藤井棋聖脅迫の文章送信 威力業務妨害容疑で男逮捕―警視庁

ニュース内容

日本将棋連盟(東京都渋谷区)に藤井聡太棋聖(18)を脅す内容の文章を送り、業務を妨害したとして、警視庁原宿署は30日、威力業務妨害容疑で住所不詳、会社員畠山拓也容疑者(43)を逮捕した。容疑を認め、「テレビでの態度にいらっとした。大ごとになるとは思わなかった」と話しているという。

逮捕容疑は4日、同連盟ホームページの問い合わせフォームに、藤井棋聖を名指しして「対局をやめさせなければ殺害する。このまま対局を続けるなら殺害する」と入力し送信。連盟側に警察などへの通報を余儀なくさせ、業務を妨害した疑い。

2020年07月30日15時03分 時事ドットコムニュース

弁護士からのコメント

今回のニュースは、日本将棋連盟(東京都渋谷区)に藤井聡太棋聖(18)を脅す内容の文章を送り、業務を妨害したとして、威力業務妨害罪の疑いで逮捕されたというものです。

このような殺害予告と犯罪の成立については、先日も紹介した下記動画で解説していますので、よければご覧ください。

また威力業務妨害罪については、下記ページで解説していますので、よければご参照ください。

そして今回は、このような殺害予告などが増加している背景について解説したいと思います。

私見ではありますが、インターネットの環境が飛躍的に発達したことが大きな要因といえるでしょう。

インターネットがなかった時代においては、殺害予告を行うとすれば対面で伝えるほかは、手紙や電話あたりの手段でありました。

対面で伝えるには、自らが殺害予告をしていることがわかる以上、それなりの覚悟がなければできないものです。
また手紙を書くにしても、時間や労力が必要となることから、その過程で冷静になってやはり止めようと引き返すこともあったでしょう。
さらに電話も、その当時では自らの発信であることを少しでも隠すためには、公衆電話を利用するなど手間をかけなければならないものでした。

すなわち、殺害予告などをするにあたっては、相当の覚悟や時間・労力をかけなければならなかったがゆえ、その過程で気持ちが落ち着き、実際に行動に出るまでには至らなかったということが多くあったでしょう。

他方、誰もがどこでもインターネットを利用できる現代においては、一時の気持ちの高ぶりをネットを通じて表現することが簡単に行えます。
くわえて、その表現を匿名で行うことも容易に可能となっています。

それゆえ、覚悟や時間・労力がほとんど不要であり、いわば歯止めやブレーキとなるものがないため、殺害予告などであっても勢いのままに即座にネット上にて行ってしまうということです。

その意味で、一般人であっても表現を簡便に行えるようになったインターネット環境の発達が、殺害予告など犯罪に該当し得る事件の増加につながっているといえます。

なお本人としては、ちょっとした嫌がらせやイタズラのつもりなど軽はずみな気持ちで行ってしまったかもしれません。

しかしながら、殺害予告などの表現を受け取る側としては、どのような気持ちで表現を行ったのかはわからない以上、恐怖におびえるのは当然ですし、表現内容が現実化しないよう対策を取らざるを得ません。

したがって、そのような言い分はまかり通らず、自らの表現に対する責任を負う必要があります。

最後に殺害予告をはじめ脅迫被害・恐喝被害でお悩み・お困りの方は、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。