脅迫・恐喝とは

脅迫・脅迫罪とは

『脅迫』とは、生命、身体、自由、名誉、財産に対する害悪の告知すること(『脅し文句を言う』『相手に危害を加えると伝える』こと捉えると分かりやすいかもしれません)です。
一般的に、脅迫とは相手に何かをさせるために用いられる手段という認識が強いかもしれませんが、刑法上での脅迫とは上記のように害悪の告知のことを指します。

『脅迫罪』は社会通念上(客観的判断で)相手を怖がらせる(畏怖させる)に足る害悪の告知を行ったことに対する罪です。社会常識的に言われたら怖いだろう、というような内容を相手に告げる行為が罪になるので実際に相手が怖がったかどうか、は問題になりません。

以下に、それぞの害悪の告知の例を記載しておきます。

・生命への害悪の告知の例
 本人及びその親族(恋人、婚約者、友人は基本含まれない)に対して「殺してやる」といった
 生命へ危害を加えることを示唆して脅す

・身体への害悪の告知の例
 「殴るぞ」「痛い目にあわせるぞ」といった身体へ危害を加えることを示唆して脅す

・自由への害悪の告知の例
 「誘拐してやる」「閉じ込めてやる」といった行動等、自由へ危害を加えることを示唆して脅す

・名誉への害悪の告知の例
 「秘密をネット上に拡散してやる」といった名誉(社会的評価など)へ危害を加えることを示唆して脅す

・財産への害悪の告知の例
 「車を壊してやる」「家を燃やしてやる」といった財産へ危害を加えることを示唆して脅す

脅迫行為は様々な犯罪のきっかけになる点が特徴と言えます。
後述する恐喝も脅迫の延長線上にあります。

恐喝・恐喝罪とは

『恐喝』とは、財物を交付させる手段として相手の反抗を抑圧するに至らない程度の暴行・脅迫行為により畏怖させることです。
『恐喝罪』とは恐喝により、畏怖した相手の交付行為による財物の移転等があった場合に成立します。

すなわち

ということです。

ちなみに、相手の反抗を抑圧するに至る(※1)暴行・脅迫行為による財物の移転の場合は、恐喝罪ではなく強盗罪となります。強盗罪は、恐喝罪よりも手段である暴行・脅迫行為が強力であるということです。

※1 例えば、相手をガムテープでぐるぐる巻きにして動けなくしたり、刃物や銃器など殺傷力の強いものを突きつけるなど、相手の自由を拘束したり抵抗を完全に阻害するようなものは「相手の反抗を抑圧するに至る」と判断されます。

脅迫罪と恐喝罪の違いとは

どちらも脅すという点では共通しています。両者の違いは、「脅迫罪」は人の生命や身体、財産、名誉に危害を加えると相手に伝え(『害悪の告知』)、相手を畏怖(怖がらせること)させうるに足る(実際に畏怖したかどうかではない)と判断されれば成立しますが、「恐喝罪」脅した(脅迫した)うえで財物(お金や金銭的価値のある物)を交付させることが成立要件です。

脅迫
・相手に恐怖心を抱かせる(畏怖させる)に足る害悪の告知行為(例:「お前の家族を殺してやる!」)
恐喝
・脅した(脅迫した)うえで相手から金品を取得することが目的

ということです。

ちなみに脅迫は、脅迫だけで終わらない場合があります。脅迫行為によって何かをさせられたなら強要罪となります。
強要罪の金品・財物の移転をさせられたケースが恐喝罪です。

被害の拡大を防ぐ

脅迫・恐喝被害の解決が遅れると、よりリスクのある犯罪へと発展するリスクが高まります。
それは、自分の身体や生命、名誉などが危険に晒されるということです。

脅迫・恐喝被害の早期解決は、不必要な余計なリスクを排除することに他なりません。

脅迫・恐喝の被害にあってしまった場合には、早期かつ適切な対応な対応をしましょう。

まずは、弁護士にご相談ください。

脅迫・恐喝と被害届・刑事告訴については、以下の記事もご参照ください。