児童ポルノの単純所持とは?逮捕のきっかけや回避する方法を解説

児童ポルノの単純所持とは?逮捕のきっかけや回避する方法を解説
弁護士 若林翔
2024年10月21日更新

「児童ポルノの単純所持罪とはどのような犯罪なのか?」

「児童ポルノの単純所持はどのような経緯で発覚するの?」

「児童ポルノの単純所持で逮捕や起訴を回避するにはどうすればいい?」

児童ポルノとは、18歳未満の子ども(児童)のわいせつな姿を写した画像や動画をいいます。違法サイトを利用して児童ポルノを閲覧しただけでは犯罪にはなりませんが、児童ポルノに該当する写真や動画を所持していると、単純所持罪が成立し児童ポルノ禁止法による処罰対象となります。

児童ポルノの単純所持で逮捕・起訴されてしまうと、さまざまなリスクが生じますので、早めに必要な対策を検討するようにしましょう。

本記事では、

・児童ポルノの単純所持とは?

・児童ポルノの単純所持が発覚して逮捕に至る3つのきっかけ

・児童ポルノの単純所持による逮捕、起訴を回避する方法

などについてわかりやすく解説します。

児童ポルノによる逮捕・起訴を回避するには、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠となりますので、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

児童ポルノの単純所持とは

児童ポルノの単純所持とは

児童ポルノの単純所持とは、どのような犯罪なのでしょうか。以下では、児童ポルノ単純所持罪の概要について説明します。

児童ポルノとは

児童ポルノとは、18歳未満の児童のわいせつな姿を記録した画像や動画をいいます。児童ポルノ禁止法では、以下のようなものを児童ポルノとして規制しています。

・児童との性交または性交類似行為を撮影したもの

・児童の性器が他人に触られるまたは児童が他人の性器を触る姿を撮影したもので、性欲を興奮させ、または刺激するもの

・衣服の全部または一部を身につけない児童の姿や殊更に性的な部位が露出または強調されているものであり、性欲を興奮させ、または刺激するもの

18歳未満の児童は、心身ともに未熟で十分な判断能力が備わっていませんので、性的搾取から児童を保護する目的で、児童ポルノ禁止法により規制されています。

単純所持とは

単純所持とは、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持することをいいます。

児童ポルノの単純所持は、以前は処罰対象ではありませんでした。しかし、児童ポルノの供給側を処罰対象にするだけでは、児童ポルノの根絶が困難であることから、平成26年の法改正により、児童ポルノの単純所持も処罰対象に含まれることになりました。

児童ポルノ禁止法では、以下のような目的・意思による児童ポルノの所持を処罰対象にしています。

・自己の性的好奇心を満たす目的があったこと(①)

・自己の意思に基づいて所持するに至ったこと(②)

親が子どもの成長を記録するために裸の写真や動画を撮影し、スマートフォンに保存していたとしても、①を欠くため単純所持罪は成立しません。

また、パソコンがウイルスに感染して勝手に児童ポルノをダウンロードしたようなケースでは、②を欠くため単純所持罪は成立しません。

児童ポルノ単純所持の刑罰

児童ポルノ単純所持罪の刑罰は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。

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児童ポルノの単純所持で逮捕される可能性は低い!

2023年の検察統計年報によると、児童ポルノ禁止法違反による逮捕の確率は、約26%となっています。ただし、この統計には、単純所持以外にも保管罪、提供罪、陳列罪、製造罪や児童買春も含まれていますので、単純所持のみの逮捕率ではありませんので注意が必要です。

現状、児童ポルノ禁止法に違反している場合でも、単純所持のみで逮捕される可能性は低く、児童買春など他の罪と合わせての逮捕事例が多いです。

もっとも、児童ポルノの単純所持で、逮捕はされないとしても自宅に強制捜査(ガサ、令状を持参しての捜索)がなされることがあります。

また、児童ポルノの単純所持で、逮捕されずに在宅事件として捜査が進み、有罪になると前科がつきますので、油断できません。

なお、逮捕には、主に「現行犯逮捕」と「後日逮捕」の2種類がありますが、児童ポルノの単純所持で逮捕されるのは、後日逮捕の可能性が高いでしょう。

なぜなら、職務質問などで児童ポルノと疑わしい画像や動画が発見されたとしても、その場では被写体が18歳未満であるかどうかを判断することができません。また、児童ポルノの単純所持罪は、自己の性的好奇心を満たす目的があったことおよび自己の意思に基づいて所持するに至ったことを立証する必要がありますが、そのような目的や意思は現場の捜査官には判断が困難だからです。

児童ポルノの単純所持が発覚し逮捕に至る3つのきっかけ

児童ポルノの単純所持が発覚して、逮捕に至るきっかけとしては、主に以下の3つが考えられます。

児童ポルノの単純所持で逮捕される可能性は低い!どのくらい?

