「LDSに関して法律ではどのような規制がなされているの?」
「LSDで逮捕されるのはどのようなケース」
「LSDで逮捕されたときの家族ができることとは?」
LSDとは、「リゼルグ酸ジエチルアミド」の略称で、ライ麦の麦角菌から作られる合成薬物です。特徴としては、無臭・無色・無味で極めて微量でも効果があり、判明している乱用薬物の中でもっとも強力なものといわれています。一般的には、水溶液をしみこませた紙片、錠剤、カプセルの形で流通しており、口から摂取する方法で乱用されています。
このようなLSDは、幻覚・幻聴作用があり、乱用を続けると精神分裂などの精神障害を引き起こすリスクがあることから、麻薬取締法によって規制されています。そのため、LSDの施用、所持、譲渡・譲受などの行為をすると逮捕される可能性がありますので注意が必要です。
本記事では、
・LSDで逮捕されたときに問われる罪 ・LSDで逮捕される主なケース ・LSDで逮捕されたときに家族ができること |
などについてわかりやすく解説します。
LSDなどの薬物犯罪で有利な処分を獲得するには、薬物犯罪に強い弁護士によるサポートが不可欠になりますので、逮捕されてしまったときはすぐに弁護士に依頼するようにしましょう。
目次
LSDで逮捕されたときに問われる罪

LSDは、「麻薬」の一種として麻薬取締法により規制されている違法薬物です。LSDに関する以下の行為は、いずれも麻薬取締法違反となり、下記の刑罰が科されます。
行為態様 | 営利目的の有無 | 法定刑 |
---|---|---|
LSDの製造、輸出入 | 営利目的なし | 1年以上10年以下の懲役 |
営利目的あり | 1年以上の有期懲役 ※情状により500万円以下の罰金が追加 | |
LSDの製剤、小分け、施用、所持、譲渡・譲受 | 営利目的なし | 7年以下の有期懲役 |
営利目的あり | 1年以上10年以下の懲役 ※情状により300万円以下の罰金が追加 | |
LSDの譲渡・譲受の周旋 | 3年以下の懲役 |
LSDの製造、輸出入|1年以上10年以下の懲役
LSDをみだりに国内に輸入または国外に輸出した場合、LSDの輸入罪または輸出罪が成立します。また、LSDをみだりに製造した場合、LSDの製造罪が成立します。
これらの犯罪が成立すると、1年以上10年以下の懲役に処せられます。また、営利目的がある場合には、1年以上の有期懲役に処せられ、情状により500万円以下の罰金が追加されます。
LSDの製剤、小分け、施用、所持、譲渡・譲受|7年以下の懲役
LSDをみだりに製剤、小分け、施用、所持、譲渡・譲受すると麻薬取締法違反となり、7年以下の懲役に処せられます。
また、営利目的がある場合には、1年以上10年以下の懲役に処せられ、情状により300万円以下の罰金が追加されます。
LSDの譲渡・譲受の周旋|3年以下の懲役
LSDの譲渡・譲受の周旋をした場合、麻薬取締法違反となり、3年以下の懲役に処せられます。
LSDで逮捕されるケース

LSDで逮捕されるのはどのようなケースなのでしょうか。以下では、LSDで逮捕される可能性のある主なケースを説明します。
職務質問でLSDの所持がバレた
警察による職務質問でLSDの所持がバレると、その場で任意提出を受けて、当該薬物の鑑定が行われます。鑑定結果でLSDの陽性反応が出れば、LSDの所持罪で逮捕状が請求されて、後日逮捕(通常逮捕)となります。
尿検査でLSDの陽性反応が出た
職務質問での受け答えや前科の照会結果などから薬物使用の疑いが生じると、警察署への任意同行を求められます。
警察署に到着すると紙コップを渡されて、尿の任意提出が求められます。提出した尿を鑑定し、LSDの陽性反応が出れば、LSDの施用罪で逮捕状が請求され、後日逮捕(通常逮捕)となります。
なお、任意同行は、あくまでも任意ですので同行を拒否することもできますが、逮捕されるリスクが高くなりますので、任意同行を求められたときは素直に応じた方がよいでしょう。
自宅の捜索でLSDが見つかった
被疑者の自宅の捜索差押により、違法薬物の疑いがある紙片、錠剤、カプセルなどが押収されると、薬物の成分を分析するために鑑定が行われます。
鑑定の結果、押収された物からLSDの成分が検出された場合、LSDの所持罪で逮捕状が請求され、後日逮捕(通常逮捕)となります。
LSDの売人が逮捕され顧客リストからLSDの購入がバレた
LSDの売人が逮捕されると顧客リストや売人の自白などによりLSDの購入者が芋づる式に発覚します。警察の捜査により購入者が特定されれば、LSDの譲受罪で逮捕状が請求されて、後日逮捕(通常逮捕)となります。
薬物犯罪は、自分が気を付けて行動していても関係者が逮捕されることで、自分も逮捕される可能性があることを覚えておきましょう。
関連コラム:麻薬で逮捕されたらどうなる?逮捕されるケースや流れ、リスクを解説
LSDで逮捕された実際の事例

