「傷害罪で逮捕されるのでは?」と不安に思っている
「傷害罪で逮捕されない方法が知りたい」
こんな方は、この記事を参考にして、逮捕を避けるための行動を起こしましょう。
法務省の公表しているデータによれば、傷害罪で逮捕されているのは「55%」程度です。
身近に存在する犯罪の中では、決して低い数字ではありませんが、被害者と示談をするなどの行動を起こせば、逮捕を防げる可能性は十分にあります。
本記事では、
・逮捕を防ぐために取るべき行動
・逮捕の要件や逮捕されやすいケース
・傷害罪で逮捕された場合の流れ
について取り上げました。
傷害罪の逮捕でお悩みの方は、是非ご一読ください。
目次
傷害罪で逮捕されるのは「約55%」
(引用:「令和5年犯罪白書 被疑者の逮捕と勾留」)
法務省が公表しているデータによると、傷害罪で逮捕されるのは「約55%」です。
つまり、傷害事件が発生した場合、半数以上のケースで加害者が逮捕されていることになります。これは身近で発生しやすい犯罪の中では、比較的高い数字です。
(参考)刑法犯で逮捕されるのは?
・暴行罪の場合「約43%」
・窃盗罪の場合「約33%」程度
※いずれも、「令和5年版犯罪白書」より算出
もっとも、逮捕されるのが「55%」ということは、裏を返せば「約45%」のケースでは逮捕されていないと考えられます。
傷害罪で逮捕されないためには、迅速に弁護活動を開始し、被害者と示談をする等の行動を起こすことが必要です。
トラブルを放置するのではなく、被害の回復に最善を尽くすことが、事件の解決につながるのです。
傷害罪で逮捕されないためにすべきこと
傷害罪で逮捕されないために取るべき行動は、次の2つです。
弁護士に相談する
まずは、事件について弁護士に相談することが大切です。
傷害事件後、できる限り早く弁護士に相談してアドバイスを受けることで、現状と自分がとるべき行動を理解できるからです。
無料相談などでも構わないので、まずは弁護士に相談し
・事件の今後の見通し(逮捕される可能性があるのか)
・被害者への対応方針
・支払うべき慰謝料や示談金の相場
・加害者が取るべき行動や解決策
について確認してみましょう。
1人で悩むのではなく、専門家に相談して、正しい対処法を知ることが事件解決の第一歩です。
被害者と示談をする
次に、できるだけ早く被害者と示談をすることが重要です。
示談とは、加害者が被害者に謝罪し、示談金を支払うことで、和解することを意味しています。
示談が成立すれば、次のようなメリットがあります。
・被害届の取り下げにつながる
・逮捕されにくくなる
・逮捕されてもすぐに釈放されやすい
・不起訴になる可能性が高まる
・刑事処分が軽くなりやすい
ただし、示談交渉は自分で行わず、弁護士に依頼しましょう。
被害者は加害者に対して、怒りや恐怖心を抱いていることが多いため、安易な接触は逆効果になりかねません。
・連絡を拒否される
・被害感情が悪化する
・感情的なトラブルに発展する
など、状況がますます悪化してしまう可能性があります。
傷害罪で逮捕されないためには、できる限り早く弁護士に相談して、被害者と示談をすることが大切です。
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傷害罪で逮捕されるパターンは2種類
傷害罪で逮捕されるパターンには、大きく分けて2つあります。
その場で逮捕される(現行犯逮捕)
現行犯逮捕は、事件現場で逮捕されて、そのまま警察に連行されるケースです。
例えば、居酒屋などで、お酒の勢いからついカッとなって暴力を振るってしまい、警察に通報されるようなケースが、現行犯逮捕の典型例です。
現行犯逮捕の場合、多くは駆けつけた警察官によって警察に連れて行かれます。
逮捕された後、警察で釈放されるケースもありますが、留置場に入れられて、検察に事件が引き継がれることもあります。
傷害事件の現行犯で逮捕されてしまった場合は、速やかに弁護士に依頼して
・接見に行く
・弁護活動を開始する
・被害者との示談交渉を開始する
などの行動を起こすことが必要です。
後日になって逮捕される(通常逮捕)
後日逮捕(通常逮捕)は、事件から時間が経過した後で、自宅や職場に警察が訪れて逮捕されるケースです。
事件現場から逃走したり、その場では解決したと思っていても、後日になって被害届が提出されて捜査が開始され、逮捕にいたる可能性があるのです。
特に最近は、防犯カメラの数が増加していたり、誰もがスマートフォンを所持していたりするため、証拠がないと思っていても、高確率で身元が判明してしまいます。
「事件当日に逮捕されなかったら大丈夫」と安心するのではなく、被害の回復に向けて行動を起こしましょう。
