暴行罪の初犯は罰金刑?懲役刑?前科を避けて不起訴処分にする方法

暴行罪の初犯で前科を回避し不起訴にするには?
弁護士 若林翔
2024年05月29日更新

「暴行事件を起こしてしまった。初犯だけど逮捕されるの?」

「暴行罪で有罪判決が出た場合、罰金刑と懲役刑どちらが多い?」

「暴行罪で不起訴処分を獲得する方法はあるのだろうか?」

暴行罪の定義は、「他人の身体に暴行を加え、傷害に至らない行為」と定められており、成立要件の幅が広く、検挙されるのが多い犯罪です。

令和5年犯罪白書によると、令和4年の暴行罪の認知件数は27,849件、検挙件数は23,313件、検挙率は83.7%と高いことがわかります。

とはいえ、暴行罪の初犯であれば不起訴処分になる可能性が高く、有罪判決の場合でも罰金刑がほとんどで、懲役刑になるケースは稀です。

ただし、不起訴処分の獲得には『適切な流れで示談交渉を進めること』が大前提になります。

暴行された側としては、加害者と交渉したくない(会いたくない)という気持ちが強いので、いかに友好的且つ迅速に示談へ持ち込めるかがカギです。

当記事を簡単にまとめますと、

  • ・初犯の場合、起訴されるケースは少なく、多くが不起訴処分となっている。
  • ・不起訴処分になる可能性が高いが、適切な対応が求められる。
  • ・初犯でも逮捕される可能性はあり、逮捕後は最大23日間身柄を拘束されることがある。
  • ・再犯者に比べ、初犯者の方が刑が軽減される傾向がある。
  • ・弁護士に相談することで、適切な法律知識とサポートが得られ、示談交渉が円滑に進む。

といったことについて、以下で深掘りしていきます。

 

暴行罪の初犯は不起訴処分になる可能性が高い!

暴行罪の初犯は不起訴処分になる可能性が高い!

令和5年犯罪白書によると、令和4年の暴行事件の件数は14,900件で、その内、起訴された件数が3,900件、不起訴になった件数が10,132件、家庭裁判所送致が861件でした。

これらの統計から、令和4年の暴行罪全体における不起訴率は68%であることが分かります。

これだけでも暴行罪の半数以上が不起訴になっていることが見て取れますが、初犯の不起訴率についても見てみましょう。

暴行罪で起訴された人員が3,900件で、その内、有前科者が1,592件になります。

よって、暴行罪の初犯における不起訴率は約85%と極めて高い不起訴率であることが分かります。

 

暴行罪の初犯では有罪の場合も罰金刑が多い

暴行罪における起訴人員の内、有前科者の処分内容について見てみましょう。

暴行罪の初犯では有罪の場合も罰金刑が多い

参照:令和5年「犯罪白書」より

有前科者の人員が1,592件、その内、懲役刑・禁錮刑の実刑判決の件数が481件(約30%)、執行猶予付きの件数が425件(約27%)、罰金刑の件数が686件(約43%)でした。

このことからも、懲役刑の実刑判決が下されるケースは低く、罰金刑が一般的であることが分かります。

また、初犯の場合は再犯よりも罪が軽くなる傾向にありますので、有罪判決の場合、罰金刑が多くなると言えるでしょう。

 

暴行罪の初犯では懲役刑になる可能性は低い

有前科者(1,592件)の内、懲役刑・禁錮刑は481件で、その割合は約30%になります。

前述の通り、初犯の場合は再犯者よりも罪が軽くなる傾向にありますので、懲役刑になる可能性は、より低くなると言えるでしょう。

 

暴行罪は初犯でも逮捕される

暴行罪において、初犯でも逮捕される可能性は十分にあります

また、逮捕直後は外部との連絡は一切取れなくなり、最大で23日間身柄を拘束されることになります。特に、会社で数日間の無断欠勤ともなれば、解雇されてしまう可能性もあるでしょう。

「証拠がないから大丈夫だろう」と高を括っていると、後日警察が来て逮捕というケースも考えられますので、以下で解説する逮捕の種類についても理解しておくことが重要です。

 

逮捕は「通常逮捕」「現行犯逮捕」の2種類

暴行罪は初犯でも逮捕される可能性がある

逮捕には、「通常逮捕」「現行犯逮捕」の2種類存在し、いずれも暴行罪の逮捕に該当しますので、押さえておきましょう。

 

通常逮捕

通常逮捕は、裁判所が交付する逮捕状によって逮捕する方法です。

事件発生後、捜査機関が逮捕に足る理由をまとめた書類や証拠を裁判所に提出し、裁判所が逮捕の必要性ありと判断した場合、逮捕状の交付となります。

そのため、後述する現行犯逮捕を違い「事件発生から逮捕まで時間が必要」なため、この期間をいかに有効的に使うかが重要です。

当然ながら、「逃亡」や「証拠隠滅」を図る行為はご法度です。悪質性があると判断され、初犯であっても罪が重くなり、罰金刑どころか懲役刑に発展することもありますので、誠意を持った行動が求められます。

後日逮捕に関して、以下のコラムも併せてご覧ください

暴行罪は現行犯以外でも逮捕される?後日逮捕に備えた対処法も解説!

