【必読】傷害罪の逮捕を回避するには?逮捕の要件と逮捕後の流れ

傷害罪の逮捕を回避するには?
弁護士 若林翔
2024年07月03日更新

「傷害罪で逮捕されるのでは?」と不安に思っている

「傷害罪で逮捕されない方法が知りたい」

こんな方は、この記事を参考にして、逮捕を避けるための行動を起こしましょう。

法務省の公表しているデータによれば、傷害罪で逮捕されているのは「55%」程度です。

身近に存在する犯罪の中では、決して低い数字ではありませんが、被害者と示談をするなどの行動を起こせば、逮捕を防げる可能性は十分にあります。

本記事では、

・逮捕を防ぐために取るべき行動

・逮捕の要件や逮捕されやすいケース

・傷害罪で逮捕された場合の流れ

について取り上げました。

傷害罪の逮捕でお悩みの方は、是非ご一読ください。

傷害罪で逮捕されるのは「約55%」

傷害罪で逮捕されない割合     

 (引用:「令和5年犯罪白書 被疑者の逮捕と勾留」

法務省が公表しているデータによると、傷害罪で逮捕されるのは「約55%」です。

つまり、傷害事件が発生した場合、半数以上のケースで加害者が逮捕されていることになります。これは身近で発生しやすい犯罪の中では、比較的高い数字です。

(参考)刑法犯で逮捕されるのは?

・暴行罪の場合「約43%」

・窃盗罪の場合「約33%」程度

※いずれも、「令和5年版犯罪白書」より算出

もっとも、逮捕されるのが「55%」ということは、裏を返せば「約45%」のケースでは逮捕されていないと考えられます。

傷害罪で逮捕されないためには、迅速に弁護活動を開始し、被害者と示談をする等の行動を起こすことが必要です。

トラブルを放置するのではなく、被害の回復に最善を尽くすことが、事件の解決につながるのです。

傷害罪で逮捕されないためにすべきこと

傷害罪で逮捕されないために取るべき行動は、次の2つです。

傷害罪で逮捕されない方法

弁護士に相談する

まずは、事件について弁護士に相談することが大切です。

傷害事件後、できる限り早く弁護士に相談してアドバイスを受けることで、現状と自分がとるべき行動を理解できるからです。

無料相談などでも構わないので、まずは弁護士に相談し

事件の今後の見通し(逮捕される可能性があるのか)

被害者への対応方針

支払うべき慰謝料や示談金の相場

加害者が取るべき行動や解決策

について確認してみましょう。

1人で悩むのではなく、専門家に相談して、正しい対処法を知ることが事件解決の第一歩です。

被害者と示談をする

次に、できるだけ早く被害者と示談をすることが重要です。

示談とは、加害者が被害者に謝罪し、示談金を支払うことで、和解することを意味しています。

示談が成立すれば、次のようなメリットがあります。

被害届の取り下げにつながる

逮捕されにくくなる

逮捕されてもすぐに釈放されやすい

不起訴になる可能性が高まる

刑事処分が軽くなりやすい

ただし、示談交渉は自分で行わず、弁護士に依頼しましょう。

被害者は加害者に対して、怒りや恐怖心を抱いていることが多いため、安易な接触は逆効果になりかねません。

・連絡を拒否される

・被害感情が悪化する

・感情的なトラブルに発展する

など、状況がますます悪化してしまう可能性があります。

傷害罪で逮捕されないためには、できる限り早く弁護士に相談して、被害者と示談をすることが大切です。

※関連コラム

傷害罪の示談金の相場は?示談金を決める要素や示談の流れを解説

傷害罪で逮捕されるパターンは2種類

傷害罪で逮捕されるパターンには、大きく分けて2つあります。

傷害罪で逮捕される場合の流れ

その場で逮捕される(現行犯逮捕)

現行犯逮捕は、事件現場で逮捕されて、そのまま警察に連行されるケースです。

例えば、居酒屋などで、お酒の勢いからついカッとなって暴力を振るってしまい、警察に通報されるようなケースが、現行犯逮捕の典型例です。

現行犯逮捕の場合、多くは駆けつけた警察官によって警察に連れて行かれます。

逮捕された後、警察で釈放されるケースもありますが、留置場に入れられて、検察に事件が引き継がれることもあります。

傷害事件の現行犯で逮捕されてしまった場合は、速やかに弁護士に依頼して

接見に行く

弁護活動を開始する

被害者との示談交渉を開始する

などの行動を起こすことが必要です。

後日になって逮捕される(通常逮捕)