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傷害罪で逮捕される要件
現行犯を除けば、傷害罪で逮捕されるのは、通常次の要件を満たした場合です。
警察官による捜査が開始されたからといって、必ずしも逮捕される訳ではありません。
① 客観的な証拠によって犯人が特定されていること(逮捕する理由)
② 逃亡や証拠隠滅のおそれがあると認められること(逮捕する必要性)
これら2つの要件を満たし、裁判官によって逮捕が許可された場合に、初めて逮捕されることになるのです。
このうち「②逮捕する必要性」については、加害者の年齢や境遇、犯罪の軽重や態様など、様々な事情から、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかを総合的に判断されます。
そのため、速やかに弁護活動を開始して、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと伝えることができれば、「逮捕する必要性がない」と判断してもらいやすくなります。
傷害罪で逮捕されやすいケース
それでは、どのようなケースで逮捕の要件を満たしやすいのでしょうか。
傷害罪で逮捕されやすいケースについて見ていきましょう。
被害が大きい場合
被害の程度が大きいほど、逮捕されるリスクは高まります。
重い刑事処分を受ける可能性が高まるほど、逃亡のおそれがあると判断されやすくなるからです。
例えば、被害者が
・重い障害が残るようなケガをした
・命にかかわるようなケガをした
などのケースでは、逮捕される可能性は相対的に高くなるでしょう。
再犯の場合
前科がある場合も、逮捕されるリスクは高くなります。
例えば、
・過去に同様の傷害事件を起こしている
・常習的に暴行事件を起こしている
といったケースでは、逃亡のおそれがあると判断されて、逮捕に至る可能性が高くなるでしょう。
傷害罪で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れ
傷害罪で逮捕されると、次のような流れとなることが一般的です。
【逮捕されて48時間】警察から検察へ送致
傷害罪で逮捕されると、留置場に拘束され、警察の取り調べを受けることになります。
取り調べは、最大48時間に渡って実施され、回答した内容は「供述調書」として記録されます。
取り調べが終わると、警察から検察に事件が引き継がれます。
(これを「送致」といいます。)
【送致されて24時間】勾留の請求
検察に事件が引き継がれると、担当の検察官によって、身柄拘束が必要か(勾留を請求する必要があるか)が判断されます。
勾留請求は「24時間以内」に行われ、裁判官によって勾留を認めるかが決定されます。
なお、令和5年犯罪白書によれば、傷害罪の「91%」で「勾留請求」が行われ、「95%」が認められています。
【10日間(最長で20日間)】勾留から起訴判断
勾留請求が認容されると、留置場での生活が続くことになります。
勾留の期間は、原則として10日以内です。ただし、事件によっては(最長で)20日まで延長される可能性があります。
勾留期間中に検察官によって、事件を「起訴するか」「不起訴とするか」の判断が行われます。
なお、傷害罪の起訴率は「約32%」ですが、起訴されると「99%」が有罪判決となっています。
そのため、起訴決定の前に弁護活動を開始し、不起訴となる可能性を少しでも高めることが重要です。
※関連記事
「【傷害罪は68%が不起訴】その理由は?不起訴率を高める方法も解説」
【刑事裁判】起訴〜判決
傷害罪で起訴されると、「被疑者」から「被告人」へと立場が変わり、身体拘束も「判決」まで継続される可能性があります。
起訴された後、刑事裁判の「第1回公判期日」が開かれるまでの期間は「約1ヶ月程度」です。
「第1回公判期日」から1〜2週間で「判決」となる場合もありますが、内容によっては、審理期間が長くなる場合もあります。
傷害事件を起こしたら弁護士への相談が重要
傷害事件を起こしてしまった場合、まずは弁護士に相談することが大切です。
できる限り早く弁護士に早期に相談することで、次のようなメリットがあります。
事件の見通しを相談できる
傷害事件を起こしてしまった場合、「これからどうなるのか」が分からず、不安に思う人も多いはずです。
・逮捕されるリスクはどの程度あるのか
・示談金はいくら用意すればよいのか
・逮捕されたらどうなるのか
など、先の見えない不安が、精神的な負担となってしまうケースは珍しくありません。
しかし、傷害事件の経験が豊富な弁護士に相談すれば、これまでの類似事例をもとに、事件の見通しを立ててくれます。