警察のサイバーパトロール

警察は、民間企業や団体などに委託して、違法サイトやネット上の有害情報の巡回チェックをするサイバーパトロールを行っています。

児童ポルノをダウンロードすることも単純所持罪の処罰対象に含まれますので、違法サイトから児童ポルノをダウンロードしてしまうと、サイバーパトロールにより単純所持が発覚する可能性があります。警察は、ダウンロードの履歴などから被疑者を特定することができますので、繰り返しダウンロードをしているような場合には逮捕される可能性が高くなります。

違法サイトの一斉摘発

警察のサイバーパトロールでは、違法なダウンロードをした本人を特定するだけではなく、児童ポルノのアップロードや販売などをしている違法サイトの摘発も行っています。

ITのプロフェッショナルであるサイバー犯罪対策課であれば、通常の検索エンジンでは見つからないような違法サイトでも発見し、摘発することができます。違法サイトが摘発されば、サイト管理者が処罰されるのは当然ですが、顧客リストや販売履歴などから児童ポルノを単純所持する人が特定され、逮捕に至ることもあります。

余罪として発覚

児童ポルノの単純所持は、余罪として発覚して逮捕に至ることもあります。

たとえば、盗撮で逮捕された人が捜査機関に提出したスマートフォンの解析捜査の結果、児童ポルノが発見された場合には、児童ポルノ単純所持罪も成立することになります。この場合、すでに逮捕された罪に加えて児童ポルノ単純所持罪でも処罰されますので、初犯であっても厳しい刑罰が科される可能性があります。

児童ポルノのダウンロードも単純所持で逮捕される可能性あり!

児童ポルノの単純所持罪は、児童ポルノに該当する写真や動画データをダウンロードする行為も含まれます。

違法サイトで児童ポルノを閲覧するだけでは罪に問われることはありませんが、そこで児童ポルノをダウンロードしてしまうと単純所持罪が成立します。たとえ1枚であっても、児童ポルノをダウンロードした時点で犯罪が成立しますので、十分に気を付けて行動するようにしてください。

児童ポルノのダウンロードは犯罪!逮捕・起訴を回避する方法を解説

児童ポルノの単純所持で逮捕された後の流れ

児童ポルノの単純所持で逮捕されると、以下のような流れで刑事事件が進んでいきます。

児童ポルノの単純所持で逮捕された後の流れ

逮捕

児童ポルノによる逮捕は、現行犯逮捕ではなく後日逮捕になるケースが圧倒的に多いです。

・警察から任意出頭を求められて取り調べ後に逮捕
・自宅の捜索差押を受けて逮捕
・突然警察官が自宅にやってきて逮捕状に基づいて逮捕

このような経緯で逮捕されると警察書内の留置施設で身柄拘束をされ、警察官による取り調べを受けることになります。警察官がさらに身柄拘束の必要性があると判断すると逮捕時から48時間以内に検察官に送致されます。

検察官送致

検察官は、送致を受けてから24時間以内かつ逮捕から72時間以内に、勾留請求するのか釈放をするのかを判断しなければなりません。

引き続き被疑者の身柄を拘束する場合には、裁判所に勾留請求を行います。

勾留・勾留延長

裁判官が勾留を許可すると、そこから原則として10日間の身柄拘束が行われます。勾留には延長制度がありますので、捜査のために必要があると認められる場合には、勾留延長が許可され、さらに10日間を上限とする身柄拘束が継続します。

このように逮捕・勾留された被疑者は、最長23日間の身柄拘束を受ける可能性があります。

起訴または不起訴

検察官は、勾留期間満了までの間に取り調べや必要な捜査を終え、被疑者を起訴するか不起訴にするかを判断します。

児童ポルノの単純所持による逮捕を回避するには自首を検討

児童ポルノの単純所持による逮捕を回避するには自首を検討

警察の捜査により児童ポルノの単純所持が発覚すると、逮捕される可能性も十分にあります。警察により逮捕されると長期間の身柄拘束を受けたり、実名報道をされたり、職場を解雇されたりするなどさまざまなリスクが生じますので、逮捕を回避することが重要になります。

児童ポルノの単純所持による逮捕を回避する手段の一つが「自首」です。自首とは、捜査機関に事件および犯人が発覚する前に、捜査機関に対して自ら犯罪事実の申告をすることをいいます。

警察が被疑者を逮捕するには、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由に加えて、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。

