目次
坂口杏里さんの逮捕ニュースの内容
坂口杏里氏が,元交際相手のホストの男性のマンションへ侵入したとして邸宅侵入罪で逮捕された。
坂口氏は,昨日,自身のインスタグラムに「元カレにドアで挟まれた」として,怪我をした指の写真を投稿していた。
邸宅侵入罪ということなので,マンションの共用部分に侵入したのだろう。
刑法上の邸宅とは,人の住居していない家のことだ。
刑法では,「人の住居」に対する侵入と,「人の看守する邸宅」に対する侵入をかき分けているからだ。
また,最高裁の判例で,居住用のマンション等の建物の共有部分が「人の看守する邸宅」に該当するとしたものがある。今回の逮捕についても,ホストが居住していたマンションの共用部分への立ち入りが,邸宅侵入罪に該当すると判断されたのだろう。
男女関係のもつれで,マンションの共有部分に侵入した。というだけならなかなか逮捕にまで至ることは少ない。
ただ,今回は,詳細については,分からないが,坂口氏は以前,同じ男性に対する恐喝未遂で逮捕され,不起訴になっていたという。そのような事情もあり,今回逮捕に至ったのではないか。
刑法130条(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
最判平成20年4月11日(最高裁判所刑事判例集62巻5号1217頁)
2(1) 前記1(4)ア,ウのとおり,被告人らは,立川宿舎の敷地内に入り込み,各号棟の1階出入口から各室玄関前まで立ち入ったものであり,当該立入りについて刑法130条前段の罪に問われているので,まず,被告人らが立ち入った場所が同条にいう「人の住居」,「人の看守する邸宅」,「人の看守する建造物」のいずれかに当たるのかを検討する。
(2) 前記1の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況,その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況,その管理の状況等によれば,各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,宿舎管理者の管理に係るものであるから,居住用の建物の一部として刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるものと解され,また,各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は,各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから,上記部分は,「人の看守する邸宅」の囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になるものというべきである(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。
(2) 前記1の立川宿舎の各号棟の構造及び出入口の状況,その敷地と周辺土地や道路との囲障等の状況,その管理の状況等によれば,各号棟の1階出入口から各室玄関前までの部分は,居住用の建物である宿舎の各号棟の建物の一部であり,宿舎管理者の管理に係るものであるから,居住用の建物の一部として刑法130条にいう「人の看守する邸宅」に当たるものと解され,また,各号棟の敷地のうち建築物が建築されている部分を除く部分は,各号棟の建物に接してその周辺に存在し,かつ,管理者が外部との境界に門塀等の囲障を設置することにより,これが各号棟の建物の付属地として建物利用のために供されるものであることを明示していると認められるから,上記部分は,「人の看守する邸宅」の囲にょう地として,邸宅侵入罪の客体になるものというべきである(最高裁昭和49年(あ)第736号同51年3月4日第一小法廷判決・刑集30巻2号79頁参照)。