風俗トラブルでは、本番や盗撮のトラブルが多いです。
多くの場合は、適法に経営しているデリヘル等の風俗店で客が本番強要をしたり、盗撮をしたりという客側にも大きな落ち度があり、逮捕を避けるために謝罪しつつ示談交渉をしていくというケースです。
今回は、池袋で流行っている違法なぼったくり風俗店でのトラブルです。
本番ができると勧誘するキャッチについていったところ、いろいろな理由を付けてお金を取られ、最終的には本番行為をしたとして罰金100万円を振り込まされてしまったケースについて、弁護士が被害金の返金請求を行い、全額に回収したという事例です。
ぼったくり風俗店は、新宿歌舞伎町で流行り、池袋、新橋、秋葉原などに派生しています。
被害件数も非常に多い事案ですので、まずは、ぼったくり風俗店の手口や逮捕事例について見てみましょう。
デリヘルでのぼったくり対策については、以下の記事もご参照ください。
リンク:デリヘルぼったくり相談は弁護士一択!理由と100万の返金成功事例
目次
ぼったくり風俗店の手口と逮捕事例
ぼったくり風俗店の手口として、まず挙げられるのは、キャッチを使うことが多いということです。
路上でキャッチ、客引きが客を勧誘します。
AV女優と遊べる風俗店があるなど、魅力的な風俗店であるとよそおい、客を勧誘します。
そして、キャッチに前金を渡す。風俗店の従業員という人に金を渡す。
保証金が必要だなどと言われてまた金を請求される。
そして、やってきたのは別人女性。
その女性からも、プレイ料金だ、本番料金だなどと様々な名目でお金を請求される。
そして、最後には、本番強要をしただろうなどと脅されて、罰金を請求されてしまうのです。
このように、何度も名目を変えて金銭を請求される、このような手口を「たけのこ剥ぎ」といいます。
このぼったくり風俗の手口が横行し、多数の被害が出ております。
2020年2月21には、新宿、池袋などでこの手口のぼったくりを行っていた客引きら9人が、アダルトビデオ(AV)の女優と遊べるとうそを言って金をだまし取ったとして、詐欺罪で逮捕されています。
ぼったくり風俗の手口と逮捕事例については、以下の動画もご参照ください。
それでは、実際にぼったくり風俗の被害にあい、100万円の罰金を取られたケースについてみていきましょう。
池袋西口でキャッチ(客引き)に勧誘された経緯
相談者は、20代の男性です。
相談者が休日に池袋西口あたりをぶらぶらと歩いていたところ、一人のキャッチに声をかけられました。
キャッチは、「暇しているならいい風俗店紹介しますよ」と相談者に声をかけてきました。相談者はたまには遊んでみるのもいいかと思い、キャッチにお店の紹介をお願いしました。
すると、キャッチは「A」というデリヘルの店員を呼んできました。
「A」の店員は、サービス代金は1万8000円で、いくつかオプションを付けることもできると説明しました。ところが、1万8000円でサービスを提供するには、初回手数料で15万円必要になるとも説明してきました。
相談者は、「1万8000円でサービスを受けられるならともかく、15万円も支払うことはできない」と店員に伝えました。そうすると、店員は、「15万円はあとで返すから大丈夫」と相談者を説得しました。
相談者は、それならば15万円を預けようと思い、店員に15万円を預けました。
本番トラブルで100万のぼったくり被害にあった経緯
店員にラブホテルを案内され、室内で待っていると、先ほどの店員とは別の店員から電話がかかってきました。注意事項を説明するからと言われ、相談者が部屋の外に出るとその店員からも「保証料として30万円が必要だが、後で返ってくる」という説明を受けました。
ここまで来たのだからと思い、相談者が30万円を支払うと、しばらくして女の子がやってきました。
しかし、やってきたのはキャッチから説明を受けたような女の子とは全くの別人でした。話す日本語にも少し違和感があり、どうやら外国人のようです。
しかも、「B」というデリヘルの女の子だというのです。相談者は「A」というデリヘルから女の子が派遣されてくると思っていたので驚きましたが、約束通り女の子が来たので特に気にせずサービスを受けました。
女の子が本番行為を持ちかけてきましたので、相談者はこれに応じてしまいました。
サービスを受け終わると、相談者の携帯電話にデリヘルの店員から電話が来ました。
アンケートに答えて欲しいというので相談者が了承すると、女の子を迎えに行くついでにラブホテルの部屋まで来ると言い出します。
相談者がラブホテルの部屋に店員を入れると、店員は「本番行為をしただろ」と強い口調で相談者を問い詰め始めました。相談者は突然のことに驚きましたが、素直に本番をしたと答えてしまいました。
そうすると、今度は店員が女の子に「お金を受け取って本番を持ちかけたのか」と質問します。女の子がこれを認めると、店員は女の子をその場でクビにして、女の子を帰らせてしまいました。
店員は女の子を帰らせると、上司と思われる男性をラブホテルの部屋に呼びました。
店員と上司は、二人で相談者に対して本番行為をしたことを非難し、100万円の損害賠償を支払わないと法的手段に出ると強い口調で言い始めました
相談者は100万円という現金は到底持ち合わせていなかったため、後で振り込みますと店員たちに伝えると、「C」という個人名の銀行口座を教えられ、ここに振り込めと言われました。
