暴行罪は逮捕されない?逮捕の要件や逮捕されない方法を解説!

暴行罪は逮捕されない?逮捕の要件や逮捕されない方法を解説!
弁護士 若林翔
2024年06月01日更新

「暴行罪は逮捕されない」と信じこんでいる方は多いのではないでしょうか。

しかし、現実は決してそんなに甘くありません。

法務省のデータによると、暴行罪で逮捕される可能性は、「42%」にものぼっています。

さらに検挙率も「80%」を超えており、決して軽んじてはならない犯罪です。

とはいえ暴行罪では、解決に向けた行動さえできれば、逮捕を免れたり、起訴を回避したりすることも不可能ではありません。

現実から目を背けるのではなく、被害者と示談交渉を開始したり、弁護士に依頼したりすることで、逮捕されない可能性が格段に高くなるでしょう。

本記事では、

・暴行罪で逮捕、起訴されないための方法

・暴行罪の逮捕率などのデータ

・逮捕の要件

・逮捕されるケースやされないケース

について、弁護士が解説します。

暴行罪で逮捕・起訴の不安を感じている方は、是非ご一読ください。

暴行罪は逮捕されないはウソ!42%が逮捕されるデータも

「暴行罪は逮捕されない」という情報をネット上でよく目にしますが、これは正しくありません。法務省のデータによると、暴行罪で逮捕される確率は「42%」にのぼっています。

(参考 令和5年 犯罪白書 検察庁既済事件の身柄状況から算出)

つまり、暴行罪で警察に被疑者として捜査された人のうち、約5人に2人は逮捕されているのです。

 

確かに、現行犯で逮捕されなければ、その場で身柄を拘束されることはありません。

しかし被害者が被害届を出せば、警察から呼び出しを受けて、取り調べを受ける可能性が高くなります。その結果、逮捕されてしまうケースは珍しくありません。

さらに、一度警察に逮捕されると約80%のケースで「身柄付送致」となり、検察に事件が引き継がれます。検察官が起訴決定すると、刑事裁判がはじまり、有罪か無罪か争われることになるでしょう。

暴行罪で逮捕されるリスクを甘く見ることは禁物です。

軽い気持ちで手を出したことが、思わぬ結果を招く可能性があることを肝に銘じておきましょう。

暴行罪は検挙率も高い!発覚すると「80%以上」が検挙される

暴行罪で逮捕されないというのは誤解

暴行罪では、そもそも捜査が開始されないと思っている人も多いかもしれません。

しかし、実際のデータを確認すると、そのような考えは楽観的すぎることがわかります。

例えば、警視庁の統計資料によると、暴行罪の検挙率は「80%程度」で推移しています。

※検挙とは?

「検挙」とは、捜査機関が、犯罪行為を犯した人を「被疑者」として特定し、刑事事件として処理することをいいます。ただし法律用語ではないため、明確な定義はありません。

暴行罪の検挙率

(参考 令和5年警察白書 統計資料

つまり、被害届の提出や目撃者の通報によって、暴行事件を警察が認知すると、約80%のケースで警察に「被疑者」として特定され、刑事事件として処理されているのです。

もしも暴行罪を犯してしまった場合、「暴行罪は逮捕されないから大丈夫」と高を括るのではなく、被害者と示談交渉を進めるなど、適切な対応を取ることが必要です。

暴行罪で逮捕される要件

警察官が暴行罪で逮捕するには、通常3つの要件を満たす必要があります。

暴行罪の通常逮捕の要件

逮捕する理由があること

「逮捕する理由」とは、刑事訴訟法に規定されている「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」のことをいいます。

(刑訴法199条1項本文)。

例えば、捜査官の経験や思い込みなど、単なる主観によって、「その人が暴行罪を犯したのでは?」と疑っているだけでは、「逮捕する理由」としては不十分です。

客観的な証拠によって裏付けられた、合理的な疑いであることが必要です。

逮捕の必要性があること

「逮捕の必要性」がある場合とは、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合をいいます。

被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重や態様など、様々な事情を総合的に考慮して、判断されます。

逮捕状が発布されていること

「逮捕状」は、裁判官が発する令状で、被疑者の逮捕を許可する書面です。

いくら捜査官(警察や検察)が、逮捕の理由や必要性があると考えていても、裁判官がそれを認めなければ、逮捕することはできません。

捜査官が、逮捕状を裁判所に請求し、裁判官が「逮捕の理由」や「逮捕の必要性」について審査し、逮捕状を発布した場合に限って、暴行罪で逮捕することができるのです。

なお、「現行犯逮捕」の場合など、状況によっては逮捕状なしで逮捕されるケースもゼロではありません。

※関連コラム 「暴行罪の現行犯逮捕は?最長23日拘束?家族がやるべきことも解説!

暴行罪の現行犯逮捕は?最長23日拘束?家族がやるべきことも解説!

