傷害罪では「証拠がない」と思っていても、思わぬ証拠が見つかり、逮捕されるケースが珍しくありません。
・「傷害事件を起こしてしまったけど、証拠がないから大丈夫?」
・「証拠がないなら、放っておいても良い?」
こんな不安をお持ちの方は、この記事を参考に、すぐに逮捕を避けるための行動を起こしましょう。
法務省のデータによれば、傷害罪の検挙率は「80%」を超えています。
つまり、傷害事件が発覚すると「80%」以上の確率で、警察に被疑者として特定されているのです。
「証拠がない」と思って安心するのは、リスクが高い行為です。
本記事では、
・傷害罪の検挙率や逮捕率
・証拠となるものの具体例
・逮捕を避けるためにやるべきこと
について解説します。
傷害罪に問われる不安を抱えている方は、是非ご一読ください。
目次
傷害罪は証拠がないと逮捕されない?検挙率は8割以上
傷害事件を起こしてしまった場合、証拠がないと逮捕されないのでしょうか。
結論からいうと、本当に証拠がない場合は、逮捕されない可能性が高いです。
ただし、本人が気づいていないだけで、何らかの証拠が残っているケースも珍しくありません。
例えば、防犯カメラの映像やスマートフォンの写真など、物的な証拠が残っているかもしれません。また、捜査を進めていうくちに、目撃者が見つかることもあるでしょう。
他にも、事件前後のLINE等でのやり取りや行動履歴など、間接的な証拠が積み重なることで、被疑者として特定されるケースもあります。
実際、警察庁によれば、傷害罪の検挙率は「80%以上」となっています。
※検挙とは?
捜査機関が、犯罪行為を犯した人を「被疑者」として特定し、刑事事件として処理することをいいます。ただし法律用語ではないため、明確な定義はありません。
(引用:令和5年警察白書 統計資料)
一見すると証拠がないように思えても、意外なところから証拠が見つかり、逮捕に発展する可能性があるのです。
「証拠がないから大丈夫」と思い込むのは、非常にリスクの高い行為だといえるでしょう。
傷害罪で証拠になるものの具体例
傷害罪の証拠と聞くと、防犯カメラの映像のような、物的証拠をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、実際には様々なものが証拠となり得ます。
防犯カメラの映像
事件現場の周辺に設置された防犯カメラの映像は、強力な証拠となります。
防犯カメラには、事件の一部始終が記録されている可能性があります。加害者の特徴や服装、事件の状況なども確認できるかもしれません。
映像に写っている人物が特定できれば、逮捕に至る可能性が高いでしょう。
スマートフォンの映像や写真
今や多くの人がスマートフォンを持ち歩いています。
第3者が、事件の瞬間を撮影した映像や写真が、証拠として見つかるケースは珍しくありません。
特に、屋外で傷害事件を起こしてしまった場合は、気づかぬうちに撮影や録音をされていて、証拠として提出される可能性があります。
傷害の痕跡が残った衣服や持ち物
傷害事件の際に身に着けていた衣服や持ち物も、重要な物的証拠の1つです。
付着した指紋やDNA資料など、様々な痕跡が事件の裏付けとなるでしょう。
武器として使用したもの
武器を使用している場合、使用された武器も物的証拠となります。
例えば、武器に付着した指紋や髪の毛など、様々な痕跡が犯人の特定につながります。
また、武器を使用した犯行は、傷害事件の中でも特に悪質性が高い事件だと判断されるケースが多いです。
「逮捕の必要性」という観点からも、逮捕される可能性が高くなるでしょう。
ケガの診断書
被害者のケガの程度を証明する診断書も、傷害罪の立証に欠かせません。
診断書には、ケガの部位や大きさ、全治までの期間などが記載されます。これによって、事件による被害の大きさを、客観的に判断することができるのです。
傷害事件が「暴行罪」となるか「傷害罪」となるかにも、診断書の有無が影響します。
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目撃者の証言
目撃者の証言も、事件の状況を把握するための重要な手がかりです。
ただし、証言の信用性はケースによって異なるため
・目撃したときの状況
・証言内容の具体性
・被害者との関係性
等を考慮して、裁判官によって判断されます。
例えば、複数人の目撃者の証言が一致しているようなケースでは、有力な証拠として扱われる可能性が高くなります。
被害者の供述
被害者の供述も、重要な証拠の1つです。
被害者は事件の詳細を知る当事者であり、供述は事件の状況を把握するための重要な手がかりとなるからです。
ただし、被害者の供述が信用できるかは、ケースによって異なります。
そのため、
・客観的な証拠との整合性
・供述内容の一貫性
・虚偽の供述をする動機があるか
などの要素を踏まえて、裁判官が判断します。
例えば、目撃者の証言内容と一致しているようなケースでは、信用できる証拠だと判断されれケースもあるでしょう。
事件前後のやり取りや行動記録
事件前後のやり取りや行動の記録も、状況証拠として扱われます。
例えば、
・加害者と被害者のラインでのやり取り
・事件現場からの逃走履歴(電車やタクシーなどの利用履歴)
なども傷害事件を推認させる証拠となる可能性があります。
傷害罪の証拠を隠滅すると罪になる?
