれば、前科を免れることができます。
ただし、加害者にとって有利な事情を、検察官に的確に伝えるためには、暴行事件に詳しい弁護士のサポートが必要不可欠です。
特に、「被害者の処罰感情」「反省の態度」「示談の成立状況」などは、事件後の対応によって、検察官の心証が大きく変わってくるでしょう。
万が一、後日になって暴行罪で逮捕されたとしても、弁護士のサポートの下、正しい対応をしていけば、起訴を回避して、前科をつけず普通の生活に戻れる可能性は十分にあります。
暴行罪の後日逮捕が不安な方はグラディアトル法律事務所へ
暴行罪で後日逮捕される可能性がある場合、できる限り早めに、暴行事件に強い弁護士に相談することが必要です。
弁護士のサポートを受けつつ、事件の解決に向けて行動していくことで、将来への影響を最小限に抑えることができるでしょう。
グラディアトル法律事務所でも、暴行事件を引き起こしてしまい、後日逮捕の不安を抱えて相談に来られる方が、毎月数多くいらっしゃいます。
【最近の解決事例①】
歌舞伎町で喧嘩をしてしまった男性のご依頼者
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【最近の解決事例②】
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