「暴行事件を起こしても不起訴になる可能性はあるのか」
「不起訴になるには何をするべきなのか」
胸倉を掴んだり、押し倒してしまったりと、相手にケガを負わせるまではいかなかったものの、意図的に暴行を加えてしまった場合は暴行罪の罪に問われるおそれがあります。
些細なことから暴行事件に発展するケースは決して珍しくなく、実際に暴行を加えてしまい、起訴されてしまうのではないかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
しかし、暴行罪が成立しても、不起訴処分を獲得できる可能性は十分あります。
そのため、暴行事件を起こしてしまったときは、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けることが大切です。
本記事では、暴行罪の不起訴率や不起訴になりやすいケースなどを解説します。
不起訴となるためにやるべきことも紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
暴行罪の不起訴率は約7割!起訴を回避できる可能性は十分ある
暴行罪は比較的軽微な犯罪であることもあり、不起訴率は約7割にのぼります。
令和5年犯罪白書によると、令和4年に検挙された暴行事件は全部で1万4,900件、そのうち不起訴となったのは1万132件です。
割合でいうと、70%近くの事件で不起訴処分が下されている計算になります。
つまり、暴行事件を起こしてしまっても、起訴を回避できる可能性は十分あるということです。
そのうえで、少しでも不起訴に近づけるように、しかるべき対策を講じていくことが大切です。
暴行が事実であれば「起訴猶予」による不起訴処分を目指す
不起訴処分には、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があります。
暴行事件を起こしたことを認めているのであれば、「起訴猶予」による不起訴処分を目指すことになるでしょう。
示談が成立している場合や加害者に十分な反省が見られる場合などは、刑罰を与えなくても更生が見込めると判断され、「起訴猶予」となるケースがあります。
犯罪を犯したことは事実であっても、その後の対応次第で不起訴となるかどうかが変わってくることを覚えておきましょう。
暴行罪で不起訴になりやすいケース
ここでは、暴行罪で不起訴になりやすい4つのケースを紹介します。
暴行が軽微だった場合
暴行が軽微だった場合は、不起訴になりやすいといえます。
もともと暴行罪は、比較的軽微とされている犯罪です。
そのうえで、さらに暴行の内容が軽微といえる場合には、検察官が起訴を見送るケースも多く見られます。
たとえば、言い争いになって胸倉を掴んだり、足元に物を投げつけたりする程度で、その場が収まっていたときなどは、不起訴となる可能性が高いといえるでしょう。
相手にも過失があった場合
暴行罪で不起訴になりやすいケースのひとつが、自分だけでなく相手にも過失があった場合です。
相手側の過失が大きければ、暴行に至った経緯に同情の余地があると判断される可能性があります。
たとえば、トラブルの原因が相手側にあるケースや、相手が先に暴行を加えてきたケースなどでは、不起訴になる可能性が高いといえるでしょう。
反対に、一方的に言いがかりをつけて暴行に及んだケースなどでは、たとえ初犯であっても起訴されることがあるかもしれません。
初犯の場合
初犯の場合も、暴行罪で不起訴となりやすいケースのひとつといえます。
犯罪を繰り返している場合と比較すると、初犯の悪質性は低く、改善更生の余地も大きいと判断されるためです。
ただし、「初犯だから」という理由だけで安心することはできません。
暴行の程度や示談の有無などによっては、初犯でも起訴されるおそれがあるので、早急に対策を講じることが大切です。
示談が成立している場合
示談が成立している場合も、不起訴となりやすいといえるでしょう。
示談の成立は、十分に反省し、被害者とも和解していることの証明になります。
そのため、示談が成立していることを理由に、不起訴処分が下されるケースは決して少なくありません。
過去の過ちを変えることはできませんが、示談はこれからでも間に合う可能性があります。
弁護士とも相談しながら、示談の成立に向けて早期に行動を起こすことが重要です。
暴行罪で不起訴となるためにできること
次に、暴行罪で不起訴となるためにできることを紹介します。
不起訴の可能性を高めるためには欠かせないポイントばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
被害者との示談を成立させる
暴行罪で不起訴となるためには、まず被害者との示談を成立させることが重要です。
示談を成立させれば、被害者と和解し、被害弁済をおこなっていることを検察官に示せるため、不起訴処分となりやすい傾向があります。
暴行事件の場合は、10~30万円程度の示談金で示談が成立するケースが一般的です。
ただし、加害者から被害者に対して直接示談を申し入れるのはおすすめしません。
