110番で「被害者」装う? ホテルで現金要求の女ら20件以上通報 ほかにも恐喝被害か

ニュース内容

出会い系の飲食店や、ウェブサイトで知り合った女らとホテルに入った男性が現金を脅し取られるなどする被害が東京都内の繁華街で相次いでいる問題で、警視庁に恐喝未遂容疑で逮捕された女2人が平成30年以降、「盗撮された」などとトラブルを訴える110番通報を20件以上していたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。新宿署は女らが被害者を装い、警察に通報するなど同様の手口で、他の男性からも金品を脅し取った疑いがあるとみて調べている。

逮捕されたのは、いずれも新宿区に住む無職の小泉絢美(21)、駒沢しおり(22)の両容疑者。2人は「裸の動画を撮られたので示談金を請求した」と容疑を否認している。

逮捕容疑は6月23日夜、同区歌舞伎町のホテルで、40代の男性に盗撮されたと因縁をつけ「60万円払え。警察を呼ぶ」と脅したなどとしている。駒沢容疑者は「盗撮された」と110番通報したが、男性は示談に応じず、被害を届け出た。

同署によると、小泉容疑者と駒沢容疑者は出会い系サイトで料金を示し、わいせつな行為をする相手を募集し、男性と知り合った。

両容疑者は30年以降、同区内で盗撮や付きまといなどを訴える110番通報を20件以上していた。うち6件は「出会い系サイトで知り合った男に盗撮された」と被害を訴える内容で、同署は、示談金名目で現金を脅し取る行為が他にもあったとみて、捜査している。

2020.7.9 13:34 産経新聞

「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」とは!?

今回のニュースは、盗撮の被害者を装い、示談金を支払わなければ警察に通報するなどの手口で、金銭を脅し取ろうとした疑いで、恐喝未遂で逮捕されたというものです。

近年、スマホをはじめ手軽に撮影できる機器が普及したことに伴い、盗撮被害も増加していました。

それを受け盗撮被害を減らすべく、多くの都道府県が迷惑防止条例を改正し、盗撮行為について規制場所や規制態様を拡大したり、罰則を重くしました。

今回の犯行は、この迷惑防止条例の改正に乗じたいわば「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」といえるものです。

なお「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」とは、盗撮の被害者を装い、「警察に通報する」「家族や職場にバラす」などと脅し、示談金や解決金の名目で金銭を脅し取ったり騙し取ったりする行為ということができます。

以下、「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」の具体的な手口や対策について解説したいと思います。

「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」の具体的な手口

まず出会いのきっかけとしては、今回のニュースにあるよう出会い系アプリや出会い系サイト、SNS、相席の居酒屋・ラウンジ・バーなどがあるでしょう。

そこで、わいせつな行為や性行為をしようと募集・勧誘し、誘いに乗ってきたターゲットとホテルなどに同行します。
なおホテルに行くまでの間に、ターゲットの家族構成や職場などの個人情報を可能な限り聞き出そうとしてくるのが通例です。
のちに、脅す材料に利用しようと考えているからです。

この点、今回のニュースでは女性2人がホテルに同行していますが、女性1人の場合は付近に男性がスタンバイしていることもあるでしょう。
示談金などの名目で金銭を脅し取る際に、ターゲットに逃げられることを防止するためです。

そして、実際には撮影することを了承していたにもかかわらず盗撮されたことにしたり、盗撮しようとしたと因縁をつけて騒ぎ出します。
盗撮しようとしたとして騒ぎ出せるのは、迷惑防止条例の改正により撮影機器を設置する行為も規制の対象になっているからです。
たとえば、スマホをベッド付近に置いただけでも、盗撮しようと設置したと騒ぎ立てることも可能ということです。

それから「警察に通報する」「家族や職場にバラす」などと申し向け、そうしてほしくなければ示談金や解決金を支払えと脅してくるのが常套手段です。
ターゲットの多くが警察沙汰や家族・職場に知られて大ごとになるのを避けるべく、示談に応じるであろうと見越してのものです。

このような手口で、ターゲットから金銭を脅し取ったり騙し取ったりするのが「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」です。

「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」に遭わない対策

「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」に遭わない対策としては、そもそも素性のよくわからない人間の性的な誘いには安易に乗らないことです。

「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」だけに限らず、美人局や妊娠詐欺など別の被害に遭う危険性もあるからです。

美人局、妊娠詐欺については下記ページで解説していますので、よければご参照ください。

また、わいせつな行為や性行為の撮影につき了承があったのなら、それを証拠として残しておくべきです。

一筆をとる、録音する、SNSなどでやり取りを残すなどの手段によってです。
証拠がないと水掛け論にならざるを得ないところがあり、実際は違っても撮影・録画記録が盗撮されたとする材料に利用されかねないからです。

さらに、盗撮されたと因縁をつけて警察に通報するなどと脅してくるなら、逆に自ら警察に通報すべきです。
一方、相手が警察に通報したなら、毅然とした態度で警察に事情を説明しましょう。

相手としては金銭を脅し取ったり騙し取ることが目的ですので、本来警察沙汰になることは避けたいはずだからです。

最後に「盗撮恐喝」「盗撮詐欺」はもちろん恐喝被害のお悩み・お困りの方は自力で解決しようとせず、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。