「ヘロイン犯罪で逮捕されるとどのような罪に問われるの?」
「ヘロインで逮捕された実際の事例にはどのようなものがある?」
「ヘロインで逮捕されたときに弁護士に依頼するとどのようなサポートをしてくれる?」
ヘロインとは、「ジアセチルモルヒネ」の略称で、植物のケシから採取されるアヘンに含まれるモルヒネを抽出して作られる薬物です。鎮痛・麻酔作用はモルヒネの4~8倍強く、摂取すると強い陶酔感を覚えるため、繰り返し使用することで、痛み、嘔吐、失神などの激しい症状があらわれ、最悪のケースでは命を落とす危険もあります。
そのため、ヘロインは麻薬の一種として麻薬取締法によって規制されており、ヘロインの施用(使用)や所持などがバレると警察により逮捕される可能性が高いです。逮捕されれば、起訴されてほとんどの事件が有罪になりますので、早期に適切な対応をすることが重要になります。
本コラムでは、
・ヘロインで逮捕された場合に問われる可能性のある罪 ・ヘロインで逮捕された場合に生じるリスク ・ヘロインで逮捕されたときに弁護士ができるサポート |
などについてわかりやすく解説します。
ヘロインなどの薬物犯罪で逮捕された場合、薬物犯罪に詳しい弁護士によるサポートが不可欠ですので、逮捕後は一刻も早く弁護士に相談・依頼するようにしましょう。
目次
ヘロインで逮捕された場合に問われる可能性のある罪

ヘロインは、麻薬取締法によって規制されている違法薬物です。ヘロインで逮捕された場合、以下のような罪に問われる可能性があります。
行為態様 | 営利目的の有無 | 法定刑 |
ヘロインの所持、施用、譲渡・譲受 | 営利目的なし | 10年以下の懲役 |
営利目的あり | 1年以上の有期懲役※情状により500万円以下の罰金が追加 | |
ヘロインの輸入・輸出、製造 | 営利目的なし | 1年以上の有期懲役 |
営利目的あり | 無期または3年以上の有期懲役 ※情状により1000万円以下の罰金が追加 |
ヘロインの施用(使用)|10年以下の懲役
麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて施用する場合を除いて、ヘロインの施用は麻薬取締法によって禁止されています。違法なヘロインの施用をした場合、ヘロインの施用罪が成立し、10年以下の懲役に処せられます。
なお、営利目的でヘロインの施用をした場合、刑罰重くなり、1年以上の有期懲役に処せられ、情状によって500万円以下の罰金が追加されることもあります。
ヘロインの所持、譲渡・譲受|10年以下の懲役
ヘロインの所持は、厚生労働大臣の許可を受けた麻薬研究者でなければ行うことができません。また、ヘロインの譲渡・譲受は、厚生労働大臣の許可を受けた麻薬研究施設の設置者または麻薬研究者でなければ行うことができません。
これらに該当しない人がヘロインを所持した場合、ヘロインの所持罪が成立し、10年以下の有期懲役に処せられます。
なお、営利目的でヘロインの所持をした場合、刑罰重くなり、1年以上の有期懲役に処せられ、情状によって500万円以下の罰金が追加されることもあります。
ヘロインの製造、輸出入|1年以上の懲役
ヘロインの製造は、厚生労働大臣の許可を受けた麻薬研究者でなければ行うことができません。また、ヘロインの輸出入は例外なく禁止されています。
そのため、違法なヘロインの製造、輸出入をした場合、ヘロインの製造罪や輸出入罪が成立し、1年以上の有期懲役に処せられます。
なお、営利目的でヘロインの製造をした場合、刑罰が重くなり無期または3年以上の有期懲役に処せられ、情状によって1000万円以下の罰金が追加されることもあります。
法定刑に無期懲役の定めがありますので、営利目的でのヘロインの製造や輸出入の罪は、裁判員裁判の対象になります。
ヘロインで逮捕された場合に生じるリスク