傷害罪の加害者が、自分の事件の証拠を隠滅しても、直ちに罪にはなりません。
証拠隠滅罪(刑法104条)は、他人の刑事事件に対して適用される犯罪だからです。
つまり、自分の犯罪の証拠を隠滅しても、証拠隠滅罪は成立しないのです。
※刑法 第104条
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。
ただし、証拠の隠滅をしたことが分かると、裁判で悪質性が高いと判断されて、重い刑事罰が科せられる可能性が高まります。さらに、警察に証拠隠滅の恐れがあると判断されれば、逮捕される可能性も格段に高くなるでしょう。
また、証拠隠滅の一環で、被害者や目撃者に圧力をかけると、脅迫罪に問われる危険性もあります。
傷害事件で逮捕されないためには、証拠の隠滅を考えるのではなく、早めに弁護士に相談することが大切です。
傷害罪の逮捕率は55%!証拠があれば必ず逮捕ではない
それでは、傷害罪で証拠が見つかった場合、必ず逮捕されるのでしょうか?
法務省が公表しているデータによれば、傷害罪で逮捕されたのは「約55%」となっています。
つまり傷害罪では、証拠があっても、逮捕されるのは「約2人に1人」程度なのです。
傷害事件で警察が逮捕に踏み切るのは、次の場合です。
例えば、事件後すぐに弁護士が付いていたり、被害者との示談が成立していれば、証拠があっても、「逮捕の必要性がない」と判断される可能性が高くなります。
逮捕を避ける可能性を高める方法については、次章で詳しく解説します。
傷害罪の逮捕を避けるためにするべきこと
傷害罪の逮捕を避けるために取るべき行動は、次の2つです。
①弁護士に相談する
傷害罪の逮捕を避けるために、まず取るべき行動は、弁護士に相談することです。
速やかに相談することで、今後やるべきことについて、法律的な観点からアドバイスをもらえます。
例えば、証拠の有無についても的確に分析し、今後の対応方針を提案してくれるでしょう。
また、警察への対応方法についても、事前にアドバイスを受けることが出来ます。
事情聴取に備え、回答する内容を確認しておくことで、不利な供述をするリスクを予防できるのです。
②被害者と示談をする
傷害罪の逮捕を避けるもう1つの方法は、被害者との示談です。
被害者との示談が成立すれば、被害届の提出を防げたり、被害届を取り下げてもらえる可能性が高まります。
事件の内容によっては、示談が成立することで、警察が捜査が打ち切る可能性も出てくるでしょう。
さらに、逮捕されてしまった場合も、早期釈放につながったり、不起訴や減刑になりやすくなります。
示談は、傷害事件の解決に向けた最も有効な手段の1つです。
ただし、示談交渉は弁護士に依頼することを強くおすすめします。
当事者同士で示談交渉を進めようとしても
・連絡先が分からない
・示談金の相場が分からない
・感情的なトラブルに発展する
などの問題が発生し、状況が逆に悪化してしまう可能性があるからです。
被害者との示談を目指すなら、弁護士のサポートを得ることが何より大切です。
弁護士の力を借りて、示談交渉を開始しましょう。
【Q&A】傷害罪の証拠に関するよくある質問
傷害罪の証拠がない場合も逮捕される?
証拠が全く無い場合は、逮捕される可能性は低いです。
ただし、当事者が気づいていなくても、予想外の証拠が見つかったり、目撃者がいたりすることで、逮捕に至るケースがあります。
証拠がないと決めつけることは、非常にリスクが高い行為です。
傷害罪の証拠として診断書は必要?
はい、必要です。診断書によって「暴行罪」と「傷害罪」が変わってきます。
傷害事件でも、診断書がなければ「暴行罪」になる可能性が高いです。
防犯カメラの映像がない場合、何が証拠になる?
防犯カメラの映像がない場合、例えば次のような証拠が考えられます。
・スマートフォンの映像や録音
・傷害の痕跡が残った衣服や、使用した凶器
・被害者や目撃者の証言
・事件前後のSNSやメールなどのやり取り
これらはあくまでも一例です。
事件の状況に応じて、他にも様々な証拠が出てくる可能性があります。
写真は傷害罪の証拠になる?
事件現場を撮影した写真があれば、重要な証拠になります。
例えば、目撃者が咄嗟にスマートフォンなどで撮影した写真が出てきた場合も、重要な証拠として扱われます。
証拠がない場合はどうすればいい?
証拠がない場合も、速やかに弁護士に相談することが必要です。
被害者との示談交渉も視野に入れて、逮捕を防ぐための最善の方法を取りましょう。
弁護士に相談するメリットは?
弁護士に相談すれば、豊富な経験と法律知識を元に、最善の解決策を提案してもらえます。
示談交渉や、警察とのやり取りも任せることができるため、精神的な負担も大きく軽減されます。
傷害罪の刑罰は?
傷害罪の刑罰は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
事件の態様や示談の有無によって、刑罰の重さが異なります。
傷害事件で悩んだらグラディアトル法律事務所へ
最後に、今回の記事の要点を整理します。
・傷害罪では、思わぬ証拠が残っている場合も多い
・検挙率も「80%」を超えており、被疑者が特定されているケースが大半
・逮捕を避けるためには、速やかに弁護士に相談することが大切
・弁護士に依頼して、示談交渉を進めることが最善の方法
傷害罪では、証拠がないと思っていても、思わぬところから証拠が見つかるケースがあります。
「証拠がないから大丈夫」と安心するのではなく、事件の解決に向けて行動を起こしましょう。
グラディアトル法律事務所では、これまでにも数多くの傷害事件の相談を受けて、警察や検察と交渉を行ったり、被害者との示談を成立させる等の弁護活動を行ってきました。
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