今後の流れが掴め、自分が取るべき行動もはっきりするため、精神的な負担が軽減されて、事件と冷静に向き合えるようになるでしょう。
漠然とした不安に悩まされるのではなく、弁護士から具体的なアドバイスをもらい、行動を起こすことが、問題解決の近道です。
逮捕後の早期釈放につながる
弁護士に依頼することで、逮捕後に早期釈放される可能性も高まります。
迅速に弁護活動を開始することで、「身柄拘束をする必要がない」ことを、検察官や裁判官に主張できるからです。
例えば
・示談が成立していることを伝える
・被害者に被害届を取り下げてもらう
・嘆願書を提出してもらう
・監督者(家族など)がいることを主張する
・意見書を提出する
など、検察官や裁判官に納得してもらうために、様々な方法を用いることができます。
万が一逮捕されても、スピーディに弁護活動を開始することが、早期の釈放につながるのです。
不起訴になる可能性が高まる
不起訴になる可能性が高まることも、傷害事件を弁護士に相談すべき理由の1つです。
前述のとおり、傷害罪の起訴率は「約32%」ですが、起訴された場合の有罪率は「99%」にも上ります。
つまり、傷害事件では不起訴を得ることが極めて重要なのです。
弁護士に依頼することで、検察官に「起訴する必要がない」と判断してもらいやすくなります。例えば、
・被害者との示談の状況
・反省の態度
・再犯防止に向けた監督者の存在
・その他の酌むべき事情
など、加害者にとって有利な事情を検察官に説明することで、不起訴になる可能性が高まるのです。
不起訴になることができれば、前科が付くこともなく、罰金や懲役刑が科せられることもありません。生活への影響を最小限に押さえつつ、日常を取りもどすことができるでしょう。
傷害事件を起こしてしまった場合は、できるだけ早く弁護士に相談することが大切です。
【Q&A】傷害罪の逮捕に関するよくある質問
被害届を出されたら必ず逮捕される?
被害届を出されても、必ず逮捕される訳ではありません。
ただし、被害届の提出によって警察の捜査が開始される可能性はあります。
傷害罪で逮捕されるまでの期間は?
傷害事件後、逮捕されるまでの期間は、事件によって大きく異なります。
被害届が提出されたことで、すぐに警察から連絡が来るケースもありますが、事件後に数ヶ月経ってから連絡がくるケースもあります。
被害届の提出状況や、捜査の進捗を加害者が知ることはできません。
事件の見通しが気になる場合は、弁護士に相談しましょう。
精神的苦痛による傷害罪で逮捕されることもある?
精神的な苦痛によって傷害罪が成立し、逮捕に至るケースもあります。
精神的苦痛による傷害罪については、次の記事で詳しく解説しています。
「精神的苦痛でも傷害罪になる?成立する要件や実際の判例、対処法など」
傷害罪の初犯で逮捕されるケースはある?
初犯で逮捕に至るケースもあります。
傷害罪の初犯については、次の記事で詳しく解説しています。
傷害罪で逮捕されたら罰金か懲役?
傷害罪で逮捕されて有罪判決が下されると、「15年以下の懲役」又は「50万円以下の罰金」となります。
罰金や懲役を防ぐためには、示談を成立させる等して、不起訴を得ることが大切です。
傷害罪で逮捕後に略式起訴になることはある?
傷害罪では、略式起訴になる可能性もあります。
なお、令和5年犯罪白書によると、傷害罪の起訴総数のうち「約62%」で略式命令請求がされています。
略式手続になると、罰金や科料を払うことですぐに身柄が釈放されます。
ただし、必ず前科が付いてしまうため注意しましょう。
傷害罪で逮捕された場合の保釈金はどれくらい?
保釈金の相場は、一般的には「150万〜200万程度」だと言われていますが、一概には言えません。事件によって大きく異なるため、まずは弁護士にご相談ください。
逮捕されないためにはどうすればいい?
傷害罪で逮捕されないためには、被害者と示談交渉を開始し、逮捕を避けるための行動を起こすことが必要です。示談交渉をご自身で進めるのは難しいので、弁護士にご相談ください。
まとめ
最後に、今回の記事の要点を整理します。
・傷害罪で逮捕されるのは「55%」程度。
・逮捕されると、最大23日間にわたって身柄拘束される
・早期の釈放には、弁護士への相談が必要
・傷害罪の不起訴率は「68%」程度
・ただし起訴されると「99%」が有罪判決になる
・前科を防ぐためには、弁護士に相談して不起訴を得ることが大切
傷害罪で逮捕されるかも…と不安を感じている方は、傷害事件に強いグラディアトル法律事務所へご相談ください。
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