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三重県伊勢市の老舗和菓子メーカー「赤福」の関連酒造会社が製造、販売した指定暴力団の代紋入り焼酎を材料に同社と持ち株会社「濱田総業」から金銭を脅し取ろうとしたとして、恐喝未遂の罪に問われた伊勢市二見町茶屋、無職中川久朗被告(68)の初公判が25日、津地裁(濵口紗織裁判官)であり、中川被告は起訴内容を認めた。検察側は懲役1年6月を求刑し、即日結審。判決は3月9日。
2020-02-26 伊勢新聞
論告で検察側は「企業の弱みにつけ込んだ悪質な犯行。今後も楽をして多額の現金を得るために同様の犯行に及ぶ恐れは極めて高い」と指摘。弁護側は「事の発端は(指定暴力団とつながりを持った)企業側の危機認識能力の欠如」と強調し、執行猶予付きの判決を求めた。
起訴状などによると、中川被告は昨年12月、濱田総業グループの酒造会社「伊勢萬」が平成12年から24年の間に製造、販売した指定暴力団の代紋や「名古屋弘道会」などの文字が入った焼酎の空き瓶を大紀町の骨董(こっとう)品店で偶然手に入れたのを利用し、空き瓶を持って同市の赤福本社を訪れ「100万か200万円で赤福さんこれ買うてくれへんかな」などと恐喝し、濱田総業と赤福から現金を脅し取ろうとしたとされる。
この恐喝未遂事件を巡っては、指定暴力団側からの受注を受け、代紋入り焼酎の製造、販売を指示していたとして、赤福の浜田益嗣会長(82)が先月16日付けで同社をはじめ、グループ計6社の全役職を辞任した。
弁護士からのコメント
今回のニュースは、指定暴力団の代紋入り焼酎を材料に金銭を脅し取ろうとしたとして、恐喝未遂の罪に問われたというものです。
この点、空き瓶を持って「100万か200万円で赤福さんこれ買うてくれへんかな」と言ってるだけで、脅して(脅迫して)いないのではないかと疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
以下、解説したいと思います。
まず恐喝罪の脅迫とは、相手方を畏怖させるような害悪の告知をすることをいいます。
そして恐喝罪においては、告知の手段・方法は制限がないとされています。
くわえて害悪の内容は、言葉それ自体が独立して畏怖させるに足りるものでなくても、他の事情と相まって畏怖させる結果を生じさせることができる内容であればよいとされています。
今回のニュースでいえば、100万か200万で買ってくれないかという発言に、暴力団の代紋や暴力団名が入った空き瓶を持ってきたことも相まって、害悪を告知したといえるでしょう。
換言すれば、上記発言と空き瓶の持参という行動に、「要求に応じなければ暴力団との付き合いを公表する」などとの畏怖させる害悪が暗黙に告知されているということです。
このように恐喝罪の脅迫については、その言葉だけでなく、手段や方法などその他の事情も考慮して判断されることになります。
最後に、恐喝被害に遭ったと思った際には自力で解決しようとせず、遠慮なく当事務所にご相談ください。