ニュース内容
兵庫県佐用町のドラッグストアで、除菌スプレーの購入をめぐって店員を脅したとして、県警佐用署は15日、岡山県美作市、タクシー運転手春名充明容疑者(69)を脅迫容疑で逮捕した。「腹が立ってきつく言い過ぎたことはあった。ただ、独り言を言っただけだ」と容疑を否認しているという。
2020年04月15日12時32分 時事ドットコムニュース
逮捕容疑は14日午後5時25分ごろ、同店のレジで「殺すぞ、火を付けるぞ」などと話して、女性従業員(24)を脅迫した疑い。
佐用署によると、同店では、除菌スプレーの購入を「一家族1点限り」としていた。春名容疑者が2本購入しようとしたため、女性従業員が断ったところ脅迫されたという。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、ドラッグストアで除菌スプレーの購入をめぐって店員を脅したとして脅迫罪(刑法222条)の疑いで逮捕されたというものです。
今回のニュースにおいては、「殺すぞ、火を付けるぞ」などと脅したことが脅迫罪にあたりうるほかに、別の犯罪にも該当する可能性があることを解説したいと思います。
まず店舗において「殺すぞ、火を付けるぞ」と脅迫する行為は、威力業務妨害罪(刑法234条)にも該当する可能性があります。
人の意思を制圧する「威力」を用いて、店舗における円滑な販売業務を妨害するに足りる行為といえるからです。
またニュースにあるよう商品の購入につき「一家族1点限り」とあるにもかかわらず、仮に上記脅迫行為により要望の2点を販売させた場合には、強要罪(刑法223条)に該当する可能性があります。
たとえ2点分の代金を支払ったとしても、2点販売する義務は店舗側にない以上、脅迫により義務のないことをさせたといえるからです。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、マスクや除菌スプレーをはじめとした感染防止に関する商品につき品薄の状態が続いている状況です。
たしかに感染防止に関する商品につき、販売しているのであれば多く購入したいという気持ちはわかります。
しかしながら店舗側としては、供給可能数より需要がはるかに多い状況がゆえに、できるかぎり多くの消費者に商品を行き届かせるためには販売点数を絞らざるを得ないのです。
ですので、店舗側のルールに従って商品を購入するようにしましょう。
それにもかかわらず、今回のニュースのような脅迫行為などに出てしまうと刑事事件化となりかねません。
最後に脅迫被害に遭ったかもと思った際には自力で解決しようとせず、遠慮なく当事務所にご相談ください。