ヘロインで逮捕されると以下のようなリスクが生じる可能性があります。
仕事を解雇されるリスク
ヘロインに関する犯罪は、薬物犯罪の中でも特に重い刑罰が定められてしますので、逮捕されると長期間の身柄拘束は避けられません。
身柄拘束中は、外部に連絡をとったり、自由に外出することはできませんので、身柄拘束期間が長くなれば、長期の無断欠勤を理由として解雇されるリスクが高くなります。
また、ヘロイン犯罪で起訴されて有罪になった場合、就業規則の懲戒事由に該当しますので、会社から懲戒解雇されてしまう可能性もあります。
仮に、解雇を免れたとしても、薬物犯罪者というレッテルを貼られた状態では働きにくいため、自主退職を選択する人も少なくありません。
学校を退学になるリスク
ヘロイン犯罪で逮捕されて長期間の身柄拘束になれば、学校の出席日数が足りず、進学や卒業にも影響が出る可能性があります。
また、ヘロイン犯罪で起訴されて有罪になれば、学校から停学や退学といった重い処分が下される可能性もあります。
退学を免れたとしても、学校中に薬物犯罪で逮捕されたという噂がまわっている状況だと、学校に居づらくなってしまい自主退職を選択するケースもあるでしょう。
薬物依存症になるリスク
ヘロインは、違法薬物の中でも特に依存性の高い薬物であり、ヘロインの乱用をすると身体的・精神的依存症を生じやすく、ヘロインがやめられない状態に陥ってしまいます。
このような薬物依存状態になると、ヘロインにより心身を蝕んでいき、最悪のケースでは命を落とす可能性もあります。また、ヘロインの乱用を続けるための資金を稼ぐため、違法な闇バイトなどに手を出して、別の犯罪で逮捕される可能性もあります。
このように薬物依存症になるとさまざまなリスクが生じるため、すぐに薬物との関係性を断ち切ることが重要です。
ヘロインで逮捕された実際の事例

以下では、ヘロイン犯罪で逮捕された実際の事例を紹介します。
ヘロインを紙たばこ状にしてバッグに隠し持った密輸入の疑いで逮捕
沖縄県警豊見城署は、麻薬のヘロインを密輸入しようとしたとして、台湾国籍の自称自営業の容疑者の男(27歳)を麻薬取締法違反(輸入)の疑いで逮捕したと発表した。沖縄地区税関は、関税法違反で同容疑者を那覇地検に告発した。那覇空港でヘロインの摘発は初。
(引用:沖縄タイムス)
ヘロインを紙たばこ状にしてバッグに隠し持った疑い 密輸入容疑で台湾国籍の男を逮捕
ヘロイン約3キロ所持の日本人男性を逮捕
台湾の航空警察局高雄支局は、タイからヘロイン約3キロ(末端価格約1億8000万円)を所持して入境した日本国籍の男(57歳)を毒物法違反で高雄地検に送検した。高雄空港で今年最大の押収量という。
地元メディアによると、男は、タイから旅客機で高雄に入境した際、預けたトランク2個に計2931グラムのヘロインを所持していたのを当局が発見。逮捕して事情聴取していた。男はタイの喫茶店で身元不明の男から1日5000タイバーツ(約1万6000円)の報酬で雇われた、と供述している。
(引用:産経新聞)
ヘロイン約3キロ所持の日本人男性を逮捕 台湾当局、タイから入国
ヘロインで逮捕された後の流れ

ヘロイン犯罪で逮捕されると、その後は以下のような流れで手続きが進んでいきます。
警察での取り調べ
ヘロイン犯罪で逮捕されると警察署に連行されて、警察官による取り調べを受けます。
ヘロインなどの薬物犯罪は、流通ルートの解明や売人の特定など全容解明のために厳しい取り調べが行われる傾向がありますので、不利な供述をしないよう十分に注意して取り調べに対応しなければなりません。
なお、逮捕には時間制限がありますので、警察は、逮捕から48時間以内に被疑者の身柄を検察官に送致しなければなりません。
検察官への送致
検察官は、被疑者に対する取り調べを行い、身柄拘束を継続するかどうかを検討します。検察官は、引き続き身柄拘束をする必要があると判断したときは、送致から24時間以内に裁判官に勾留請求を行わなければなりません。
ヘロイン犯罪は、証拠隠滅が容易で関係者との口裏合わせをする可能性があるため、逮捕された事件のほとんどが勾留請求されています。
勾留・勾留延長
裁判官は、被疑者に対する勾留質問を行い、勾留を許可するか却下するかの判断を行います。
勾留が許可されると原則として10日間の身柄拘束となり、勾留延長も許可されるとさらに最長10日間の身柄拘束が行われます。
ヘロイン犯罪は、前述のとおり証拠隠滅が容易な犯罪ですので、勾留請求された事件のほとんどで勾留が許可されています。
起訴または不起訴の決定
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に起訴するか不起訴にするかの判断を行います。
ヘロイン犯罪は、麻薬取締法の中でも特に重い法定刑が定められた犯罪ですので、逮捕されれば起訴される可能性が非常に高いです。
起訴されればほとんどの事件が有罪になってしまいますので、執行猶予付き判決の獲得に向けた対策が重要になります。
関連コラム:麻薬で逮捕されたらどうなる?逮捕されるケースや流れ、リスクを解説
ヘロインで逮捕されたときに弁護士ができるサポート

