麻薬取締法違反で逮捕された沢尻エリカの今後はどうなる?

弁護士 若林翔
2019年11月16日更新

女優の沢尻エリカが麻薬(MDMA)取締法違反で逮捕されたという速報が入ってきました。

色々と世間を騒がせてきた沢尻エリカですが,今回はこれまでとは違い刑事事件,麻薬取締法違反での逮捕です。

前科・前歴の有無や所持量によっては実刑の可能性もある。

その後の人生に大きく左右される司法判断やその手続きはどのように進むのでしょうか。

こちらの記事では麻薬及び向精神薬取締法違反(正式名称)について解説していきます。

※速報では「大麻」取締法違反と報道しているメディアもありましたが,正確には「麻薬」取締法違反のようです。

解説動画はこちら↓

沢尻エリカ逮捕のニュース速報

違法薬物を所持したとして、警視庁は16日、俳優の沢尻エリカ容疑者(33)を麻薬取締法違反容疑で逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
沢尻容疑者は、2020年のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」に、斎藤道三の娘で織田信長の妻、帰蝶(濃姫)役で出演予定で、ドラマの撮影は今年6月にすでに始まっている。NHK広報局は「事実関係を確認中で、大河ドラマについては今後の対応を検討中」としている。
「人間失格 太宰治と3人の女たち」を共同配給するアスミック・エースの担当者は、「所属事務所とも連絡がつかず、詳細を把握できていない。対応を協議中」と取材に答えた。上映を中止するなどの措置は現段階で決まっていないという。

引用|俳優の沢尻エリカ容疑者を逮捕 違法薬物所持の疑い(朝日新聞デジタル)

麻薬取締法違反では主に,輸入・輸出・製造及び,所持・譲渡・譲受・使用が罰則の対象となっています。
速報段階では上記のどれに違反したのか定かではありませんが,そろそろ逮捕容疑について警察から発表される予定のようです。
※所持容疑での逮捕報道を確認しました。

MDMAとは??

「MDMA」とは合成麻薬(科学薬品から合成された麻薬)の一種です。MDMAは、別名エクスタシーとも呼ばれ、白色結晶性の粉末ですが、錠剤又はカプセルの形で密売されています。

MDMAとMDAの薬理作用は類似しており、視覚、聴覚を変化させる作用があり、幸福な気分になったり、他人に対する親近感が増したりすると言われていますが、その反面、不安不眠等に悩まされることになります。
また、強い精神依存性をもっており、乱用を続けると錯乱状態になり、腎・肝臓の障害や記憶障害等の症状も現れます。

引用|千葉県警察

麻薬取締法違反で逮捕された後の流れ

麻薬取締法違反で逮捕された場合には,72時間以内勾留請求がされることが多いです。

その後,勾留決定(10日間を上限)がなされ,さらに10日間の延長も含めて最大23日間程度の身体拘束が待っています。

逮捕された後の23日間で検察官は逮捕容疑について捜査し,起訴するか不起訴にするかの判断を行います。
起訴された場合には,刑事裁判が終わるまで勾留(起訴後勾留)される可能性があります。

ただし,この場合にも保釈が認められる可能性があります。

他方,不起訴の場合には,身体解放され捜査が終了します。

詳しい手続きについてはこちらで解説していますのでご覧ください。

 

このように,麻薬取締法違反で逮捕されてしまった沢尻エリカは,通常であれば23日間前後は警察署で勾留されることが多いので,もちろんドラマやCMの撮影には参加できません。

スムーズな保釈請求を行うなど,より早く身体拘束を解き日常に戻れるようになるためには,やはり弁護士の協力が不可欠でしょう。

麻薬取締法違反容疑でも受任実績があり,24時間電話対応もできる弁護士への依頼はこちらから。

MDMAを所持していた沢尻エリカの量刑はどうなる?

ここがみなさん気になるところでしょう。

前科・前歴の有無,所持容疑であれば所持量によって不起訴になる場合もありますが,その司法判断は何を基準にして行われているのでしょうか。

そういった判断はこれまでの裁判例や検察内での起訴・不起訴に至った事件等の内部資料を基に判断されているようです。

麻薬取締法や覚せい剤取締法のような薬物犯罪では,日頃から薬物を常用しているかという常習性も重要な判断要素になってきます。

一方で,殺人罪や強盗罪と違い大麻や覚せい剤の場合に初犯であれば執行猶予が付く事が多いのは,興奮・抑制作用のある薬をただ使用しているのみで被害者がいない犯罪とも言われていることも1つの理由でしょう。

麻薬取締法(MDMA)違反の罰則

こちらの記事でも詳細に解説していますが,画像の一部を抜粋して掲載します。

量刑

起訴されて刑事裁判にかけられた際に問題となるのが量刑です。不起訴の場合は前科は付きません。

MDMAを所持していた場合の量刑として多いのは,

求刑:1年6ヶ月〜2年及び(MDMAを)没収
量刑:1年〜1年6ヶ月
猶予:3年

平均にすると上記のようになります。求刑とは,検察官が裁判官に対して求める刑罰の重さです。量刑は,実際に裁判官が下した判断です。この量刑の期間だけ刑務所に入ることになります。

猶予とは,執行猶予のことで,3年間罪を犯さなければ刑務所には入らなくてよくなる制度です。

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。 東京弁護士会所属(登録番号:50133) 男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。

お悩み別相談方法

弁護プラン一覧

よく読まれるキーワード