暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説

弁護士 若林翔
2024年05月08日更新

「暴行罪の示談金相場はどれくらい?」

「示談したいけど金額も方法も分からない」

「相手から高額な示談金を要求されている」

 

些細なことが原因で、暴行事件を引き起こしてしまい、示談に関する悩みを抱えている方はいませんか?

 

暴行罪の示談金は、一応の相場はあるものの、いくつかの要因によって金額が大きく変動します。スムーズに示談を成立させるには、適切な方法で交渉を進め、双方が納得のいく金額で、折り合いをつけることが重要です。

 

適切な金額で、無事に示談を勝ちとることができれば、起こしてしまった暴行事件の影響も、最小限に抑えることができるでしょう。

 

そこで今回は、当事務所の実際の解決事例も参考にしつつ、

・暴行罪の示談金の相場

・金額を決める5つの要因

・示談を成立させるための方法

について解説します。

示談金の相場を理解し、スムーズに示談交渉を進めるために、是非ご一読ください。

 

暴行罪の示談金相場は10万〜30万円

一般的には、暴行罪の示談金の相場は10万円〜30万円だといわれています。

 

もっとも、相場はあくまでも目安であり、絶対的な基準ではありません。

示談金の金額は、被害者との交渉の進め方や、後述の示談金を決める要因によって大きく変わってくるからです。

 

被害者が納得すれば、相場より低額でも示談は成立する一方で、被害者の処罰感情が強ければ、いくらお金を積んでも示談がまとまらないこともあります。

 

※示談金とは?

被害者との示談を成立させるために支払うお金のこと。

暴行罪の示談金は、

「精神的な苦痛に対する慰謝料+暴行によって生じた不利益の補填金額(治療費、休業補償など)+その他謝罪のためのお見舞金など」

の合計額となることが多い。

 

ただし、示談金として要求された金額が、相場から大きくかけ離れているような場合は、足元を見られている可能性も出てきます。

弁護士を通じて被害者と交渉すれば、示談金を減額できる可能性が高いといえるでしょう。

 

暴行罪の示談金を決める5つの要因

とはいえ「10万〜30万」というのは、かなり幅のある金額です。

では、この金額はどのような要因によって変動するのでしょうか?

 

暴行罪の示談金が変動する要因には、大きく以下の5つが挙げられます。

示談金を決める5つの要因

 

なお「発生した被害が極端に大きい」場合など、個別の事情によっては、30万を超える示談金が必要となるケースもあります。

それでは各要因について、詳しく見ていきましょう。

 

被害の大きさ

1つ目の要因は、被害者が受けた「被害の大きさ」です。

暴行によって受けた被害の大きさによって、示談金の金額は大きく変わってきます。

 

当然、被害が大きくなるほど、必要な示談金も高額になる可能性が高いです。

 

特に、被害者が

・精神的な苦痛を受けて、自殺してしまった

・トラウマになり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症してしまった

 

などのケースでは、暴行罪でも、高額な示談金(30万以上)の支払いを覚悟する必要があるでしょう。

 

(傷害罪ではなく)暴行罪にとどまる場合、被害者が怪我をしていないことが前提にはなるものの、上記のような重大な結果が生じる可能性もゼロではありません。

暴行罪と傷害罪の違いはこちら

暴行罪と傷害罪の違いと判例解説!

 

暴行行為の悪質性

2つ目の要因は、「暴行行為の悪質性」です。

 

悪質な暴行行為の例

長時間にわたる暴行

・日常的に繰り返される暴行

・複数人での暴行

立場や地位を利用した暴行(上司から部下への暴行、体罰、学校でのいじめ等)など

 

上記のような行為は、被害者が受ける精神的な苦痛を増大させる要因になります。

悪質性が高いほど、示談の成立は難しくなるため、示談金も高額になる可能性が高いといえるでしょう。

 

被害者の処罰感情

3つ目の要因は、「被害者の処罰感情」の大きさです。

 

示談金(特に慰謝料)には、被害者に対する償いとしての意味合いが含まれています。

お詫びの気持ちを金銭で示して許しを得るようなものなので、当然、被害者の処罰感情によっても、示談金の金額は変わってきます。

 