ヘロイン犯罪で逮捕された場合、弁護士に依頼をすれば以下のようなサポートをしてもらうことができます。
早期に面会をして取り調べに対するアドバイスをする
ヘロイン犯罪で逮捕されると、警察による厳しい取り調べをうけますので、適切な知識がなければ警察官の誘導に乗ってしまい不利な内容の供述調書がとられてしまうリスクがあります。
それを防ぐには弁護士と逮捕後すぐに面会することが重要です。弁護士から取り調べに対するアドバイスを受けて、そのとおりに対応すれば不利な供述調書がとられるリスクを回避できる可能性があります。
逮捕時に面会できるのは弁護士に限られていますので、家族や恋人が逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に連絡して、本人との面会を頼むようにしてください。
起訴後は保釈請求による身柄解放を目指す
ヘロイン犯罪で逮捕されると、逮捕・勾留により最長23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。また、起訴後は、被告人勾留に切り替わりますので、さらに2か月(1か月ごとの更新あり)間の身柄拘束が行われます。
このような長期間の身柄拘束から解放してもらうには、保釈請求をする必要があります。弁護士であれば、起訴後すぐに保釈請求を行い、早期に身柄解放を実現することが可能です。
執行猶予の獲得や刑の減軽に向けたサポートをする
ヘロイン犯罪で逮捕された場合、再犯の可能性が低いことを示すことで執行猶予付き判決を獲得できる可能性があります。
薬物犯罪に詳しい弁護士であれば、薬物依存症の治療を専門とする医療機関や自助グループの紹介をしてくれますので、適切な治療や支援により薬物依存の状態から脱却することが可能です。このような治療や支援は、早期に開始することが重要ですので、ヘロインで逮捕されたときはすぐに弁護士に相談するようにしましょう。
関連コラム:麻薬事件を弁護士に依頼する4つのメリットと弁護士選びのポイント
ヘロインで逮捕されたときはすぐにグラディアトル法律事務所に相談を

ヘロインのような薬物犯罪は、被害者が存在しませんので示談により罪を軽くすることはできません。また、ヘロインのような薬物犯罪は、再犯率が高い犯罪ですので、少しでも罪を軽くするには、再犯防止の取り組みをしっかりと行い、それを裁判官に示すことが重要です。
それには、薬物犯罪に詳しい弁護士によるサポートが不可欠となりますので、まずはグラディアトル法律事務所までご相談ください。当事務所では、ヘロインのような薬物犯罪の弁護に関する豊富な知識や経験がありますので、具体的な状況に応じた医療機関や自助グループなどを紹介することができます。このような再犯防止に向けた治療や支援に積極的に取り組むことで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高めることができるでしょう。
また、当事務所では刑事事件に関してスピード対応を心がけていますので、最短で即日対応が可能です。身柄拘束されている場合には、すぐに警察署に駆けつけて面会を実施しますので、一刻も早く当事務所までご相談ください。
さらに、相談は24時間365日受け付けておりますので、早朝・夜間や土日祝日であっても関係なく対応可能です。初回法律相談を無料で対応していますので、ヘロイン犯罪に関する相談をご希望の方は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
まとめ
大切な家族や恋人がヘロイン犯罪で逮捕されてしまったときは、すぐに薬物犯罪に詳しい弁護士に相談をして、本人との面会を頼むようにしてください。刑事事件はスピード勝負と言われるように、逮捕後すぐに面会をして不利な供述調書をとられないようにアドバイスすることが重要になります。
薬物事件に詳しい弁護士をお探しの方は、グラディアトル法律事務所までお気軽にご相談ください。