相談者は一旦解放されるも、怖い男性二人に強い口調で法的手段に出るぞなどと言われ、免許証の写真も撮られてしまったことから、支払わなければ裁判を起こされたり、逮捕されてしまうかもしれないと恐怖しました。
相談者は指定された「C」名義の銀行口座に100万円を振り込んでしまいました。
少し時間が経って冷静になった相談者が「A」と「B」をインターネットで検索してみると「A」のデリヘルはホームページがなく、「B」のデリヘルはホームページがあったものの他のデリヘルとは少し雰囲気の違うものでした。
結局保証金などで支払ったお金も返ってこなかったため、相談者は一連の詐欺なのではないかと考え、当法律事務所の無料法律相談の予約をし、当法律事務所に相談に来られました。
ぼったくり被害の弁護士相談内容
当法律事務所に無料法律相談に来た相談者は、弁護士に出来事を説明しました。
担当した弁護士は、
・キャッチについていったところ、保証料名目でお金を取られた上、最終的には違約金を取られるトラブルが多発しており、今回も同様のトラブルであること
・キャッチや店員とは連絡が取れなくなるケースが多く、今回も同様の詐欺・恐喝事件であると疑われること
・100万円は振り込んだばかりであり、振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結をすることで100万円を取り返すことができる可能性があること
に着目し、即座に動く必要があると説明しました。
相談者は、被害金の返金請求をお願いしたいとのことで、当法律事務所の弁護士に依頼をしました。
弁護士による口座凍結と被害金回収交渉
弁護士は依頼を受けて、依頼者から口座の振込明細を受け取ると、すぐに振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結の届出をしました。
振り込め詐欺救済法とは、振り込め詐欺など金融機関の預金口座が振込先の口座として使用された疑いがある場合に、金融機関に対して取引の停止を求めるとともに、被害者の財産的被害を回復する手続を定めた法律です。
「振り込め詐欺救済法」と名前がついていますが、振り込め詐欺だけでなく、犯罪行為に使用された疑いのある預金口座にも使うことができます。
口座凍結の届出は、弁護士が弁護士として法律判断をした上で弁護士会の提供する書式を使用して届出をすることで、弁護士以外が口座凍結を求めた場合よりも早期に凍結をしてもらえる可能性が高まります。また、口座名義人が口座凍結に対して異議を述べた場合に、金融機関は弁護士の連絡先を伝えてくれますので、弁護士に対して連絡があれば口座名義人と直接交渉することができます。
振り込め詐欺救済法による口座凍結については、以下の記事もご参照ください。
https://www.gladiator-jidan.jp/2020/10/28/column-10/#co-index-21
今回は、「B」というデリヘル店と聞いていたのに、伝えられた口座の名義は「C」となっていました。
デリヘル店は個人経営の場合もありますが、屋号のついていない口座を使用するというのも不自然です。
また、今回の手口が集団的な詐欺であることから違法に売買された預金口座が使われている可能性が高いと考えました。振込先の口座名義人が知らない第三者となっている場合は、詐欺を疑う必要があります。
弁護士が口座凍結の届出をしてから2日後、弁護士のもとに口座名義人から連絡がありました。
口座凍結の名義人は100万円の振り込みについて心当たりがないなどと否定しましたが、翌日になって「B」の関係者であると認め、口座凍結を解除して欲しいとお願いをしてきました。
弁護士が100万円を返還してくれないと口座凍結を解除出来ないと伝えると、「B」の代表と名乗る人物から弁護士宛に連絡がありました。
「B」の代表と弁護士が交渉をすることとなりました。
「B」の代表は、依頼者の支払った100万円はホームページに書いてある罰金であり、返還をする必要はないと主張してきました。
しかし、弁護士は依頼者が「B」が店だと知って利用したことはないのでホームページに書いてある罰金に関する約束は適用されず、「B」に支払う義務はないと反論しました。
当然「B」には、依頼者から女の子の派遣を頼む電話の履歴があった証拠はありません。
弁護士からの反論に言い返せなくなった「B」の代表は、弁護士に100万円全額を返還しました。
全額返金がされただけでなく、依頼者の職場や家族に今回のトラブルを話してはいけないことや接触しないことも約束させることができました。
依頼者は振り込んだだけでなく、保証金としてお金を支払っています。弁護士はこのお金も返してもらうために店員に電話をしましたが、連絡がつくことはありませんでした。
ぼったくり被害返金についての弁護士コメント
今回のケースは、口座内に100万円全額が残っていたために、弁護士が即座に対応したことで振り込んだお金全額の返還を実現することができました。
詐欺を企む人物は、口座にお金が入った直後に引き出したり、別の口座に移したりします。一度別の場所にお金が移った場合には、取り返す難易度が上がってしまいます。
詐欺である可能性が高い場合には、ゆっくり裁判をしている時間はありません。
すぐに動くことが重要となります。
脅されてお金を振り込んでしまった場合や振り込んだ後に騙されていたことに気づいた場合は、直ちに弁護士にご相談ください。
なお、別件でぼったくり店からの請求全額をブロックした解決事例もご参照ください。