後日逮捕(通常逮捕)は、事件から時間が経過した後で、自宅や職場に警察が訪れて逮捕されるケースです。

事件現場から逃走したり、その場では解決したと思っていても、後日になって被害届が提出されて捜査が開始され、逮捕にいたる可能性があるのです。

特に最近は、防犯カメラの数が増加していたり、誰もがスマートフォンを所持していたりするため、証拠がないと思っていても、高確率で身元が判明してしまいます。

「事件当日に逮捕されなかったら大丈夫」と安心するのではなく、被害の回復に向けて行動を起こしましょう。

※関連記事

「証拠がないと逮捕されない?傷害罪の検挙率は◯%!証拠の種類も解説」

傷害罪で逮捕される要件

現行犯を除けば、傷害罪で逮捕されるのは、通常次の要件を満たした場合です。

傷害罪で逮捕される要件
警察官による捜査が開始されたからといって、必ずしも逮捕される訳ではありません。

① 客観的な証拠によって犯人が特定されていること(逮捕する理由)

② 逃亡や証拠隠滅のおそれがあると認められること(逮捕する必要性)

これら2つの要件を満たし、裁判官によって逮捕が許可された場合に、初めて逮捕されることになるのです。

このうち「②逮捕する必要性」については、加害者の年齢や境遇、犯罪の軽重や態様など、様々な事情から、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかを総合的に判断されます。

そのため、速やかに弁護活動を開始して、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと伝えることができれば、「逮捕する必要性がない」と判断してもらいやすくなります。

傷害罪で逮捕されやすいケース

それでは、どのようなケースで逮捕の要件を満たしやすいのでしょうか。

傷害罪で逮捕されやすいケースについて見ていきましょう。

被害が大きい場合

被害の程度が大きいほど、逮捕されるリスクは高まります。

重い刑事処分を受ける可能性が高まるほど、逃亡のおそれがあると判断されやすくなるからです。

例えば、被害者が

・重い障害が残るようなケガをした

・命にかかわるようなケガをした

などのケースでは、逮捕される可能性は相対的に高くなるでしょう。

再犯の場合

前科がある場合も、逮捕されるリスクは高くなります。

例えば、

・過去に同様の傷害事件を起こしている

・常習的に暴行事件を起こしている

といったケースでは、逃亡のおそれがあると判断されて、逮捕に至る可能性が高くなるでしょう。

傷害罪で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れ

傷害罪で逮捕されると、次のような流れとなることが一般的です。

傷害罪で逮捕された後の流れ

【逮捕されて48時間】警察から検察へ送致

傷害罪で逮捕されると、留置場に拘束され、警察の取り調べを受けることになります。

取り調べは、最大48時間に渡って実施され、回答した内容は「供述調書」として記録されます。

取り調べが終わると、警察から検察に事件が引き継がれます。

(これを「送致」といいます。)

