生コン調達「大変なことになりますよ」 脅迫の元執行委員に有罪判決

ニュース内容

生コンクリートの調達を巡る恐喝未遂事件で、工事関係者を脅したなどとして、恐喝未遂などの罪に問われた全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の元執行委員の男(39)の判決公判が27日、大津地裁であった。今井輝幸裁判官は懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)を言い渡した。

判決によると、同支部の幹部らと共謀し、滋賀県東近江市の建設工事に同支部と関係のある会社から生コンを供給させようと企て、2017年3~7月、大阪市の商社支店に対し「大変なことになりますよ」などと脅迫した上で、工事現場で軽微な因縁を付け、業務を中断させるなどした。

今井裁判官は判決理由で「犯行は悪質で、組織の幹部として重要な役割を果たした」と指摘。一方で「共犯者と比べれば従属的」とし、反省し同支部との関係を断ち切ったことなどを情状として考慮した。

2020年2月27日 19:30 京都新聞

弁護士からのコメント

生コンクリートの調達を巡る恐喝未遂事件で、工事関係者を脅したなどとして、恐喝未遂などの罪に問われた公判において有罪判決が下されたというものです。

この点、「脅迫罪ではなく、なぜ恐喝未遂罪なのか」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
以下、解説したいと思います。

まず刑法において、恐喝罪については下記のとおり記載されています。

(恐喝)
第二百四十九条 人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(未遂罪)
第二百五十条 この章の罪の未遂は、罰する。


すなわち、財物に限らず財産上の利益であっても、またいずれも自らが受け取らなくても、恐喝にあたるということです。

今回のニュースでいえば、関係のある会社から生コンを供給させようと企てて脅迫していますので、生コンの供給契約という財産上の利益を他人に得させようとした恐喝未遂ということになります。

このように恐喝罪は現金や物品などの財物だけでなく、契約など財産上の利益といえるものに対しても成立します。
くわえて自らだけでなく、他人に財物を交付させたり、財産上の利益を得させたりしたとしても恐喝罪に該当します。

最後に、恐喝被害に遭ったかもと思った際には自力で解決しようとせず、遠慮なく当事務所にご相談ください。

Bio

弁護士 若林翔

弁護士法人グラディアトル法律事務所代表弁護士。
男女トラブルや詐欺、消費者被害、誹謗中傷など多岐にわたる分野を手掛けるとともに、顧問弁護士として風俗やキャバクラ、ホストクラブなど、ナイトビジネスの健全化に助力している。