以下では、LSDに関する犯罪で逮捕された実際の事例を紹介します。
絵画の裏にLSDがしみ込んだ紙を隠して密輸した疑いで逮捕
合成麻薬のLSDが染み込んだ紙を絵画の裏に隠して密輸したなどとして、大阪府警は、住所不定の派遣社員の男性(32歳)を麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕、送検したと発表した。容疑者は「荷物を受け取るだけで金をもらえるアルバイトだと思っていた」と話しているという。
府警薬物対策課と大阪税関によると、容疑者は別の人物と共謀して、LSD成分が染み込んだ紙(縦20センチ、横16センチ)20枚を、額縁入りの絵画(縦80センチ、横70センチ)2枚の裏側に分けて隠し、国際郵便でオランダから輸入しようとした疑いがある。
押収した紙には8ミリ四方の切り込みが多数入っており、計約1万回分、末端価格で約5千万円相当とみられるという。
絵画が税関を通過した際、麻薬探知犬が反応するなどして発覚した。府警は、容疑者を麻薬特例法違反(規制薬物の所持)の疑いで現行犯逮捕し、その後、営利目的輸入の疑いでも逮捕した。
(引用:朝日新聞)
絵の裏に隠された合成麻薬5千万円相当 大阪府警が密輸容疑で男逮捕
LDSの所持で東農大ボクシング部部員が逮捕
東京農業大ボクシング部員による営利目的の大麻所持事件で、警視庁は、合成麻薬「LSD」を所持したとして、同大1年の部員の男(19歳)(大麻取締法違反容疑で逮捕)を麻薬取締法違反(営利目的所持)容疑で再逮捕した。この部員の逮捕は3回目。
発表によると、男は、当時住んでいた東京都世田谷区の学生寮の自室でLSDを含む紙片約0.26グラム(末端価格約13万円相当)を販売目的で所持した疑い。容疑を認めている。警視庁は、男がSNSで購入者を募って学生寮の近くで大麻やLSDを密売していたとみている。
(引用:読売新聞オンライン)
東農大ボクシング部員、学生寮近くで大麻やLSDを密売か…3回目逮捕
LSDで逮捕された後の刑事手続きの流れ

以下では、LSDで逮捕された後の刑事手続きの流れについて説明します。
警察での取り調べ
LSDで逮捕されると警察署に連行されて、警察官による取り調べを受けます。
LSDのような薬物犯罪は、警察でも全容解明に力を入れてしますので、厳しい取り調べになる可能性があります。警察の圧力に屈して不利な供述調書にサインしてしまうと、後から訂正は困難ですので、内容をしっかりと確認してからサインするようにしてください。
なお、逮捕には時間制限がありますので、警察は逮捕から48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致しなければなりません。
検察官への送致
検察官は、被疑者に対する取り調べを行い、身柄拘束を継続するための勾留請求をするかどうかを検討します。身柄拘束を継続する場合には、送致から24時間以内に裁判官に勾留請求をしなければなりません。
なお、LSDのような薬物犯罪は、薬物の処分が容易で、関係者との口裏合わせの可能性もあることから、逮捕されれば、ほとんどのケースで勾留請求となります。
勾留・勾留延長
裁判官は、被疑者に対する勾留質問を行い、勾留を許可するかまたは却下するかの判断を行います。
勾留が許可されれば原則として10日間の身柄拘束となり、勾留延長も許可されればさらに最長10日間の身柄拘束が行われます。
1回の逮捕・勾留だと最長で23日間の身柄拘束期間になりますが、LSD犯罪では、LSDの所持で逮捕・勾留された後、LSDの施用で再逮捕・勾留されるケースもあるため、身柄拘束期間はさらに長期化する可能性もあります。
起訴または不起訴の決定
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に、起訴または不起訴の決定を行います。
なお、2023年検察統計(23-00-08参照)によると、麻薬取締法違反で起訴された事件は1071件、不起訴になった事件は711件ですので、麻薬取締法違反事件の起訴率は約60%ということになります。LSDに限った統計がないため詳細はわかりませんが、LSDの起訴率もほぼ同程度といえるでしょう。
LSDで逮捕されたときに家族ができること

