「大切な家族が、暴行罪で現行犯逮捕されてしまった」
「この後一体どうなってしまうの?」
「自分にできることはある?」
このような不安を抱えて、本記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか?
暴行罪で現行犯逮捕されると、最大23日間に渡って拘束されて、刑事裁判に発展します。
裁判で有罪判決が下されると、前科がついてしまい、その後の人生にも暗い影を落としてしまうでしょう。
しかし暴行罪では、逮捕されても、必ずしも起訴される訳ではありません。
逮捕後に速やかに対処できれば、70%以上の確率で、起訴を免れることができるのです。
そのためには、早急に行動を開始することが必要です。
例えば弊所でも、暴行事件で現行犯逮捕された相談者様の元に、弁護士が即日駆けつけたことで、逮捕翌日に釈放されて不起訴になった事例があります。
警察の取り調べが本格化する前に、速やかに弁護活動を開始することで、その後の流れを大きく変えることができるのです。
本記事では、
・暴行罪で現行犯逮捕されるケース
・現行犯逮捕された後の流れ
・暴行罪の現行犯逮捕が与える影響
・暴行罪の解決に向けた対処法
について、弁護士が解説します。
暴行事件を解決し、平穏な日常を取り戻すために、是非ご一読ください。
目次
暴行罪で現行犯逮捕される場合とは?現行犯逮捕の要件
暴行罪の被害者や目撃者が110番通報をして、駆けつけた警察官が逮捕するようなケースが暴行罪の現行犯逮捕の典型例です。
通常であれば、裁判官の逮捕状がないと、人を逮捕することはできません。
「逮捕」は、人の自由を奪う行為であって、人権を大きく侵害する行為だからです。
しかし、刑事訴訟法では、次のどちらかの要件を満たした場合に、例外的に「逮捕状なし」でも、「警察以外」でも、逮捕できることが規定されています。
【現行犯逮捕の要件】
・犯人が、「現在進行形で」暴行行為を行っている
・犯人が、暴行行為を行った「直後」である
※刑事訴訟法 第二百十三条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
現行犯逮捕では、
① 犯行がはっきりとしており、誤認逮捕の恐れが少ない
② 警察官の到着を待っていたら、犯人が逃げてしまう恐れがある
等の理由があるため、例外的に逮捕状なしでの逮捕が認められているのです。
暴行罪で現行犯逮捕された後の流れ
暴行罪で現行犯逮捕された場合、次のような流れとなることが一般的です。
暴行罪で現行犯逮捕されてしまうと、最大「23日間」に渡って、留置所に拘束されます。
拘束期間中は、外部との連絡も厳しく制限されてしまうでしょう。
会社や学校へ行くこともできないため、拘束が長期化する程、社会生活への影響も深刻なものとなります。
【①現行犯逮捕】暴行罪で逮捕されるのは「42%」
法務省の発表しているデータによると、暴行罪で警察に逮捕される割合は「約42%」となっています。
逮捕されると、最大48時間に渡って、警察の取り調べが行われます。
取り調べで回答した内容は「供述調書」として記録され、その後の捜査方針にも大きく影響します。
軽率な供述を避けるために、現行犯逮捕されたらすぐに弁護士を呼び、取り調べについてアドバイスを受けることが望ましいです。
【Q&A】逮捕後に、家族は面会できる?
逮捕直後の面会は、ご家族であっても許されていないことが通常です。
伝えたい言葉がある場合や、詳しい事情を聞きたい場合は、弁護士に接見を依頼しましょう。
【②送致】検察に送られる確率は「34%」
警察による取り調べが終わると、事件が「送致」されるかが決まります。
※送致とは?
警察が捜査した事件を、検察に引き継ぐこと。
特に逮捕事件で、被疑者を拘束した状態で検察に事件を引き継ぐことを「身柄付送致」といいます。
暴行罪で逮捕されると、約34%が「身柄付送致」として、留置所に拘束されたまま検察に引き継がれ、検察による捜査が開始されます。
【③勾留】勾留請求率は「82%」
送致後は24時間以内に、担当の検察官によって、裁判所に「勾留請求」をする必要があるかの判断が下されます。
※勾留とは?
