暴行罪は、暴行を加えた相手がケガをしなかった場合に成立する犯罪です。
相手がケガをしていないことから、目に見える証拠が見つかりにくいケースも少なくありません。
実際、暴行事件を起こしたものの、「どんなものが暴行罪の証拠になるのかよくわからない」「証拠がなければ逮捕されないのではないか」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、防犯カメラの映像や被害者・目撃者の証言など、暴行罪の証拠となり得るものは数多くあり、証拠が見つかった場合には逮捕・起訴される可能性も十分あります。
そのため、暴行事件の加害者となった場合は、速やかに弁護士へ相談し、今後の対応について助言を受けることが大切です。
本記事では、暴行罪の証拠や暴行罪の罪で逮捕・起訴されないためにやるべきことなどを解説するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
暴行罪の証拠は客観証拠と供述証拠の2種類がある
暴行罪の証拠は、客観証拠と供述証拠の2種類に分けられます。
ここでは、客観証拠と供述証拠の具体例を紹介します。
主な客観証拠
客観証拠とは、主観的な意見や推測ではなく、現物で確認できる証拠のことです。
では、暴行事件で用いられることの多い客観証拠の種類を見ていきましょう。
【防犯カメラの映像】
暴行罪の客観証拠としては、まず防犯カメラの映像が挙げられるでしょう。
暴行事件の現場周辺に防犯カメラがあった場合、実際に暴行を加えている様子が映像として記録されていることがあります。
その結果、防犯カメラの映像が証拠として扱われ、逮捕や起訴に至る可能性も十分考えられるでしょう。
防犯カメラは街の至るところに設置されているため、自分では気づいていないうちに決定的な証拠を残してしまっているケースは決して少なくありません。
【目撃者が撮影した動画】
目撃者が撮影した動画も、客観証拠のひとつです。
たとえば、揉め事が生じていたときに、相手方の友人がスマートフォンで撮影していたケースなどが該当します。
また、人通りの多い場所や店内で暴行事件を起こしていた場合は、野次馬のなかに動画を撮影していた人がいた可能性もあるでしょう。
捜査の過程でそのような動画が見つかった際には、犯行を立証する有力な証拠として扱われることになります。
【会話の録音データ】
会話の録音データが、暴行罪の客観証拠となることもあります。
たとえば、揉め事が生じた時点で、被害者がとっさにスマートフォンで録音していたケースです。
録音データから、暴行がおこなわれたことがわかる音声や周囲の音などが確認できた場合は、犯罪を証明する有力な証拠のひとつになるでしょう。
【暴行の痕跡が残る衣服や持ち物】
暴行の痕跡が残る衣服や持ち物も、客観証拠のひとつです。
具体的には、胸倉を掴んだときに破れた衣服、押し倒したときに傷ついたバッグや時計などが挙げられます。
当然、暴行との因果関係が認められる必要はありますが、防犯カメラの映像や目撃者の証言などと合わさることで強力な証拠になり得るでしょう。
主な供述証拠
供述証拠とは、事件に関与した人物の口頭や書面による証言のことです。
では、暴行事件で用いられる供述証拠の種類を見ていきましょう。
【被害者の証言】
被害者の証言は、暴行事件における供述証拠になります。
たとえば、被害者自身が捜査機関に対して、暴行を受けた経緯や暴行の内容などを説明した場合、証拠のひとつとして扱われるケースがあるのです。
ただし、被害者の証言は証拠能力が脆弱とされることもあります。
そのため、ほかの客観証拠や目撃者の証言などと組み合わせることによって、信憑性のある証拠として認められるケースが一般的です。
【目撃者の証言】
目撃者の証言も、暴行事件における供述証拠のひとつです。
捜査のなかで目撃者が見つかり、そこから得られた証言が決定的な証拠となって、逮捕や起訴に至るケースは実際にあります。
ただし、目撃者が虚偽の証言をおこなっていないか、事実を誤って認識していないかなど、信憑性については慎重に見極められることになるでしょう。
そのなかで、ほかの証拠によって裏付けできた場合などは、有力な証拠のひとつとして扱われます。
【加害者の自白】
暴行罪の供述証拠には、加害者の自白も含まれます。
犯罪を起こしたかどうかを判断するうえで、自白以上に高い証拠はありません。
ただし、自白を強要されていたり、自白が過大評価されたりするおそれもあるため、刑事訴訟法では、「自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない」とされています。
② 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
③ 前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。
(引用:刑事訴訟法|e-GOV法令検索)
【加害者自身が暴行を認めていることがわかるもの】
加害者自身が暴行を認めていることがわかるものが見つかった場合も、暴行罪の証拠として扱われるケースがあります。
たとえば、知人に対して暴行を加えたあと、LINEで「手は出したけど謝るつもりはない」などと送信していた場合には、暴行を裏づける証拠となります。