大切な人がLSDで逮捕されてしまった場合、残された家族や恋人の方は、すぐに以下のような行動をとるようにしましょう。
LSD犯罪に詳しい弁護士に相談・依頼する
LSD犯罪で大切な人が逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談するようにしてください。その際は、LSD犯罪に詳しい弁護士に相談・依頼することが大切です。
LSDのような薬物犯罪は、被害者が存在しないため、被害者との示談により罪を軽くすることはできません。再犯率の高い薬物犯罪では、再犯防止に向けた取り組みが重要になりますが、LSD犯罪に詳しい弁護士でなければ適切な対応は難しいといえます。
そのため、大切な人がLSD犯罪で逮捕されてしまったときは、一刻も早くLSD犯罪に詳しい弁護士を探して依頼するようにしましょう。
警察署での面会や差し入れをする
逮捕中は家族や恋人であっても面会することはできません。しかし、逮捕から勾留に切り替われば接見禁止が付いていない限り、面会が可能になります。
逮捕された本人は、不慣れな環境で身柄拘束をされているため不安な日々を過ごしています。本人の不安を少しでも和らげるためにも、できるだけ早く面会に行ってあげるとよいでしょう。
なお、面会時には現金、衣類、書籍などの差し入れができますので、事前に警察署に確認した上で差し入れをしてあげると喜ばれるはずです。
保釈請求の際の身元引受人になる
LSD犯罪は、全容解明の捜査のために身柄拘束期間が長くなる傾向があります。そのため、逮捕・勾留中の身柄解放は難しいケースが多いですが、起訴後であれば保釈請求をすることで身柄解放を実現できる可能性があります。
しかし、保釈で身柄解放されるには、身元引受人の存在と保釈金の支払いが必要になります。早期の身柄解放を実現するためにも、弁護士から身元引受人を頼まれたときは快く引き受けるとともに、保釈金の準備にも協力してあげてください。
なお、保釈金は、本人が逃亡することなく裁判所に出廷し、裁判が終われば返還されますのでご安心ください。
薬物依存を脱するためのサポートをする
LSDは、依存性が非常に高い薬物ですので、LSDの乱用を繰り返していると自分の意思だけではLSDをやめられない状態になっているケースもあります。
そのような場合には、医療機関などで薬物依存の治療を受けることが必要になりますが、周囲の家族の協力も不可欠になります。本人がLSDとの関係を断ち切り、正常な社会生活を送ることができるようにするためにも周囲の家族がサポートしてあげてください。
LSDで逮捕されたときに弁護士に依頼するメリット

LSD犯罪で逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士に依頼することが大切です。弁護士に依頼することで、以下のようなサポートを受けることができます。
逮捕中に早期に面会して取り調べのアドバイスができる
逮捕中に面会できるのは弁護士だけです。
逮捕後の取り調べで不利な供述調書をとられてしまうのを回避するには、逮捕後すぐに弁護士と面会して、取り調べに対するアドバイスをしてもらう必要があります。不利な供述調書がとられてしまうと、その後の裁判でも不利な判決が言い渡される可能性が高くなりますので、一刻も早く弁護士と面会することが大切です。
起訴後は保釈請求をすることができる
LSD犯罪で起訴された後であれば保釈請求により身柄解放を実現することができます。
起訴後の勾留は、原則2か月で1か月ごとの更新がありますので、起訴前の逮捕・勾留よりも身柄拘束期間が長くなります。身柄拘束による本人の不利益を最小限に抑えるためにも、弁護士に依頼して早期に保釈請求をしてもらうようにしましょう。
執行猶予の獲得や刑の減軽に向けたサポートができる
LSD犯罪で起訴されると99%以上の事件が有罪になってしまいますので、執行猶予付き判決を獲得することが重要です。また、再犯率の高い薬物犯罪では、同種前科があるなどの理由から執行猶予が難しいケースも多く、その場合には刑の減軽を求めていくことが重要になります。
LSD犯罪に詳しい弁護士であれば、執行猶予や刑の減軽を獲得するためのポイントを熟知していますので、適切な弁護活動により有利な処分を獲得できる可能性が高くなります。そのため、LSD犯罪の弁護を依頼するなら、LSD犯罪に詳しい弁護士に依頼するべきです。
関連コラム:麻薬事件を弁護士に依頼する4つのメリットと弁護士選びのポイント
LSDで逮捕されたときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

大切な家族や恋人がLSDで逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談することが大切です。その際には、LSD犯罪に詳しい弁護士を選ぶのがポイントになります。
グラディアトル法律事務所では、薬物犯罪の弁護士に関する豊富な経験と実績がありますので、LSD犯罪について有利な処分を獲得するためのポイントを熟知しています。経験豊富な弁護士によるポイントを押さえた弁護活動により、早期釈放や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高くなりますので、まずは当事務所までご相談ください。
また、当事務所では刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。
さらに、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。初回法律相談を無料で対応していますので、LSD犯罪に関する相談をご希望の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
まとめ
LSDは、麻薬取締法で規制されている違法薬物ですので、LSDの所持や施用が明らかになると警察により逮捕されてしまう可能性があります。
逮捕後は、早期に弁護士のサポートを受けることで有利な処分を獲得できる可能性が高くなりますので、まずは経験と実績豊富なグラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。