死者2名,重軽傷者10名の被害を出した悲惨な事件
池袋暴走事故事件の被疑者が在宅起訴をされた。
被疑者が元官僚,勲章受章者ということで,「上級国民」は逮捕されないのか??
という声が上がっている。
目次
池袋暴走事故在宅起訴のニュース
池袋暴走 運転の元院長を在宅起訴 過失致死傷で
東京・池袋で2019年4月、近くの主婦、松永真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)が乗用車にはねられ死亡した事故で、東京地検は6日、運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で在宅起訴した。
起訴状によると、飯塚被告は19年4月19日、東京都豊島区で乗用車を運転。ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込み、横断歩道を渡っていた松永真菜さんと莉子ちゃんをはねて死亡させたほか、通行人らにけがをさせたなどとされる。
地検によると、飯塚被告は約96キロで松永さんが渡っていた横断歩道に突っ込んでいたという。警視庁が19年11月に書類送検していた。【金寿英】
https://mainichi.jp/articles/20200206/k00/00m/040/128000c
飯塚幸三元院長の経歴等
・旧通産省工業技術院 元院長
・瑞宝重光章(ずいほうじゅうこうしょう)という勲章を受章している
上級国民は逮捕されない??
まず,逮捕というのは,捜査のため(逃亡や罪証隠滅を防ぐ)の身体拘束であって,刑罰ではない。
そのため,逮捕するかどうかということと,罪の重さは直接関係するものではないのだ。
逮捕するためには,逮捕の理由と逮捕の必要性の二つの条件が必要だ。
1 逮捕の理由
「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」というのが逮捕の理由だ。
犯罪を犯した可能性が極めて低い場合には逮捕できないよねということだ。
2 逮捕の必要性
逃亡のおそれと罪証隠滅のおそれがあることが逮捕の必要性だ。
逮捕しないと逃げちゃう,証拠を隠滅しちゃうリスクがある場合は逮捕できるということだ。
これらは,自白しているかどうか,住居が定まっているか,定職についているか,家族がいるか(同居しているか)などの要素から判断される。
このような,逮捕の必要性という観点からすると,身元のしっかりしている上級国民であれば,身元がしっかりしていない人と比べると逮捕可能性は低いとはいえそうである。
自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で量刑はどうなる??
在宅起訴され,裁判となるのだが,その結論,量刑はどうなるだろうか?
懲役刑,禁錮刑,罰金刑という選択肢がある。
懲役刑と禁錮刑では,ひき逃げ事案などの悪質性の高い事案で懲役刑が選択されるケースが多い。
禁錮系の場合には,懲役刑と異なり,刑務所内での労働がないのが特徴だ。
次に,実刑となるか,執行猶予が付くのかという問題だが,過去の傾向や統計からすると,自動車運転の過失致死傷罪では執行猶予が付くことが圧倒的に多い。
ただ,今回は,2名死亡,10名重軽傷という大事故であって,社会的に影響も大きい事件であることを考えると,実刑の可能性も十分あるのではないかと思う。
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/61/nfm/images/full/h1-3-1-09.jpg