今回風俗トラブルの舞台になったのは山口県の下関。
なんといってもフグや亀山八幡宮が有名な土地だ。規模は比較的小さいが,県庁所在地の山口市や下関市に繁華街が存在しデリヘルも数多く営業している。
事件の概要としては,下関のデリヘルを利用したさいにデリヘル嬢と本番行為をしたとして400万円もの高額な金銭を請求された。
もちろん払う必要のないお金だ。
警察も呼ばれて万事休すと思った相談者ではあったが,風俗トラブルを多く扱う当事務所に依頼をして無事に全額ブロックの和解金0円で解決できたという事案。
風俗本番トラブルの概要
50代男性の今回の相談者は下関在住。
いつものようにデリヘルを呼んでサービスを受けていた。時間が終わり帰ろうとした矢先に女の子がお店の人を呼んでしまった。
何も悪いことはしていないし,そう思った相談者は「なぜお店の人を呼ぶのだろう」と不思議に思い女の子に聞いてみたが,女の子から帰ってきた返答は「あとで説明する。お店の人がもうすぐ来るからもう少し待ってて」というもの。
こちらの不安感や焦燥感を煽ってくるなんとも煮えない返事だった。
何をするでもなくただボーっとベッドに腰掛けていたが,10分ほどしてお店の責任者らしき人物がホテルの部屋に入ってきた。山口県という土地柄もありヤクザが出てきてもおかしくはなく,入ってきた男もかなりの強面風。
その男は入ってくるなり「女の子から本番行為をしたと今しがた聞いた。ルール違反として罰金400万円を払ってください」と開口一番で脅してくる。
相談者は本番行為はおろか,本番行為を誘ったり強要したりしたことはなく何も心当たりはなかったため
「本番行為はしてません」
「ですから400万円は支払いません」
と毅然とした態度で男に応じた。
強面風の男はこちらの言い分なんか聞く耳ももたないような感じで,すぐに警察を呼んだ。
相談者としても,本番行為などしてないため呼ぶならどうぞご自由にと答えた。
5分後にホテルの部屋に警察が駆けつけてきて,デリヘル店の責任者・女の子・相談者の3者がそれぞれ事情を説明した。
もちろん,本番行為をしたことについては2対1で相談者に分が悪い。
仮にもしここで相談者が女の子と本番行為をして,その本番行為に女の子の同意がなかったとしよう。
その場合には,刑法177条の強制性交等罪により5年以上の懲役が科される可能性がある。
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。引用|刑法177条
今回はデリヘルでの風俗本番トラブルということもあり,警察としてもなんとか当事者間の話し合いで解決してほしいという姿勢のようだった。
いわゆる民事不介入というやつだ。
警察が民事不介入ということで双方の本番トラブルに首を突っ込まないような場合には,デリヘル店側及び女の子側が警察に被害届を出してしまう可能性もある。
今回のようなケースで被害届が受理される可能性は少ないが,もし万が一受理されてしまった場合には強制性交等罪に関する捜査が開始され,相談者が警察に逮捕されてしまうといったこともあるにはある。
関連記事:被害届って何?出されたらどうなる?出されてしまったらどうすればいい?
もしデリヘルでの風俗本番トラブルで逮捕されてしまわないか不安ならこちらの記事も参考に。
警察としても,女の子が本番行為を強要されたとして現場で警察に強く訴えているのなら捜査を開始したのかもしれない。
しかし,女の子は警察からの事情聴取にあいまいな回答に終始して,相談者を罰しろと息巻いているのはデリヘル店側だけだ。
そういった状況から警察は民事不介入で十分だと判断し,ホテルを後にしていった。
特に悪いことはしてないけど警察から話を聞かれるのは気持ちの良いことではない。警察が帰ったあとで相談者は一息をつく。
しかし,強面風の男との話し合いはまだ終わらない。
お店のルールに違反したから罰金として400万円を請求されているという事実に変わりはないからだ。
強面風の男は,警察を呼ぶというカードが空振りに終わったことで次なるカードを切ってくる。
「裁判所に訴えて訴状を実家に送るから住所を教えろ」
「職場にも送るから名刺を出せ」
ただでさえデリヘルを利用したことは家族や職場に知られたくないのに,訴状が関係先に送られて今回の本番トラブルが知られてしまったら社会的にも終わってしまう。
なんとかその場をやり過ごせないものかと思った相談者は,
・本名
・住所
・電話番号
の3つを身を切る思いで強面風の男に伝えた。
男も相談者の情報を得られて満足したのか,女の子を連れてホテルの部屋から出ていった。
嵐が過ぎ去ったあとのような心情の相談者であったが,本名などの情報を知られてしまった以上自分ひとりでは埒があかないと悟って当事務所まで電話をかけてきた。
風俗トラブルを数多く扱っている当事務所は,風俗トラブルが夜間に多いこともあり24時間の電話対応を実施している。
風俗本番トラブルと弁護士の交渉過程
電話相談を受けた担当の弁護士が思ったのは,「全額ブロックできる案件だな」ということ。
風俗トラブルを多く扱っていると,なんとなくの事件の概要やクローズまでの流れが電話口でも想像できてくる。
今回の相手方となるデリヘル店は,全国でも稀にみるほどの悪徳店であるため,むしろここで相手方の言い分に応じて1円でも金銭を払うことがあるようであれば依頼をしてもらった意味がない。
ここまで悪どいことをやっているお店は全国津々浦々を見渡してもなかなかないのではないだろうか。(池袋や愛知あたりにはいくつかありそう…)
ただし,山口県という土地柄もありバックに法の外に生きる本職の方が出てこない可能性もなくはない。
相談者からの依頼を受けて,担当弁護士は早速相手方となるデリヘル店の強面風の男に電話をした。
これも良くあることではあるのだが,利用客には強く出ていても,弁護士が出てきたら尻切れトンボのように相手の主張が弱くなることが多い。
今回もそのパターンだった。
要は,デリヘル店が利用客に因縁を付けて高額な金銭を請求し,支払ってもらえば御の字といったことをしているのだ。
利用客がごねるようなら警察を呼ぶなり,事件屋などに相談をして裁判なりのしかるべき手続きをしてもらうなりといった感じだろう。
それで,相手が弁護士を付けたらお店が勝てる可能性がないということで,請求を諦めると。
そんなこんなで弁護士と強面風の男が電話にて交渉し,「今回は証拠がないので請求を諦める」との言質をとる。
相手には伝えてないが,こちらには女の子が「本番行為をしていない」という相談者からの証言も得ている。(証拠はないが)
交渉の結果を依頼者に伝えるとホッとしたようで,ありがとうございますと感謝をされて今回の風俗本番トラブルは解決した。
こうして依頼者の日常にも平穏が戻った。