暴行罪で逮捕されるケース・されないケース

暴行罪で逮捕されるかどうかは、事件の状況によっても異なります。

ここでは、暴行罪で逮捕されるケースとされないケースについて説明します。

暴行罪で逮捕されるケース

暴行罪で逮捕される可能性が高いのは、次のようなケースです。

・暴行行為の内容が悪質

・重大な被害結果が生じている(PTSDなど)

・被害者の被害感情が強い

・再犯である

・実は相手がケガをしていた(傷害罪)

上記のケースでは、「逮捕の必要性がある」と判断されやすくなるため、逮捕の可能性も高まります。

暴行罪で逮捕されないケース

一方、次のようなケースでは、逮捕される可能性は低くなります。

・過失による暴行(うっかり当たってしまった等)

・正当防衛が成立する

・被害届が取り上げられた

・事件後すぐに弁護士が受任した

・被害者との示談が成立している

例えば、被害届が取り下げられたり、被害者との示談が成立したりすると、逮捕される可能性は格段に低くなります。

また、逮捕状が請求されても、その前に弁護士が付いていると、「逮捕の必要性が無い」と、裁判官に判断される可能性が高くなるでしょう。

ただし、

「被害届が提出されているか」

「捜査の進捗がどうなっているか」

について、加害者に知る術はありません。

事件の見通しを知りたい方は、弁護士の無料相談を活用することがおすすめです。

暴行罪で逮捕される場合の流れ

暴行罪で逮捕される場合、次のような流れとなることが一般的です。

暴行罪で逮捕されるまでの流れ

暴行事件発生後、被害届が提出されたり、目撃者から通報があったりすることによって、

暴行事件が起こったことを、警察が確認します。

その後、警察による捜査が開始され、裁判所に逮捕状が請求されます。

裁判官が、「逮捕する理由や必要性がある」と判断した場合、逮捕状が発布されて、逮捕に至ります。

暴行罪で逮捕・起訴されないためには示談が重要

暴行罪で逮捕・起訴されないために、最も効果的な方法は、被害者と示談をすることです。

暴行罪で逮捕や起訴されないためには示談が重要である理由

被害届の提出を防げるから

暴行罪で逮捕されるきっかけとなるのが、被害届の提出です。

被害届が提出されることで、警察が暴行事件を認識し、捜査を開始するからです。

示談が成立すれば、被害届の提出を防げたり、一旦提出されても取り下げてもらえる可能性が高くなります。

つまり示談によって、警察の捜査を回避できるのです。

早期に被害者と示談を成立させることができれば、逮捕のリスクを大幅に下げることができます。

警察の捜査判断に影響を与えるから

示談は、警察の捜査判断にも影響を与えます。

警察は暴行事件の捜査にあたって、被害者の意向を考慮するからです。

示談が成立し、被害者が「これ以上の処罰は求めない」という意向を示せば、警察もそれを踏まえて捜査方針を決定します。

示談によって被害者の処罰感情が和らげば、警察が捜査を中止する可能性が高くなるでしょう。

検察官の心証に影響するから

示談は、検察官の心証にも影響を及ぼします。

事件が警察から検察に送致された場合でも、示談が成立すれば、検察官が不起訴の判断をする可能性が高まるでしょう。

示談によって、加害者に反省の意思があることや、被害者の処罰感情が低下していることが伝わるからです。

暴行罪で逮捕されても、不起訴になれば、前科が付くことはありません。

罰金や懲役などの刑事処分も科せられないため、日常への影響を最小限に抑えることができます。

暴行罪の示談交渉で大切なポイント

示談交渉は、加害者と被害者の間で行われる非常に難しい話し合いです。

うまく進めれば、逮捕や起訴を免れることができる一方で、間違った進め方をすれば、かえって事態を悪化させてしまいます。

ここでは、暴行罪の示談交渉で特に重要なポイントについて解説します。

暴行罪での示談交渉のポイント

できる限り早く交渉を開始する

暴行罪の示談交渉では、できるだけ早く交渉を開始することが重要です。

検察に起訴される前に示談を成立させることができれば、高確率で起訴を防げるからです。

交渉の開始が遅れると、示談の成立が、起訴判断に間に合わなくなってしまいます。

さらに、ひっぱくした状況で交渉を進めると、相手に足元を見られて、通常より高額な示談金を要求される事態にもなりかねません。

早期に示談交渉を開始することで、双方が納得のいく形で、示談を成立できる可能性が高まります。

※関連コラム 「暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説

暴行罪の示談金相場は10〜30万円!金額を決める5つの要因も解説

示談交渉は自分で行わない

示談交渉は、自分で行わないことが重要です。

暴行事件の被害者は、加害者と二度と顔を合わせたくないと思っていることが通常だからです。そもそも相手の連絡先すら分からないケースも、珍しくありません。

そんな状況下で、加害者本人が被害者に接触を試みても、うまくいく可能性は低いでしょう。場合によっては、被害者の被害感情を逆なでしてしまい、事態を悪化させてしまうおそれもあります。

こうなってしまうと、途中から弁護士が介入しても、示談の成立には時間がかかります。

示談交渉は、弁護士などの専門家に依頼しましょう。

刑事事件の実績が豊富な弁護士に依頼することで、スムーズに示談できる可能性を、格段に高めることが出来ます。

暴行罪に逮捕に不安を感じたらグラディアトル法律事務所へ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・「暴行罪は逮捕されない」は間違い

・暴行事件が発覚すると、逮捕される可能性は十分にある

・被害者の意向が、捜査に大きく影響する

・逮捕や起訴されないためには、示談を成立させることが大切

・示談交渉は、必ず弁護士に依頼して行う

暴行罪を軽んじることは、非常に危険な行為です。

「暴行罪は逮捕されない」という情報を信じて、何も行動を起こさずにいると、突然逮捕されてしまい、将来に大きな影響を及ぼしてしまうかもしれません。

暴行事件を起こしてしまったら、速やかに弁護士に相談し、示談交渉を進めるなどの行動を起こすことが必要です。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの暴行事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

暴行事件で悩んだら、刑事事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日全国対応可能な体制を整備しています。

LINEでの無料法律相談も受け付けているので、是非お気軽にご連絡ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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