証拠の隠滅や逃亡を防ぐために、被疑者を身柄拘束する刑事処分のこと。
「逮捕」が比較的短時間(最大72時間)の拘束であるのに対して、「勾留請求」が認容されると、最大20日間の長期に渡って身体拘束されることになります。
暴行罪では、「約82%」の事件で「勾留請求」が行われ、「90%近く」が「認容」されています。
逮捕・勾留から早期に釈放されるためには、弁護士を通じて
・被害者と示談を成立させる
・逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを説明する
などの行動を起こし、迅速に弁護活動を開始することが必要です。
【④起訴】保釈請求まで拘束される
「勾留請求」が認容されると、最大20日間に渡って身体拘束が継続され、検察官による起訴判断が下されます。
暴行事件が起訴されると、「被疑者」から「被告人」へと立場が変わり、身体拘束も「判決」まで継続されることになります。
釈放には、「保釈請求」が必要となり、「身元引受人」や、「保釈保証金」の納付が求められます。
暴行罪で現行犯逮捕された場合の影響は?
暴行罪で現行犯逮捕されると、その後の人生にも様々な影響が生じます。
罰金又は懲役刑が科せられる
暴行罪で現行犯逮捕された場合、最終的には、刑事裁判になってしまう可能性があります。
有罪判決が確定した場合の刑事罰は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金刑」です。
刑法 第二百八条 (暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
万が一、懲役刑が科せられてしまえば、最大2年間に渡って、刑務所に収監されます。
罰金刑の場合でも、多額の金銭的負担を強いられてしまうでしょう。
前科が付く
暴行罪で有罪判決を受けると、前科が付くことも忘れてはなりません。
一度、前科が付いてしまうと、その傷は一生消えること無く、社会生活上も様々な不利益を被ります。
例えば、「資格の取得」や「海外渡航」で制限を受けるだけでなく、報道されて広まると、仕事や私生活にも、大きな影響が生じてしまいます。
慰謝料を請求される
暴行罪で現行犯逮捕された場合、被害者から慰謝料を請求される可能性も高いです。
相手がケガをしていなかったとしても、暴行によって被害者が受けた身体的・精神的な苦痛に対して、慰謝料を支払う義務が生じるからです。
なお、罰金刑が確定して、多額の罰金を支払ったとしても、慰謝料の支払いが免除されることはありません。法律上、刑事事件と民事事件は、別の問題として扱われるからです。
暴行罪で現行犯逮捕された場合、刑事処分だけでなく、慰謝料の支払いなどの民事上の責任も生じることを理解しておきましょう。
暴行罪の現行犯逮捕で起訴される確率は26%
暴行罪で現行犯逮捕されてしまっても、必ずしも刑事裁判に発展する訳ではありません。
逮捕後の対応によっては、起訴されずに終わるケースも決して珍しくないからです。
例えば、令和5年版の犯罪白書によれば、暴行罪の起訴率は「約26%」となっています。
(参考 法務省 令和5年犯罪白書「被疑事件の処理」)
つまり、暴行事件を起こして警察に捜査された人の内、実際に起訴されるのは「約4人に1人」しかいないのです。
起訴処分を免れることができれば、当然前科が付くこともありません。
懲役や罰金などの刑事罰も科せられないため、将来への影響を最小限に抑えつつ、日常を取り戻すことができるでしょう。
暴行罪が起訴されるかは、担当する検察官の裁量に委ねられています。
例えば、次のような事情がある場合、不起訴処分となる可能性が高くなるでしょう。
ただし、これらの事情について、説得力をもって検察官に伝えるには、弁護士の協力が不可欠です。
方法を間違えると、逆に心証が悪くなる可能性もあるため注意しましょう。
暴行事件の解決には示談が重要
暴行事件を解決するための、最も効果的な方法は、被害者と示談を成立させることです。
被害者との示談を成立させることができれば、次のようなメリットを得ることができます。
ただし、被害者との示談交渉は、必ず弁護士に依頼して行いましょう。
当事者間で進めようとしても、相手の連絡先が分からなかったり、逆に被害感情を悪化させて、交渉を難化させる要因になってしまいます。
早期釈放の可能性が高くなる
被害者と示談が成立したことで、早期に釈放されるケースは珍しくありません。
なぜなら、示談の成立によって
・加害者に証拠隠滅や逃亡の恐れがないこと
・被害者に、刑事事件化する意思がないこと
・あえて処罰する必要性が低いこと
が、捜査担当者に伝わるからです。
釈放のタイミングが早くなるほど、暴行事件の影響も抑えることができます。
暴行罪で現行犯逮捕された場合、できる限り早く、示談交渉を開始することが重要です。
前科が付くことを防げる
示談を成立させれば、前科を防げる可能性も高くなります。
当事者間の示談の成否は、検察官が事件の処理方針を決める上で、大きな判断材料となるからです。
・加害者が反省し、真摯に謝罪している
・被害者も、加害者を許している