・逃亡のおそれ

・証拠隠滅のおそれ

児童ポルノの単純所持で自首をすれば、捜査機関に対して逃亡の意思がないことを示すことができ、その際に証拠となる児童ポルノを任意提出すれば証拠隠滅のおそれもないことを示すことができます。

自首をすれば絶対に逮捕されないわけではありませんが、逮捕される可能性を低くすることができるでしょう。

下記の関連記事にも詳しく記載しておりますので、ぜひご覧ください。

児童ポルノでの逮捕を回避するなら自首を検討!自首のメリットを解説

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児童ポルノの単純所持で不起訴処分を目指す方法

児童ポルノの単純所持で不起訴処分を目指す方法としては、主に以下の3つの方法が考えられます。

以下に、児童ポルノ単純所持で不起訴処分を目指す方法についてテーブルにまとめました。

項目方法効果
示談被害者が特定できる場合、被害者の親と示談を成立させることで、加害者の反省と賠償が済んだことを示す。不起訴処分の可能性を高める。特に弁護士を通じた交渉が有効。
贖罪寄付被害者が特定できない場合、弁護士会や被害者支援団体に寄付を行い、反省の意思を示す。示談ほどの効果はないが、不起訴処分の可能性を高める。
性障害治療 クリニックの受診性障害治療のクリニックで治療を受け、再犯防止のための環境を整え、通院を継続する。再犯リスクが低いことを示し、不起訴処分の可能性を高める。

示談

SNSなどを利用して児童とメッセージのやり取りを行い、直接児童ポルノの画像や動画を送ってもらったようなケースであれば、被害者を特定することができます。

このようなケースでは、被害者の親と示談を成立させることにより、不起訴処分の可能性を高めることができます。ただし、被害者の親は、加害者に対して強い処罰感情を有していますので、加害者本人での示談交渉は難航するケースが多いです。スムーズに示談交渉を行うためにも、専門的知識を有する弁護士に依頼するべきでしょう。

贖罪寄付

児童ポルノの被写体がどこの誰であるかを特定できなければ、示談をすることができません。このようなケースでは、贖罪寄付を検討するとよいでしょう。

贖罪寄付とは、弁護士会や被害者支援団体などに寄付をすることで、反省の気持ちを示すことができる方法です。贖罪寄付により寄付されたお金は、直接被害者に支払われるわけではないため直接的な被害が回復とはなりません。しかし、被害者救済などの公益活動に充てられますので間接的に被害回復を図ることができます。

示談ほどの効果はありませんが、示談できないようなケースでは積極的に検討すべきでしょう。

性障害治療のクリニックを受診

不起訴処分を獲得するためには、検察官に対して再犯のおそれが低いことを示す必要があります。しかし、児童ポルノなどの性犯罪は、再犯率の高い犯罪といえますので、そのままでは起訴されてしま可能性も十分にあります。

そのため、しっかりと原因を究明し、性的な衝動を抑制するためにも、まずは性障害治療のクリニックを受診するとよいでしょう。通院を継続して再犯防止のための環境が整っているといえれば、不起訴処分の可能性を高めることができるでしょう。

児童ポルノの単純所持の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

児童ポルノの単純所持の弁護はグラディアトル法律事務所にお任せください

児童ポルノをスマートフォンや自宅のPCで保管しているだけであれば、逮捕されることはないだろうと考える方も少なくありません。しかし、警察は、サイバーパトロールなどにより児童ポルノの入手経路から児童ポルノの所持者を特定することができますので、違法サイトから購入・ダウンロードしたような場合には、警察による捜査で特定され、逮捕される可能性も十分になります。

逮捕されるとさまざまなリスクが生じますので、まだ警察から連絡が来ていない段階であってもすぐに弁護士に相談することが必要です。グラディアトル法律事務所では、児童ポルノ犯罪に関する豊富な実績と経験がありますので、逮捕や起訴を回避するための手段を熟知しています。具体的な事案に応じて適切な手段を講じることにより、逮捕・起訴による不利益を最小限に抑えることができます。どの弁護士に依頼するかによって結果は大きく左右されますので、経験と実績豊富な当事務所の弁護士にお任せください

児童ポルノの事件を弁護士に相談する4つのメリットと5つのサポート

まとめ

児童ポルノを所持している方は、そのままだと警察により逮捕される可能性があります。逮捕による不利益を最小限に抑えるためには、早期に弁護士に相談し、適切な行動をとる必要がありますので、まずは児童ポルノ犯罪に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

グラディアトル法律事務所では、初回相談料無料、24時間365日相談を受け付けておりますので、児童ポルノを所持している方は、すぐに当事務所までご相談ください。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

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