例えば、加害者に反省の意思が全く見られないようなケースでは、加害者を罰して欲しいという被害者の気持ちは強くなるでしょう。

処罰感情が強くなれば、示談の成立が難しくなるため、必要な示談金も、相場より高くなることが考えられます。

 

加害者の社会的地位

4つ目の要因は、「加害者の社会的地位」です。

加害者の社会的地位が高い場合、示談金も相場より高額になる傾向があります。

示談が成立すると、暴行罪が不起訴となる可能性が高まるため、高額の示談金を払ってでも、示談を成立させようとする心理が働くからです。

 

起訴により失う利益が大きい一方で、加害者に経済的余裕がある場合が多いため、示談金も相場より高くなるのです。

 

加害者と被害者の関係性

5つ目の要因は、「加害者と被害者の関係性」です。

・加害者と被害者が友人だったのか

上司と部下のような関係だったのか

飲み屋で偶々隣に座っていただけなのか

 

など、両者の関係性によっても、示談金の金額は変わってきます。

例えば、両者が旧知の友人であったようなケースでは、示談も成立しやすく、示談金は低額になる傾向があります。

一方、両者が見知らぬ者同士だった場合、暴行に及んだ理由によっては、加害者の責任が強く問われるため、示談金の金額も増加する可能性が高いでしょう。

 

示談の成立が重要な4つの理由

では、なぜ示談金を支払ってでも、示談の成立を目指す必要があるのでしょうか。

ここでは、暴行罪で示談の成立が重要な理由について解説します。

示談の成立が重要な理由は、大きく4つです。

暴行罪で示談が最も重要な理由

 

被害届の取り下げにつながるから

示談が成立し、示談書の中に「被害者が被害届を取り下げる」という文言を明記しておけば、被害届を取り下げてもらえる可能性が高くなります。

被害届の取り下げは、加害者の許しの気持ちの表れです。

検察官に伝われば、刑事処分を軽くする効果も出てくるため、被害届を取り下げてもらえることは、非常に重要な意味を持っています。

暴行罪では、被害届の取り下げ自体に法律上の効果はないものの、事実上、大きな効果があるといっても過言ではありません。

 

不起訴処分となる可能性が高まるから

当事者間で示談が成立すれば、暴行罪が不起訴処分となる可能性も、格段に高まります。

加害者が反省し、被害の回復に必要な行動を取ったことが伝わることで、検察官が不起訴の判断をしやすくなるからです。

不起訴処分で済んだ場合、刑事処分を避けられるため、前科がつくことはありません。

一方で、もしも起訴されて前科がつけば、その傷は一生消えることはなく、社会生活上も様々な不利益を被ることになります。

不起訴処分となる可能性が高まるのは、示談をする大きなメリットの1つです。

 

減刑・執行猶予につながるから

既に起訴されてしまった後でも、当事者間で示談を成立させることには大きな意味があります。示談成立の有無は、裁判官が刑を判断する際の大きなポイントになるからです。

因みに、暴行罪の法定刑は

「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」

となっています。

暴行罪で起訴された場合、罰金から刑務所暮らしまで想定されることが分かります。

示談を成立させれば、仮に刑事処分となっても減刑されたり、執行猶予になる可能性が飛躍的に高まります。

もしも起訴されてしまっても、諦めずに被害者との示談交渉を進めていくことには、大きな意味があるといえるでしょう。

 

民事上も解決できるから

暴行事件でトラブルを引き起こしてしまった場合、暴行罪として刑事処分を受けるだけでなく、民事上も不法行為に基づく損害賠償を請求される可能性があります。

しかし、示談を成立させておけば、民事訴訟を提起されるリスクを無くすことができます。

裁判に発展してしまえば、大きな労力と負担がかかってしまうことは間違いありません。

示談の成立は、民事上のトラブル解決という観点からも重要です。

 

暴行罪で示談を成立させるには?