 

現行犯逮捕

現行犯逮捕は、現行犯の要件を満たした場合に逮捕状なしに逮捕できる方法です。

現行犯の逮捕要件は、以下の通りです。

【刑事訴訟法 第二百十二条】

現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

② 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

一 犯人として追呼されているとき。

二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。

四 誰何されて逃走しようとするとき。

上記をまとめますと、犯人が正に今犯行中(直後)であることが確認できた場合は、逮捕要件を満たしていることになるわけです。

例えば、

  • ・胸倉を掴んで押し倒している光景を目にした
  • ・加害者が爆音を鳴らし、被害者が苦しんでいる光景を目にした
  • ・人がいる場所でナイフなどの凶器を振り回していた
  • ・加害者が被害者に対し物を投げていた

このような場合には、現行犯逮捕される可能性があると言えます。

また、現行犯逮捕の場合は初犯・前科持ち関係なく平等に逮捕されてしまう点が、他の逮捕と違います。逮捕された場合、速やかに被害者との示談交渉を進める必要がありますが、逮捕直後は外部との連絡が一切取れなくなってしまうので、唯一面会の権利を持つ弁護士に依頼することをおすすめします。

現行犯逮捕に関しまして、関連コラムも併せてお読みください

暴行罪の現行犯逮捕は?最長23日拘束?家族がやるべきことも解説!

 

逮捕後起訴されたら罰金刑や懲役刑になることも

暴行罪において、初犯であることは減刑要素になりますので、前科がある人に比べて、刑罰が軽くなる傾向にあります。合わせて、「反省の色が見られる」「被害者との示談が成立している」といった場合には不起訴処分になる可能性が高まり、前科が付くことも回避することが可能です。

一方で、「反省の色がなく悪質な犯行であることが認められる」「被害者が処罰を強く望んでいる」といった場合には、訴訟に発展し罰金刑や懲役刑になることも。

初犯であることは減刑要素の一つではありますが、それだけで不起訴処分になるわけではありませんので、誠意を持った対応を心がけることや、後述する被害者との示談成立を目指すことが、何より大切です。

 

暴行罪の初犯は示談を成立させれば不起訴率は極めて高くなる!

暴行罪の初犯は示談を成立させれば不起訴率は極めて高くなる!

暴行罪において、初犯であることは不起訴率を高める上で重要な要素の一つですが、それ以上に被害者との示談を成立させることが何より大切です。

極端な話し、初犯であっても、被害者との示談交渉が不成立であれば、起訴されてしまう可能性もあります。

暴行罪で起訴されて、罰金刑や懲役刑となれば、前科が付いてしまい、社会的信用が大きく損なわれます。会社員であれば、現職の解雇ということもあり得るでしょう。

とはいえ、暴行を受けた被害者が素直に示談に応じてくれるとは考えづらく、自力での交渉は非常に困難です。

では、迅速且つ円滑な示談を進めるにはどうしたらいいか。

最も確実な方法は、弁護士にサポートを依頼することです。

弁護士が交渉の仲介役になれば、被害者も安心して交渉のテーブルに着くことができますので、示談成立の可能性が高くなり、不起訴処分を獲得することにも繋がります。

「弁護士費用がかかるから…」と先延ばしすれば、その分訴訟に発展するリスクが高くなりますので、早めにグラディアトル法律事務所までご相談ください。

暴行罪の示談・示談金の詳細は、以下の記事をご参照ください。

暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説

 

暴行罪の弁護はグラディアトル法律事務所へご相談を

暴行罪において、初犯であることは減刑要素になりますので、不起訴処分の可能性が高くなります。ですが、初犯だからと何もしなければ、罰金刑や懲役刑に発展することも十分にあります。

不起訴処分を獲得するには、被害者との示談交渉を迅速に且つ円滑な交渉を進めることが重要ですが、被害者の心証を考えると、自力での交渉は困難を究めます。

弁護士が仲介役に入ることで、被害者も安心して交渉に応じてくれるようになり、逮捕後であっても前科を回避することも可能ですので、お困りの場合はグラディアトル法律事務所にお任せください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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