応じてもらえる可能性は低いうえ、足元を見られて高額な示談金を要求されるおそれもあります。
そのため、示談の申し入れや交渉は、弁護士に依頼するのが賢明な判断といえるでしょう。
反省している態度を示す
反省している態度を示すことも、不起訴処分を獲得するためには欠かせないポイントといえるでしょう。
十分に反省し、今後同様の犯罪を繰り返すおそれがないことを態度で示せば、あえて起訴して処罰を与える必要はないと判断してもらえる可能性があります。
反省の態度を示すには、被害者に謝罪文を送付したり、検察官に反省文を提出したりといった方法が考えられるでしょう。
また、被害者が示談金に応じてくれない場合などは、弁護士会や慈善団体などに寄付するのもひとつの方法です。
できるだけ早く弁護士に相談する
暴行事件を起こしたときは、できるだけ早く弁護士に相談するようにしましょう。
弁護士に相談すれば、過去の事例などをもとに、不起訴処分の獲得に向けてやるべきことをアドバイスしてもらえます。
また、被害者との示談交渉や捜査機関への働きかけもおこなってくれるため、結果的に不起訴処分を獲得できる可能性は格段に高まるでしょう。
初回相談であれば無料で対応している法律事務所も多いので、まずは勇気を出して相談してみることが大切です。
暴行罪で不起訴処分を獲得した事例
次に、暴行罪で不起訴処分を獲得した事例を2つ紹介します。
グラディアトル法律事務所では、上記のほかにも豊富な解決実績があるので、暴行事件を起こしてしまったときは、ぜひ弊所にご相談下さい。
飲食店で喧嘩し、暴行罪で逮捕されたケース
カフェの座席をめぐって言い争いになり、唾を吐きかけられたことに腹を立て、相手の顔を殴ってしまった男性の事例です。
第三者が警察に通報し、男性は暴行罪で逮捕されてしまったため、友人を通じて弊所に相談がありました。
相談を受けた弊所弁護士は、すぐさま接見に行き、示談を目指すということで男性と合意。
そして、相手方の代理人と交渉し、お互いに金銭を請求しないことを条件とした示談を成立させました。
その結果、男性は釈放され、不起訴となっています。
示談の成立は、起訴・不起訴の判断に大きな影響を及ぼすものです。
不起訴となる可能性を少しでも高めたいのであれば、できるだけ早く弁護士に相談し、示談交渉を進めるようにしましょう。
駅員に暴行を加え、暴行罪で逮捕されたケース
酒に酔って駅員の腕をつかみ、足を蹴るという暴行を加えてしまった40代男性の事例です。
警察に暴行罪で逮捕され、翌日には釈放されたものの、起訴される可能性が残されていました。
相談を受けた弁護士は即座に被害弁償と謝罪を試みましたが、示談は成立せず、被害届も取り下げられませんでした。
そこで、弁護士は男性が反省していること、被害弁償していることなどを記載した意見書を作成。
男性の反省文とともに検察官に提出し、最終的に不起訴処分となりました。
本事案のように示談が難しくても、弁護士の働きかけがあれば、不起訴処分を獲得できる可能性は十分あるのです。
暴行罪の起訴・不起訴に関するよくある質問
最後に、暴行罪の起訴・不起訴に関するよくある質問を紹介します。
同様の疑問を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
暴行罪で起訴されるとどうなる?
暴行罪で起訴された場合、基本的には有罪となり、刑罰に処される可能性が高いといえるでしょう。
暴行罪の刑罰は、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。
拘留は1日以上30日未満の身体拘束、科料は1,000円以上1万円未満の金銭納付のことを指します。
実務上、拘留・科料を科されることはほとんどなく、懲役または罰金となるケースが一般的です。
暴行事件を起こしても証拠がなければ不起訴になる?
一切証拠がなければ、不起訴になる可能性は高いといえるでしょう。
犯罪を裏付けるものがない以上、検察官も起訴には踏み切れません。
しかし、暴行罪は被害者や目撃者の証言も証拠になるうえ、防犯カメラの映像など予想もしない証拠が見つかることも少なくありません。
そのため、証拠となりそうなものが見当たらない場合でも、まずは弁護士に相談し、今後の対応についてアドバイスを受けるようにしましょう。
暴行事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を
暴行罪は不起訴率が約7割にのぼるなど、比較的不起訴処分を獲得しやすい犯罪といえます。
しかし、事件の悪質性や前歴の有無などによっては、起訴されてしまう可能性もゼロではありません。
そのため、暴行事件を起こしてしまったときは、できるだけ早く弁護士に相談し、今後の行動指針についてアドバイスを受けることが大切です。
また、弁護士に示談交渉や捜査機関への働きかけを依頼すれば、不起訴処分の獲得に大きく近づけます。
グラディアトル法律事務所では、暴行事件の豊富な解決実績を有する弁護士が多数在籍しています。
初回相談は無料、LINEでの相談にも対応しているので、まずはお気軽にご相談ください。