【送致されて24時間】勾留の請求

検察に事件が引き継がれると、担当の検察官によって、身柄拘束が必要か(勾留を請求する必要があるか)が判断されます。

勾留請求は「24時間以内」に行われ、裁判官によって勾留を認めるかが決定されます。

なお、令和5年犯罪白書によれば、傷害罪の「91%」で「勾留請求」が行われ、「95%」が認められています。

【10日間(最長で20日間)】勾留から起訴判断

勾留請求が認容されると、留置場での生活が続くことになります。

勾留の期間は、原則として10日以内です。ただし、事件によっては(最長で)20日まで延長される可能性があります。

勾留期間中に検察官によって、事件を「起訴するか」「不起訴とするか」の判断が行われます。

なお、傷害罪の起訴率は「約32%」ですが、起訴されると「99%」が有罪判決となっています。

そのため、起訴決定の前に弁護活動を開始し、不起訴となる可能性を少しでも高めることが重要です。

※関連記事

「【傷害罪は68%が不起訴】その理由は?不起訴率を高める方法も解説」

【刑事裁判】起訴〜判決

傷害罪で起訴されると、「被疑者」から「被告人」へと立場が変わり、身体拘束も「判決」まで継続される可能性があります。

起訴された後、刑事裁判の「第1回公判期日」が開かれるまでの期間は「約1ヶ月程度」です。

「第1回公判期日」から1〜2週間で「判決」となる場合もありますが、内容によっては、審理期間が長くなる場合もあります。

傷害事件を起こしたら弁護士への相談が重要

傷害事件を起こしてしまった場合、まずは弁護士に相談することが大切です。

できる限り早く弁護士に早期に相談することで、次のようなメリットがあります。

傷害罪で逮捕されないためには弁護士に相談を

事件の見通しを相談できる

傷害事件を起こしてしまった場合、「これからどうなるのか」が分からず、不安に思う人も多いはずです。

逮捕されるリスクはどの程度あるのか

示談金はいくら用意すればよいのか

逮捕されたらどうなるのか

など、先の見えない不安が、精神的な負担となってしまうケースは珍しくありません。

しかし、傷害事件の経験が豊富な弁護士に相談すれば、これまでの類似事例をもとに、事件の見通しを立ててくれます。

今後の流れが掴め、自分が取るべき行動もはっきりするため、精神的な負担が軽減されて、事件と冷静に向き合えるようになるでしょう。

漠然とした不安に悩まされるのではなく、弁護士から具体的なアドバイスをもらい、行動を起こすことが、問題解決の近道です。

逮捕後の早期釈放につながる

弁護士に依頼することで、逮捕後に早期釈放される可能性も高まります。

迅速に弁護活動を開始することで、「身柄拘束をする必要がない」ことを、検察官や裁判官に主張できるからです。

例えば

・示談が成立していることを伝える

・被害者に被害届を取り下げてもらう

・嘆願書を提出してもらう

・監督者(家族など)がいることを主張する

・意見書を提出する

など、検察官や裁判官に納得してもらうために、様々な方法を用いることができます。

万が一逮捕されても、スピーディに弁護活動を開始することが、早期の釈放につながるのです。

不起訴になる可能性が高まる

不起訴になる可能性が高まることも、傷害事件を弁護士に相談すべき理由の1つです。

前述のとおり、傷害罪の起訴率は「約32%」ですが、起訴された場合の有罪率は「99%」にも上ります。

つまり、傷害事件では不起訴を得ることが極めて重要なのです。

弁護士に依頼することで、検察官に「起訴する必要がない」と判断してもらいやすくなります。例えば、

被害者との示談の状況

反省の態度

再犯防止に向けた監督者の存在

その他の酌むべき事情

など、加害者にとって有利な事情を検察官に説明することで、不起訴になる可能性が高まるのです。

不起訴になることができれば、前科が付くこともなく、罰金や懲役刑が科せられることもありません。生活への影響を最小限に押さえつつ、日常を取りもどすことができるでしょう。

傷害事件を起こしてしまった場合は、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。

【Q&A】傷害罪の逮捕に関するよくある質問

傷害罪の逮捕について、よくある質問

被害届を出されたら必ず逮捕される?

被害届を出されても、必ず逮捕される訳ではありません。

ただし、被害届の提出によって警察の捜査が開始される可能性はあります。

傷害罪で逮捕されるまでの期間は?

傷害事件後、逮捕されるまでの期間は、事件によって大きく異なります。

被害届が提出されたことで、すぐに警察から連絡が来るケースもありますが、事件後に数ヶ月経ってから連絡がくるケースもあります。

被害届の提出状況や、捜査の進捗を加害者が知ることはできません。

事件の見通しが気になる場合は、弁護士に相談しましょう。

精神的苦痛による傷害罪で逮捕されることもある?

精神的な苦痛によって傷害罪が成立し、逮捕に至るケースもあります。

精神的苦痛による傷害罪については、次の記事で詳しく解説しています。

「精神的苦痛でも傷害罪になる?成立する要件や実際の判例、対処法など」

傷害罪の初犯で逮捕されるケースはある?

初犯で逮捕に至るケースもあります。

傷害罪の初犯については、次の記事で詳しく解説しています。

「傷害罪の初犯での刑罰とは?不起訴処分を獲得するポイントを解説」

傷害罪で逮捕されたら罰金か懲役?

傷害罪で逮捕されて有罪判決が下されると、「15年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」となります。

罰金や懲役を防ぐためには、示談を成立させる等して、不起訴を得ることが大切です。

傷害罪で逮捕後に略式起訴になることはある?

傷害罪では、略式起訴になる可能性もあります。

なお、令和5年犯罪白書によると、傷害罪の起訴総数のうち「約62%」で略式命令請求がされています。

略式手続になると、罰金や科料を払うことですぐに身柄が釈放されます。

ただし、必ず前科が付いてしまうため注意しましょう。

傷害罪で逮捕された場合の保釈金はどれくらい?

保釈金の相場は、一般的には「150万〜200万程度」だと言われていますが、一概には言えません。事件によって大きく異なるため、まずは弁護士にご相談ください。

逮捕されないためにはどうすればいい?

傷害罪で逮捕されないためには、被害者と示談交渉を開始し、逮捕を避けるための行動を起こすことが必要です。示談交渉をご自身で進めるのは難しいので、弁護士にご相談ください。

まとめ

最後に、今回の記事の要点を整理します。

・傷害罪で逮捕されるのは「55%」程度。

・逮捕されると、最大23日間にわたって身柄拘束される

・早期の釈放には、弁護士への相談が必要

・傷害罪の不起訴率は「68%」程度

・ただし起訴されると「99%」が有罪判決になる

・前科を防ぐためには、弁護士に相談して不起訴を得ることが大切

傷害罪で逮捕されるかも…と不安を感じている方は、傷害事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。

グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの傷害事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。

勇気をもってご相談いただいたことで、事態が好転したご相談者様は数え切れません。

グラディアトル法律事務所では、24時間365日、全国対応可能な体制を整備しています。

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弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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