前述のとおり、暴行罪では、示談を成立させることで、トラブル解決に向けて、大きく前進することができます。

 

ただし示談成立に向けて交渉する場合、弁護士へ相談することは、ほぼ必須だと考えてください。

自分1人で示談交渉を進めようと思っても、下記のような理由から、交渉が難航する可能性が非常に高いからです。

【示談交渉が難航する理由】

・(初対面の相手だった場合)被害者の連絡先が分からない

・示談書に盛り込むべき内容が分からない

・適切な示談金額が分からない

・示談交渉が検察の起訴決定に間に合わない

・被害者の被害感情を悪化させる

・被害者から示談交渉を拒否される

まずは暴行事件に強い弁護士を探すことが、示談交渉のスタート地点だと考えましょう。

 

示談成立までの流れ

弁護士に相談した後は、次のような流れとなることが一般的です。

暴行事件を起こした後の示談の流れ

1,弁護士が、捜査機関等を通じて、被害者の連絡先を調査する。

2,被害者の承諾後、連絡先が開示される。

3,示談交渉を開始。

4,双方の合意が得られたら、示談書を作成する。

5,示談書に沿って、示談金を支払う。

6,示談書の写し等を捜査担当者へ提出する。

暴行罪で示談成立を目指す場合、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することが必要です。

 

暴行罪で示談を成立させるためのポイント

暴行罪の示談を成立させるポイント

次に、示談を成立させるためのポイントについて解説します。

今回解説するポイントは、以下の2つです。

・真摯に反省して謝罪する

・計画的に示談交渉を進める

 

それぞれ見ていきましょう。

 

真摯に反省して謝罪する

まずは、真摯に反省し、被害者に対して謝罪することが大切です。

被害者と直接会うことができない場合は、反省文や謝罪文を作成するとよいでしょう。

「なぜ暴力行為に及んでしまったのか」

「被害者にどんな迷惑がかかったと思うか」

「再発を防止するために何をするのか」

「暴行行為を行ったころに対する反省の意」

「被害者に対する謝罪の意思」

などを書面で書き出し、被害者に伝えることで、被害感情を和らげることができます。

示談が成立しやすくなるだけでなく、量刑にも影響する可能性があります。

ただし、自分のメリットだけを考えて、これらの文章を作成することは厳禁です。

不誠実さは、必ず相手にも伝わってしまうからです。

 

戦略的に示談交渉を進める

戦略的に示談交渉を進めることも、重要なポイントです。

・(個別の事情を踏まえた)示談金の相場

・自分が支払える金額の上限

・相手の置かれている状況

・交渉に失敗した場合のセカンドプラン

などの必要な情報を整理し、戦略を立てて示談交渉に臨むことで、示談成立の可能性を高めることができます。

 

暴行罪の示談交渉を弁護士に依頼する3つのメリット

暴行罪で示談交渉をする場合、弁護士への相談が必須なのは前述のとおりです。

さらに、弁護士への相談は、できる限り早期に行うことが重要です。

弁護士への依頼を早期に行うことで、大きなメリットがあるからです。

暴行罪の示談を弁護士に依頼するメリット

 

示談成立の可能性が高まる

1つ目のメリットは、示談成立の可能性が高まることです。

前述のとおり、示談交渉を当事者間だけで進めることは、非常に困難です。

自分1人で示談を成立させるには、大きな壁がいくつもある上、被害者側は、そもそも加害者と会いたくないと思っていることが少なくないからです。

下手に加害者本人が、被害者に接触しようとすると、むしろ被害感情を悪化させてしまい、示談交渉を拒否されてしまうケースも少なくありません。

こうなると、後々弁護士が間に入ったとしても、示談交渉を進めていくことは難しくなります。

 

一方、早めに弁護士が間に入ることができれば、被害者側も冷静な対応ができるようになります。

さらに弁護士は、示談を成立させるために必要な知識や経験を有しているため、被害者への謝罪方法など、加害者の悩みや不安についても、的確に回答してくれます。

早期に弁護士に相談することで、示談が成立する可能性は格段に高まるといえるでしょう。

 

示談金額を抑えられる

2つ目のメリットは、示談金額を抑えられることです。

早期に弁護士に依頼すれば、示談交渉に費やせる時間が長くなるため、双方が納得のいく金額に落とし込める可能性も高くなるからです。

暴行罪で示談を成立させる場合、起訴されるタイミングまでに、被害者に合意してもらうことが重要です。そのため、示談交渉を開始するタイミングが遅くなるほど、示談交渉に費やせる時間は短くなります。