・解決に向けて行動している
これらが伝われば、検察官も不起訴の判断をしやすくなります。
不起訴となれば、前科が付くこともないため、暴行事件の解決に向けて大きく前進することができるでしょう。
刑事処分が軽くなる
万が一、既に起訴されてしまった後でも、示談の有効性に変わりはありません。
検察官と同様に、裁判官もまた、示談の成立を量刑の判断材料にするからです。仮に示談交渉が難航し、刑事裁判が始まった後に、示談が成立しても、決して遅くはありません。
もしも有罪判決が下されてしまったとしても、執行猶予がついたり、罰金刑で終わる可能性が高くなるでしょう。
【暴行罪の解決事例】弁護士に依頼して逮捕翌日に釈放された事例
相談までの経緯
ご依頼者様は、飲食店勤務の30代男性。
友人と飲食店でお酒を飲んでいたところ、酔った友人が、喧嘩を始めてしまいました。
そして、ご依頼者様も、喧嘩に巻き込まれてしまいます。最終的に、相手のご友人を殴ってしまい、暴行罪の現行犯で逮捕。
刑事事件を多数取り扱っている弊所にご相談いただきました。
当事務所の対応
依頼を受けた弁護士が、すぐに留置所に駆けつけ、ご相談者様と接見。
不安を感じていた交際相手の女性にも連絡し、ご依頼者様の状況と、これから想定される流れについて説明しました。
さらに、すぐに意見書を作成し、身柄拘束をする理由がないことを、法的観点から説明。
ご相談者様の勤務先の社長にも連絡して、身柄引受人として署名をしてもらい、身柄引受書を提出しました。
同時に、被害者の方と連絡をとり、示談交渉も開始。
当事務所に蓄積された刑事事件のノウハウを活用して、あらゆる角度から弁護活動を展開した結果、ご相談者は逮捕翌日に釈放。
示談も成立し、無事に不起訴処分を勝ち取ることが出来ました。
今回の事件では、逮捕後すぐに弁護士が接見に行き、意見書の提出、身柄引受書の確保、示談交渉等の対応を、迅速に開始できたことで、スムーズに事件を解決することができました。
もしも、初動が遅れていたら、身体拘束が長期に及んでいた可能性も決してゼロではありません。
暴行事件に巻き込まれてしまったら、早急に弁護士に相談し、解決に向けて動くことが必要です。
【Q&A】暴行罪の現行犯逮捕でよくある質問
本人以外でも弁護士に依頼できる?
ご家族・ご親族の方であれば、ご本人様以外であっても弁護士を依頼することができます。
(※両親、配偶者、兄弟姉妹、直系の親族の方など)
ご友人からのご相談であっても、弁護士がご本人様の元に接見に伺うことはできますので、まずはご連絡ください。
暴行罪の示談金の相場は?
暴行罪の示談金相場は、「10万〜30万円」程度となることが一般的です。
ただし、相場はあくまでも目安であり、絶対的なものではありません。
個別の事情によって、10万円以下となる場合もあれば、30万円を超す金額になるケースもあります。
※下記の関連コラムも併せてご覧ください。
暴行罪で私人逮捕はできる?
暴行罪では、現行犯逮捕の要件さえ満たせば、私人逮捕(一般人による逮捕)も禁止されていません。
ただし、逮捕後は直ちに警察官などに引き渡す必要があります。
また、要件を満たさずに逮捕してしまうと、逆に逮捕罪(刑法220条)に問われてしまったり、賠償責任を負う可能性があります。
暴行罪で現行犯逮捕されたらグラディアトル法律事務所へ
最後に、今回の記事の要点を整理します。
・逮捕されると、すぐに取り調べが始まり、供述調書として記録される
・警察の取り調べが始まる前に、弁護士のアドバイスを受けることが重要
・速やかに示談交渉を開始すると、様々なメリットを得ることができる
・本人以外が弁護士に依頼することも可能
・早急に行動を開始することで、解決できる可能性が高まる
大切なご家族が逮捕されてしまった場合、まずは弁護士に相談することが先決です。
ご家族であっても面会は許されないため、できるだけ早く弁護士に接見を依頼し、ご本人の状況を確認しましょう。
万が一冤罪であれば、速やかに弁護活動を開始しないと、取り返しがつかない事態になるかもしれません。
警察の取り調べが本格化する前に、弁護士が駆けつけてアドバイスをすることができれば、その後の流れを大きく変えることができます。
ご本人の言い分を聞いて、被害者との示談を成立できれば、その後の人生に与える影響も、最小限に抑えることができるでしょう。
グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの暴行事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。
勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。
暴行事件で悩んだら、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。
グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。
LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。