ニュース内容
岐阜県警は3日、名古屋簡裁の職員ら男女2人を恐喝の疑いで逮捕し、発表した。捜査に支障があるとして、いずれも認否を明らかにしていない。
2020年2月3日 21時52分 朝日新聞
逮捕されたのは、名古屋市中川区八熊3丁目、名古屋簡裁書記官○○○○容疑者(35)と、愛知県一宮市北方町曽根、自営業△△△△容疑者(29)。岐阜中署によると、△△容疑者は、○○容疑者の知人女性だという。
2人の逮捕容疑は、昨年6月25日、△△容疑者の知人の自営業男性(33)=岐阜市=を同市内の飲食店に呼び寄せ、「彼女が無理やり襲われたと言っている。警察に連れて行くぞ、嫌なら金を払え。家族にばらすぞ、子どもに会えなくなるぞ」などと脅迫。現金50万円を脅し取ったというもの。昨年7月に男性から同署に相談があり、被害が発覚した。
逮捕を受け、名古屋地裁の揖斐潔所長は「誠に遺憾であり、今後事実関係を踏まえて適切に対処したい」とコメントを出した。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、恐喝被害の典型的なひとつである「美人局(つつもたせ)」により逮捕されるに至っています。
1.「美人局」とは
「美人局」とは本来、夫婦または内縁の男女が共謀して、女が他の男と密通し、それを言いがかりとしてその男から金銭などをゆすり取ることを意味します。
密通とは、肉体関係をもつことが許されない二人がひそかに関係することです。
ただ最近では、夫婦または内縁ではなく、単なる友人・知人の男女が共謀した場合であったり、肉体関係がなかった場合であっても、金銭などをゆすり取れば「美人局」といわれています。
また、「逆美人局」という言葉もあり、女性側が金銭をゆすり取られるケースも出てきています。
2.「美人局」の手口
従来は、居酒屋やバーなどお酒のある人が集まる場所でターゲットを見つけ誘い込む手口が主流でした。
酔わせることにより、欲望を高ぶらせたり正常な思考をさせなくするためです。
それが現在では、出会い系のサイトやアプリ、SNSでターゲットを見つける手口が主流になってきます。
この出会い系には、ギャラ飲み・パパ活のサイトやアプリも含まれます。
従来の手口と異なり、被害者は酔っているわけではありませんが、そもそも欲望をもってサイトやアプリ、SNSを利用していることから誘いに乗ってしまいます。
3.「美人局」の恐喝内容
今回のニュースでもありますが、警察に行く、家族や職場にバラすという脅し文句がほとんどです。
特に性行為または類似行為をしてしまった場合には、強制性交等罪(昔でいう強姦罪)や強制わいせつ罪など刑罰に該当すると脅してきます。
また相手方が18歳未満であった場合には、児童売春防止法や各都道府県の青少年保護育成条例違反で、やはり刑罰に該当すると脅してきます。
4.「美人局」への対策
まず美人局に遭わない対策としては、素性のわからない相手方の誘いには安易に乗らず断るべきです。
美人局を企んでいる相手方は、金銭を脅し取ろうとしていることから積極的に誘ってくる傾向にあります。
ですので、積極的に誘ってくる場合は何か裏があると考えるべきで、特に注意が必要です。
また美人局に遭った際には、自力で解決しようと行動することは絶対にやめ、警察・弁護士に相談しましょう。
要求された金品を渡したとしても、その後に恐喝がおさまる保証はどこにもありません。
実際、要求された金品を渡したのに再度恐喝されているという相談も多く受けます。
他方、自らで要求を断ったり無視すると、現実に家族や職場にバラしたり、いきなり会いにきたりなど行動をエスカレートさせることもままあります。
美人局の恐喝被害の対処法、手口、犯罪該当性や逮捕事例、裁判例についてなどの詳細については以下の記事をご参照ください。
最後に、「美人局」の恐喝被害に遭っている場合には、遠慮なく当事務所にご相談ください。