時間が無い中で示談交渉を進めると、足元を見られて、高額な示談金を要求されてしまう事態にもなりかねません。

一方、早期に弁護士に依頼すれば、迅速に示談交渉を開始することができます。

個別のケースに応じた金額相場についても、弁護士は理解しているため、相場からかけ離れた示談金を要求される可能性も低くなるでしょう。

両者が納得のいく金額で、示談を成立できる可能性が高まるのは、早期に弁護士に相談する大きなメリットの1つです。

 

示談以外の対応も一任できる

3つ目のメリットは、示談以外の対応も一任できることです。

暴行事件を引き起こしてしまった場合、被害者との示談交渉以外にも、様々な対応が必要になります。

捜査機関からの事情聴取

・被害者への謝罪

裁判で説明するための再発防止策の検討 など

早期に弁護士に依頼しておくことで、これらの対応についても一任し、必要なアドバイスを受けつつ、行動していくことができます。

万が一、後日逮捕されてしまった場合でも、接見(弁護士と面会すること)や早期釈放に向けた活動など、日常を取り戻すために、迅速に対応してもらえるでしょう。

 

暴行罪で示談金0円で示談して不起訴となった実際の事例

最後に、当事務所の実際の解決事例を紹介します。

暴行罪で示談金0円で不起訴となった解決事例

〈具体的なケース〉

ご依頼者は30代の女性です。

友人とカフェに入ったところ、店内が非常に混雑しており、座席を巡って男性と言い争いに。相手の男性が顔に唾を吐きかけたため、ご依頼者もつい熱くなって相手の顔を殴ってしまったとのこと。

相手の男性もつかみかかってきて、激しいもみ合いになった結果、警察に連行。

暴行罪で逮捕されてしまい、ご友人を通じて、刑事事件を多数取り扱っている弊所にご相談いただきました。

 

〈当事務所の対応〉

弁護士は、その日のうちに依頼者が逮捕されている警察署に接見(面会)に行きました。

そして、直ちに釈放を求める書面を作成し、

ご依頼者が罪を認めて反省していること

身元引受人も存在していること

証拠隠滅や逃亡の可能性はないこと

を裁判所に説明。

さらに相手方の代理人弁護士とも連絡をとり、示談交渉を開始しました。

示談の内容としては、ご依頼者とも相談し

・今回の事件について互いに謝罪すること

互いに処分を求めないこと

互いに金銭を請求しない(示談金0円のゼロ和解)こと

を決定。

相手方に伝えたところ、承諾されて示談が成立したため、その内容を検察官に伝えました。

結果として、ご依頼者は釈放され不起訴処分に。

示談金の金額もゼロで終わることができました。

 

本件では、「互いに金銭を請求しない(示談金0円のゼロ和解)」ことを示談の条件にしていたため、示談金の支払いも発生していません。

しかし、もしも双方の代理人弁護士が、迅速に示談を成立させていなければ、ご依頼者の釈放は遅くなり、起訴処分となった可能性も十分に考えられます。

示談の成立は、検察官が起訴・不起訴の判断をするうえで、大きな影響を及ぼします。

弊所の弁護士は、刑事事件の豊富な経験を活かして、示談交渉はもとより、ご依頼者が不起訴となるために最善を尽くします。

刑事事件で困っている方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。

 

暴行罪の示談はグラディアトル弁護士事務所へ

暴行罪でお困りの方はグラディアトル法律事務所へ

この記事では、

・暴行罪の示談金相場

・金額を左右する5つの要因

・示談の成立が重要な理由

・示談するための方法

について解説しました。

 

暴行事件を解決するためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

すぐに弁護士に依頼し、示談交渉を開始することで

・被害届の取り下げ

・不起訴処分、減刑や執行猶予

・示談金額の低減

など様々なメリットを得ることができます。

暴行事件によって、人生が大きく変わってしまうことを防ぐためにも、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

 

グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。

LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。

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弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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