そのため、相手方が証拠収集を目的として、あえてLINEやメールでのやりとりを迫ってくる可能性があることも想定しておくべきでしょう。
暴行罪の証拠が見つかると逮捕される可能性がある
暴行罪の証拠が見つかった場合、逮捕される可能性は十分あります。
令和5年版犯罪白書によると、令和4年に暴行罪で検挙された事件は全部で1万4,900件、そのうち逮捕に至っているのは6,449件です。
割合でいうと、約35%の事件で逮捕による身柄拘束がおこなわれています。
ただし、逃亡や証拠隠滅の可能性がないと判断された場合には、逮捕されずに自宅捜査となるケースも少なくありません。
そのため、逮捕を回避したいのであれば、弁護士とも相談しながら、しかるべき対策をとることが大切です。
暴行罪で逮捕・起訴されないためにやるべきこと
ここでは、暴行罪で逮捕・起訴されないためにやるべき3つのことを紹介します。
被害者との示談を成立させる
暴行罪で逮捕・起訴されないようにするためには、被害者との示談を成立させることが何よりも重要です。
一般的に、示談の成立は和解を意味するため、被害者が被害届を取り下げてくれる可能性が出てきます。
また、深く反省していることや再犯の可能性が低いことも示せるため、検察官が起訴を見送りやすくなる点も大きなメリットです。
ただし、加害者から直接示談を申し入れても、恐怖心や怒りを抱いている被害者に応じてもらうのは難しいでしょう。
交渉に進めたとしても、明らかに高額な示談金を請求されるおそれもあるので、示談に関してはすべて弁護士に一任することをおすすめします。
警察に自首する
逮捕・起訴を回避したいのであれば、警察に自首することも検討してください。
自ら罪を認めて出頭すれば、逃亡や証拠隠滅の危険性がなく、捜査に協力する意向があることを示せるため、逮捕されずに在宅捜査として扱われるケースが多くなります。
また、検察官からすると、自首は反省や更正の意の表れと受け取れるため、「あえて起訴して処罰を受けさせるまでもない」と判断されやすくなる点も、自首するメリットのひとつです。
ただし、隠し通せていたかもしれない暴行事件が明るみになるため、自首には一定のリスクがあるといえます。
そのため、自首を検討する際には、弁護士をはじめとした専門家に意見を求めるようにしましょう。
できるだけ早く弁護士に相談する
暴行事件を起こしたときは、できるだけ早く弁護士に相談してください。
刑事事件を得意とする弁護士に相談すれば、過去の事例や法律に基づきながら、自身が最大限有利になるようなアドバイスを提案してもらうことができます。
また、被害者との示談交渉を代わりに進めてもらったり、自首に同行してもらったりといったサポートを得ることも可能です。
結果的に、暴行罪による逮捕や起訴を回避できる可能性は格段に高まるでしょう。
実際にグラディアトル法律事務所では、これまでに数多くの暴行事件を解決してきました。
弊所では24時間365日相談を受け付けており、迅速な対応が可能なので、問題が大きくなる前にまずは一度ご相談ください。
暴行罪の証拠に関するよくある質問
最後に、暴行罪の証拠に関するよくある質問を紹介します。
証拠がなければ逮捕されない?
仮に一切証拠がないのであれば、暴行罪で逮捕される可能性は低いといえます。
警察が加害者を逮捕するためには、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」が必要です。
十分な証拠がないなかで、逮捕されることは基本的に考えられません。
ただし、防犯カメラの映像や目撃者による証言など、想定外の証拠があとから見つかり、逮捕に至るケースもあります。
そのため、暴行事件を起こしたときは、「証拠がないから」といって放置するのではなく、今やるべきことについて弁護士からアドバイスを受けるようにしましょう。
証拠が見つかり暴行罪で起訴されるとどうなる?
暴行罪で起訴されると、「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」に処される可能性があります。
拘留は1日以上30日未満の身柄拘束、科料は1,000円以上1万円未満の金銭納付のことです。
とはいえ、拘留・科料が選択されるケースはほとんどないため、基本的には懲役・罰金が処されるものと考えておきましょう。
暴行事件を起こしたときはグラディアトル法律事務所に相談を!
暴行事件においては、防犯カメラの映像や録音データなどの客観証拠はもちろん、被害者・目撃者の証言などの供述証言も証拠のひとつとなります。
そのため、証拠となりそうなものがないからといって、暴行事件を放置したままにすることはおすすめしません。
あとで想定外の証拠が見つかり、逮捕・起訴されてしまうおそれがあります。
暴行を加えたことが事実なのであれば、できるだけ早く弁護士に相談してください。
弁護士が捜査機関への働きかけをおこなったり、被害者との示談を成立させたりすることによって、逮捕や起訴を回避できる可能性は高まります。
実際にグラディアトル法律事務所では、これまでに多数の暴行事件を解決してきました。
初回の相談は無料で受け付けているので、まずは気軽にご相談ください。